執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [141]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

戦略的意思決定では初めから正しい答えを得ようとしてはならない
『現代の経営』より



 「戦略的な意思決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうであっても、初めから答えを得ようとしてはならない。重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」(『現代の経営』)
 教科書は事実を収集せよという。だが問題を定義し分類しないことには、それは不可能である。
 問題の定義と分類によって、関係のあるデータ、すなわち事実が何であるかを知る。おもしろいが関係のないデータから解放される。情報のうち何が有効かを知る。
 重要な意思決定、すなわち大きな意味を持つ意思決定は、戦略的な意思決定である。戦略的な意思決定を行なうには、状況を把握することが必要である。
 ドラッカーは、仕事であれなんであれ、ただちに意思決定を行なえる問題などほとんどないという。
 一見して重要な要因が本当に重要であったり、そもそも関係があったりすることが稀である。それらのものは、せいぜい兆候にすぎない。しかも、最も目立つ兆候が問題の鍵であることは稀である。
 意思決定において最初の仕事は、問題を見つけ、それを明らかにすることである。この段階ではいくら時間をかけてもかけ過ぎることはない。
 「意思決定についての議論のかなりの部分が、問題の解決すなわち答えを出すことに集中している。間違った焦点の合わせ方である。問題の解決だけを重視してよい意思決定は、さして重要でない日常の戦術的な意思決定だけである」(『現代の経営』)




↑ コラムリストへ戻る ← 前へ | 次へ →