執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [201]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

新しい任務で成功するには
過去を捨て、今、何が求められているかを考える
『プロフェッショナルの条件』より



「私は仕事を変わるたびに、新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないかを自問している」
(『プロフェッショナルの条件』)
 ドラッカーは、ヒトラーの台頭したドイツでは教壇に立つことも文筆に生きることもできないことを知って、英国に渡った。
保険会社で株式運用担当を務めた後、マーチャントバンクでパートナー補佐の仕事に就く。

三ヶ月ほどして、パートナーの一人に呼びつけられ、前職の株式運用の仕事をいつまでもやっているのではない、とこっぴどく叱られる。
「パートナー補佐として成果をあげるには何をなすべきと思っているのか」
 こうして目を覚まされたドラッカーは、仕事の内容も、仕事の仕方もすっかり変える。
しかもそのとき以来、仕事を変わるたびに、「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか」を自問してきた。

 ドラッカーはコンサルティングを六〇年以上も経験し、
たくさんの人事を目にしてきた。
ところが残念なことに、前の仕事で有能だった人の多くが
実力を発揮できなくなっているという。
 能力が落ちたのではなく、前の仕事の仕方をしているためにそうなっているのだという。
「新しい任務で成功するうえで必要なことは、卓越した知識や卓越した才能ではない。それは、新しい任務が要求するもの、新しい挑戦、仕事、課題において重要なことに集中することである」
(『プロフェッショナルの条件』)




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