執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [22]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

経営において外部からの血を入れる重要さ
『現代の経営』より



 「人事は社内だけで行ってはならない。これは原則である。マネジメントには外の血を入れることが必要である。それは独善や社会からの遊離を防ぐために必要である」(『現代の経営』)
 マネジメントの高い地位に外部から人を招くこと、および招き入れたからには内部から昇進してきた者と同じ待遇を与えることが必要である。しかも、そのことを組織中が理解し、当然のことと納得していなければならないという。
 ドラッカーは典型的な例として、米大手小売業シアーズの歴史を紹介する。シアーズ内部の通信販売業で育った者たちだけでは、その後の成長をもたらした小売事業への展開を行なうことはできなかった。外部から人材を招きいれた結果、事業の転換が可能となった。
 同じようなことがヘンリー・フォードのワンマン経営のあとにも見られる。フォードの再建にはライバルのGMからさえ、トップマネジメントの人材を引き抜かざるをえなかった。
 外には内よりも優れた人材がいるということではない。外にいたということが重要な意味を持つのである。
 日産自動車はルノーからの資金を必要とした。しかし、今となってみれば、本当に必要としたのは、カルロス・ゴーンという外からの血だったことがわかる。
 「危機においてだけではなく、常時外部の人間を招き入れることによって、危機を予知しなければならない。そして、危機を避けなければならない」(『現代の経営』)



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