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#学生プロジェクト

  • ロボコンに注ぐ情熱!引き継がれる技術や技能、そして思い

    ものつくり大学には没頭できる学生プロジェクトがいくつもあります。「ろぼこんプロジェクト」もその1つ。2002年に結成され、現在に至るまで多くの卒業生・在学生がNHK学生ロボコンの優勝を目標に、ロボット開発のために切磋琢磨して大会出場に向けてロボットの製作を行ってきました。今回は、NHK学生ロボコンに出場経験のある川村迪隆さん(総合機械学科4年・三井研究室、上記写真:右)と荒川龍聖さん(大学院2年・三井研究室、上記写真:左)にプロジェクトについて、また、先輩から後輩に引き継がれる技術や思いなどについてインタビューしました。 われらの「ろぼこんプロジェクト」 -ものつくり大学の「ろぼこんプロジェクト」に関わることになったきっかけは。 【川村】高校時代からロボコンに関わっていて、2019年には全国高等学校ロボット競技大会にも出場しました。しかし、高校3年生だった2020年はコロナ禍で大会に出場できず、不完全燃焼で終わってしまって。大学の進学先はロボコンに集中できるところと決めていました。 ものつくり大学進学の決め手は、特に加工設備が整っていることと、新潟出身なので学内に寮があることでした。「この大学ならロボット作りに好きなだけ時間が割ける」と思い選んだといっても過言ではありません。 【荒川】中学生の頃、テレビでNHK学生ロボコンを見て「ロボコンに関わりたい」と強く思いました。ただ、進学した工業高校にはロボコンに取り組める部活がなく、中高とも独学で学びました。大学はNHK学生ロボコンに関われるところを探し、ものつくり大学は第一志望ではありませんでしたが、特待生として入学できました。やっとNHK学生ロボコンに向けていい機体を作れる環境になりました。 -プロジェクトに関わり、高校時代に比べ変化したことは。 【川村】大会出場に向けての熱意です。全国高等学校ロボット競技大会とNHK学生ロボコンの大きな違いは、大会に出場できる確率です。全国高等学校ロボット競技大会は各都道府県大会で入賞したチームから全国で約100チームが出場できます。一方、NHK学生ロボコンは狭き門で、全国の大学と高専から約20チームしか大会に出場することができません。 出場権を手にするためには、いくつものハードルがあります。8月にABUアジア・太平洋ロボットコンテストのテーマの発表があり、10月に日本語版のルールが発表されるので、戦略を考えます。11月にロボットの機構、アイデア、戦略を説明した書類審査を通過できると、翌年2月にロボットの戦術を書いた書類と手動機と自動機のロボットの動きや各種機構がわかる動画による1次ビデオ審査、4月に一連の流れや完成度がわかる動画による2次ビデオ審査があり、それらを1つずつ突破しないと大会には出場できません。 1年間かけてロボットの製作に取り組んでも、大会で1試合も出られずに終わることもあるので「絶対に大会に出場して、大きな舞台でロボットを動かすぞ」という思いでやってきました。 【荒川】高校生まではロボット作りに関われなかったので、大学に入ってからはプロジェクトマネージャー(プロマネ)を1年生からずっとやってきました。プロマネの役割は幅広く、重要なポジションです。プロジェクトを円滑に進めていくためにリーダーシップや高度なスキル、専門知識が求められます。 私が1年生だった2019年に、ものつくり大学がNHK学生ロボコンに出場したのですが、操縦者やピットクルーという表舞台に立てなくて。その後、4年生まで大会出場を果たすことができず、ずっともどかしさがありました。NHK学生ロボコンに出場して、成績を残すために、ロボット作りよりプロマネとして何ができるかを四六時中考えてきました。 2次ビデオ撮影前の様子 -1年間のスケジュールの中で、どんなことに力を入れていますか。 【荒川】私が担当するプロマネの仕事は1年を通してずっとあります。プロジェクト全体を指揮・管理するのがプロマネです。プロマネの存在が全体のスケジュールを支えているといっても過言ではありません。 全体のスケジュール管理に加え、チームメンバーのスキルを見極める能力も必要になります。ものつくり大学のロボット製作は、設計班・加工班・制御班の3つに分かれています。私は、3つの分野の知識や技術・技能などを日頃から研究し、それをマネジメントに生かしています。例えば、ロボットの製作期間中は、設計者の進捗を見る会議を週に1度開き、設計者にアドバイスを行ったり、設計のブラッシュアップをしたりしています。制御者や加工者としての視点で加工できる形を指摘することもあり、設計者側から嫌がられる立場でもあります。 なぜ私がプロマネとして必死にやってきたかというと、かつて同期のメンバー同士で人間関係がうまくいかなくなり、プロジェクト自体の存在が危うくなってしまった経験があるからです。「自分を捨ててでもなんとか後輩に思いをつなげなきゃ」とプロマネとしての役割を担ってきました。 【川村】荒川さんがメインのプロマネだとしたら私はサブのプロマネといった立ち位置で活動しています。また、操縦者としての視点で後輩にアドバイスもしています。ものつくり大学では、プロジェクトリーダーは2年生が担当と決まっています。私は2023年のNHK学生ロボコン出場に向けてプロジェクトリーダーを務めたり、2年連続大会に出場してチームリーダーを務めたりした経験も生かしています。 私がこのプロジェクトに加わった2021年は「学生同士に壁があるな」と感じました。高校時代にプロマネに近いことをやっていましたが、コミュニケーションがうまくいっているとプロジェクトも上手くいくことを実体験として持っていたんです。いい機体を作るために会議を月1回から週1回に増やすことも私が提案しました。その結果、機体の練度も上がっていきました。 設計講習会の様子 -プロジェクトの魅力や面白さは。 【川村】メンバー内の仲の良さです。今のプロジェクトメンバーは学年の壁がなく、後輩もしっかり意見を言える空気があります。 【荒川】一番はロボットに触れられることです。100人、200人単位のメンバーで構成されている大学も多く、ロボットに触れられずに4年間が終わってしまうケースもあります。しかし、ものつくり大学のろぼこんプロジェクトはやる気次第で1年生から関われます。「ロボットに関われる」というのは大きな魅力です。2024年もNHK学生ロボコンに出場を果たしましたが、ボールをつかむロボットの機構を設計したのは、なんと1年生です。 1年生が機構を設計したR1 NHK学生ロボコン2024での成果と課題 -6月9日にNHK学生ロボコンが開催され、2年連続の出場を果たしましたがどんな成果がありましたか。 【川村】昨年に続き2年連続チームリーダーを務めました。今年は「Harvest Day」をテーマに田植え、収穫をR1(手動機ロボット)が行い、収穫された穀物の倉庫への輸送をR2(自動機ロボット)が行い点を取り合うという競技でした。 昨年は予選リーグで2敗してしまいましたが、今年は1勝できたというのが何より大きな成果です。昨年残り数秒で負けてしまったチームに勝利でき、雪辱を晴らすことができました。また、昨年はコントローラーと受信機の通信トラブルがあったため、今年はコントローラーの電波が届きやすいように受信機の取り付け位置を工夫し、トラブルを回避しました。 【荒川】出場したことが何よりの成果です。連続出場したことで分かったことがたくさんありました。例えば、会場に持ち込む工具類は昨年の多さから見れば、今年は少なく済みました。逆に、チーム紹介ビデオの制作スケジュールの管理は大変でした。 また、昨年の経験から、競技には関われない大学院生の私は、多忙な大会前の1か月をプロマネに専念しました。結果的に大学での練習量を増やすことができて、出場メンバーは自信を持って大会に臨むことができました。 -大会ではどんな課題に直面し、今後どのように解決していこうと考えていますか。 【川村】一番の課題は、ロボットを制御できる人材の不足です。現プロジェクトの制御班にはメンバーが8人いますが、メイン担当は1人です。今大会のR1とR2のロボットの両機体ともほぼ1人で作ったため、R2にリソースを割けませんでした。ブラッシュアップも十分できず、制御自体ができたのが大会の1週間前でした。 ロボットを制御できるようになるためには、実際にロボットを動かす機会が必要です。実体験を通して、自分が関わっているロボットに求められる動きや機構について理解も深まります。今後は、制御について相談できる人がいなくなるという現状を解決していきたいと考えます。 【荒川】制御担当の負担を減らすために製作時間を短くすることが課題になると思います。そのためにスライドガイド付きシリンダーや一体型になっている部品などのロボットの組み立てを短縮できる資産を増やすことも大事だと思います。また、大会会場ではコントローラーの電波障害が起きやすいので、使用されていない電波を探したり、新たな技術を使っていったりする必要があります。 R2の制御を行うメンバー 引き継ぎたい知識や技術、そして思い -これから卒業までにどのように後輩を育成し、どんなことを継承しようとしていますか。 【川村】2年連続チームリーダーを務めた経験から言うと、今のプロジェクトチームの中にチームを導ける人は少ないと思っています。リーダーには些細なことでも気付けたり、周りを見て足りないところを補ったりする力が求められます。卒業までの間に人を育てるというのが大きな役目の1つだと考えています。 また、分からないことは人それぞれで異なるため、データで残すよりは言葉で伝えることが大事だと考えます。2023年のNHK学生ロボコンに向けて1次と2次ビデオ審査に必要な動画作成を担当しました。今大会は後輩に任せ、やらせてみて、分からないことは教えるというスタンスをとりました。会話することでしか伝わらないことも多いのでコミュニケーションを通して私のスキルを引き継いでもらいたいです。 【荒川】大会に出場し続けるための思いや技術を伝えていきたいと考えています。今後チームが大会に出場できないことがあっても、やる気のあるメンバーがいればいつでも活用できるデータを残したいです。取扱説明書や制御の仕組みのテンプレートなどの作成にすでに取り組んでいます。 それから、後輩たちには、ぜひOBを頼ってほしいです。そのためにも「手伝い続けたくなるチーム」「応援したくなるチーム」を目指すことが大事だと思います。 また、大会に出場した経験を強みに、工業高校などに出向いて、デモンストレーションを実施するなどして仲間を募る活動も川村君たちプロジェクトメンバーと行っています。 -直近の目標は9月に開催される大学1年生を対象とするF^3RC(エフキューブロボットコンテスト)優勝ですが、どのように関わっていますか。 【川村】設計・加工・制御のうち、設計と制御の基礎的なところを教えています。設計のほうは、セミナーを1週間行って、実際のものを作ったりしています。特に、やる気が出るように士気を上げる環境づくりを大事にしています。ぜひリーダーには周りを巻き込んでさまざまな問題を解消してほしいと思います。 1年生向けに設計の講習の一環として、設計したコマを3Dプリンタで印刷して大会を開催 【荒川】基板・はんだ付け・制御・プログラムなどの方法を教えています。方法を教えれば道具をうまく使って応用が利くと考えています。 2022年にF^3RCで優勝したメンバーの藤野君には回路基板のはんだ付けやロボットの制御の基礎をマンツーマンで教えたことで、驚くほど成長しました。伸びる学生は伸びます。やはりやる気が大事で、やる気のある1年生をどう育てるか、また、やる気を出させるために全体のモチベーションアップもしていきたいです。 1年生の中に、プロマネの後任になれそうな学生もいます。プロマネの難しいところは、メンバーから嫌われたら終わり。プロジェクトが成立しなくなるというリスクもあります。また、その年の部員たちの個性もあるので、その個性を潰さないように、プロマネがどうあるべきか常に悩みながら関わっているのが正直なところです。 1年生に加工機の操作方法を教える荒川さん -後輩に引き継ぎたい目標や思いは。 【川村】NHK学生ロボコンの優勝ですね。過去にはグループリーグを突破して準優勝まで進んでいます。出場するだけではなく、後輩には上を目指してほしいです。 また、明るくないと士気も上がらないので、メンバーには「明るく、楽しく」をモットーにプロジェクトでの活動を大事にした環境づくりを引き継いでほしいです。 【荒川】やはり、優勝してほしいです。そして、自立してほしい。私は後輩からの「先輩もう大丈夫です」という言葉を最高だと思っていて。その言葉を聞いたら身を引きたいです。それから、「出場だけしていてはだめだよ」と伝えたいです。出場して強豪校という状態になってほしいです。 後輩たちには多くのOBたちの思いが募って今の状態があることを心に刻み、4年生の思いをつなげてほしいと思います。 関連リンク ・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!①・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!②・ろぼこんプロジェクト「イエロージャケッツ」Webページ・情報メカトロニクス学科Webページ

  • ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!② ~ピットクルー&大学院生編~

    NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、大会優勝を目標にロボット開発に必要な知識や技術を自主的に学び、ロボットを製作しているプロジェクトです。 NHK学生ロボコン2023(2023年6月4日開催)に、4年ぶりに出場し奨励賞を受賞しました。 8月8日に掲載した「リーダー&操作担当者編」に続き、ピットクルーを務めた杉山丈怜さん(総合機械学科3年、上記写真:左)、篠木優那さん(総合機械学科3年、上記写真:中左)、茂木柊斗さん(情報メカトロニクス学科2年、写真:右)と、大学院生で後輩たちをサポートした荒川龍聖さん(ものつくり学研究科1年、上記写真:左)にピットクルーの役割や試合を間近で見て感じた思いを伺いました。 ピットクルーの仕事 -リーダー・操作担当者へのインタビューでは高校生の時からロボコンに関わっているメンバーがいましたが、皆さんは?【杉山】高校生の時は関わっていないです。ロボコンを始めたきっかけは、リーダーの川村君に誘われて、大学に入って何をするか決めていなかったので、ちょうど良いなと思って入りました。やっているうちにロボットを製作するのが楽しくなってきて、今も続けています。【篠木】私も大学から始めました。元々、どの大学に進学するか検討している時に、以前ロボコンがテレビで放送された時にものつくり大学の名前を見たことを思い出しました。オープンキャンパスに参加して、ロボット製作の楽しさを知り本学に入学しました。【茂木】私は高校からロボコンに関わっています。【荒川】私もロボコンをやりたくて、ものつくり大学に入学しました。ロボコンの常連校は国立大学が多くて、私立大学でロボコンに出場している大学はあまり無いんです。ロボットを作るには100万円、200万円かかります。さらに、国立大学のロボコンチームは、毎年100人単位で入部するので、一回もロボットに触ることができない人もなかにはいます。なので、ロボットを自分の手で作りたいと思っている人には、私立大学は穴場だったりします。その中で私たちは、ロボットを完成させるための加工技術が優れている大学なので、その点が評価されているのかなと思います。レーザー加工機などは本学くらいしか使っていませんから、他大学に羨ましがられます。 -大会出場までに大変だったことや、ロボットの製作でこだわったことはありますか。【杉山】私はうさぎロボットの射出機構の設計と各機構同士の組み付けを担当しました。大変だったのは、うさぎロボットが例年のロボットに比べて小さかったため、寸法の限界値も小さく、その中に機構を収めることです。こだわった点は、リングを射出するために使うローラーを3Dプリンタやゴム等を使って自作したことです。足回りのタイヤ等も3Dプリンタとゴムチューブを組み合わせて自分たちで作りました。【篠木】私は象ロボットの制御を担当していました。象ロボットの射出機構の角度が変わらない設計でしたから、その分回転速度を変えることで同じ場所からでもリングの飛距離を変えられるようにするのに苦労しました。2次ビデオ審査を提出する前から練習を始めましたが、射出精度を高めるため大会ギリギリまで何度も数値を変えてリングを放っては修正を繰り返しました。 練習中に機体を確認する篠木さん(左) 【茂木】私は両ロボットの加工を担当しました。2次ビデオ審査に合格して、本格的にロボットを仕上げる時に、象ロボットの精度を向上させるためにリング回収機構と射出機構が全て変更になり、加工を間に合わせるのが大変でした。 -ピットクルーはテストランや試合の時はどんな事をしているのでしょうか。【杉山】うさぎロボットは、基本的に想定したとおりに動いていました。大会前日のテストランでは、射出の回転数の調整や操縦者がロボットとポールの位置を確認していました。大会当日は変更を加えて不具合が出ても困るので、回転数などは変えずに、ロボットのネジがしっかり締まっているかとか、パーツが消耗していないかを確認していました。試合中、うさぎロボットが会場の電波干渉の影響でコントロールが難しくなってしまいましたが、その場では解決できなかったので、電波の干渉があまり起きない距離まで操縦者がロボットに近づく等の対策を考えていました。【篠木】象ロボットはテストランの時点では数値や制御を変える必要も無く、上手くいっているなと思いました。他の大学ではテストラン中にロボットが暴走したり、試合中に機体が破損した大学もありましたが、私たちのロボットはそういったトラブルはありませんでした。うさぎロボットは、電波干渉で止まらなくなりましたが、ぶつかって破損することが無かったのは不幸中の幸いです。 試合前に整列するメンバー(左3人がピットクルー) フィールド外の物語 -試合中はどんな気持ちでピットにいましたか。【杉山】「頑張れ!」という気持ちで試合を見ていました。私は設計がしたくてロボコンに参加しているので、操縦は得意な人に任せて、自分はサポートに徹しました。私がロボコンを始めてから、大会で自分たちのロボットを実際に動かせたのは初めてで、その楽しさを実感しました。他大学のロボットを間近で見られたことも大きな財産ですね。【篠木】私たちピットクルーは、外から試合を見ることしかできないので、少し怖いというか心配しながら応援するしかありませんでした。何か自分にできることはないのかと歯がゆい気持ちもありました。当日まで出場する実感がなかったのですが、会場で他大学のロボットを見て、やっと憧れの大会に出ていることに感激しました。【茂木】試合中は、フィールドの3人に聞こえているかは分からないですけど、声援を送っていました。NHK学生ロボコンの出場は良い経験になったと思います。高校からロボコンに関わっていますが、やっぱりNHK学生ロボコンはレベルが違うと感じました。来年は私がロボットを操作して、チームを勝たせたいと思っています。1年生の時のF3RC(エフキューブロボットコンテスト)では操作をしていたので、自分の操作技術を上げてチームをカバーしたいと思います。 フィールド外で試合を見守るピットクルー -院生としてサポートに回った荒川さんはどんな気持ちで大会を見守っていましたか。【荒川】2019年のNHK学生ロボコンに出場して、もう一度NHK学生ロボコンに出たいと思っていましたが、叶いませんでした。後輩たちが出場しているのを目の当たりにしてくやしい気持ちもありましたが、純粋に頑張れと思っていました。ルール上、大学院生がロボット製作をサポートすることはできないのですが、1次ビデオ審査や2次ビデオ審査の振り返りの時はアドバイスをして、ミーティングには参加していました。 練習中にアドバイスをする荒川さん(左) -体育館で練習をしている後輩を見ていてどうでしたか。【荒川】このまま上手く行けば良いところまで行けそうだとは感じていました。でも、大会を見ていて、電波干渉とか、ロボットが動かなくなるとかそういった会場でのトラブルは経験の差が出てしまうと思いました。私たちが2019年に出場してから、しばらく途切れてしまったのが悪いよなって。連続して出場できていれば、電波干渉も過去に経験していたかもしれません。やっぱり、出場し続けることが大切なのだと感じました。 -荒川さんが出場した2019年大会と比べて、今回の大会で何か感じたことは。【荒川】メンバー全体で設計の質や効率化について考えることができるようになってきました。後は、メンバー同士のコミュニケーションが変わりました。良くも悪くも学年関係なしに仲が良いので助かっています。以前は先輩後輩を意識していた感じでしたが、今は先輩にも容赦なく意見が飛ぶようになりました。特にここにいる茂木君とかは(笑)。 優勝に必要なこと -ピットクルーの皆さんは大会で何か課題を感じましたか。【杉山】今回、うさぎロボットは2台の試作機を作りましたが、他大学は何種類も試作機を作って戦略や戦術に沿った機体や機構を作っていました。例えば、ひたすら早く動くことを戦略にした場合、それに一貫した設計ができるようになれば、勝てる機体が作れると思いました。私たちもスケジュール管理をしっかりして、どんどん試作機の設計を進めていかなければならないと感じています。後は、設計についてもっと勉強して、強度を確保した上でコンパクトな機構を考え、基盤のスペースをもっと確保できるようにしたいです。【篠木】他大学の制御は半自動で効率化された動きですが、本学は完全手動なので、自動化していかないと他大学に追いつけないと感じています。私はプログラムに特別詳しいわけではないので、とにかく勉強するしかありません。センサーについても他大学は性能の良いセンサーを使っています。ただ、性能は良くても処理する技術がないと実力を発揮できないので、そういった点が課題になっていくと思います。【茂木】私たちは大体のパーツを自分で作っていますが、もっと既製品を使っていく必要があると思います。既製品を使えば効率的だし、規格が決まっているので代用がきくというメリットがあります。今までは金銭不足や自分たちで作りたいというこだわりで自作してきました。自作パーツのメリットは、設計に合わせて既製品にはない寸法のパーツを作れるところです。歯車一つにしても既製品を買うのか、3Dプリンタで作るのか。ちょっとの寸法のズレで誤差が生じてしまいます。どちらも一長一短がありますが、そこをもっと考えていきたいです。【荒川】実は、技術継承という意味でも既製品を使った方が良くて、「買える」というのが強いんです。自分たちで作る場合、技術が継承されていなかったら作れなくなってしまうリスクがあります。それならば、自分たちで作れる物の他に変える部品を増やしていったほうが良いのかなと思います。それと、今は予算がちょっと増えて、買える物が増えたから気になるものをバンバン買って、来年に向けて色々試している状況です。 関連リンク ・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!① ~リーダー&操作担当者編~・NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」Webページ・情報メカトロニクス学科Webページ・学生ロボコンWebサイト

  • ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!① ~リーダー&操作担当者編~

    NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、大会優勝を目標にロボット開発に必要な知識や技術を自主的に学び、ロボットを製作しているプロジェクトです。 NHK学生ロボコン2023(2023年6月4日開催)に、4年ぶりに出場し奨励賞を受賞しました。 今回は、チームリーダーの川村迪隆さん(総合機械学科3年、上記写真:中)、ロボットを操縦した岡本恭治さん(総合機械学科4年、上記写真:右)と藤野楓土さん(情報メカトロニクス学科2年、上記写真:左)に、大会出場に懸けた思いやこれからの目標をインタビューしました。 NHK学生ロボコン2023の競技ルールなどは以下のリンクをご参照ください。 【NHK学生ロボコン2023ルール動画】 https://youtu.be/eEnqrpgW8jU Road to NHK学生ロボコン2023 -4年ぶりのNHK学生ロボコンでしたが、出場が決まった時はどんな気持ちでしたか。【岡本】2021年度、2022年度と挑戦してきました(2020年度は新型コロナの影響でオンライン開催)がどちらも本戦には出場できず、私にとって今年がラストイヤーでしたから、出場決定の報せをチームリーダーの川村君から受けたときは、純粋に嬉しかったです。 【川村】私は高校生ロボコンに関わって、全国大会にも出場経験がありました。全国大会でしか味わえない緊張感を大学生になっても経験したいと思っていました。私はリーダーとして、大会事務局からの出場決定の連絡が届くまで毎日メールをチェックしていました。出場決定の連絡を何度も何度も確認しました。念願の大会にやっと出場できることを確信して感無量になりました。それからは、メンバー全員で出るからには結果を残そうという思いで頑張りました。 【藤野】私は中学・高校とロボコンに関わっています。なので、大学生になったらNHK学生ロボコンに出場することを目標として、大学を受験しました。本戦出場が決まった時は寮の自室でくつろいでいたのですが、メールを見た瞬間「え?マジ?よっしゃー!」って叫んでいました。そこでスイッチが入り、大会までに何をするか、どこを改善するか問題点を洗い出していました。高校生の時にロボットアメリカンフットボール大会の全国出場権があったのですが、残念ながらコロナ禍で大会が中止になりました。このまま終わってたまるかと、初めての全国大会で晴れの舞台だし、全力でいこうと意気込みました。 -本戦出場が決定するまでに苦労したことはありますか。【岡本】私は象ロボットの設計を担当しました。印象に残っているのは2次審査のビデオ提出締め切り前夜に、射出機構の角度を変更したことです。それまでは、射出口に対してリングを直角に送り出していたのですが、リングの射出距離が安定していませんでした。改善策をずっと考えていて、締め切り直前に角度を無くして水平にリングを送ってみたら、距離の差異が無くなりました。締め切り直前でCADの設計は間に合わないから、現場合わせでやることになるけど変更するか?というギリギリの選択でした。結局、ビデオの撮り直しはせずに、2次審査に通ることを前提にして作業を進めておき、2次審査が通ったらすぐに対応できるようにしていました。 【川村】個人的に大変だったのはビデオ審査の動画編集です。1次審査、2次審査とも私が編集を担当しましたが、今まで動画の編集をしたことが無かったので手探りで進めました。1次、2次とも5分の動画で、1次ではどういう機構を使うのかを紹介。2次では、ロボットの動きを見せて、1次からの変更点を紹介しました。自分たちのロボットを良く見せるためにどうやって撮影するか、編集はどうするかなど、他大学のYouTube動画などを研究しました。2本のビデオ制作にかかった時間は撮影・編集を含めて18時間ほどです。 【藤野】私は、うさぎロボットの制御や基盤をほとんど一人で担当していました。センサーで読み取って射出機構の回転速度を一定にさせるプログラムを急きょ導入しましたが、しっかりした制御システムが成り立っていない状況でプログラムを打ち込んでいたため、練習コートで調整しようとしてもなかなか上手くいかなくて苦労しました。リングを飛ばすローラーが、目標の回転数に到達するまでの時間を短縮させるため色々と手を尽くしましたが、私だけの知識ではなかなかできないこともありました。テストでは動いていたのに、ロボットに搭載したらセンサーの取り付け位置が変わって上手くいかないこともありましたし、ローラーなどの部品を付けて負荷がかかるとテストの時と変わってしまってセンサーが全く計算してくれないこともありました。大会直前まで何度も調整を繰り返していました。 練習中、動作を確認する藤野さん 予選リーグ第1試合 VS大阪工業大学-予期せぬトラブルの連続 【川村】1試合目は、象ロボットがまず手前のポールにリングを入れて、次にセンターエリアの手前の2本を狙い、最後に中心の1本を狙う予定でした。その間に、うさぎロボットがセンターエリアの奥の2本を狙う作戦でした。 今大会のフィールド ですが、象ロボットのリングが詰まってしまい、思うようにいきませんでした。練習では安定して動いていて、大会前日のテストランも問題は無かったのですが、いざ本番になると会場の雰囲気にロボット達も呑まれたみたいで、練習どおりに動かず焦ってしまいました。象ロボットが何発か放った後に詰まってしまい、さらに動かなくなってしまったのは致命的でした。 【岡本】リングが詰まった時はどうしようかと思いましたけど、リトライして再装填すれば数発は放てたので、いかに少ない発射数でポールに入れるかということだけを考えていました。 【藤野】うさぎロボットは会場の電波干渉の影響でコントローラーの電波がロボットに届かなくなり、ロボットが止まらなくなってしまった時は「なぜ⁉」って思いました。直感でコントローラーの電波が届いていないのかと思って、ロボットに近づいたら少しは操作できるようになりましたが、根本的な解決方法が無くて思うように操作できませんでした。 予選リーグ第2試合 VS長岡技術科学大学-今大会随一の大接戦 【岡本】長岡技術科学大学のロボットはリングの連射性能が凄かったので、これはもう「チェイヨ―(8つのポールの得点を全て獲得した状態)」されるかもしれないと思ったので、1試合目とは作戦を変え、相手にチェイヨ―させない戦略に基づいてセンターエリアのポールから狙いました。最後の最後で逆転されてしまいましたが、割と上手くいっていたと思います。 残り数秒まで大接戦だった第2試合 【川村】私は岡本さんの側で象ロボットが狙うポールの指示を出していて、藤野君には、象ロボットが狙っているポールとは別のポールを狙うよう指示していました。割と落ち着いて指示を出せていたと思いますが、会場の歓声で指示が伝わらないこともありました。これは来年度に向けての反省点です。 残り時間を確認しながら指示を出す川村さん(左) 【藤野】電波干渉の問題は2試合目も対策ができず、少しでもロボットに近づいて電波が届くようにするしかありませんでした。練習で想定していなかったトラブルが起きて、事前に考えていた作戦もできずパニックになってしまいました。 これからも優勝を目指して-We love スポ根 -練習の時、川村さんの楽しそうな表情。そして、予選で敗退した時の悔しそうな表情が印象的でした。リーダーとしての意気込みはどうでしたか。【川村】練習は、皆が楽しくできる環境にしたいと思っていました。高校生の時にロボットの操作を担当していて、嫌々やるより楽しくやった方がチームとして相乗効果があったので、今回も「楽しく練習する」をモットーにしていました。後は、メンバーが一人で抱え込まないようにコミュニケーションを取ることを心がけていました。本戦では、長岡技術科学大学が1試合目で勝っていたので、勝てれば1勝1敗で並び、予選突破の可能性が出てくるので何としてでも勝ちたいと思っていました。ところが、残り数秒で負けてしまい、他大学との実力の差を目の当たりにしました。負けず嫌いな性格も相まって悔しさが表情に出てしまいましたね。 体育館での練習の様子 -藤野さんはF3RC(エフキューブロボットコンテスト)優勝のメンバーですが、何か違いを感じましたか。【藤野】まず、観客が多くて会場の雰囲気がF3RCとは全く違っていました。競技は点の取り合いになる試合形式なので、相手からのプレッシャーが凄いです。また、ロボットのレベルが全然違っていました。NHK学生ロボコンは投てき競技が多いのですが、F3RCは投げることはあまり無いので考え方を大きく変える必要がありました。F3RCでやった事と同じやり方では太刀打ちできないことを実感しました。中学生の頃からロボットを作り続けていますが、大会に出る度に段々と難易度が上がり、アイデアの出し方や違う考え方がある事を思い知らされています。2年生のうちに本戦を体験することができて、いろいろな課題を見つけられました。残りの2年間は課題解決に全力を注ぎたいです。 -岡本さんは学生生活最後の年につかんだ出場でしたが、どのような思いで大会に臨みましたか。【岡本】4年生にして初めて出場できたので「あぁ、やっとか」という思いでした。1年生の時は新型コロナがまん延し始めた時で、ロボコンプロジェクトに参加できたのは夏からでした。NHK学生ロボコンもプレゼン形式のオンライン開催でした。2年生の時は無観客で開催されましたが、出場校が通常時より絞られていて私たちは本戦には出場できませんでした。3年生の時は2次ビデオ審査で落ちてしまいました。今大会では、ロボットの性能を最大限活かした操縦を心がけました。設計者だからこそ、特性の理解から特長を活かしつつ、短所も補いながら操縦することを念頭に置いて挑みました。後は、大会を少しでも盛り上げられるようにと思っていました。チーム紹介のビデオに出演しているのですが、顧問の三井先生がストーリーを考えて、私がロボットにされました(笑)。撮影の時は川村君と先輩がいたのですが、何回もダメ出しされて、階段を落ちるシーンは先輩の演技指導を受けながら10テイクくらい撮りました。 https://www.youtube.com/watch?v=IeIpz_GShx4 NHK学生ロボコン2023 チーム紹介動画 -今回出場して得られたものは。【岡本】技術面で言えば、他大学のロボットを間近で観れたことです。他大学は独立ステアリングを用いていて、足回りが強化されていたので、私たちも導入しようと取り組み始めました。独立ステアリングは、操舵と駆動を別々のモーターで制御して、進行方向にタイヤの向きを揃えることができ、タイヤの駆動力すべてを移動に費やせるため高速移動が可能になります。試合の仕方では、他大学は迷わずリトライをしていたのが印象的でした。私たちは4年ぶりの出場で経験者が少なかったのでリトライをした方が良い状況でも、もう一機のロボットが動いていたらリトライを躊躇して行動が遅れることがありましたね。 【川村】大会の雰囲気を感じて、場慣れできたことが大きいです。前回出場したのが4年前で、大会の進行が分からず、他大学の人に「どうしたらいいんですか」とか質問して右往左往していましたが、今回出場したことで後輩たちに伝えていけます。また、SNSで他大学同士が交流している様子を見て、私たちも技術を向上させるためにもっと交流会に参加しないといけないと思うようになりました。これまで、他大学主催の交流会に参加させてもらっていましたが、今後は私たち主催の交流会を開催したいです。 【藤野】過去のNHK学生ロボコンや高専ロボコンの映像を結構見てきましたが、他大学のロボットを直に見て、もう今までとは違うレベルに進んでいることが身に染みて分かりました、今の自分たちの技術を使いまわしているだけでは駄目だなと。新しい事に挑戦しないと今使っている技術もいずれ古くなり、他大学との差がさらに開いてしまいます。これから私たちが勝つためには、他大学の先を行く考え方や技術が必要です。 -優勝を目指すために変えていきたいところは。【川村】アイデアをしっかり再現できるように技術力を向上させていきたいです。今はインターネットから色々な情報を得られる時代ですから、情報収集をして、アイデアどおりに加工できる技術を身に付けていきたいと思っています。 【藤野】設計、加工、制御の3つの班のうち、私が所属する制御班の強化が必要だと思っています。制御班は人が少ない上に、技術が進化し、覚えなくてはいけないことが莫大になってきています。センサーの扱い方やプログラムの仕方も以前より複雑になっていて、プログラミングの経験が無い人が学ぶには範囲が広すぎる状況になっています。だから、初心者にも分かりやすく教えて、後輩を育てたいです。また、今までのプログラムのデータを再利用できるようにマニュアルを残していきたいです。 【岡本】資料をしっかり残すことです。プログラミングも設計も、ちゃんと動くシステムや機構をデータとして残しておけば、後輩も「このデータを使えば絶対に動くんだ」と安心して設計できます。そうすればもっと精度の高いロボットを作れるようになっていきます。これからも私たちはNHK学生ロボコン優勝を目指して活動を続けます。ものつくり大学に入学したら、ぜひロボコンプロジェクトに参加してください! 関連リンク ・ロボコンはスポコンだ!優勝目指してひた走れ!② ~ピットクルー&大学院生編~・NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」WEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ・学生ロボコンWEBサイト

