執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [211]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

顧客に対しては ベストのチームで臨むべし 自前主義を捨てよ
『P.F.ドラッカーー理想企業を求めて』より



「本格的に取り組めないものは、どこか他の企業の本業にしてやれないか」
(エリザベス・H・イーダスハイム著『P.F.ドラッカーー理想企業を求めて』)

元GE会長のジャック・ウェルチは、その昔、自分がCEOに任命されたらすぐ
にしようと思っていたことがあった。ドラッカーに会って教えを講うことだった。

ドラッカーは、「GEはありとあらゆる種類の製品を扱っているが、
すでに手がけていなければ、すぐに手をつけるつもりのものばかりか?」
と聞いたという。
「もちろんそのようなことはない」とのウェルチの答えから、世界で一位か
二位になる気のない事業からは撤退するという「一位二位戦略」なるもの
が生まれた。

 ここまでが、巷間に伝えられている話である。ところが、ドラッカー評伝の
執筆のためにウェルチを取材したエリザベス・H・イーダすハイム博士に
よると、ドラッカーの言葉はさらに奥の深いものだったことがわかる。
「どこか他の企業の本業にしてやれないか」。

 それは、なんでも自分でやるという自前主義を捨て、顧客に対しては
ベストのチームで臨めということだった。
すでに当時、ドラッカーは、GEにコスト削減を理由とするアウトソーシング
をはるかに超えるものとして、コラボレーションを教えていたのだった。
 こうして、ウェルチは、事業の絞り込みとコラボレーションによって、
GEの発展を確実にした。

「自らの強みに焦点を合わせ、強みでないことは他社に任せなさい」
(『P.F.ドラッカー』)




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