執筆コラム 3分間でわかるドラッカー [213]
−「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

セーフティネットで
あらゆる者が自信を持ち
自立できるようにせよ
『未来への決断』より



「社会の大転換が進行中である。その結果、いたるところで社会的な
ミスマッチが生じている」
(『未来への決断』)

 社会的なミスマッチばかりではない。経済的なミスマッチも生じている。
両者は連動している。

 なにかの巡り合わせで、そもそもの最初から、時代が要求する能力を
身につけられなかった人たちがいる。
あるいは、能力と責任感を持ちながら、多額のローンを抱えてリストラされ、
生活の基盤を危うくされている人たちもいる。

 今日のような成長と転換の時代には、一人ひとりの人間が危険な事態に
陥り、社会そのものが危険な状況を迎える怖れがある。それだけに、
セーフティネットが必要である。セーフティネットは多額の資金を必要と
しない。

ドラッカーは、必要なのは人びとが自信を持って自立できるように
することだ、という。
使うべき用語は「福祉」ではなく、「自立」と「貢献」である。
 
 今日、多くの人たちがよい生活を送るようになったという事実が、
機会に恵まれずに取り残される人たちを浮き彫りにしている。

 しかし、あらゆる者が自信を持ち、自らを発展させる力を高めることこそ、
あらゆる者の利益にかなうのである。これは、かつでのような右と左の
イズムの問題ではない。それは単に、マネジメントとイノベーションの
問題である。

「苦境にある人たちに見切りをつけることが間違いなのは、必要な
ものが何であるかを教える成功例が既に沢山あるからである」
(『未来への決断』)




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