「材料シンポジウム」の伝統材料工学セッションで木橋再生事例を発表しました

RESEARCH ACTIVITY / MATERIALS SYMPOSIUM

「材料シンポジウム」の伝統材料工学セッションで木橋再生事例を発表しました

学生時代の京弓研究とのつながりから、現在のFRPによる木橋再生へ。

発表:2026年10月7日(水)会場:京都テルサ講演番号:303

2026年10月6日・7日に京都テルサで開催された、日本材料学会の「材料シンポジウム」ワークショップに参加しました。10月7日の「伝統材料工学2」セッションにおいて、「炭素繊維による木橋再生事例の紹介」と題して発表しました。

RESEARCH BACKGROUND

京弓の研究からつながる、伝統材料工学

秀熊は学生時代に京弓を対象とした研究に取り組んでいました。そうした伝統材料工学とのつながりもあり、今回のセッションに参加しました。

学生時代の研究と、現在専門としているFRPの土木・建築分野への適用をつなぐ機会として、今回は木橋の再生事例を紹介しました。既存の材料を生かしながら、新しい材料技術を組み合わせて構造物を使い続けるという取り組みを報告しました。

発表内容:既設木材を可能な限り残して木橋を再生

発表では、ものつくり大学と草加市の基本協定に基づく木橋リノベーション事業の一環として実施した、中根ふれあい橋とふれあい橋の2橋の補修事例を紹介しました。

腐朽劣化した既設木材を可能な限り残し、エポキシ樹脂やFRPを用いて補修する考え方を中心に、劣化状況、補修方法、補修前後の載荷試験について報告しました。

CASE STUDY 01

中根ふれあい橋

劣化部を除去してエポキシ樹脂を充填し、主桁上面には炭素繊維シート(CFRP)、主桁端部にはアラミド繊維シート(AFRP)を用いて補修しました。木材内部への水の浸入を抑えるため、接合方法の見直しやボルト孔の樹脂充填も行いました。

中根ふれあい橋のFRP補修状況。左がCFRP、右がAFRP。発表原稿Fig.2より
原稿Fig.2より:FRPによる補修状況(左:CFRP、右:AFRP)

支間中央のたわみ/補修前 → 補修後5.77 mm → 2.28 mm設計曲げモーメント相当の荷重(支間中央に合計7.5 kN)による比較

CASE STUDY 02

ふれあい橋

腐朽劣化が著しかった主桁中央の接合部では、挿入鋼板とドリフトピンによる従来の接合を、CFRP板を外面からエポキシ樹脂で接着する接合へ変更しました。その他の損傷部も、状態に応じて樹脂充填、CFRP接着、部材更新を行いました。

ふれあい橋の静的載荷試験。左が補修前、右が補修後。発表原稿Fig.6より
原稿Fig.6より:静的載荷試験(左:補修前、右:補修後)

中央のたわみ/補修前 → 補修後35 mm → 17 mm設計荷重相当の錘による静的載荷試験での比較

上記の数値は発表原稿に記載された各橋の載荷試験結果です。それぞれの試験条件における補修前後の比較であり、2橋を同一条件で比較したものではありません。写真は発表原稿の事例写真で、シンポジウム当日の会場写真ではありません。

伝統的な材料と、現在の研究をつなぐ機会に

学生時代の京弓研究とのつながりを背景に、伝統材料工学のセッションで、現在取り組んでいるFRPによる木橋再生を紹介する機会となりました。伝統的な材料と現代の複合材料技術を結びつける視点を、今後の研究開発と教育にもつなげていきます。

共同研究に携わってくださった共著者の皆様、草加市の関係者の皆様、ならびにシンポジウムの企画・運営にご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。

発表情報

行事
日本材料学会「材料シンポジウム」ワークショップ
セッション
ワークショップ2「伝統材料工学」/伝統材料工学2
発表日・会場
2026年10月7日(水)/京都テルサ
講演番号・題目
303「炭素繊維による木橋再生事例の紹介」
発表者・共著者
○秀熊佑哉、大垣賀津雄、芝沼健太(ものつくり大学)
正木裕、小澤明日香(草加市)
○は発表者

出典:日本材料学会公式ワークショッププログラム、秀熊佑哉ほか「炭素繊維による木橋再生事例の紹介」(提供原稿)。京弓の研究に関する経緯は秀熊本人の説明に基づきます。

\ 最新情報をチェック /