執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [204]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

広く理解されて行動の基盤となってこそ
知識といえる
『新しい現実』より



「今後とも、物理学では、専門化が王道であり続けるだろう。
しかし他の多くの分野では、専門化は、今後ますます、知識を習得する
うえで障害となっていく」(『新しい現実』)

 学問の世界では、書かれたもの、すなわち論文を知識を定義する。
それどころか、その論文の書き方までをとやかくいう。
そのくせ、まるで理解不能な文章があっても平気である。
 ドラッカーは、そのようなものは知識でないし、知識とはいかなるかか
わりもないと怒る。それらはデータにすぎない。

 知識とは、行動の基盤となるべきものである。人や組織をして、
なんらかの成果をもたらす行動を可能にするものである。なにかを、
あるいは誰かを、変えるべきものである。

 そもそも、理解されることが学識ある者の責務である、という昔から
の原則が忘れられてしまった。
行動の基盤であるということならば、広く理解されることなくして知識
とは言えない。
 
 ドラッカーは、問題は今日学界の専門家たちの学識が、急速に知識
でなくなっていることにあるという。
それらのものは、データにすぎず、せいぜいが専門知識にすぎない。
世の中を変える力を失ってしまっている。

「過去200年間にわたって知識を生みだしてきた学問の体系と方法が、
少なくとも自然科学以外の分野では非生産的となっている。学際的な
研究の急速な進展が、このことを示している」(『新しい現実』)




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