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知識社会とは組織社会 組織を使いこなすためのマネジメントが必要になる |
『イノベーターの条件』より |
「知識労働者は必然的に専門家たらざるをえない。ということは、組織とかかわりながら働くことを意味する。成果を上げるうえで必要な継続性を提供できるものは、組織だけである。専門化した知識に成果を上げさせられるものは組織をおいてない」 (『イノベーターの条件』) われわれは今、マネジメントに関して、1550年ごろのヨーロッパ人が持っていた米国についての情報ほどにしか知らないのではないかと、ふと思う。 個を重視するドラッカーが、組織社会では、成果をもたらすのは個人ではないという。個人は成果の発生源というよりも、コストの発生源である。成果をもたらすのは組織である。組織社会における組織の役割は、それほどに大きい。 産業革命以降、生産手段が大規模化したために、ほとんどの人間が、生計の資を組織に求めるようになった。加えて、自己実現の場を組織に求めるようになった。 しかも、必要とされる知識が高度になったために専門化し、一つの知識では成果をもたらし得なくなり、組織を通じて働くことが当然となった。知識が力を発揮するのは他の知識とコラボレーションしたときである。 そのうえ、人は入れ替わる。継続性を保証するのは、個人ではなく、組織である。 したがって、知識社会とは、ほとんどの社会的機能が、組織のなかで、あるいは組織を通じて遂行されるという組織社会である。だからこそ、組織を使いこなさなければならない。 その組織の運営の仕方がマネジメントである。ところが、組織社会の到来があまりに最近のことであるために、組織の使命の実現についても、組織に働く人たちの自己実現についても、マネジメントの発展はいまだ緒に就いたばかりの段階にある。 ドラッカーは、マネジメントを発明したことで有名である。しかしわれわれは、そのドラッカーが発明したものを、知った気でいながらも、まだ十分に知らないのではないかと思うのである。 「組織は、いかなる名で呼ぼうともマネジメントに相当するものを必要とする。その組織が目的とするものが何であるにせよ、すべてマネジメントを必要とする」 (『イノベーターの条件』) |
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