執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [76]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

すでに起こった未来は体系的に見つけられる
『創造する経営者』より



 「社会的、経済的、文化的な出来事と、そのもたらす変化との間にはタイムラグがある」(『創造する経営者』)
 あらゆる変化が、他の領域に変化をもたらす。そして機会をもたらす。
 人口、社会、政治、経済、産業、経営、文化、知識、意識が変化する。その変化が次の変化をもたらす。ただちにではない。そこには、タイムラグがある。そこでドラッカーは、それらの変化を"すでに起こった未来"と呼ぶ。
 すでに起こった未来に資源を投じることにも、不確実性とリスクが伴う。だがそのリスクは限られている。
 特に人口構造の変化は、労働力、市場、社会的圧力、経済的機会に基本的な変化をもたらす。人口の変化は逆転しにくい。その変化は早く影響を現す。小学校の施設に対する圧力となって現れるのは、わずか五〜六年後である。
 二〇年後、二十五年後には労働力人口に重大な影響をもたらす。市場を変え、経済と社会を変える。変化はすでに起こってしまった。
 意識の変化も、経済や社会を変える。健康への関心が高まれば、やがてサプリメント会社の起業家が長者番付を飾るのは当然である。
 組織の内部にもすでに起こった未来を見つけることができる。新しい活動が組織内に変化を引き起こし、すでに受け入れられているものと対立する。知らずして急所に触る。
  「すでに起こった未来は、体系的に見つけることができる」(『創造する経営者』)




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