執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [102]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

ゆだねられた人材に仕える怠惰な執事たるなかれ
『創造する経営者』より



 「未来において何かを起こすには進んで新しいことを行わなければならない。今日とは違う何が起こることを望むかを進んで問わなければならない」(『創造する経営者』)
 今日のイノベーションの議論において意味なく強調されている創造性なるものは、問題の鍵ではないとドラッカーは言う。アイディアはすでに企業だけでなく、あらゆる組織に利用しうる以上に存在している。
 ビジョンが事業の未来を築くには、厳格な条件を満たさなければならない。実用的な有効性を持たなければならない。
 実現したいことを実現するには長い時間がかかることがある。あるいは、永久に実現できないことがある。しかし実現した暁には、成果としての製品やプロセスやサービスに、顧客、市場、最終用途が存在しなければならない。
 明日は必ず来る。そして、明日は今日とは違う。そのとき、今日最強の企業といえども、未来に対する働きかけを行っていなければ、苦境に陥る。個性を失い、リーダーシップを失う。残るものといえば、大企業に特有の膨大な間接費だけである。
  「マネジメントたる者は、自らの手にゆだねられた人的資源に仕える怠惰な執事にとどまらないためにも、未来において何かを起こす責任を受け入れなければならない。進んでこの責任を引き受けることが、たんなる優れた企業から偉大な企業を区別し、サラリーマンから事業家を峻別する」(『創造する経営者』)




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