執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [157]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

決定を行動に移すにはいかなる行動を誰がすべきか問わなくてはならない
『経営者の条件』より



 「決定の実行が具体的な手順として誰か特定の人間の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい、それまでは、意図があるだけである」(『経営者の条件』)
  ドラッカーは、これこそ企業の経営方針の決定によく見られる状況だという。すなわち経営方針なるものには行動するための措置がなにも盛り込まれていない。その実行が誰の仕事にも誰の責任にもなっていない。そのためそれらの経営方針は、トップがまったく行なう気のないお題目として冷たい目で見られる。
  決定を行動に移すには、誰がこの意思決定を知らなければならないか、いかなる行動が必要か、誰が行動をとるか、行動すべき人間が行動するにはその行動はいかなるものでなければならないか、を問わなければならない。
  しかも、決定には継続的なフォローが必要である。会議で決定しただけではなにも起こらない。
  あらゆる国の軍が、命令を出した将校は自ら出かけ確かめなければならないことを知っている。少なくとも副官を派遣する。命令を受けた当の部下からの報告を当てにしない。
  信用しないということではない。コミュニケーションが当てにならないことを知っているだけである。
  「自ら出かけて確かめることは、決定の前提となっていたものが有効か、それとも陳腐化しており決定そのものを再検討する必要があるかどうかを知るための、唯一ではなくとも最善の方法である」(『経営者の条件』)




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