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公的機関は悩み多き存在 ”三つの障害”が起業家精神と イノベーションを退行させる |
『イノベーションと企業家精神』より |
「最も起業家的なイノベーション志向の人たちさえ、 公的機関とくに政府機関のマネジメントの座におかれるならば、 その内部力学のゆえに、半年後には月給泥棒ないしは政治屋となる」 (ドラッカー名著集D『イノベーションと企業家精神』) ドラッカーは、公的機関には既存の事業がイノベーションの障害となりやすい原因が三つ存在するという。 第一に、公的機関は、成果ではなく、予算に基づいて活動する。 いわば、他者の稼ぎから支払いを受ける。その予算は、活動が大きいほど大きくなる。公的機関の成功は業績でなく、獲得した予算によって評価される。 第二に、公的機関は、多様な利害関係者によって左右される。 活動の成果が収入の原資になっていないために、あらゆる種類の関係者が 実質的な拒否権を持つ。そのようななかで、すべての人たちを満足させなければならない。 第三に、公的機関は、善を行なうために存在する。公的機関は自らの使命を道義的な絶対とし、経済的な費用効果の対象とはしない。 すなわち、目標を実現できないことは努力を倍加すべきことを意味する。 「公的機関にイノベーションや起業家精神が見られないのは、 退嬰的な月給泥棒、権力マニアの政治屋の抵抗によるものとされている。 だが、事態はそれほど簡単ではない。改革論者の万能薬たる人の 入れ替えによる解決は、幻想にすぎない。 (『イノベーションと企業家精神』) |
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