執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [184]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

逆境のとき趣味を超えた第二の仕事が大きな意味をもつ
『プロフェッショナルの条件』より



 「知識労働者には、いつになっても終わりが無い。文句は言ってもいつまでも働きたい。とはいえ、三〇のときには心躍った仕事も、五〇ともなれば退屈する。したがって第二の人生を設計することが必要になる」(『プロフェッショナルの条件』)
 ドラッカーは、問題の解決には三つの方法があるという。
 第一の方法は、文字どおりセカンドライフ(第二の人生)をもつことである。会社を替えるだけでよい。
 第二の方法は、パラレルキャリア(第二の仕事)、すなわち本業にありながら、もう一つ別の世界をもつことである。
 第三の方法は、ソーシャルアントレプレナー(社会的起業家)になることである。仕事は続けるが、それに割く時間は減らしていく。そして非営利の仕事(第二の生き方)を始める。
 じつは逆境のとき、趣味を超えた第二の人生、第二の仕事が大きな意味をもつ。
 知識社会では、成功が当然のこととされる。だが、全員が成功することはありえない。失敗しないことがせいぜいである。成功する人がいれば成功しない人がいる。そこで、一人ひとりの人間とその家族にとっては、なにかに貢献し、意味あることを行ない、一廉であることが重要な意味をもつ。
 「第二の人生、第二の仕事、社会的起業家としての仕事をもつことは、社会においてリーダー的な役割を果たし、敬意を払われ、成功の機会をもつということである」(『プロフェッショナルの条件』)




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