執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [55]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

自らの強みが大きな成果を生む分野、への集中
『実践する経営者』より



 「ほとんどの会社が成長を望む。だがそれらの中で、成長のための方策を講じているものはわずかしかない。成長のための戦略をもつものはさらに少ない」(『実践する経営者』)
 まず行うべきは、何を捨てるのか決めることである。どこで成長したいかを決めることではない。
 成長戦略の基本は、機会に備えて資源を自由にしておくことだと、ドラッカーは言う。そのためには、見返りが急速に減少しつつある製品、サービス、市場、技術から、資源を引き揚げなければならない。
 したがって、二〜三年ごとに「この製品を生産していなかったとして、あるいはこのサービスを行なっていなかったとして、今われわれが知っていることを知っているとして、それを始めるか」を問う必要がある。
 成長は、機会を利用することからもたらされる。特に貴重な資源である有能な人材が、昨日の仕事の若干の延命、陳腐化したものの防戦、失敗したもののアリバイづくりに投入されていたのでは、機会を利用することは不可能だ。
 IBM、ゼロックス、GEなど優れた企業の成長戦略は、今日最も成長している製品は明日には最も早く陳腐化する、との前提からスタートしている。
 「成長のための戦略は、機会あるところに的を絞らなければならない。自らの強みが、異常なほどに大きな成果を生む分野に集中しなければならない」(『実践する経営者』)




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