執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [279]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

最初から全員一致ではダメ
うわべを決めただけでは
問題の本質に辿り着かない
『非営利組織の経営』より



「一流の意思決定者は、きわめて
シンプルなルールをもっている。
重要なことで最初から全員の同意を得られる場合には、
あえて決定しないというルールである。
全員が考える時間をもてるよう、決定を先延ばしにする」
(『ドラッカー名著集�C非営利組織の経営』)

 ドラッカーは、独裁や官僚支配のない社会を探し、
自由と自治を基本とする産業社会がその答えたりうると考えた。
サラリーマン経験のないドラッカーに、企業の内部を見せてくれたのが、
第二次世界大戦当時、すでに世界最大・最強のメーカーと
なっていたGM(ゼネラル・モーターズ)だった。
 ドラッカーは、GMの主な事業所すべてを見て、主な会議をすべてを
傍聴した。その一つの会議で、彼は、アルフレッド・P・スローン会長が
「本件に意義はありませんか」と聞き、全員がうなずいたとき
「それでは次回もう一度検討したい」と言うのを目撃した。
 企業が抱える問題はすべて現実の世界のものである。当然複雑である。
あたかも命あるもののようである。単純に答えの出せる問題などありはしない。
簡単に答えが出るときは、なにも考えていないか、理屈に縛られているか、
あるいは欲にかれれているときである。
一〇人の役人がいれば一〇の視点があるはずである。
 米国の政治学者メアリー・P・フォレットは、
「意見の違いを大事にせよ」と言った。
しかも、「意見の違いがあるときは、誰が正しいかを考えてはならない」
「何が正しいかさえ考えてはならない」とした。
全員の答えが正しいと考えるべきである。
ただし、それは違う問題に対してである。
全員が違う現実を見ているからだ。
 むしろ意見の違いが、問題を多面的かつ立体的に見ることを可能にする。
しかも、相互理解までも可能にしてくれる。
「意見の対立を、問題に対する共通認識にまでもっていくことができれば、
あとは、連帯感と責任感をもたらすことであることは容易である。
アリストテレスに発し、初期キリスト教会の原則とまでなった言葉がある。
[本質における一致、行動における自由、あらゆることにおける信頼]である。
信頼が生まれるには、あらゆる反対意見が公にされ、真摯な不同意として
受け止められなければならない」(『非営利組織の経営』)




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