シンガポール 都市、建築調査(2018年ゼミ旅行)

2018年のゼミ旅行を兼ねて、シンガポール都市、建築調査に行きました。

シンガポールは建国50年余りで日本のGDPを超え、東南アジアの中でもとりわけ豊かな国に成長しています。東京都23区程度の国土で資源も少ないながらも目覚ましい成長を遂げ、現在もその勢いは衰えていないという稀有な国家です。その発展は国家的意思に基づいて様々な方針を決定し、実行していった結果ですが、今回の調査では建築や都市計画がどのようにその発展に寄与したか、検証しました。

シンガポールはそもそも海洋交易の重要な拠点(ハブ)としてイギリスに見出された歴史があります。現在はそれをさらに発展させ、航空の拠点、観光の拠点、人材の拠点、など様々な中継地として多くの人々を呼び込むため、クリーンで安全、快適で過ごしやすい都市、施設を整備していました。例えば屋台村は多様な民族が集まるシンガポールの事情を反映してますが、衛生や美観の観点で全てホーカーと呼ばれる建物の内部に集めるよう、政策により誘導されています。そのため、アジア的混沌と制御された統一感のあるデザインが入り混じった景観を形成しているのが印象的でした。

 

また、法律で緑化率がかなり高く設定されており、このことが熱帯雨林気候で高温多湿でありながら快適な環境を作ることに寄与しています。その緑化率の高さにより、敷地内の空地に緑化するのみでは足らず、屋上緑化、壁面緑化、ある程度の中層建築物以上では中間階の緑化が当たり前のように施されており、それらの建築が集まった景観には独特な特徴があります。また、制御しにくい樹木という存在を、管理も含め見事にコントロールしている様は日本の都市ではなかなか見られないものでした。

上記は一例ですが、コントロールが難しいものをあえてデザインコードなどを設けて制御していく手法により、近代的な均質さの中にも複雑さとあいまいさを持たせ、現代にふさわしい特徴あるデザインとしているように感じました。そのような方針が国家主導で国土全般に渡って徹底されている点も参考にすべきことが多かったです。

 

 

 

 

 

 

 

また、大学施設を見学しましたが、大学も人材があつまるハブとして重視されており、施設やランドスケープなどの環境の快適さのみならず、先進的な授業に伴った教室形態を試行するなど、参照すべき試みが行われていました。

 

 

 

 

 

学生たちにとっても良い経験になったことでしょう。

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