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ものつくり大学の1年 ― もっくん日記
ものつくり大学の1年を、もっくん日記」と題し、学生の見た目で紹介していきます。学生は1年間 の大学生活で色々な活動に参加し、成長していきます。ぜひ、その様子をご覧ください。 随時書き溜めたものを、毎月更新していきますので、よろしくお願いします。
2008年12月4日(木)
今日は、屋外実習場で行っている建設学科3年生の授業「木造総合および実習」を覗いてみたんだ。授業といっても、先輩から後輩へと代々受け継がれていく10年計画のプロジェクトなんだって。今年は4年目。りっぱな古材を組み上げて、少しずつその姿を現しはじめた大きな木造建築物は、江戸時代後期建立の寺院「長久寺」の本堂だ。長久寺は、地元行田市にある寺院で、本堂建て替えの際に、丁寧に解体した古材をもらい受けたということなんだ。 「長久寺復元実習プロジェクト」に参加しているのは、主に木造建築を専攻する建設学科の3年生たち。日本の伝統的木造建築の技に触れながら、これまで身につけた技能・技術をより確かなものとし、さらに高めていくんだね。それにしても、大学のキャンパス内に江戸時代後期の本物の寺院を復元しちゃうなんて、すごい授業だ。完成の前に僕は卒業しちゃうけど、完成した時は絶対見に来たいな。
今日は、東京都立工芸高校で細田先生の講演があったんだ。工芸高校って言えば、「ものつくり大」と協定を結んでいる高校だ。講演は、日本工業教育経営研究会関東支部総会・研究協議会(東京大会)の中で行われるということで、とても僕なんかが参加できるところじゃないんだけど、細田先生が「興味があるなら講演は聴きに来てもいいよ」って言ってくれたので、聴講させてもらったんだ。 細田先生は「技能五輪の金メダルと若者への技能伝承」と題し、ものつくり大学の特徴ある教育方法に触れながら、製造業における技能伝承の課題と展望について、熱く語っていた。僕が一番衝撃を受けた先生の話は、「私も不器用なんですが、技能五輪で金メダルをとる人の多くは、不器用だけど努力家で世界一になる強い意志をもっているタイプ」って言葉だ。自身も世界金メダリストであり、数多くの選手を育て上げた“旋盤の神様”細田先生が言うんだから間違いない。僕も不器用だけど、本当にやりたいことを早く見つけて、信念をもって努力し続ければ、何かしら良い結果がついてくるかもしれない。すごい勇気が湧いてきた。
2008年12月7日(日)
昨日と今日の2日間、建設学科の実習場で第11回木造耐力壁ジャパンカップ決勝トーナメントが開催されているんだ。参加者が創意工夫して設計・施工した実物大の耐力壁どうしを油圧ジャッキで綱引きして対戦させるイベントで、強度・性能やコストパフォーマンスを競い合う。全国から集まった、工務店、設計事務所、住宅メーカー、大学、専門学校など33チームの中から、9月に行われた予選を勝ち抜いた8チームが対戦するんだ。 会場は200人くらいの見学者でいっぱいだ。油圧ジャッキで荷重がかかっていくと、ミシッ、バシッ、と音をたてながら木造の壁がゆがんでいく。かなりな迫力だ。 今回は、残念ながら「ものつくり大」は出場していないんだ。充電中らしい。ぜひ、次の機会には出場して「ものつくり大」の実力を魅せつけてほしいな。
2008年12月8日(月)
今日は、授業終了後16:40から3年生の先輩たちを対象にした就職活動マナー講座が中央棟の大講義室で開催されていたので、少しだけ覗いてみた。就職活動、面接での心構えから、身だしなみ、表情にいたるまで、講師の先生から細かい説明があって、先輩たちは、真剣にメモを取りながら聞いていたんだ。僕はまだ就職活動は先の話だけど、身だしなみなどは就職活動に限らず、いつ聴いても参考になるよね。 大講義室を出たところで、建設学科の増渕先生に会ったんだ。これからオープンゼミがあるんだって。詳しく聞いてみると、増渕先生が呼びかけて月に1度程度、オープンゼミという市民開放講座を開催してて、今日は、埼玉城郭研究会の会長さんが講師に招かれ「埼玉の城にまつわる伝説と民話」と題した講義を行うってことなんだ。面白そうなので、僕も聴講させてもらいました。同時期に存在したわけじゃないけど、埼玉県には679もの城があったというからビックリ。伝説や民話も興味深いものが多い。参加者からもたくさん質問が出て、とっても勉強になった。
