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ハイテクではなくローテク起業家が日々のパンを生む |
『マネジメント・フロンティア』より |
「ハイテクの起業家精神は山の頂である。したがってそこには巨大な山腹がなければならない。すなわちミドルテク、ローテク、ノーテクの起業家精神が経済と社会に漲っていなければならない」(『マネジメント・フロンティア』) 起業家精神が日常となった起業家社会が生まれていなければ、優れた人材の多くが、大企業、政府機関、大研究所、大学の安定性と世間体を選んでしまう。 現状は能力があるのにベンチャー企業に進もうとすると、教授や親は首を傾げる。それを乗り越えてベンチャー企業に進もうとする場合でも、ハイテクなどの目新しい企業でないと賛成が得られにくい。 だが、新しくても、小さくても、ローテクでも就職先として選んでもらえない限り企業は成立しない。 ドラッカーは、三〇年前には米国でも職場や職歴として、すでに確立されている大企業や政府機関が好まれていたが、若者たちがベンチャーを選ぶようになったことが、今日の米国の起業家経済を可能にしたという。 しかも、そのような状況は、ハイテクのベンチャーがもたらしたのではなかった。華々しかざるローテクやミドルテクのベンチャーがもたらした。 「起業家経済を生み出すのは、ローテクやミドルテクの企業である。ハイテクはビジョンをもたらすにすぎない。日々のパンを生むのはハイテク以外の企業である」(『マネジメント・フロンティア』) |
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