執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [199]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

自らの強み
仕事の仕方、価値観を知り
最高のキャリアをつかむ
『明日を支配するもの』より



「自らの強み、仕事の仕方、価値観がわかっていれば、機会、職場、仕事について、私がやりましょう、私のやり方はこうです、こういうものにすべきです、
他の組織や人との関係はこうなります、これこれの期間内にこれこれのことを仕上げます、と言えるようになる」(『明日を支配するもの』)

 これを言えることは、たいしたことではないかに思われる。
しかし実際に言っている人は少ない。
 言いたくても言えないのである。
なぜなら、自らの強み、仕事の仕方、価値観を知らないからである。
自分についてなにも知らず、したがって「自分にとっての機会が何かもわからない」ということになる。
それでは、ひとかどのキャリアは持てない。
キャリアとは、日々積み上げていくべきものだからである。
 ドラッカー自身は、現代社会最高の哲人とされ、同時にマネジメントの父とされるに至った。
両者に共通するべき強みとは何だったのか。
それは、社会生態学者としての能力、つまり社会を見て、意味ある変化を見極める能力だった。
 ドラッカーが、自分を見るために生まれた人間であることを自覚したのは、十三歳のときである。

「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。
自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をしたものだけが手にできる。なぜならば、自らの所を知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行えるようになるからである。」
(『明日を支配するもの』)




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