執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [221]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

歴史には文明を分かつ
”峠”が存在する
その峠が転換期である
『ポスト資本主義社会』より



「西洋の歴史では数百年に一度際立った転換が起こる。
世界は歴史の境界を越える。社会は数十年をかけて
次の新しい時代のために準備する。
世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。
技術と芸術を変え、機関を変える」
(ドラッカー名著集G『ポスト資本主義社会』)

 一九六〇年代後半に至って、ドラッカーは、あたかも群発地震のように
あらゆるものが動き始めたことには原因があると見た。どこか地中の奥深くで、プレートの大移動が起こっているに違いないと察知し、
これを一つの”断絶”としてとらえた。

 この断絶を描写した六九年の名著『断絶の時代』は、
世界各国において空前の大ベストセラーとなった。

 その二〇年後、北欧文明と地中海文明を分かつアルプスのブレンネル峠のように、歴史にも文明を分かつ”峠”があると論じた。
これが転換期の到来を知らせた八九年の『新しい現実』だった。

 その四年後には、『ポスト資本主義社会』で、その峠は
「五〇年から六〇年は続く」と論じた。
ドラッカーに従うならば、われわれは今まさに、その壮大なる歴史の
転換期の渦中、しかもそのクライマックスにある。

「境界を越えた後の世代にとっては、祖父母の生きた世界や父母の生まれた
世界は、想像することのできないものになる。われわれは今、そのような
転換期を経験しつつある。この転換がポスト資本主義社会を創造しつつある」
(『ポスト資本主義社会』)




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