執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [210]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

企業の経営幹部には
自らの課題を超えた責任がある
『創造する経営者』より



「今日、マネジメントの最大の社会的責任は、一般人、すなわち企業の外
にあって企業について何も知らない教育ある人たちが、企業は何を行い、
何を行うことができ、何を行うべきであるかを理解できるようにすることで
ある」
(ドラッカー名著集E『創造する経営者』)

 ドラッカーは、不祥事について多くを語らない。その目線ははるかに高い。
今日、企業で働く知識労働者は、産業社会においてリーダー的な階層に
あるという。

 そして、ドラッカーは、リーダー的な階層に属する知識労働者には、自ら
の直面する課題を超えた責任があるという。それが、産業社会の仕組みと
働きを広く知ってもらうことである。

たとえ、欠陥だらけとしても、いまだにそれを超える社会が見つかって
ないからには、産業社会というものがどのようなものであるかは、広く常識
として知られなければならない。

 ドラッカーは、企業家精神を発揮して堂々と経営し、それを広く知って
もらうことが、企業に働く者にとっての最大の社会的責任であるという。

「企業家精神が体系として提示され、経済的な成果のために資源を
体系的に利用できたとき、教育ある素人たちも、産業社会における
経済的機関としての企業が行なおうとしていることを理解し、行っている
ことに敬意を払うようになる。
そのとき初めて、社会にとって企業活動が当然の活動とされ、企業の
経営幹部の貢献が世に理解されるようになる」
(『創造する経営者』)




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