執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [51]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

不安定な為替が企業の国籍を無意味にする
『マネジメント・フロンティア』より



 「風雪に耐えた教えによれば、業務としていない者が為替取引や商品取引に手を出すと大怪我をする。ところが今日の変動相場制のもとでは、堅実であることが結果として投機的であることになる」(『マネジメント・フロンティア』)
 今日、為替リスク対策としては、円建てによる製品輸出や原材料輸入以上の対策が必要となっている。
 その一つが、資金調達の国際化である。
 国内を主たる市場とする企業といえども、為替レートの変動次第では、いついかなるかたちで海外との競争に巻き込まれるかもしれない。自らを守るには、外貨建てによる資金調達が有効手段である。資金調達さえ為替対策の手段にしなければならない。
 ドラッカーは、すでにグローバル経済に組み込まれている産業では、事業を二つの部分からなるものとして組織し、マネジメントしなければならないという。
 第一が、一国ないしは二〜三の主要国に根を下ろした中核的事業である。第二が、資本、為替レートなどのコスト変動に応じて国から国へと急速に動かすことのできる周辺的事業である。「為替レートが不安定であるということは、もはやアメリカの企業、ドイツの企業、フランスの企業というものは存在しえず、少なくとも製造業や金融業においては、世界的な事業を営むアメリカ人、ドイツ人、フランス人がいるにすぎないということである」(『マネジメント・フロンティア』)




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