執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [278]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

乱気流時代の鉄則は
「機会には糧食を与え
問題からは糧食を絶て」
『乱気流時代の経営』より



「資源を成果に向けて集中することほど、面倒で、評判の悪いことはない。
ノーと言わなければならないからである」
(『乱気流時代の経営』)

 資源を生産的な仕事に集中して、初めて生産性を上げることができる。
逆に、資源の分散は、成果を上げることを不可能にする。
 そこで、ドラッカーは集中のための方策を三つ教える。
 第一は、あらゆる活動を常時見直していくために、彼が”体系的廃棄”と名付けたものを制度化することである。
 全事業について、「まだ手がけていないと仮定して、その後明らかになった新しい知見をもっていしても、手をつけることは得策か」を問う。
もし、答えがノーならば、「調べよう」ではなく、「どうしたらやめることができるか」を考える。
そしてやめる。
 第二は、彼が”組織のウエートコントロール”と呼ぶものを制度化することである。新たな仕事を一つ手がけるごとに、すでに行っていることを一つ捨てることにする。
 特に、このことは、本社のスタッフ部門の活動についていえる。
常に、「その新しい仕事は何を切り捨てたうえで行うつもりか」を問う。
スタッフの仕事は、集中して初めて成果をもたらすものだからである。
もちろん、このウエートコントロールの原則は、製品や流通チャンネルなど、あらゆる活動に適用していかなければならない。
 第三は、既存の事業のための通常の事業予算に加え、ドラッカーが”機会予算”と呼ぶものを制度化することである。
事業予算の各項目については、「最低限どれだけ必要か」を問い、”機会予算”については、「最大の成果を得るにはどれだけ必要か」を問う。
 機会には糧食を与え、問題からは糧食を絶てとの思想に基づくこれら三つの原則は、企業だけのためのものではない。
公的機関をはじめ、あらゆる種類の組織のためのものである。
「乱気流の時代にあっては、突如として襲ってくる烈風に耐えるとともに、突如として現れる予期せぬ機会を利用しなければならない。
そのためには、資源を食うばかりで、非生産的な昨日のものを切り捨てていかなければならない」
(『乱気流時代の経営』)



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