執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [152]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

組織の将来を左右する人材の育成と配置
『変貌する経営者の世界』より



 「組織の将来を左右するのは人材の育成と配置である。今日の意思決定が将来実を結ぶか否かは人材の育成と配置にかかっている」(『変貌する経営者の世界』)
 将来にかかわる意思決定、すなわち今日の経済資源を不確実な未来に賭けるというマネジメント上の意思決定は、深刻な障害に突き当たる可能性が大きい。そのとき修正してくれるのは、明日企業を担っている人たちである。
 配置した人材の仕事ぶりは、決してとらえどころのないものではないとドラッカーは言う。定量的に補足することはできなくとも、評価はできる。
 高い地位に就ける者が成果を上げられなければ、人事を行った者の間違いである。兵士には有能な指揮官を持つ権利があるとはシーザー以前からの金言である。少なくとも普通の能力を持つ者全員が成果を上げられるようにすることがマネジメントの責任である。
 あらゆる意思決定のうち人事ほど重要なものはない。組織の能力を左右する。したがって人事は正しく行わなければならない。
 仕事のために人を組織することは、一人ひとりの人間を最も適した仕事に配置することを意味する。
 「人材の配置が期待した結果を生まなかったとき、明らかなことは意思決定が間違っていたということである。あるいは、意思決定の方法が間違っていたということである。昇進の失敗を昇進させられた者の責任にしてはならない。投資の失敗を投下した資金の責任にするようなものである」(『変貌する経営者の世界』)




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