執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [212]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

教師の生産性を上げるには 学ばせるための監督よりも教えるための時間を与えよ
『断絶の時代』より



「教師は教えているのではない。学ぶことを監督しているにすぎない」
(ドラッカー名著集F『断絶の時代』)

 教わることとは、意味と理解にかかわることである。
ドラッカーは、教わることと学ぶことを峻別して考えている。

 教わることは知力よりも知覚にかかわることである。それは模範によって
示される。ここにおいてこそ、教師が必要とされる。学ぶことが、ドリルの
学習によって身につける自己完結的なプロセスであるのに対し、教わる
ことが教師との相互的なプロセスである。

優れた教師であれば、学ぶことの妨げにはならない。われわれがよい
先生としているのが、この手の人たちである。しかし、彼らでさえ、本来は
教えるために使うべき時間を浪費している。

 学ぶためのプログラムが開発されていない。われわれは、生徒が欲して
いるもの、すなわち学ぶためのに必要な道具を与えていない。その結果、
教師に行うべきことを行なわせられないでいる。

 教師は教えようとしている。だが実際には、彼らのほとんどが教えている
のではなく、学ばせるための監督をしているにすぎない。

 必要なのは、教師が教えることに集中できるようにすることである。
それがオックスフォード大学の個人指導制である。だが、一八歳から
では遅い。そこで、ドラッカーは、学びのプログラムとしてeラーニングの
発展に期待する。

「教師の生産性を上げるには、彼らに教える時間を与えなければならない」
(『断絶の時代』)




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