執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [20]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

自社の強みと弱みを知るよい方法は顧客に聞くこと
『創造する経営者』より



 「他社はうまくできなかったが、わが社はさしたる苦労なしにできたものは何かを問わなければならない。同時に、他社はさしたる苦労なしにできたが、わが社はうまくできなかったものは何かを問わなければならない」(『創造する経営者』)
 自社のことは自社ではわからない。特に強みはわからない。ところが、いかに恵まれた市場環境にあって、いかに強い使命感に燃えても、自らの強みを知らなければ、卓越した事業によって業界リーダーの地位を得ることはできない。
 しかも、企業をはじめとする組織体の強みに公式はない。いかなる強みがいかに獲得されるかはわからない。学者が解き明かしてくれるのを待っているわけにもいかない。自社の強みは一日も早く見つけてどんどん伸ばし、フルに発揮していかなければならない。
 そこで自社の強みを知るための工夫が必要になる。公式がないとするならば、観察するしかない。そして聞くしかない。
 比較の対象は他社とは限らない。自社の成功と失敗を比較しなければならない。そしてその違いの原因を考えなければならない。
 さらには、自社を最もよく知る者に、辞を低くして聞かなければならない。
 「上得意の顧客に対し、わが社は他社にできないどのような仕事をしているかを聞かなければならない。顧客が常に答えを知っているわけではない。しかしどこに正しい答えを見つけたらよいかは明らかにしてくれる」(『創造する経営者』)



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