執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [207]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

最高の力を発揮してもらい、最大の貢献をしてもらうための手立てを講じているか
『P.F.ドラッカー−理想企業を求めて』より



「組織の優劣は、平凡な人間をして非凡なことをなさしめるか否かにある」
(エリザベス・H・イーダスハイム著『P.F.ドラッカー−理想企業を求めて』)

 ドラッカー本人の求めによって、最晩年の一年半を独占インタビューし、
世界各地にいる彼の教え子たちに取材したエリザベス・H・イーダスハイム
博士は、ドラッカーとそのクライアントたちが求めたものは、つまるところ、
人が主役の理想企業だったという。

彼女が、ドラッカーの教え子の一人だったアルミ最大手アルコアの元CEO、
ポール・オニールに見せてもらった黄色に変色した紙には、三つの問いが
書いてあった。それは五〇年近く前に、オニールがドラッカーから教わって
書き写したものだった。

 企業がどれほどのものかは、それら三つの問いに社員のどれだけが、
なんのためらいもなく、即座にイエスと答えられるかによって知ることが
できるというのだった。
「あなたは敬意をもって遇されているか」「あなたは貢献するうえで必要な
教育訓練と支援を受けているか」「あなたが貢献していることを会社は
知っているか」

 ドラッカーは、企業とは人であるとくどいほど説き続けた。ビジネスモデル
にしても、組織構造にしても、人のエネルギーがあってこそのものである。
だが、そのためには最高の力を発揮してもらい、最大の貢献をしてもらう
ための手立てを講じなければならない。

「組織の目的は、均衡と調和ではなく、人のエネルギーの解放と動員
にある」(『P.F.ドラッカー』)




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