執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [235]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

イノベーションの第一歩は
陳腐化したものを
計画的に捨てることである
『マネジメント[エッセンシャル版]』より



「イノベーションは市場に焦点を合わせなければならない。製品に焦点を合わせたイノベーションは、新奇な技術性は生むかもしれないが、成果は失望するべきものとなる」
(『マネジメント[エッセンシャル版]』)

 イノベーションは、新しく優れた製品の創造、あるいは新しい利便性や新しい欲求の創造であることもある。昔からの製品の新しい用途開発であることもある。

 冷蔵庫を食物の凍結防止用としてエスキモーに売り込むことに成功したセールスマンは、新しいプロセスや製品を開発したものと同様、イノベーションの担い手である。

 イノベーションは、事業のあらゆる局面で行わなれる。設計、製品、マーケティングのイノベーションがある。価格や顧客サービスのイノベーションがある。組織や手法のイノベーションがある。

 また、イノベーションは、あらゆる企業において行なわれる。それは、生産や技術の現場におけると同様、銀行や、保険会社や商売店において行なわれる。

 市場思考であるゆえに、イノベーションの戦略は、既存のものはすべて市場において陳腐化することを前提とする。したがって、イノベーションの第一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

 「イノベーションを行なう組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる」

(『マネジメント』)




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