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なぜ一律のコスト削減では業績が改善しないか |
『創造する経営者』より |
「企業活動は自然現象ではなく社会現象である。社会現象は正規分布しない」(『創造する経営者』) 新規取引の三分の二は、数人の営業部員が取ってくる。生産の大半は、特定の生産ラインが賄う。イノベーションのほとんどは、数人の研究者が生み出す。問題の大半は特定の場所や特定の社員が起こす。 つまり、業績の九〇%が一〇%の活動からもたらされるのに対し、コストの九〇%は業績を生まない九〇%の活動から発生する。したがって業績とコストとのあいだには関係がない。 ドラッカーは、コスト管理上の問題は、そもそも活動と予算が、業績への貢献ではなく、作業量に応じて割り当てられているところから生ずるという。 コストは業績ではなく、作業量に比例する。五〇〇万円の取引と五〇万円の取引とでは、作業量はあまり変わらない。一〇倍はかからない。このようにコストは金額ではなく作業量に比例する。 売れない製品の設計も売れる製品の設計も、作業量は同じである。小口注文の処理は大口注文の処理と同じである。受注、生産管理、包装、保管、出荷、請求、集金のいずれも、作業量はそれほど違わない。 無用なコストが発生してしまうのは、業績に貢献していない活動においてである。「業績をあげている事業は、もともと資金が十分でない。そこへ一律のコスト削減が行われれば業績をあげられなくなる」(『創造する経営者』) |
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