今日は、授業が終わってから、JR高崎線で籠原駅に行って来たんだ。「ものつくり大」の最寄駅の吹上から高崎方面へ3つ目の駅だ。南口で開催されているイルミネーションの祭典「第9回かごはら光の散歩みち」で、建設学科の坂口先生の研究室の学生が作った蒸気機関車形のイルミネーションが設置されているんだ。12月6日に点灯式が行われたんだって。想像してたよりスゴイ。えこひいきかもしれないけど、「ものつくり大」の作品が一番目立ってたよ。来年1月10まで17:00〜22:00の間点灯されるんだって。 この他にも、坂口研究室の学生が作ったイルミネーション作品は、昨年に続いて今年も熊谷駅ティアラ口のエスカレーター脇でも設置されているんだ。 このあたりの地域は、冬は風が強くて寒いけど、イルミネーションの光を見てると心があたたまる。癒しだよね。
今日、建設学科の横山先生に聞いたんだけど、横山研究室の4年生2人が、深谷市にある東京成徳大学深谷高校に行って木製ベンチを製作するんだって。建設学科で作ったものは、ベンチやプランター、東屋など、けっこういろんな所に寄付されて役立ててもらえてるんだけど、今回は完成品を持って行くんじゃなくて、実際に高校で製作するということで、先輩たちはかなり張り切っていたらしいよ。かっこいい姿、見せてきてね。 ベンチが完成したら、たくさんの高校生に利用されて、憩いの場所になるといいな。
今日は、2時限目の授業がもうすぐ終わりそうな頃に、サイレンが鳴ったんだ。続いて「火事です。避難してください。」の放送。そう、今日は消防訓練だ。 中央棟の前に行くと、すでに大勢の人が集まってた。というより、「避難してた」って言ったほうがいいのかな。点呼などがあって、代表数人による消火器を使った初期消火訓練があった。その後、隊長と消防署の方からお話があって、「避難の所要時間は結構短くて良かったけど、もう少し緊迫感を持って臨むように」指導を受けました。よく考えてみると、学生全員を対象とした消防訓練を実施している大学って、他にはあんまり無いんじゃないかな。「ものつくり大」は少人数教育だし、何より安全に対する意識が高いんだ。よし、来年はもっと緊迫感をもってキビキビ行動しよう。もとい、日頃から心がけよう。
今日は、日本の大学院で学び、現在、日本の企業で活躍している在日タイプロフェッショナル協会のメンバー10名が「ものつくり大」を見学に来ていたんだ。製造学科のビチャイ先生が同協会の会長なんだ。平井先生の研究室でマイクロバブル発生装置の説明を聞いた後、ビチャイ先生の案内で製造学科の実験実習場を中心に、施設設備を見学。熱心に質問してた。さすがに勉強熱心だ。スゴイ。
今朝、JR吹上駅に着くと、駅前に大きなクレーン車が停まっていて、建設学科の三原先生の指導で、建設4年生が作業してたので見学したんだ。もともと、JR吹上駅北口の時計台は、2006年度に「ものつくり大」の学生が制作したものだ。現在、北口の駅前整備が進んでいて、その一環で、建設学科の授業「構造物総合実習」を履修する3年生と三原研究室の4年生が、ロータリー中央に時計台の台座を制作。そして今日、時計台をクレーンで吊り上げ、台座の上に設置したんだ。 台座は、コンクリート製で、周囲を栃木県で採石された「みかも石」で石組みしているんだ。先輩たちが採石場から運び、積み上げたんだって。お城の石垣みたいでカッコイイ。三原先生に聞いたら、台座と時計台の接合部分など、細かい部分の仕上げ作業を行って、今月末には完成させる予定ということだ。完成したら記念撮影だね。
水曜日は、製造学科1年生の授業はちょっと少なめ。僕は2時限目の「工場生産活動」という2年生の授業を聴講することにしたんだ。この授業は河内先生の授業なんだけど、オムニバス形式で毎回、企業の社長や研究機関で活躍されている方などが講義してくれる。それで、今日の講師は、地元行田市の企業「ジェコー株式会社」の取締役社長の田渕武重さんなんだって。主に自動車部品の製造・販売を行っている会社で、「ものつくり大」の先輩も就職してるんだ。やっぱり、社長さんの現実に基づいた話はおもしろい。大学から車で10分くらいなので、今度、会社の見学に行ってみようかな。
今日は、建設学科3年生の横山先生の授業「保存修復学」で特別講師として東京芸術大学名誉教授の前野まさる先生が講義をされるということで、聴講に行ったんだ。前野先生は、日本ICOMOS(国際記念物遺跡日本国内委員会)委員長でもあり、文化財や町並み保存の分野では特に有名な人なんだって。先生の話を聞いて、建築物の保存っていうのは建物の保存ということに止まらず、その地域の歴史や文化、経済、風習などと深い関係があるんだなあ、と思いました。地元行田市のさきたま古墳群の世界遺産登録を目指す行田市や埼玉県の職員の方たちも聴講に来ていたよ。
4時限目終了後、16時40分から大学会館2階で3年生対象の学内合同企業説明会が開催されていたので、ちょっと雰囲気だけでもと思って覗きに行ったんだ。想像以上に活気があるんでビックリ。30を超える企業が参加し、各ブースでは、スーツ姿の先輩や授業が終わってすぐに駆けつけた作業着姿の先輩が真剣な表情で相談している。順番待ちの先輩もたくさんいて、会場は満杯だ。先輩たち、気合が入ってるな。