  • フラワーデザインアートで駅利用者をHAPPYに!

    デザインフェスタ等への展示製作活動を行っている、ものつくりデザイナーズプロジェクト「MDP」は、鴻巣市と鴻巣市観光協会から依頼を受け、地域の魅力発信を目的にしたフラワーデザインアートを制作しました。 2021年度は鴻巣高校、鴻巣女子高校の美術部と協力してJR高崎線鴻巣駅に制作し、2022年度は吹上秋桜高校の美術部も加わり、JR高崎線吹上駅に制作しました。作品は現在も両駅舎を彩っています。 吹上駅のフラワーデザインアートを制作した当時、リーダーだった松本拓樹さん(総合機械学科4年、上記写真右)と、新リーダーの内田颯さん(情報メカトロニクス学科2年、上記写真左)に作品制作について伺いました。 フラワーデザインアートについて 【内田】私たちが手がけるフラワーデザインアートを町おこしの一助にしたいというのが一番の思いでした。そして、鴻巣、吹上の代表的な花や、コウノトリなどを取り入れて華やかにしたい。そういう思いを作品に込めました。吹上駅の作品は、吹上の代表的な花であるコスモスをふんだんに取り入れました。北口、南口の欄間に飾った作品にはその出口にある象徴的な風景を取り入れて、パッと見て方角が分かるように意識しました。北口には元荒川の桜並木を、南口には荒川に架かる水管橋をデザインしています。 【松本】関係者全体の会議で、以前の吹上駅は「北口」「南口」の表示が見づらかったので、大きく表示したいという意見から、北口、南口にある風景を絵にすれば直感的に分かりやすくなるのではという意見が出てデザインが決まっていきました。 デザイン検討の打合せ   南口の欄間に飾られている作品   北口の欄間に飾られている作品 制作過程について 【松本】私たちMDPは、ディレクターとして高校生たちが描いた絵をまとめていきました。一昨年の鴻巣駅の時は、高校の美術部にはレイアウトまでは考えてもらっていませんでした。今回の吹上駅は吹上秋桜高校も加わったこともあり、北口と南口に飾る絵については、各高校からどんな雰囲気で作りたいのか分かるように、ある程度のレイアウト案を考えてもらいました。その上で、3校の美術部には、自由に絵を描いてくださいとお願いしました。 【内田】高校生が紙に描いた絵を一枚一枚、私たちがスキャンしてデータ化しました。白地に描かれている背景を透過して、描かれた花をコピーして反転させたりして、見ていて飽きないように配慮しながらレイアウトしていきました。北口の桜についても、一枚の絵からピンクや白で濃淡をつけてランダムに配置しています。単調にならないように加工したのが特に苦労したところです。 【松本】北口の絵は、高校生から提案されたレイアウトが想定より小さかったんです。そのままでは、絵がスペースの半分もいかないくらいで終わってしまうので、不自然にならない程度に引き伸ばしました。空白を埋めるために桜を多くしたり、最初のレイアウトには無かった灰色のグラデーションを加えたりして整えました。改札を出て左手の柱に飾った作品は、3校に描いてもらった花を私たちでレイアウトしました。この作品は作業量が多く、特に大変でした。四季をイメージして柱を飾るということは決まっていましたが、柱が細いのでどうやって四季を並べるか苦心しました。4面を1面ずつ四季にして並べる案などが出ましたが、最終的に螺旋で四季が流れていくようなデザインになりました。下の方は春をイメージしてパンジーを並べ、真ん中あたりは夏をイメージして向日葵を配置しています。柱に貼る時は、一面全部に絵を描いた状態で柱に巻くことになっていたので、両側の絵が揃うように処理をしています。   改札付近の柱の作品 【内田】窓に貼ったイラストは、当初はステンドグラス風にする予定でしたが、それでは光が遮られてしまい、駅構内が暗くなってしまうため実現できませんでした。イラストの線が細すぎると目立たないし、色をつけると光を遮ってしまうし、折り合いをつけるのに苦労しました。最終的には色の無い線画に落ち着きましたが、できれば色をつけたかったなと思います。普段のプロジェクトの活動であれば、発想を広げることを重視して好きなように作れますが、今回のように公共の場に飾る作品となると様々な制約があることが分かり勉強になりました。       鴻巣女子高校の作品     鴻巣高校の作品     吹上秋桜高校の作品 【内田】今回、作業量が多かったのですが、前例があるというのは非常に助かりました。絵をスキャンしてデータに取り込む方法などは先輩が資料として残してくれていたから作業を効率的に進めることができました。作業は手順どおりにやればできたのですが、鴻巣駅より作業量が多かったため、その作業を一つひとつ終わらせていくことが大変でした。 【松本】鴻巣駅の作品は自由通路の両側に作品を展示していて、一枚の絵を分割して作りました。しかし、吹上駅では絵を3枚制作し、窓に貼るシールの制作もあり、複数の作業になりました。さらに、制作時期が高校の文化祭や私たちの碧蓮祭と重なっていました。高校生も私たちも文化祭で展示する作品の制作もあったので、フラワーデザインアートの制作スケジュールが圧迫されていました。高校生は期末テストもあり、その時期は打合せに参加できない高校生もいたから、意見をまとめたくても思うようにいかないことがありました。   鴻巣駅自由通路に飾られている作品①   鴻巣駅自由通路に飾られている作品② フラワーデザインアートの見どころ 【内田】やっぱり、改札付近の柱の作品です。春夏秋冬をできる限り表現して、どの方向から見ても楽しめるようにレイアウトを考えたので、一周ぐるりと回って見ていただきたいです。この柱は3校が描いた絵でできています。絵のタッチが花によって違っていますが統一感を出せたと思います。それから、欄間に描かれている水管橋や元荒川の桜は、その方向に降りれば現物がありますから、ぜひ見に行っていただきたいです。 【松本】実は、北口の絵にものつくり大学を描くという案もありましたが、コンセプトがフラワーデザインアートだっため人工物より花をたくさん入れたいということもあり、ボツになりました。 【内田】制作中は、見ていて飽きない作品にするということを大切にしていました。町おこしとして協力させていただいているので、デザインに偏りが出ないようにすることも気をつけていました。現場では制約が多く、最初の構想と変わってしまい、断念したこともあるので、もっと華やかにできたという思いはあります。その中で、最善策を探して調整しなくてはならないということが分かりました。きっと、社会に出ても同じようなことは多々あると思いますが一足先に学べました。 【松本】大学でも授業やプロジェクトの活動で展示作品を作りますが、公共の場に展示され、なおかつ大規模な作品の制作に携わったことはありませんでしたから、すごい経験をさせていただいたと思います。それに、MDPだけではなく、鴻巣市の方々や高校生が関わっていて、スケジュールが厳しい中で無事に完成させることができ、リーダーとして安心しました。 【内田】私たちの通常の活動は、個人の自主的な活動が多いので、人をまとめて作業を進めるのは大変でした。だからこそ、プロジェクトとして一丸となって一つの大きな作品を作るというのは新鮮でしたし、皆でものを作る大切さを感じました。学内で限られた人だけに見られる作品と、不特定多数の人の目に触れる作品では達成感が違いました。両駅を利用している市民の方々に少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。フラワーデザインアートは鴻巣駅と吹上駅の2か所で終わってしまいましたが、リーダーを引き継いだ今、共通目標が無くなってしまったので、皆が団結できるようなものを作れないか模索しているところです。目標があると達成するための意志というか、やる気が湧いてくるから、それでプロジェクトが活発になると良いなと思っています。 関連リンク   ・ものつくりデザイナーズプロジェクト「MDP」WEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 4年間しかない学生時代だから、とことん学びたい

