執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [238]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

イノベーションに優れた企業は
競争相手によってではなく
自らの手で陳腐化させる
『マネジメント・フロンティア』より



「イノベーションに優れた企業は、イノベーションのための活動を厳しく管理する。創造性などという言葉を口にすることはない。創造性とは、イノベーションを行なわなければならない企業が使う中身のない言葉である」
(『マネジメント・フロンティア』)より

 ドラッカーは、イノベーションを職能の一つと見ることは間違いだという。イノベーションは、企業のあらゆる部門、職能、活動に及ぶものである。製造業だけのものでもない。流通業におけるイノベーションは、製造業におけるのとおなじように重要な役割を果たす。

 イノベーションに優れた企業は、仕事と自己規律について言う。それらの企業は、このプロジェクトを次に見直すべき段階はどこか、そのときまでにいかなる成果を期待すべきか、そしてそれはいつなのかを問う。

 また、優れた企業は、ほぼ3年ごとに、すべての製品、工程、技術、サービス、市場を“裁判”にかける。今あらためて始めるつもりのものばかりか、今後その製品やサービスを手がけるかも問う。

 それらの企業は、もはや生産的でないものを組織的に廃棄する仕組みを持つ。品質さえよければ、馬車用の鞭の市場がいつまでもあるなどとは考えない。イノベーションを仕事としてこなしていく。

 「イノベーションに優れた企業は、人のつくったものは遅かれ早かれ、通常は早く陳腐化することを知っている。競争相手によって陳腐化させられるのを待たずに、自らを陳腐化させ、廃棄することを選ぶ」

(『マネジメント・フロンティア』)




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