執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [292]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

ドラッカーが問いかけた
いかなる組織にもかかわる
「最も重要な5つの質問」
『経営者に贈る5つの質問』より



「最も重要な5つの質問とは、われわれのミッションとは何か、われわれの顧客は誰か、顧客にとっての価値は何か、われわれにとっての成果は何か、われわれの計画は何か、という5つの質問からなる経営ツールである」
(『経営者に贈る5つの質問』)

 人と人が共に働くとき、立派な仕事が行なわれる。そのためのものとして、マネジメントは大企業で始まり、中堅企業に使われた。
やがて、中小企業に移植され、政府機関でも使われ、ついには大学や病院などの大手の非営利始祖きで使われるに至った。こうして最後に取り残されたのが、中小の非営利組織、いわゆるNPOだった。
「おカネのないわれわれのための経営ツールを考えてほしい」との声に応じて、ドラッカーが開発して成果を上げ、今度は逆の経路をたどって、大企業において使われるようになったものが、この「あなたの組織にとっての最も重要な5つの質問」である。
 成果が現れるのは、今日ではなく明日かもしれない。しかし行動するのは、明日ではなく今日である。今日以外に行動の日はない。
 行動するにはミッションがなければならない。したがって、経営において、まず考えるべきものがミッションである。何のための組織であり、経営かである。ここが欠落していたのでは、いかに仕事ができても意味はない。むしろ、社会にとって危うげとなり、本人たちにとっても危うげとなる。
 ミッションがあれば、顧客がいるはずである。顧客を満足させるには、顧客にとっての価値を知らなければならない。そのようにして、初めて、上げるべき成果も明らかになる。さらには、計画を立てることもできるようになる。
 元全米ガールズスカウト連盟CEOのフランセス・ヘッセルバインは、「いかなる組織であろうと、ドラッカーの問いかける5つの簡単な質問に答えられない限り、顧客、組織、自らに対し、知らずして害をなすことになる」という。「5つの質問がもたらすものは、行動のための計画である。計画とは明日決定するものではない。決定することのできるのは、つねに今日である。明日のための目標は必要である。しかし問題は明日何をするかではない。明日成果を得るために、今日何をするかである」(『経営者に贈る5つの質問』)


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