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忠誠はどこまで要求できるのか 組織が直面する最大の課題は “善意の専制”の制御である。 |
『現代の経済』より |
「いかなる社会的機関といえども、市民に対し全面的な忠誠を要求することはできない。この多元性にこそ、われわれの社会の力と自由の源泉がある」 (ドラッカー名著集B『現代の経営』[下]) ドラッカーは、「今日のように、組織が経営幹部に対して父権的な権限を行使し、特別の忠誠を要求することは、社会的に無責任な権力の濫用だ」という。 また、「公共の利益のみならず、企業自身の利益からも正当化できる余地はない。組織は、個人にとって家庭、宗教、生活、運命ではない。そうであることを求めることもできない」ともいう。 われわれは、それらの言が、人と人の絆、組織のコミュニティ性を重視するドラッカーの言であることを銘記しておかなければならない。 組織は個人の私生活や市民活動に干渉することはできない。個人は自発的に、しかも解消することのできる雇用契約によって結び付いているのであって、生まれたときからの、神秘的で解消不能な絆によって結び付けられているのではない。 そこでわれわれは、組織が自らの経営幹部に対して、NPOにおけるボランティア活動を強制するのがごときの新手の“善意の専制”をいかに制御するかという課題に直面する。 「われわれは、企業の行動が公共の利益を促進するか、社会の基本的な信条を前進させるか、社会の安定、力、調和に寄与するかをつねに考える必要がある」 (『現代の経営』[下]) |
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