    1年生が入学してキャンパスに活気が戻ってきた4月。製造棟の廊下には、「学生プロジェクト総合案内所」が設置されていました。情報メカトロニクス学科には、学生が主体となって興味のある分野について企画・製作・研究などを行う学生プロジェクトが8団体あります。総合案内所の設置を企画し、1年生を積極的に勧誘する小林駿祐さん(総合機械学科3年)は、3つの学生プロジェクトに所属しています。なぜそこまで精力的に活動するのか。小林さんを突き動かすものは何か。まるで遊びのような感覚で学んでいるという小林さんに、学生プロジェクトの魅力、ものつくり大学の魅力を伺いました。 3つの学生プロジェクトに挑戦 現在は、学生フォーミュラプロジェクトの活動がメインですが、1年生の時に、学生フォーミュラプロジェクト「MONO Racing」、宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」、スターリングエンジンプロジェクト「MSEP」の3つの学生プロジェクトに参加しました。3つのプロジェクトに参加した理由は、加工に興味があって、それぞれのプロジェクトで違った加工機や材料について学べることと、自分に向いている事は色々やっていくうちに分かってくると思ったからです。プロジェクトを掛け持ちする学生は他にあまりいないので、先輩にお願いしたところ「大変だと思うけどとりあえず入ってくれると嬉しい」ということで、参加することができました。 各プロジェクトにはそれぞれ個性があります。「宇宙研究開発プロジェクト」は、1年生教育に力を入れていて、SOLIDWORKSという設計ソフトを動画を使いながら学びました。また、成績優秀な先輩も多かったので、授業のことも教えてもらっていました。 宇宙研究開発プロジェクトのメンバーと 「スターリングエンジンプロジェクト」は、小さい部品を旋盤で加工するような職人的な技術が身につくと思って参加しました。設計ソフトについても、Fusion 360を使っていて、使えるソフトが増えました。3年生になった現在は、あまり活動に参加していませんが、スターリングエンジンプロジェクトの活動で分かったのは、私がやりたい事は一人で加工してものづくりをするよりも、皆で1つのものを作り上げることだという事でした。 Fusion360で設計したスターリングエンジンの図面 「学生フォーミュラプロジェクト」は、オープンキャンパスに参加した時に知りました。元々、乗り物が好きで、高校時代にEne-1という単三電池40本で人が乗った車を走らせる大会に参加していました。高校時代と違い、フォーミュラの製作には費用がかかります。スポンサー交渉も学生が行うなど、社会とのつながりが多いプロジェクトなので、やりがいも大きいです。1年生の頃は、当初の希望どおり加工を担当していました。先輩から旋盤やフライス盤を教えてもらい、設計ソフト同様、授業の前から使えるようになっていました。 3つのプロジェクトに参加してからは、忙しいというよりも充実感が上回っていました。はじめは、プロジェクト活動と学業の両立に不安を感じていましたが、先輩たちが課題について教えてくれるので、どんどん部室に行くようになっていきました。家で課題をやっていても分からないところがあると諦めてしまい、全然進まないんです。それが、部室だと先輩に質問できるし、疲れた時は息抜きに友人や先輩と食事に行ったりしました。 プロジェクトでは課題や授業に近いことをやっているので、授業もすぐに理解できます。課題が出ても、すでにプロジェクトで経験していて、スムーズに終わらせることができ、「よし。プロジェクト行こう」ってこともありました。 加工に興味があったはずが・・・ 2年生になってからは、学生フォーミュラでEV車を作るために電気系統を担当するようになりました、高校からずっと加工ばかりやっていて、大学でも加工をやりたいと思っていたのですが、いつの間にか、電気に興味を持ち、調べていくうちに楽しくなってしまいました。今は回路の異常を検知して電源が切れるような、安全を守るための回路を設計しています。学生フォーミュラはレギュレーションが決まっていますが、回路の細かいところは自分たちで考えて作るため、何の部品を選んでどういうふうに作るか、条件はどうするのかといったことを考えています。 今年の学生フォーミュラ日本大会ではEV車を走行させることを目標に頑張っています。EV車は多くの回路を設計しなければなりません。また、多くの法則やコツが必要なため難しく、先輩たちから引き継いでいる技術もありますが、未開拓なことも多く、調べながら進めています。それで解決策を見つけられた時は楽しいです。これが大学の授業になると話は変わってくると思いますが(笑)。やりたい事だからできます。壁にぶつかった時に、やらされているとか、人のせいにしてしまうと失敗した理由も人のせいにしてしまうから、「失敗は成功の元」なのに成長につながらないと思っています。それに、せっかく学ぶのであれば楽しく学びたい。学んだことをプロジェクトに使えるように考えながら授業を受けたり、勉強したら実現したかったことができるようになったり、ワクワクしながらだと授業にも身が入ります。 最終的には、これまでに学んできた知識を生かして、フォーミュラに入っているシステム全ての指揮を執って作り上げたんだと言えるようになりたいです。色々勉強して、やっとできたというものを形として一つ残せるというのがすごい楽しみです。 学生プロジェクトの魅力 ものつくり大学に入ったのなら、学生プロジェクトに参加しないのは「もったいない」と思います。大学には多くの加工機がありますが、授業の中だけでは深く学べないこともあります。プロジェクトに参加すれば、授業以外にも加工機に触れる機会が多くなります。家で遊んでいるのは、もったいない。学生時代は4年間しかなくて、せっかくものつくり大学に入学したなら使い倒したいなって思います。 学生フォーミュラはチームとして1台の車体を作り上げていくので、メンバーに迷惑をかけないために失敗は避けなくてはいけないのですが、例え失敗してしまっても自分一人の責任にはなりません。皆でカバーし合える。チームで1つのものを作る醍醐味があります。社会人になる前に、失敗を恐れず挑戦できる、色々試せるというのは自信につながります。 もし、学生プロジェクトに入ろうか迷っている人がいたら、やらずに後悔するよりも挑戦してほしいと思います。例え失敗したとしても次にどんどん生かせます。「挑戦と失敗を恐れるな。次に行こう」と伝えたいです。 充実した加工機と幅広い学び そもそも、ものつくり大学を選んだ理由は大きく分けると2つあります。1つは学生フォーミュラプロジェクトに参加したいということ。もう1つは、オープンキャンパスで加工機の種類の多さを見てびっくりしたということです。高校の授業では教科書で様々な加工機を見ましたが、写真では「ふーん。色んな加工機があるんだな」って思うくらいで実感がありませんでした。その後、進学を考えた時に色々な大学のオープンキャンパスに参加しました。他大学には教科書で見たことがあるような加工機が1台くらいはありました。でも、ものつくり大学には教科書に載っているような加工機がほぼ全て揃っていて、「おぉ~!色々な技術が身につけられるじゃん!」って思いました。こんなに多くの機械に触れることができるのなら、入学する意味があるのではないかと思いました。 今、振り返って思うことは、ものつくり大学を面白いと感じたのは、鋳造から始まって最終的に製品になるまでの一連の工程が大学内で完結しているところです。他大学には加工機はあっても、前後の工程のつながりを感じませんでした。自分が今加工しているものがどういう部品になるのか、元々の材料は何なのかという製造の流れが紐づいていくところが魅力的でした。 入学してから2年が経って、実際に色々な加工機を操作していくうちに、技術の幅を広げることを意識するようになりました。幅広く学んでいた方が色々なことを吸収できると感じています。だから、やりたい事が何となく決まっている人たちに、ものつくり大学は向いているのかなと思います。加工を学びたいと思って入学して、ずっと加工をやるんだろうなって思っていましたけど、途中で電気に興味を持っても学べる。機械も電気も設計も学べて、途中で路線変更ができる学びの幅が広い大学だと思います。 これからの目標 小さい頃から図工や美術やデザインなどが好きで色々作っていて、想像しているものが形になっていくことを楽しんでいました。しかし、大きくなるにつれ、想像していることに対して技術が追いつかなくなっていきました。それから、工業系の高校に入学して金属という新しい材料を学んで、硬いものや大きいものを作れるようになって。大学では、樹脂も勉強してプラスチックでものを作れるようになりました。学生プロジェクトに入ることによって、コミュニケーションやマネジメントも学んで、時間の足りなさを人で補えるようになり、どんどん大きくて複雑なものが作れるようになっています。目標は、アイデアをそのまま形にできるようになることです。 関連リンク ・学費以上の経験が得られる⁉学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは・学生フォーミュラ「MONO Racing」・宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」・スターリングエンジンプロジェクト「MSEP」・情報メカトロニクス学科

  • でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテストで優勝!-

    宇宙開発研究プロジェクト「MAXS」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、ロケットの構造や制御、整備、運用体制を学生が主体となって学んでいるプロジェクトです。 第19回種子島ロケットコンテスト(2023年3月2日~3月5日開催)に、6チームが参加し、ロケット部門の種目3「高度※」で優勝、種目2「ペイロード有翼滞空※」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞しました。 「高度」で優勝した機体「KYLEEROCKET-Ⅱ」をチームの中心となって製作したのは、ボートライト 海里さん(情報メカトロニクス学科2年)です。機体製作で工夫したことや初めてロケットコンテストに出場した印象などを伺いました。 最後にはロケット打ち上げの様子を動画で見ることができます。そちらもぜひご覧ください。 幼い頃のワクワクが蘇ってロケット製作へ 工業高校に通っていて、高校生の時から親にものつくり大学を勧められていました。大学進学はあまり考えていませんでしたが、宇宙開発研究プロジェクト(以下、宇宙研)というロケットを作っているプロジェクトがある事を聞きました。その時、幼い頃の記憶がふと蘇ってきました。当時の私はアメリカに住んでいて、広い平野の一角で、父が趣味で全長1mくらいの小さなロケットを打ち上げていました。その光景を見て「ロケットって楽しそうだな」と思っていました。親から勧められた進学でしたが、ロケット目当てに入学し、宇宙研に参加しました。 高校生の時は電子の勉強をしていて、CADは苦手でしたが、ロケットを設計するようになってからは苦手意識がなくなりました。宇宙研は1年生教育がしっかりしていて、入ってすぐにCADの勉強をさせてもらえます。特に、ロケットのトップの部分などは、SOLIDWORKSという3DCADソフトで作ります。CADだけではなく、ロケットの翼の部分はレーザー加工機でバルサ材から切り出して作っています。 種子島ロケットコンテストについて 種子島ロケットコンテストは、小型のモデルロケットを打ち上げる大会です。競技はロケット部門とCanSat部門に分かれています。私はロケット部門の4種目(「滞空・定点回収」、「ペイロード有翼滞空」、「高度」、「インテリジェント」)のうちの1つ「高度」に出場して、優勝することができました。この種目は、大会が支給する高度測定装置をロケットに搭載して、どれだけ高く飛ばせたかを競います。 競技のルールとして、打ち上げた後に機体からパラシュートが開かなかった場合や、落下途中に機体が分離してしまうと失格になります。また、射点から半径400m以内に落下しなかった場合も失格です。それから、高度ロケットは高度計や位置情報を把握するビーコンをロケットの先端に収納するのですが、落下した衝撃で中の機材が壊れたら失格になる可能性もあります。だから、他の部門のロケットに比べて頑丈に作る必要があります。 競技以外にも技術発表会があり、3分という限られた時間の中で機体のプレゼンテーションをします。その後、実行委員から技術面について質問を受けます。技術発表会は大会の結果にも影響があります。晴天であれば、ロケットを打ち上げた結果で順位が決まりますが、雨で競技が中止になってしまった時はこのプレゼンテーションで決まります。だから、必死です。 宇宙研から出場した機体たち(最奥が「KYLEEROCKET-Ⅱ」) 優勝よりも記録を狙った機体づくり 初期デザインや設計計画書の作成は2022年度卒業の先輩に手伝ってもらいましたが、その他はほぼ一人で作りました。他にもチームメイトはいたのですが、他のプロジェクトが忙しかったり、アルバイトが忙しかったりしてなかなか来れなくて。だから、機体名も自分の名前から取って「KYLEEROCKET-Ⅱ」と名付けました(笑)。コンテストの前の試し打ちや機体の改良、技術発表会のプレゼンテーション資料の作成などもほとんど一人でやりました。機体の改良は先輩が残してくれた初期設計を元にして、自分で設計しながら作り上げていきました。 ロケットは打ち上げた後、落下時にバックファイアが開くのですが、初期デザインではチューブの細いところから出る設計でした。試し打ちした時は、展開せずに自由落下して壊れてしまったり、そのまま飛んでいって機体を無くしてしまったりしました。コンテストが迫ってくる中で、このままではいけないと思い、もっとチューブが太くなっている位置からバックファイアを出るようにデザインし直したら、上手く開くようになりました。 改良後の機体 また、機体の強度を上げるために、尾翼のバルサ材を硬化樹脂でコーティングして、落ちても割れないようにしました。他の部分にも硬化されたガラス繊維を使って、軽くて硬い機体を製作しました。それから、フィンの形状も工夫しています。ロケットのシミュレーションが可能な「オープンロケット」というアプリで、遊び心でデザインしてみたら今までで一番高く飛ぶという結果が出ました。たまたまだったのですが、よく考えてみると、先端の方が急な角度になっていて打ち上げた際に空気抵抗を受けにくいデザインになっていました。 今回の機体は、シミュレーション上は319mの高さまで飛びます。大会では280mくらいの高さでした。過去に優勝した機体は500m近くまで飛んだ機体もあって、今回の大会でも私の機体より高く飛んだ機体もひょっとしたらあったのかもしれません。しかし、他のチームは高く飛んでも機体が壊れてしまったり、強風に煽られて紛失したりして失格になってしまったチームも少なからずありました。その結果、私の機体が優勝ということになりました。初めての大会ですから、優勝を狙うよりも記録を残そうと思って頑丈に作っていましたが、それが結果として優勝につながりました。だから、優勝するためには高さをだすことも重要ですが強度のある設計も必要です。優勝した後も機体の改良を続けていて、5月に開かれるプロジェクト内の部内戦でその機体を打ち上げたいと思っています。 初めて大会に出場してみて 初めてロケットの大会に出場しましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。競技の他にワークショップという、自分の機体を他の参加者にアピールできる時間があり、その時に私のロケットに興味を持ってくれた人が何人かいました。競技の時も話しかけてもらえて、表彰式の時に「何でこのフィンの形にしたの?」とか質問攻めでした。初めての大会で、1年生でチームのリーダーとして出場できて、優勝できるって言葉にならないくらい嬉しいです。 種目2「ペイロード有翼滞空」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞したチームとともに 種子島まで宇宙研のメンバーと行って楽しい思い出もできたかと思われるかもしれませんが、大会のことで頭がいっぱいですごく疲れてしまい、観光する余裕はありませんでした。宿泊していた旅館の近くに鉄砲館があったので、興味があった先輩にノリでついて行ったくらいです(笑)。大会が終わって種子島を離れる時に、ちょうどH3ロケットの打ち上げを港から見ることができました。ロケットを打ち上げる時って赤く光るのですが、その赤い物体がものすごい速さで高くまで上がっていくのを生で見て、遠くからでも凄さを感じました。実際に打ち上げの瞬間を自分の目で見ることができたのは良い体験でした。いつか、自分もでっかいロケットを作りたいです。 関連リンク ・宇宙開発研究プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦・宇宙開発研究プロジェクト「MAXS」・情報メカトロニクス学科・種子島ロケットコンテストWEBサイト (※競技内容の詳細は上記のリンクを参照してください)

  • F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!

    皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。  【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • ロボコンに注ぐ情熱!引き継がれる技術や技能、そして思い

    ものつくり大学には没頭できる学生プロジェクトがいくつもあります。「ろぼこんプロジェクト」もその1つ。2002年に結成され、現在に至るまで多くの卒業生・在学生がNHK学生ロボコンの優勝を目標に、ロボット開発のために切磋琢磨して大会出場に向けてロボットの製作を行ってきました。今回は、NHK学生ロボコンに出場経験のある川村迪隆さん(総合機械学科4年・三井研究室、上記写真:右)と荒川龍聖さん(大学院2年・三井研究室、上記写真:左)にプロジェクトについて、また、先輩から後輩に引き継がれる技術や思いなどについてインタビューしました。 われらの「ろぼこんプロジェクト」 -ものつくり大学の「ろぼこんプロジェクト」に関わることになったきっかけは。 【川村】高校時代からロボコンに関わっていて、2019年には全国高等学校ロボット競技大会にも出場しました。しかし、高校3年生だった2020年はコロナ禍で大会に出場できず、不完全燃焼で終わってしまって。大学の進学先はロボコンに集中できるところと決めていました。 ものつくり大学進学の決め手は、特に加工設備が整っていることと、新潟出身なので学内に寮があることでした。「この大学ならロボット作りに好きなだけ時間が割ける」と思い選んだといっても過言ではありません。 【荒川】中学生の頃、テレビでNHK学生ロボコンを見て「ロボコンに関わりたい」と強く思いました。ただ、進学した工業高校にはロボコンに取り組める部活がなく、中高とも独学で学びました。大学はNHK学生ロボコンに関われるところを探し、ものつくり大学は第一志望ではありませんでしたが、特待生として入学できました。やっとNHK学生ロボコンに向けていい機体を作れる環境になりました。 -プロジェクトに関わり、高校時代に比べ変化したことは。 【川村】大会出場に向けての熱意です。全国高等学校ロボット競技大会とNHK学生ロボコンの大きな違いは、大会に出場できる確率です。全国高等学校ロボット競技大会は各都道府県大会で入賞したチームから全国で約100チームが出場できます。一方、NHK学生ロボコンは狭き門で、全国の大学と高専から約20チームしか大会に出場することができません。 出場権を手にするためには、いくつものハードルがあります。8月にABUアジア・太平洋ロボットコンテストのテーマの発表があり、10月に日本語版のルールが発表されるので、戦略を考えます。11月にロボットの機構、アイデア、戦略を説明した書類審査を通過できると、翌年2月にロボットの戦術を書いた書類と手動機と自動機のロボットの動きや各種機構がわかる動画による1次ビデオ審査、4月に一連の流れや完成度がわかる動画による2次ビデオ審査があり、それらを1つずつ突破しないと大会には出場できません。 1年間かけてロボットの製作に取り組んでも、大会で1試合も出られずに終わることもあるので「絶対に大会に出場して、大きな舞台でロボットを動かすぞ」という思いでやってきました。 【荒川】高校生まではロボット作りに関われなかったので、大学に入ってからはプロジェクトマネージャー(プロマネ)を1年生からずっとやってきました。プロマネの役割は幅広く、重要なポジションです。プロジェクトを円滑に進めていくためにリーダーシップや高度なスキル、専門知識が求められます。 私が1年生だった2019年に、ものつくり大学がNHK学生ロボコンに出場したのですが、操縦者やピットクルーという表舞台に立てなくて。その後、4年生まで大会出場を果たすことができず、ずっともどかしさがありました。NHK学生ロボコンに出場して、成績を残すために、ロボット作りよりプロマネとして何ができるかを四六時中考えてきました。 2次ビデオ撮影前の様子 -1年間のスケジュールの中で、どんなことに力を入れていますか。 【荒川】私が担当するプロマネの仕事は1年を通してずっとあります。プロジェクト全体を指揮・管理するのがプロマネです。プロマネの存在が全体のスケジュールを支えているといっても過言ではありません。 全体のスケジュール管理に加え、チームメンバーのスキルを見極める能力も必要になります。ものつくり大学のロボット製作は、設計班・加工班・制御班の3つに分かれています。私は、3つの分野の知識や技術・技能などを日頃から研究し、それをマネジメントに生かしています。例えば、ロボットの製作期間中は、設計者の進捗を見る会議を週に1度開き、設計者にアドバイスを行ったり、設計のブラッシュアップをしたりしています。制御者や加工者としての視点で加工できる形を指摘することもあり、設計者側から嫌がられる立場でもあります。 なぜ私がプロマネとして必死にやってきたかというと、かつて同期のメンバー同士で人間関係がうまくいかなくなり、プロジェクト自体の存在が危うくなってしまった経験があるからです。「自分を捨ててでもなんとか後輩に思いをつなげなきゃ」とプロマネとしての役割を担ってきました。 【川村】荒川さんがメインのプロマネだとしたら私はサブのプロマネといった立ち位置で活動しています。また、操縦者としての視点で後輩にアドバイスもしています。ものつくり大学では、プロジェクトリーダーは2年生が担当と決まっています。私は2023年のNHK学生ロボコン出場に向けてプロジェクトリーダーを務めたり、2年連続大会に出場してチームリーダーを務めたりした経験も生かしています。 私がこのプロジェクトに加わった2021年は「学生同士に壁があるな」と感じました。高校時代にプロマネに近いことをやっていましたが、コミュニケーションがうまくいっているとプロジェクトも上手くいくことを実体験として持っていたんです。いい機体を作るために会議を月1回から週1回に増やすことも私が提案しました。その結果、機体の練度も上がっていきました。 設計講習会の様子 -プロジェクトの魅力や面白さは。 【川村】メンバー内の仲の良さです。今のプロジェクトメンバーは学年の壁がなく、後輩もしっかり意見を言える空気があります。 【荒川】一番はロボットに触れられることです。100人、200人単位のメンバーで構成されている大学も多く、ロボットに触れられずに4年間が終わってしまうケースもあります。しかし、ものつくり大学のろぼこんプロジェクトはやる気次第で1年生から関われます。「ロボットに関われる」というのは大きな魅力です。2024年もNHK学生ロボコンに出場を果たしましたが、ボールをつかむロボットの機構を設計したのは、なんと1年生です。 1年生が機構を設計したR1 NHK学生ロボコン2024での成果と課題 -6月9日にNHK学生ロボコンが開催され、2年連続の出場を果たしましたがどんな成果がありましたか。 【川村】昨年に続き2年連続チームリーダーを務めました。今年は「Harvest Day」をテーマに田植え、収穫をR1(手動機ロボット)が行い、収穫された穀物の倉庫への輸送をR2(自動機ロボット)が行い点を取り合うという競技でした。 昨年は予選リーグで2敗してしまいましたが、今年は1勝できたというのが何より大きな成果です。昨年残り数秒で負けてしまったチームに勝利でき、雪辱を晴らすことができました。また、昨年はコントローラーと受信機の通信トラブルがあったため、今年はコントローラーの電波が届きやすいように受信機の取り付け位置を工夫し、トラブルを回避しました。 【荒川】出場したことが何よりの成果です。連続出場したことで分かったことがたくさんありました。例えば、会場に持ち込む工具類は昨年の多さから見れば、今年は少なく済みました。逆に、チーム紹介ビデオの制作スケジュールの管理は大変でした。 また、昨年の経験から、競技には関われない大学院生の私は、多忙な大会前の1か月をプロマネに専念しました。結果的に大学での練習量を増やすことができて、出場メンバーは自信を持って大会に臨むことができました。 -大会ではどんな課題に直面し、今後どのように解決していこうと考えていますか。 【川村】一番の課題は、ロボットを制御できる人材の不足です。現プロジェクトの制御班にはメンバーが8人いますが、メイン担当は1人です。今大会のR1とR2のロボットの両機体ともほぼ1人で作ったため、R2にリソースを割けませんでした。ブラッシュアップも十分できず、制御自体ができたのが大会の1週間前でした。 ロボットを制御できるようになるためには、実際にロボットを動かす機会が必要です。実体験を通して、自分が関わっているロボットに求められる動きや機構について理解も深まります。今後は、制御について相談できる人がいなくなるという現状を解決していきたいと考えます。 【荒川】制御担当の負担を減らすために製作時間を短くすることが課題になると思います。そのためにスライドガイド付きシリンダーや一体型になっている部品などのロボットの組み立てを短縮できる資産を増やすことも大事だと思います。また、大会会場ではコントローラーの電波障害が起きやすいので、使用されていない電波を探したり、新たな技術を使っていったりする必要があります。 R2の制御を行うメンバー 引き継ぎたい知識や技術、そして思い -これから卒業までにどのように後輩を育成し、どんなことを継承しようとしていますか。 【川村】2年連続チームリーダーを務めた経験から言うと、今のプロジェクトチームの中にチームを導ける人は少ないと思っています。リーダーには些細なことでも気付けたり、周りを見て足りないところを補ったりする力が求められます。卒業までの間に人を育てるというのが大きな役目の1つだと考えています。 また、分からないことは人それぞれで異なるため、データで残すよりは言葉で伝えることが大事だと考えます。2023年のNHK学生ロボコンに向けて1次と2次ビデオ審査に必要な動画作成を担当しました。今大会は後輩に任せ、やらせてみて、分からないことは教えるというスタンスをとりました。会話することでしか伝わらないことも多いのでコミュニケーションを通して私のスキルを引き継いでもらいたいです。 【荒川】大会に出場し続けるための思いや技術を伝えていきたいと考えています。今後チームが大会に出場できないことがあっても、やる気のあるメンバーがいればいつでも活用できるデータを残したいです。取扱説明書や制御の仕組みのテンプレートなどの作成にすでに取り組んでいます。 それから、後輩たちには、ぜひOBを頼ってほしいです。そのためにも「手伝い続けたくなるチーム」「応援したくなるチーム」を目指すことが大事だと思います。 また、大会に出場した経験を強みに、工業高校などに出向いて、デモンストレーションを実施するなどして仲間を募る活動も川村君たちプロジェクトメンバーと行っています。 -直近の目標は9月に開催される大学1年生を対象とするF^3RC(エフキューブロボットコンテスト)優勝ですが、どのように関わっていますか。 【川村】設計・加工・制御のうち、設計と制御の基礎的なところを教えています。設計のほうは、セミナーを1週間行って、実際のものを作ったりしています。特に、やる気が出るように士気を上げる環境づくりを大事にしています。ぜひリーダーには周りを巻き込んでさまざまな問題を解消してほしいと思います。 1年生向けに設計の講習の一環として、設計したコマを3Dプリンタで印刷して大会を開催 【荒川】基板・はんだ付け・制御・プログラムなどの方法を教えています。方法を教えれば道具をうまく使って応用が利くと考えています。 2022年にF^3RCで優勝したメンバーの藤野君には回路基板のはんだ付けやロボットの制御の基礎をマンツーマンで教えたことで、驚くほど成長しました。伸びる学生は伸びます。やはりやる気が大事で、やる気のある1年生をどう育てるか、また、やる気を出させるために全体のモチベーションアップもしていきたいです。 1年生の中に、プロマネの後任になれそうな学生もいます。プロマネの難しいところは、メンバーから嫌われたら終わり。プロジェクトが成立しなくなるというリスクもあります。また、その年の部員たちの個性もあるので、その個性を潰さないように、プロマネがどうあるべきか常に悩みながら関わっているのが正直なところです。 1年生に加工機の操作方法を教える荒川さん -後輩に引き継ぎたい目標や思いは。 【川村】NHK学生ロボコンの優勝ですね。過去にはグループリーグを突破して準優勝まで進んでいます。出場するだけではなく、後輩には上を目指してほしいです。 また、明るくないと士気も上がらないので、メンバーには「明るく、楽しく」をモットーにプロジェクトでの活動を大事にした環境づくりを引き継いでほしいです。 【荒川】やはり、優勝してほしいです。そして、自立してほしい。私は後輩からの「先輩もう大丈夫です」という言葉を最高だと思っていて。その言葉を聞いたら身を引きたいです。それから、「出場だけしていてはだめだよ」と伝えたいです。出場して強豪校という状態になってほしいです。 後輩たちには多くのOBたちの思いが募って今の状態があることを心に刻み、4年生の思いをつなげてほしいと思います。 関連リンク ・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!①・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!②・ろぼこんプロジェクト「イエロージャケッツ」Webページ・情報メカトロニクス学科Webページ

  • ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!② ~ピットクルー&大学院生編~

    NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、大会優勝を目標にロボット開発に必要な知識や技術を自主的に学び、ロボットを製作しているプロジェクトです。 NHK学生ロボコン2023(2023年6月4日開催)に、4年ぶりに出場し奨励賞を受賞しました。 8月8日に掲載した「リーダー&操作担当者編」に続き、ピットクルーを務めた杉山丈怜さん(総合機械学科3年、上記写真:左)、篠木優那さん(総合機械学科3年、上記写真:中左)、茂木柊斗さん(情報メカトロニクス学科2年、写真:右)と、大学院生で後輩たちをサポートした荒川龍聖さん(ものつくり学研究科1年、上記写真:左)にピットクルーの役割や試合を間近で見て感じた思いを伺いました。 ピットクルーの仕事 -リーダー・操作担当者へのインタビューでは高校生の時からロボコンに関わっているメンバーがいましたが、皆さんは?【杉山】高校生の時は関わっていないです。ロボコンを始めたきっかけは、リーダーの川村君に誘われて、大学に入って何をするか決めていなかったので、ちょうど良いなと思って入りました。やっているうちにロボットを製作するのが楽しくなってきて、今も続けています。【篠木】私も大学から始めました。元々、どの大学に進学するか検討している時に、以前ロボコンがテレビで放送された時にものつくり大学の名前を見たことを思い出しました。オープンキャンパスに参加して、ロボット製作の楽しさを知り本学に入学しました。【茂木】私は高校からロボコンに関わっています。【荒川】私もロボコンをやりたくて、ものつくり大学に入学しました。ロボコンの常連校は国立大学が多くて、私立大学でロボコンに出場している大学はあまり無いんです。ロボットを作るには100万円、200万円かかります。さらに、国立大学のロボコンチームは、毎年100人単位で入部するので、一回もロボットに触ることができない人もなかにはいます。なので、ロボットを自分の手で作りたいと思っている人には、私立大学は穴場だったりします。その中で私たちは、ロボットを完成させるための加工技術が優れている大学なので、その点が評価されているのかなと思います。レーザー加工機などは本学くらいしか使っていませんから、他大学に羨ましがられます。 -大会出場までに大変だったことや、ロボットの製作でこだわったことはありますか。【杉山】私はうさぎロボットの射出機構の設計と各機構同士の組み付けを担当しました。大変だったのは、うさぎロボットが例年のロボットに比べて小さかったため、寸法の限界値も小さく、その中に機構を収めることです。こだわった点は、リングを射出するために使うローラーを3Dプリンタやゴム等を使って自作したことです。足回りのタイヤ等も3Dプリンタとゴムチューブを組み合わせて自分たちで作りました。【篠木】私は象ロボットの制御を担当していました。象ロボットの射出機構の角度が変わらない設計でしたから、その分回転速度を変えることで同じ場所からでもリングの飛距離を変えられるようにするのに苦労しました。2次ビデオ審査を提出する前から練習を始めましたが、射出精度を高めるため大会ギリギリまで何度も数値を変えてリングを放っては修正を繰り返しました。 練習中に機体を確認する篠木さん(左) 【茂木】私は両ロボットの加工を担当しました。2次ビデオ審査に合格して、本格的にロボットを仕上げる時に、象ロボットの精度を向上させるためにリング回収機構と射出機構が全て変更になり、加工を間に合わせるのが大変でした。 -ピットクルーはテストランや試合の時はどんな事をしているのでしょうか。【杉山】うさぎロボットは、基本的に想定したとおりに動いていました。大会前日のテストランでは、射出の回転数の調整や操縦者がロボットとポールの位置を確認していました。大会当日は変更を加えて不具合が出ても困るので、回転数などは変えずに、ロボットのネジがしっかり締まっているかとか、パーツが消耗していないかを確認していました。試合中、うさぎロボットが会場の電波干渉の影響でコントロールが難しくなってしまいましたが、その場では解決できなかったので、電波の干渉があまり起きない距離まで操縦者がロボットに近づく等の対策を考えていました。【篠木】象ロボットはテストランの時点では数値や制御を変える必要も無く、上手くいっているなと思いました。他の大学ではテストラン中にロボットが暴走したり、試合中に機体が破損した大学もありましたが、私たちのロボットはそういったトラブルはありませんでした。うさぎロボットは、電波干渉で止まらなくなりましたが、ぶつかって破損することが無かったのは不幸中の幸いです。 試合前に整列するメンバー(左3人がピットクルー) フィールド外の物語 -試合中はどんな気持ちでピットにいましたか。【杉山】「頑張れ!」という気持ちで試合を見ていました。私は設計がしたくてロボコンに参加しているので、操縦は得意な人に任せて、自分はサポートに徹しました。私がロボコンを始めてから、大会で自分たちのロボットを実際に動かせたのは初めてで、その楽しさを実感しました。他大学のロボットを間近で見られたことも大きな財産ですね。【篠木】私たちピットクルーは、外から試合を見ることしかできないので、少し怖いというか心配しながら応援するしかありませんでした。何か自分にできることはないのかと歯がゆい気持ちもありました。当日まで出場する実感がなかったのですが、会場で他大学のロボットを見て、やっと憧れの大会に出ていることに感激しました。【茂木】試合中は、フィールドの3人に聞こえているかは分からないですけど、声援を送っていました。NHK学生ロボコンの出場は良い経験になったと思います。高校からロボコンに関わっていますが、やっぱりNHK学生ロボコンはレベルが違うと感じました。来年は私がロボットを操作して、チームを勝たせたいと思っています。1年生の時のF3RC(エフキューブロボットコンテスト)では操作をしていたので、自分の操作技術を上げてチームをカバーしたいと思います。 フィールド外で試合を見守るピットクルー -院生としてサポートに回った荒川さんはどんな気持ちで大会を見守っていましたか。【荒川】2019年のNHK学生ロボコンに出場して、もう一度NHK学生ロボコンに出たいと思っていましたが、叶いませんでした。後輩たちが出場しているのを目の当たりにしてくやしい気持ちもありましたが、純粋に頑張れと思っていました。ルール上、大学院生がロボット製作をサポートすることはできないのですが、1次ビデオ審査や2次ビデオ審査の振り返りの時はアドバイスをして、ミーティングには参加していました。 練習中にアドバイスをする荒川さん(左) -体育館で練習をしている後輩を見ていてどうでしたか。【荒川】このまま上手く行けば良いところまで行けそうだとは感じていました。でも、大会を見ていて、電波干渉とか、ロボットが動かなくなるとかそういった会場でのトラブルは経験の差が出てしまうと思いました。私たちが2019年に出場してから、しばらく途切れてしまったのが悪いよなって。連続して出場できていれば、電波干渉も過去に経験していたかもしれません。やっぱり、出場し続けることが大切なのだと感じました。 -荒川さんが出場した2019年大会と比べて、今回の大会で何か感じたことは。【荒川】メンバー全体で設計の質や効率化について考えることができるようになってきました。後は、メンバー同士のコミュニケーションが変わりました。良くも悪くも学年関係なしに仲が良いので助かっています。以前は先輩後輩を意識していた感じでしたが、今は先輩にも容赦なく意見が飛ぶようになりました。特にここにいる茂木君とかは(笑)。 優勝に必要なこと -ピットクルーの皆さんは大会で何か課題を感じましたか。【杉山】今回、うさぎロボットは2台の試作機を作りましたが、他大学は何種類も試作機を作って戦略や戦術に沿った機体や機構を作っていました。例えば、ひたすら早く動くことを戦略にした場合、それに一貫した設計ができるようになれば、勝てる機体が作れると思いました。私たちもスケジュール管理をしっかりして、どんどん試作機の設計を進めていかなければならないと感じています。後は、設計についてもっと勉強して、強度を確保した上でコンパクトな機構を考え、基盤のスペースをもっと確保できるようにしたいです。【篠木】他大学の制御は半自動で効率化された動きですが、本学は完全手動なので、自動化していかないと他大学に追いつけないと感じています。私はプログラムに特別詳しいわけではないので、とにかく勉強するしかありません。センサーについても他大学は性能の良いセンサーを使っています。ただ、性能は良くても処理する技術がないと実力を発揮できないので、そういった点が課題になっていくと思います。【茂木】私たちは大体のパーツを自分で作っていますが、もっと既製品を使っていく必要があると思います。既製品を使えば効率的だし、規格が決まっているので代用がきくというメリットがあります。今までは金銭不足や自分たちで作りたいというこだわりで自作してきました。自作パーツのメリットは、設計に合わせて既製品にはない寸法のパーツを作れるところです。歯車一つにしても既製品を買うのか、3Dプリンタで作るのか。ちょっとの寸法のズレで誤差が生じてしまいます。どちらも一長一短がありますが、そこをもっと考えていきたいです。【荒川】実は、技術継承という意味でも既製品を使った方が良くて、「買える」というのが強いんです。自分たちで作る場合、技術が継承されていなかったら作れなくなってしまうリスクがあります。それならば、自分たちで作れる物の他に変える部品を増やしていったほうが良いのかなと思います。それと、今は予算がちょっと増えて、買える物が増えたから気になるものをバンバン買って、来年に向けて色々試している状況です。 関連リンク ・ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!① ~リーダー&操作担当者編~・NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」Webページ・情報メカトロニクス学科Webページ・学生ロボコンWebサイト

  • ロボコンはスポ根だ!優勝目指してひた走れ!① ~リーダー&操作担当者編~

    NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、大会優勝を目標にロボット開発に必要な知識や技術を自主的に学び、ロボットを製作しているプロジェクトです。 NHK学生ロボコン2023(2023年6月4日開催)に、4年ぶりに出場し奨励賞を受賞しました。 今回は、チームリーダーの川村迪隆さん(総合機械学科3年、上記写真:中)、ロボットを操縦した岡本恭治さん(総合機械学科4年、上記写真:右)と藤野楓土さん(情報メカトロニクス学科2年、上記写真:左)に、大会出場に懸けた思いやこれからの目標をインタビューしました。 NHK学生ロボコン2023の競技ルールなどは以下のリンクをご参照ください。 【NHK学生ロボコン2023ルール動画】 https://youtu.be/eEnqrpgW8jU Road to NHK学生ロボコン2023 -4年ぶりのNHK学生ロボコンでしたが、出場が決まった時はどんな気持ちでしたか。【岡本】2021年度、2022年度と挑戦してきました(2020年度は新型コロナの影響でオンライン開催)がどちらも本戦には出場できず、私にとって今年がラストイヤーでしたから、出場決定の報せをチームリーダーの川村君から受けたときは、純粋に嬉しかったです。 【川村】私は高校生ロボコンに関わって、全国大会にも出場経験がありました。全国大会でしか味わえない緊張感を大学生になっても経験したいと思っていました。私はリーダーとして、大会事務局からの出場決定の連絡が届くまで毎日メールをチェックしていました。出場決定の連絡を何度も何度も確認しました。念願の大会にやっと出場できることを確信して感無量になりました。それからは、メンバー全員で出るからには結果を残そうという思いで頑張りました。 【藤野】私は中学・高校とロボコンに関わっています。なので、大学生になったらNHK学生ロボコンに出場することを目標として、大学を受験しました。本戦出場が決まった時は寮の自室でくつろいでいたのですが、メールを見た瞬間「え?マジ?よっしゃー!」って叫んでいました。そこでスイッチが入り、大会までに何をするか、どこを改善するか問題点を洗い出していました。高校生の時にロボットアメリカンフットボール大会の全国出場権があったのですが、残念ながらコロナ禍で大会が中止になりました。このまま終わってたまるかと、初めての全国大会で晴れの舞台だし、全力でいこうと意気込みました。 -本戦出場が決定するまでに苦労したことはありますか。【岡本】私は象ロボットの設計を担当しました。印象に残っているのは2次審査のビデオ提出締め切り前夜に、射出機構の角度を変更したことです。それまでは、射出口に対してリングを直角に送り出していたのですが、リングの射出距離が安定していませんでした。改善策をずっと考えていて、締め切り直前に角度を無くして水平にリングを送ってみたら、距離の差異が無くなりました。締め切り直前でCADの設計は間に合わないから、現場合わせでやることになるけど変更するか?というギリギリの選択でした。結局、ビデオの撮り直しはせずに、2次審査に通ることを前提にして作業を進めておき、2次審査が通ったらすぐに対応できるようにしていました。 【川村】個人的に大変だったのはビデオ審査の動画編集です。1次審査、2次審査とも私が編集を担当しましたが、今まで動画の編集をしたことが無かったので手探りで進めました。1次、2次とも5分の動画で、1次ではどういう機構を使うのかを紹介。2次では、ロボットの動きを見せて、1次からの変更点を紹介しました。自分たちのロボットを良く見せるためにどうやって撮影するか、編集はどうするかなど、他大学のYouTube動画などを研究しました。2本のビデオ制作にかかった時間は撮影・編集を含めて18時間ほどです。 【藤野】私は、うさぎロボットの制御や基盤をほとんど一人で担当していました。センサーで読み取って射出機構の回転速度を一定にさせるプログラムを急きょ導入しましたが、しっかりした制御システムが成り立っていない状況でプログラムを打ち込んでいたため、練習コートで調整しようとしてもなかなか上手くいかなくて苦労しました。リングを飛ばすローラーが、目標の回転数に到達するまでの時間を短縮させるため色々と手を尽くしましたが、私だけの知識ではなかなかできないこともありました。テストでは動いていたのに、ロボットに搭載したらセンサーの取り付け位置が変わって上手くいかないこともありましたし、ローラーなどの部品を付けて負荷がかかるとテストの時と変わってしまってセンサーが全く計算してくれないこともありました。大会直前まで何度も調整を繰り返していました。 練習中、動作を確認する藤野さん 予選リーグ第1試合 VS大阪工業大学-予期せぬトラブルの連続 【川村】1試合目は、象ロボットがまず手前のポールにリングを入れて、次にセンターエリアの手前の2本を狙い、最後に中心の1本を狙う予定でした。その間に、うさぎロボットがセンターエリアの奥の2本を狙う作戦でした。 今大会のフィールド ですが、象ロボットのリングが詰まってしまい、思うようにいきませんでした。練習では安定して動いていて、大会前日のテストランも問題は無かったのですが、いざ本番になると会場の雰囲気にロボット達も呑まれたみたいで、練習どおりに動かず焦ってしまいました。象ロボットが何発か放った後に詰まってしまい、さらに動かなくなってしまったのは致命的でした。 【岡本】リングが詰まった時はどうしようかと思いましたけど、リトライして再装填すれば数発は放てたので、いかに少ない発射数でポールに入れるかということだけを考えていました。 【藤野】うさぎロボットは会場の電波干渉の影響でコントローラーの電波がロボットに届かなくなり、ロボットが止まらなくなってしまった時は「なぜ⁉」って思いました。直感でコントローラーの電波が届いていないのかと思って、ロボットに近づいたら少しは操作できるようになりましたが、根本的な解決方法が無くて思うように操作できませんでした。 予選リーグ第2試合 VS長岡技術科学大学-今大会随一の大接戦 【岡本】長岡技術科学大学のロボットはリングの連射性能が凄かったので、これはもう「チェイヨ―(8つのポールの得点を全て獲得した状態)」されるかもしれないと思ったので、1試合目とは作戦を変え、相手にチェイヨ―させない戦略に基づいてセンターエリアのポールから狙いました。最後の最後で逆転されてしまいましたが、割と上手くいっていたと思います。 残り数秒まで大接戦だった第2試合 【川村】私は岡本さんの側で象ロボットが狙うポールの指示を出していて、藤野君には、象ロボットが狙っているポールとは別のポールを狙うよう指示していました。割と落ち着いて指示を出せていたと思いますが、会場の歓声で指示が伝わらないこともありました。これは来年度に向けての反省点です。 残り時間を確認しながら指示を出す川村さん(左) 【藤野】電波干渉の問題は2試合目も対策ができず、少しでもロボットに近づいて電波が届くようにするしかありませんでした。練習で想定していなかったトラブルが起きて、事前に考えていた作戦もできずパニックになってしまいました。 これからも優勝を目指して-We love スポ根 -練習の時、川村さんの楽しそうな表情。そして、予選で敗退した時の悔しそうな表情が印象的でした。リーダーとしての意気込みはどうでしたか。【川村】練習は、皆が楽しくできる環境にしたいと思っていました。高校生の時にロボットの操作を担当していて、嫌々やるより楽しくやった方がチームとして相乗効果があったので、今回も「楽しく練習する」をモットーにしていました。後は、メンバーが一人で抱え込まないようにコミュニケーションを取ることを心がけていました。本戦では、長岡技術科学大学が1試合目で勝っていたので、勝てれば1勝1敗で並び、予選突破の可能性が出てくるので何としてでも勝ちたいと思っていました。ところが、残り数秒で負けてしまい、他大学との実力の差を目の当たりにしました。負けず嫌いな性格も相まって悔しさが表情に出てしまいましたね。 体育館での練習の様子 -藤野さんはF3RC(エフキューブロボットコンテスト)優勝のメンバーですが、何か違いを感じましたか。【藤野】まず、観客が多くて会場の雰囲気がF3RCとは全く違っていました。競技は点の取り合いになる試合形式なので、相手からのプレッシャーが凄いです。また、ロボットのレベルが全然違っていました。NHK学生ロボコンは投てき競技が多いのですが、F3RCは投げることはあまり無いので考え方を大きく変える必要がありました。F3RCでやった事と同じやり方では太刀打ちできないことを実感しました。中学生の頃からロボットを作り続けていますが、大会に出る度に段々と難易度が上がり、アイデアの出し方や違う考え方がある事を思い知らされています。2年生のうちに本戦を体験することができて、いろいろな課題を見つけられました。残りの2年間は課題解決に全力を注ぎたいです。 -岡本さんは学生生活最後の年につかんだ出場でしたが、どのような思いで大会に臨みましたか。【岡本】4年生にして初めて出場できたので「あぁ、やっとか」という思いでした。1年生の時は新型コロナがまん延し始めた時で、ロボコンプロジェクトに参加できたのは夏からでした。NHK学生ロボコンもプレゼン形式のオンライン開催でした。2年生の時は無観客で開催されましたが、出場校が通常時より絞られていて私たちは本戦には出場できませんでした。3年生の時は2次ビデオ審査で落ちてしまいました。今大会では、ロボットの性能を最大限活かした操縦を心がけました。設計者だからこそ、特性の理解から特長を活かしつつ、短所も補いながら操縦することを念頭に置いて挑みました。後は、大会を少しでも盛り上げられるようにと思っていました。チーム紹介のビデオに出演しているのですが、顧問の三井先生がストーリーを考えて、私がロボットにされました(笑)。撮影の時は川村君と先輩がいたのですが、何回もダメ出しされて、階段を落ちるシーンは先輩の演技指導を受けながら10テイクくらい撮りました。 https://www.youtube.com/watch?v=IeIpz_GShx4 NHK学生ロボコン2023 チーム紹介動画 -今回出場して得られたものは。【岡本】技術面で言えば、他大学のロボットを間近で観れたことです。他大学は独立ステアリングを用いていて、足回りが強化されていたので、私たちも導入しようと取り組み始めました。独立ステアリングは、操舵と駆動を別々のモーターで制御して、進行方向にタイヤの向きを揃えることができ、タイヤの駆動力すべてを移動に費やせるため高速移動が可能になります。試合の仕方では、他大学は迷わずリトライをしていたのが印象的でした。私たちは4年ぶりの出場で経験者が少なかったのでリトライをした方が良い状況でも、もう一機のロボットが動いていたらリトライを躊躇して行動が遅れることがありましたね。 【川村】大会の雰囲気を感じて、場慣れできたことが大きいです。前回出場したのが4年前で、大会の進行が分からず、他大学の人に「どうしたらいいんですか」とか質問して右往左往していましたが、今回出場したことで後輩たちに伝えていけます。また、SNSで他大学同士が交流している様子を見て、私たちも技術を向上させるためにもっと交流会に参加しないといけないと思うようになりました。これまで、他大学主催の交流会に参加させてもらっていましたが、今後は私たち主催の交流会を開催したいです。 【藤野】過去のNHK学生ロボコンや高専ロボコンの映像を結構見てきましたが、他大学のロボットを直に見て、もう今までとは違うレベルに進んでいることが身に染みて分かりました、今の自分たちの技術を使いまわしているだけでは駄目だなと。新しい事に挑戦しないと今使っている技術もいずれ古くなり、他大学との差がさらに開いてしまいます。これから私たちが勝つためには、他大学の先を行く考え方や技術が必要です。 -優勝を目指すために変えていきたいところは。【川村】アイデアをしっかり再現できるように技術力を向上させていきたいです。今はインターネットから色々な情報を得られる時代ですから、情報収集をして、アイデアどおりに加工できる技術を身に付けていきたいと思っています。 【藤野】設計、加工、制御の3つの班のうち、私が所属する制御班の強化が必要だと思っています。制御班は人が少ない上に、技術が進化し、覚えなくてはいけないことが莫大になってきています。センサーの扱い方やプログラムの仕方も以前より複雑になっていて、プログラミングの経験が無い人が学ぶには範囲が広すぎる状況になっています。だから、初心者にも分かりやすく教えて、後輩を育てたいです。また、今までのプログラムのデータを再利用できるようにマニュアルを残していきたいです。 【岡本】資料をしっかり残すことです。プログラミングも設計も、ちゃんと動くシステムや機構をデータとして残しておけば、後輩も「このデータを使えば絶対に動くんだ」と安心して設計できます。そうすればもっと精度の高いロボットを作れるようになっていきます。これからも私たちはNHK学生ロボコン優勝を目指して活動を続けます。ものつくり大学に入学したら、ぜひロボコンプロジェクトに参加してください! 関連リンク ・ロボコンはスポコンだ!優勝目指してひた走れ!② ~ピットクルー&大学院生編~・NHK学生ロボコンプロジェクト「イエロージャケッツ」WEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ・学生ロボコンWEBサイト

