執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [222]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

誰もが力を発揮するべく
いつでも方向転換できる社会の構築が求められる
『プロフェッショナルの条件』より



「自らの成長のためには、自らに適した仕事につかなければならない。
そこで問題になるのは、自らの得るべきところはどこかである。
この問いに答えを出すには、自らがベストを尽くせるのはいかなる環境かを
知らなければならない」
(『プロフェッショナルの条件』)

 ドラッカーは、最初の仕事とは”くじ引き”だという。
最初から自分に適した仕事に就ける確率は高くない。
しかも、得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには
数年を必要とする。

 われわれは、気質や個性を軽んじがちである。
だが、気質や個性は容易に変えられるものではないだけに、
明確に理解することが肝要である。

得るべきところはどこかを考えた結果が、
今働いているところではないということであれば、
次に問うべきは、それなぜかである。

 組織の価値観、あるいは風土になじめないからか。
もしそうであるならば、人は確実にダメになる。
自ら価値があると考えるところで働くのでなければ、
人は自らを疑い、自らを軽く見るようになる。

 したがって、今、喫緊に求められているのは、
誰もがフルに強みを発揮できるよう、いつでも方向転換が
可能な社会の構築である。
具体的には、多様性を歓迎すべきものとして推進する
採用政策と企業風土である。

「自らがところを得ていないときには、やめることが正しい選択である。
出世はたいした問題ではない」
『プロフェッショナルの条件』




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