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組織のニーズと個人のニーズを同時にみたす |
『経営者の条件』より |
「現代社会の絆の強さは、知識労働者の心理的社会的欲求と社会の目標とを、いかに合致させるかにかかっている」(『経営者の条件』) 通常、知識労働者は経済的な問題は抱えていない。雇用は安定し、かつ、その知識のゆえに転職の自由まである。しかし、彼らの欲求と価値観は、組織における仕事と知識を通して満足させられなければならない。 知識労働者の多くは専門家としてみられ、彼ら自身もそう思っている。しかし、彼らは雇われの身であり、命令を受ける身である。しかもそれぞれの専門分野に属しながら、その知識からくるところの権威を組織の目的に従属させなければならない。専門知識においては上司も部下もないが、組織には階層がある。 知識労働者にとっては、最近はやりの言葉でいうところの自己疎外、倦怠、フラストレーション、諦観が問題である。 成果に向けた自己啓発こそが、手にしうる唯一の答えだとドラッカーは言う。しかもそれが組織の目標と個人の欲求を合致させる唯一の方法だという。 知識労働者は機会、達成、自己実現、価値を必要とする。自らを成果をあげるものにすることによってのみ、それらの満足を得ることができる。 「成果をあげる能力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成ための道具として組織を使うという個人のニーズを同時にみたすことができる」(『経営者の条件』) |
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