執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [01]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

上司が持つべき唯一の資質は真摯であること 『現代の経営』より



 「成功している組織には、あえて人を助けようとせず、人付き合いもよくない上司が必ずいる。愛想が悪くいつも不愉快そうでありながら、だれよりも多くの人たちを教育し育成する人、最も好かれている人よりも尊敬を得ている人がいる。部下と自らに厳しくプロの能力を要求する人がいる」(『現代の経営』)
 そのような人は、高い目標を掲げ、その実現を求める。誰がどう思うかなど気にしない。何が正しいかを考える。頭のよさより真摯さを重視する。
 ドラッカーは、この真摯さなる資質に欠ける者は、いかに有能で人付き合いがよくとも、組織にとって危険な存在であり、上司として、紳士として不適格であるという。真摯さに欠ける者が跋扈するとき、組織は死への道をたどる。

 リーダー的資質など存在しないと断言するドラッカーが、リーダーが持つべき唯一の資質として挙げるものも、この真摯さという資質である。
 人は人の不完全なることを許す。ほとんどの欠陥を許す。しかし一つの欠陥だけは許さない。それが真摯さの欠如である。
 ドラッカーは「自分の子をその人の下につける気になれますか」と聞く。
 「学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。他から得ることができず、どうしても自ら身につけていなければならない資質がある。才能ではなく真摯さである」(『現代の経営』)



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