  • フラワーデザインアートで駅利用者をHAPPYに!

    デザインフェスタ等への展示製作活動を行っている、ものつくりデザイナーズプロジェクト「MDP」は、鴻巣市と鴻巣市観光協会から依頼を受け、地域の魅力発信を目的にしたフラワーデザインアートを制作しました。 2021年度は鴻巣高校、鴻巣女子高校の美術部と協力してJR高崎線鴻巣駅に制作し、2022年度は吹上秋桜高校の美術部も加わり、JR高崎線吹上駅に制作しました。作品は現在も両駅舎を彩っています。 吹上駅のフラワーデザインアートを制作した当時、リーダーだった松本拓樹さん(総合機械学科4年、上記写真右)と、新リーダーの内田颯さん(情報メカトロニクス学科2年、上記写真左)に作品制作について伺いました。 フラワーデザインアートについて 【内田】私たちが手がけるフラワーデザインアートを町おこしの一助にしたいというのが一番の思いでした。そして、鴻巣、吹上の代表的な花や、コウノトリなどを取り入れて華やかにしたい。そういう思いを作品に込めました。吹上駅の作品は、吹上の代表的な花であるコスモスをふんだんに取り入れました。北口、南口の欄間に飾った作品にはその出口にある象徴的な風景を取り入れて、パッと見て方角が分かるように意識しました。北口には元荒川の桜並木を、南口には荒川に架かる水管橋をデザインしています。 【松本】関係者全体の会議で、以前の吹上駅は「北口」「南口」の表示が見づらかったので、大きく表示したいという意見から、北口、南口にある風景を絵にすれば直感的に分かりやすくなるのではという意見が出てデザインが決まっていきました。 デザイン検討の打合せ   南口の欄間に飾られている作品   北口の欄間に飾られている作品 制作過程について 【松本】私たちMDPは、ディレクターとして高校生たちが描いた絵をまとめていきました。一昨年の鴻巣駅の時は、高校の美術部にはレイアウトまでは考えてもらっていませんでした。今回の吹上駅は吹上秋桜高校も加わったこともあり、北口と南口に飾る絵については、各高校からどんな雰囲気で作りたいのか分かるように、ある程度のレイアウト案を考えてもらいました。その上で、3校の美術部には、自由に絵を描いてくださいとお願いしました。 【内田】高校生が紙に描いた絵を一枚一枚、私たちがスキャンしてデータ化しました。白地に描かれている背景を透過して、描かれた花をコピーして反転させたりして、見ていて飽きないように配慮しながらレイアウトしていきました。北口の桜についても、一枚の絵からピンクや白で濃淡をつけてランダムに配置しています。単調にならないように加工したのが特に苦労したところです。 【松本】北口の絵は、高校生から提案されたレイアウトが想定より小さかったんです。そのままでは、絵がスペースの半分もいかないくらいで終わってしまうので、不自然にならない程度に引き伸ばしました。空白を埋めるために桜を多くしたり、最初のレイアウトには無かった灰色のグラデーションを加えたりして整えました。改札を出て左手の柱に飾った作品は、3校に描いてもらった花を私たちでレイアウトしました。この作品は作業量が多く、特に大変でした。四季をイメージして柱を飾るということは決まっていましたが、柱が細いのでどうやって四季を並べるか苦心しました。4面を1面ずつ四季にして並べる案などが出ましたが、最終的に螺旋で四季が流れていくようなデザインになりました。下の方は春をイメージしてパンジーを並べ、真ん中あたりは夏をイメージして向日葵を配置しています。柱に貼る時は、一面全部に絵を描いた状態で柱に巻くことになっていたので、両側の絵が揃うように処理をしています。   改札付近の柱の作品 【内田】窓に貼ったイラストは、当初はステンドグラス風にする予定でしたが、それでは光が遮られてしまい、駅構内が暗くなってしまうため実現できませんでした。イラストの線が細すぎると目立たないし、色をつけると光を遮ってしまうし、折り合いをつけるのに苦労しました。最終的には色の無い線画に落ち着きましたが、できれば色をつけたかったなと思います。普段のプロジェクトの活動であれば、発想を広げることを重視して好きなように作れますが、今回のように公共の場に飾る作品となると様々な制約があることが分かり勉強になりました。       鴻巣女子高校の作品     鴻巣高校の作品     吹上秋桜高校の作品 【内田】今回、作業量が多かったのですが、前例があるというのは非常に助かりました。絵をスキャンしてデータに取り込む方法などは先輩が資料として残してくれていたから作業を効率的に進めることができました。作業は手順どおりにやればできたのですが、鴻巣駅より作業量が多かったため、その作業を一つひとつ終わらせていくことが大変でした。 【松本】鴻巣駅の作品は自由通路の両側に作品を展示していて、一枚の絵を分割して作りました。しかし、吹上駅では絵を3枚制作し、窓に貼るシールの制作もあり、複数の作業になりました。さらに、制作時期が高校の文化祭や私たちの碧蓮祭と重なっていました。高校生も私たちも文化祭で展示する作品の制作もあったので、フラワーデザインアートの制作スケジュールが圧迫されていました。高校生は期末テストもあり、その時期は打合せに参加できない高校生もいたから、意見をまとめたくても思うようにいかないことがありました。   鴻巣駅自由通路に飾られている作品①   鴻巣駅自由通路に飾られている作品② フラワーデザインアートの見どころ 【内田】やっぱり、改札付近の柱の作品です。春夏秋冬をできる限り表現して、どの方向から見ても楽しめるようにレイアウトを考えたので、一周ぐるりと回って見ていただきたいです。この柱は3校が描いた絵でできています。絵のタッチが花によって違っていますが統一感を出せたと思います。それから、欄間に描かれている水管橋や元荒川の桜は、その方向に降りれば現物がありますから、ぜひ見に行っていただきたいです。 【松本】実は、北口の絵にものつくり大学を描くという案もありましたが、コンセプトがフラワーデザインアートだっため人工物より花をたくさん入れたいということもあり、ボツになりました。 【内田】制作中は、見ていて飽きない作品にするということを大切にしていました。町おこしとして協力させていただいているので、デザインに偏りが出ないようにすることも気をつけていました。現場では制約が多く、最初の構想と変わってしまい、断念したこともあるので、もっと華やかにできたという思いはあります。その中で、最善策を探して調整しなくてはならないということが分かりました。きっと、社会に出ても同じようなことは多々あると思いますが一足先に学べました。 【松本】大学でも授業やプロジェクトの活動で展示作品を作りますが、公共の場に展示され、なおかつ大規模な作品の制作に携わったことはありませんでしたから、すごい経験をさせていただいたと思います。それに、MDPだけではなく、鴻巣市の方々や高校生が関わっていて、スケジュールが厳しい中で無事に完成させることができ、リーダーとして安心しました。 【内田】私たちの通常の活動は、個人の自主的な活動が多いので、人をまとめて作業を進めるのは大変でした。だからこそ、プロジェクトとして一丸となって一つの大きな作品を作るというのは新鮮でしたし、皆でものを作る大切さを感じました。学内で限られた人だけに見られる作品と、不特定多数の人の目に触れる作品では達成感が違いました。両駅を利用している市民の方々に少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。フラワーデザインアートは鴻巣駅と吹上駅の2か所で終わってしまいましたが、リーダーを引き継いだ今、共通目標が無くなってしまったので、皆が団結できるようなものを作れないか模索しているところです。目標があると達成するための意志というか、やる気が湧いてくるから、それでプロジェクトが活発になると良いなと思っています。 関連リンク   ・ものつくりデザイナーズプロジェクト「MDP」WEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 4年間しかない学生時代だから、とことん学びたい

