社会のなかでの建設のわざ(技/業)を学ぶ

ここでは、学生のインターンシップ先としてお世話になっている、NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部(新潟県上越市)と、雨読晴耕村舎(埼玉県羽生市)とを紹介します。両組織ともに、例年複数の学生がインターン生としてお世話になっております。なかには卒業論文の研究対象として取り上げた学生もおります。土居もインターン担当教員として関わるようになってから、学問的にも大変興味深いことを実践しておられる組織として、機会あるごとに様々なことを学ばせて頂いております。

ものつくり大学では多くの企業にご協力を頂き、正規の科目として「インターンシップ」(=企業研修)を設けています。学生たちは、たとえばこちらで紹介していますように、ゼネコン・工務店・大工工事・家具工房・造園業・内装業・設計事務所などなどへお世話になっております。少し難しい言い方をすると、社会のなかで「建設業」として分業化され、さらに専門として分業化された個々の組織へのインターンシップである、と呼ぶことができます。

ところがここで紹介する両組織NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部雨読晴耕村舎は、そのような呼称におさまりきらないのです。あえて言うならば、「建設業」として分業化される以前の状態を、意識的に対象としている組織だ、となるでしょうか。それよりも、インターン生たちが「自分らは同級生とまるで違う体験をしたんだ」と自負する度合いが極めて高い事実が、何よりもその特徴を雄弁に物語っていることでしょう。

NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部でのインターンの様子は別コンテンツ(→茅葺屋根修復炭焼き窯修復など)を参照頂くとして、以下では雨読晴耕村舎におけるインターンの様子を紹介しましょう。

建築畑から農業へ

建築の世界から農業の世界へ飛び込んだ後藤雅浩さんは、「雨読晴耕村舎」の名称を掲げて活動されておられます。一級建築士事務所の名称でもあり、有機農法による農場の名称でもある「雨読晴耕村舎」は、後藤さんのご自宅の屋号でもあり、後藤さんによるお仕事の拠点であります。子供達の時代に何が伝えられるのか?を真摯に問い、具体的な回答のひとつとして、環境保全型農業を実践する姿勢に、学生たちはもちろん土居自身もたいへん学ばせて頂いております。なぜ後藤さんがこのようなお仕事をするようになったのか?については、後藤さんの応援頁や、後藤さんご自身による文章を参照ください。

雨読晴耕村舎の建物

屋敷森に囲まれたこの雨読晴耕村舎を拠点に、近接する農場でさまざまな農作物を育てています。

雨読晴耕村舎の中庭

そして農作物を育てるだけではなく、それを元にパンなどの手作り加工品を、加須市にある糧工房(下の画像参照)で販売もしています。じつはこの建物、以前のインターン生がお手伝いさせて頂いた成果でもあるのです。

糧工房前景

こちらは糧工房の庭。雨読晴耕村舎のアイドル・山羊のユキちゃんも、しばしばこちらへお出かけするそうです。

糧工房の庭

研修内容

2006年度のインターン生たちは、何よりも山羊の乳搾りにインパクトを受けていました。

雨読晴耕村舎での研修|山羊の乳搾り

そしてもちろん農作業も重要な研修のひとつです。

雨読晴耕村舎での研修|田植え

そしてセルフビルドの建物。今回はインターン生たちにかなりの部分を任せてもらえました。

雨読晴耕村舎での研修|小屋制作

当然のことながら、具体的作業としては毎年少しづつ違うことを研修させて頂いております。後藤さんにお願いし、インターン生を送りこむ側としても、今回はいったいどんなことができるのだろう?と楽しみにしています。


(c)土居浩 doi@iot.ac.jp ものつくり大学 建設技能工芸学科
更新日:2010-04-01