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重要な変化はノンカスタマの世界で起こる |
『ネクスト・ソサエティ』より |
「われわれは外の世界を知らない。たとえ業界リーダーの地位を占めても、同種の財やサービスを購入している人たちの過半は自社の顧客ではない」(『ネクスト・ソサエティ』) ドラッカーは、顧客であっておかしくないにもかかわらず、顧客になっていない人たちを「ノンカスタマ(非顧客)」と呼ぶ。じつは彼らこそ、来るべき変化を知らせてくれる貴重な情報源である。 産業の変化を調べるならば、そのほとんどが既存の市場、製品、技術の外で起こっている。したがって、外の世界で起こることを知らなければならない。 たとえば女性の社会進出の急速な進行を見過ごしていたデパートだ。昼働く彼女たちは、デパートで買い物できなかった。当然デパートは彼女たちの情報を持たなかった。そのうえデパートは、なぜだかこの新しく登場した消費者層、しかも時代の最先端を行く豊かな世代が来店していないことに無関心だった。 ところが一九八〇年代も終わり近く、このノンカスタマが流行や買い物の形態を左右する存在になった。 だが手遅れだった。こうしてデパートは、ますます数の少なくなる自らの顧客についてのみ、ますます多くの情報を手にするようになった。 「あらゆる組織にとって、もっとも重要な情報は、顧客ではなくノンカスタマについてのものである。変化が起こるのは、ノンカスタマの世界においてである」(『ネクスト・ソサエティ』) |
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