    1年生が入学してキャンパスに活気が戻ってきた4月。製造棟の廊下には、「学生プロジェクト総合案内所」が設置されていました。情報メカトロニクス学科には、学生が主体となって興味のある分野について企画・製作・研究などを行う学生プロジェクトが8団体あります。総合案内所の設置を企画し、1年生を積極的に勧誘する小林駿祐さん(総合機械学科3年)は、3つの学生プロジェクトに所属しています。なぜそこまで精力的に活動するのか。小林さんを突き動かすものは何か。まるで遊びのような感覚で学んでいるという小林さんに、学生プロジェクトの魅力、ものつくり大学の魅力を伺いました。 3つの学生プロジェクトに挑戦 現在は、学生フォーミュラプロジェクトの活動がメインですが、1年生の時に、学生フォーミュラプロジェクト「MONO Racing」、宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」、スターリングエンジンプロジェクト「MSEP」の3つの学生プロジェクトに参加しました。3つのプロジェクトに参加した理由は、加工に興味があって、それぞれのプロジェクトで違った加工機や材料について学べることと、自分に向いている事は色々やっていくうちに分かってくると思ったからです。プロジェクトを掛け持ちする学生は他にあまりいないので、先輩にお願いしたところ「大変だと思うけどとりあえず入ってくれると嬉しい」ということで、参加することができました。 各プロジェクトにはそれぞれ個性があります。「宇宙研究開発プロジェクト」は、1年生教育に力を入れていて、SOLIDWORKSという設計ソフトを動画を使いながら学びました。また、成績優秀な先輩も多かったので、授業のことも教えてもらっていました。 宇宙研究開発プロジェクトのメンバーと 「スターリングエンジンプロジェクト」は、小さい部品を旋盤で加工するような職人的な技術が身につくと思って参加しました。設計ソフトについても、Fusion 360を使っていて、使えるソフトが増えました。3年生になった現在は、あまり活動に参加していませんが、スターリングエンジンプロジェクトの活動で分かったのは、私がやりたい事は一人で加工してものづくりをするよりも、皆で1つのものを作り上げることだという事でした。 Fusion360で設計したスターリングエンジンの図面 「学生フォーミュラプロジェクト」は、オープンキャンパスに参加した時に知りました。元々、乗り物が好きで、高校時代にEne-1という単三電池40本で人が乗った車を走らせる大会に参加していました。高校時代と違い、フォーミュラの製作には費用がかかります。スポンサー交渉も学生が行うなど、社会とのつながりが多いプロジェクトなので、やりがいも大きいです。1年生の頃は、当初の希望どおり加工を担当していました。先輩から旋盤やフライス盤を教えてもらい、設計ソフト同様、授業の前から使えるようになっていました。 3つのプロジェクトに参加してからは、忙しいというよりも充実感が上回っていました。はじめは、プロジェクト活動と学業の両立に不安を感じていましたが、先輩たちが課題について教えてくれるので、どんどん部室に行くようになっていきました。家で課題をやっていても分からないところがあると諦めてしまい、全然進まないんです。それが、部室だと先輩に質問できるし、疲れた時は息抜きに友人や先輩と食事に行ったりしました。 プロジェクトでは課題や授業に近いことをやっているので、授業もすぐに理解できます。課題が出ても、すでにプロジェクトで経験していて、スムーズに終わらせることができ、「よし。プロジェクト行こう」ってこともありました。 加工に興味があったはずが・・・ 2年生になってからは、学生フォーミュラでEV車を作るために電気系統を担当するようになりました、高校からずっと加工ばかりやっていて、大学でも加工をやりたいと思っていたのですが、いつの間にか、電気に興味を持ち、調べていくうちに楽しくなってしまいました。今は回路の異常を検知して電源が切れるような、安全を守るための回路を設計しています。学生フォーミュラはレギュレーションが決まっていますが、回路の細かいところは自分たちで考えて作るため、何の部品を選んでどういうふうに作るか、条件はどうするのかといったことを考えています。 今年の学生フォーミュラ日本大会ではEV車を走行させることを目標に頑張っています。EV車は多くの回路を設計しなければなりません。また、多くの法則やコツが必要なため難しく、先輩たちから引き継いでいる技術もありますが、未開拓なことも多く、調べながら進めています。それで解決策を見つけられた時は楽しいです。これが大学の授業になると話は変わってくると思いますが(笑)。やりたい事だからできます。壁にぶつかった時に、やらされているとか、人のせいにしてしまうと失敗した理由も人のせいにしてしまうから、「失敗は成功の元」なのに成長につながらないと思っています。それに、せっかく学ぶのであれば楽しく学びたい。学んだことをプロジェクトに使えるように考えながら授業を受けたり、勉強したら実現したかったことができるようになったり、ワクワクしながらだと授業にも身が入ります。 最終的には、これまでに学んできた知識を生かして、フォーミュラに入っているシステム全ての指揮を執って作り上げたんだと言えるようになりたいです。色々勉強して、やっとできたというものを形として一つ残せるというのがすごい楽しみです。 学生プロジェクトの魅力 ものつくり大学に入ったのなら、学生プロジェクトに参加しないのは「もったいない」と思います。大学には多くの加工機がありますが、授業の中だけでは深く学べないこともあります。プロジェクトに参加すれば、授業以外にも加工機に触れる機会が多くなります。家で遊んでいるのは、もったいない。学生時代は4年間しかなくて、せっかくものつくり大学に入学したなら使い倒したいなって思います。 学生フォーミュラはチームとして1台の車体を作り上げていくので、メンバーに迷惑をかけないために失敗は避けなくてはいけないのですが、例え失敗してしまっても自分一人の責任にはなりません。皆でカバーし合える。チームで1つのものを作る醍醐味があります。社会人になる前に、失敗を恐れず挑戦できる、色々試せるというのは自信につながります。 もし、学生プロジェクトに入ろうか迷っている人がいたら、やらずに後悔するよりも挑戦してほしいと思います。例え失敗したとしても次にどんどん生かせます。「挑戦と失敗を恐れるな。次に行こう」と伝えたいです。 充実した加工機と幅広い学び そもそも、ものつくり大学を選んだ理由は大きく分けると2つあります。1つは学生フォーミュラプロジェクトに参加したいということ。もう1つは、オープンキャンパスで加工機の種類の多さを見てびっくりしたということです。高校の授業では教科書で様々な加工機を見ましたが、写真では「ふーん。色んな加工機があるんだな」って思うくらいで実感がありませんでした。その後、進学を考えた時に色々な大学のオープンキャンパスに参加しました。他大学には教科書で見たことがあるような加工機が1台くらいはありました。でも、ものつくり大学には教科書に載っているような加工機がほぼ全て揃っていて、「おぉ~!色々な技術が身につけられるじゃん!」って思いました。こんなに多くの機械に触れることができるのなら、入学する意味があるのではないかと思いました。 今、振り返って思うことは、ものつくり大学を面白いと感じたのは、鋳造から始まって最終的に製品になるまでの一連の工程が大学内で完結しているところです。他大学には加工機はあっても、前後の工程のつながりを感じませんでした。自分が今加工しているものがどういう部品になるのか、元々の材料は何なのかという製造の流れが紐づいていくところが魅力的でした。 入学してから2年が経って、実際に色々な加工機を操作していくうちに、技術の幅を広げることを意識するようになりました。幅広く学んでいた方が色々なことを吸収できると感じています。だから、やりたい事が何となく決まっている人たちに、ものつくり大学は向いているのかなと思います。加工を学びたいと思って入学して、ずっと加工をやるんだろうなって思っていましたけど、途中で電気に興味を持っても学べる。機械も電気も設計も学べて、途中で路線変更ができる学びの幅が広い大学だと思います。 これからの目標 小さい頃から図工や美術やデザインなどが好きで色々作っていて、想像しているものが形になっていくことを楽しんでいました。しかし、大きくなるにつれ、想像していることに対して技術が追いつかなくなっていきました。それから、工業系の高校に入学して金属という新しい材料を学んで、硬いものや大きいものを作れるようになって。大学では、樹脂も勉強してプラスチックでものを作れるようになりました。学生プロジェクトに入ることによって、コミュニケーションやマネジメントも学んで、時間の足りなさを人で補えるようになり、どんどん大きくて複雑なものが作れるようになっています。目標は、アイデアをそのまま形にできるようになることです。 関連リンク ・学費以上の経験が得られる⁉学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは・学生フォーミュラ「MONO Racing」・宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」・スターリングエンジンプロジェクト「MSEP」・情報メカトロニクス学科

  • でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテストで優勝!-

    宇宙開発研究プロジェクト「MAXS」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、ロケットの構造や制御、整備、運用体制を学生が主体となって学んでいるプロジェクトです。 第19回種子島ロケットコンテスト(2023年3月2日~3月5日開催)に、6チームが参加し、ロケット部門の種目3「高度※」で優勝、種目2「ペイロード有翼滞空※」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞しました。 「高度」で優勝した機体「KYLEEROCKET-Ⅱ」をチームの中心となって製作したのは、ボートライト 海里さん(情報メカトロニクス学科2年)です。機体製作で工夫したことや初めてロケットコンテストに出場した印象などを伺いました。 最後にはロケット打ち上げの様子を動画で見ることができます。そちらもぜひご覧ください。 幼い頃のワクワクが蘇ってロケット製作へ 工業高校に通っていて、高校生の時から親にものつくり大学を勧められていました。大学進学はあまり考えていませんでしたが、宇宙開発研究プロジェクト(以下、宇宙研)というロケットを作っているプロジェクトがある事を聞きました。その時、幼い頃の記憶がふと蘇ってきました。当時の私はアメリカに住んでいて、広い平野の一角で、父が趣味で全長1mくらいの小さなロケットを打ち上げていました。その光景を見て「ロケットって楽しそうだな」と思っていました。親から勧められた進学でしたが、ロケット目当てに入学し、宇宙研に参加しました。 高校生の時は電子の勉強をしていて、CADは苦手でしたが、ロケットを設計するようになってからは苦手意識がなくなりました。宇宙研は1年生教育がしっかりしていて、入ってすぐにCADの勉強をさせてもらえます。特に、ロケットのトップの部分などは、SOLIDWORKSという3DCADソフトで作ります。CADだけではなく、ロケットの翼の部分はレーザー加工機でバルサ材から切り出して作っています。 種子島ロケットコンテストについて 種子島ロケットコンテストは、小型のモデルロケットを打ち上げる大会です。競技はロケット部門とCanSat部門に分かれています。私はロケット部門の4種目(「滞空・定点回収」、「ペイロード有翼滞空」、「高度」、「インテリジェント」)のうちの1つ「高度」に出場して、優勝することができました。この種目は、大会が支給する高度測定装置をロケットに搭載して、どれだけ高く飛ばせたかを競います。 競技のルールとして、打ち上げた後に機体からパラシュートが開かなかった場合や、落下途中に機体が分離してしまうと失格になります。また、射点から半径400m以内に落下しなかった場合も失格です。それから、高度ロケットは高度計や位置情報を把握するビーコンをロケットの先端に収納するのですが、落下した衝撃で中の機材が壊れたら失格になる可能性もあります。だから、他の部門のロケットに比べて頑丈に作る必要があります。 競技以外にも技術発表会があり、3分という限られた時間の中で機体のプレゼンテーションをします。その後、実行委員から技術面について質問を受けます。技術発表会は大会の結果にも影響があります。晴天であれば、ロケットを打ち上げた結果で順位が決まりますが、雨で競技が中止になってしまった時はこのプレゼンテーションで決まります。だから、必死です。 宇宙研から出場した機体たち(最奥が「KYLEEROCKET-Ⅱ」) 優勝よりも記録を狙った機体づくり 初期デザインや設計計画書の作成は2022年度卒業の先輩に手伝ってもらいましたが、その他はほぼ一人で作りました。他にもチームメイトはいたのですが、他のプロジェクトが忙しかったり、アルバイトが忙しかったりしてなかなか来れなくて。だから、機体名も自分の名前から取って「KYLEEROCKET-Ⅱ」と名付けました(笑)。コンテストの前の試し打ちや機体の改良、技術発表会のプレゼンテーション資料の作成などもほとんど一人でやりました。機体の改良は先輩が残してくれた初期設計を元にして、自分で設計しながら作り上げていきました。 ロケットは打ち上げた後、落下時にバックファイアが開くのですが、初期デザインではチューブの細いところから出る設計でした。試し打ちした時は、展開せずに自由落下して壊れてしまったり、そのまま飛んでいって機体を無くしてしまったりしました。コンテストが迫ってくる中で、このままではいけないと思い、もっとチューブが太くなっている位置からバックファイアを出るようにデザインし直したら、上手く開くようになりました。 改良後の機体 また、機体の強度を上げるために、尾翼のバルサ材を硬化樹脂でコーティングして、落ちても割れないようにしました。他の部分にも硬化されたガラス繊維を使って、軽くて硬い機体を製作しました。それから、フィンの形状も工夫しています。ロケットのシミュレーションが可能な「オープンロケット」というアプリで、遊び心でデザインしてみたら今までで一番高く飛ぶという結果が出ました。たまたまだったのですが、よく考えてみると、先端の方が急な角度になっていて打ち上げた際に空気抵抗を受けにくいデザインになっていました。 今回の機体は、シミュレーション上は319mの高さまで飛びます。大会では280mくらいの高さでした。過去に優勝した機体は500m近くまで飛んだ機体もあって、今回の大会でも私の機体より高く飛んだ機体もひょっとしたらあったのかもしれません。しかし、他のチームは高く飛んでも機体が壊れてしまったり、強風に煽られて紛失したりして失格になってしまったチームも少なからずありました。その結果、私の機体が優勝ということになりました。初めての大会ですから、優勝を狙うよりも記録を残そうと思って頑丈に作っていましたが、それが結果として優勝につながりました。だから、優勝するためには高さをだすことも重要ですが強度のある設計も必要です。優勝した後も機体の改良を続けていて、5月に開かれるプロジェクト内の部内戦でその機体を打ち上げたいと思っています。 初めて大会に出場してみて 初めてロケットの大会に出場しましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。競技の他にワークショップという、自分の機体を他の参加者にアピールできる時間があり、その時に私のロケットに興味を持ってくれた人が何人かいました。競技の時も話しかけてもらえて、表彰式の時に「何でこのフィンの形にしたの?」とか質問攻めでした。初めての大会で、1年生でチームのリーダーとして出場できて、優勝できるって言葉にならないくらい嬉しいです。 種目2「ペイロード有翼滞空」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞したチームとともに 種子島まで宇宙研のメンバーと行って楽しい思い出もできたかと思われるかもしれませんが、大会のことで頭がいっぱいですごく疲れてしまい、観光する余裕はありませんでした。宿泊していた旅館の近くに鉄砲館があったので、興味があった先輩にノリでついて行ったくらいです(笑)。大会が終わって種子島を離れる時に、ちょうどH3ロケットの打ち上げを港から見ることができました。ロケットを打ち上げる時って赤く光るのですが、その赤い物体がものすごい速さで高くまで上がっていくのを生で見て、遠くからでも凄さを感じました。実際に打ち上げの瞬間を自分の目で見ることができたのは良い体験でした。いつか、自分もでっかいロケットを作りたいです。 関連リンク ・宇宙開発研究プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦・宇宙開発研究プロジェクト「MAXS」・情報メカトロニクス学科・種子島ロケットコンテストWEBサイト (※競技内容の詳細は上記のリンクを参照してください)

  • F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!

    皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。  【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