学生プロジェクト
breadcrumbs
section in
-
でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテストで優勝!-
宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、ロケットの構造や制御、整備、運用体制を学生が主体となって学んでいるプロジェクトです。 第19回種子島ロケットコンテスト(2023年3月2日~3月5日開催)に、6チームが参加し、ロケット部門の種目3「高度※」で優勝、種目2「ペイロード有翼滞空※」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞しました。 「高度」で優勝した機体「KYLEEROCKET-Ⅱ」をチームの中心となって製作したのは、ボートライト 海里さん(情報メカトロニクス学科2年)です。機体製作で工夫したことや初めてロケットコンテストに出場した印象などを伺いました。 最後にはロケット打ち上げの様子を動画で見ることができます。そちらもぜひご覧ください。 幼い頃のワクワクが蘇ってロケット製作へ 工業高校に通っていて、高校生の時から親にものつくり大学を勧められていました。大学進学はあまり考えていませんでしたが、宇宙研究開発プロジェクト(以下、宇宙研)というロケットを作っているプロジェクトがある事を聞きました。その時、幼い頃の記憶がふと蘇ってきました。当時の私はアメリカに住んでいて、広い平野の一角で、父が趣味で全長1mくらいの小さなロケットを打ち上げていました。その光景を見て「ロケットって楽しそうだな」と思っていました。親から勧められた進学でしたが、ロケット目当てに入学し、宇宙研に参加しました。 高校生の時は電子の勉強をしていて、CADは苦手でしたが、ロケットを設計するようになってからは苦手意識がなくなりました。宇宙研は1年生教育がしっかりしていて、入ってすぐにCADの勉強をさせてもらえます。特に、ロケットのトップの部分などは、SOLIDWORKSという3DCADソフトで作ります。CADだけではなく、ロケットの翼の部分はレーザー加工機でバルサ材から切り出して作っています。 種子島ロケットコンテストについて 種子島ロケットコンテストは、小型のモデルロケットを打ち上げる大会です。競技はロケット部門とCanSat部門に分かれています。私はロケット部門の4種目(「滞空・定点回収」、「ペイロード有翼滞空」、「高度」、「インテリジェント」)のうちの1つ「高度」に出場して、優勝することができました。この種目は、大会が支給する高度測定装置をロケットに搭載して、どれだけ高く飛ばせたかを競います。 競技のルールとして、打ち上げた後に機体からパラシュートが開かなかった場合や、落下途中に機体が分離してしまうと失格になります。また、射点から半径400m以内に落下しなかった場合も失格です。それから、高度ロケットは高度計や位置情報を把握するビーコンをロケットの先端に収納するのですが、落下した衝撃で中の機材が壊れたら失格になる可能性もあります。だから、他の部門のロケットに比べて頑丈に作る必要があります。 競技以外にも技術発表会があり、3分という限られた時間の中で機体のプレゼンテーションをします。その後、実行委員から技術面について質問を受けます。技術発表会は大会の結果にも影響があります。晴天であれば、ロケットを打ち上げた結果で順位が決まりますが、雨で競技が中止になってしまった時はこのプレゼンテーションで決まります。だから、必死です。 宇宙研から出場した機体たち(最奥が「KYLEEROCKET-Ⅱ」) 優勝よりも記録を狙った機体づくり 初期デザインや設計計画書の作成は2022年度卒業の先輩に手伝ってもらいましたが、その他はほぼ一人で作りました。他にもチームメイトはいたのですが、他のプロジェクトが忙しかったり、アルバイトが忙しかったりしてなかなか来れなくて。だから、機体名も自分の名前から取って「KYLEEROCKET-Ⅱ」と名付けました(笑)。コンテストの前の試し打ちや機体の改良、技術発表会のプレゼンテーション資料の作成などもほとんど一人でやりました。機体の改良は先輩が残してくれた初期設計を元にして、自分で設計しながら作り上げていきました。 ロケットは打ち上げた後、落下時にバックファイアが開くのですが、初期デザインではチューブの細いところから出る設計でした。試し打ちした時は、展開せずに自由落下して壊れてしまったり、そのまま飛んでいって機体を無くしてしまったりしました。コンテストが迫ってくる中で、このままではいけないと思い、もっとチューブが太くなっている位置からバックファイアを出るようにデザインし直したら、上手く開くようになりました。 改良後の機体 また、機体の強度を上げるために、尾翼のバルサ材を硬化樹脂でコーティングして、落ちても割れないようにしました。他の部分にも硬化されたガラス繊維を使って、軽くて硬い機体を製作しました。それから、フィンの形状も工夫しています。ロケットのシミュレーションが可能な「オープンロケット」というアプリで、遊び心でデザインしてみたら今までで一番高く飛ぶという結果が出ました。たまたまだったのですが、よく考えてみると、先端の方が急な角度になっていて打ち上げた際に空気抵抗を受けにくいデザインになっていました。 今回の機体は、シミュレーション上は319mの高さまで飛びます。大会では280mくらいの高さでした。過去に優勝した機体は500m近くまで飛んだ機体もあって、今回の大会でも私の機体より高く飛んだ機体もひょっとしたらあったのかもしれません。しかし、他のチームは高く飛んでも機体が壊れてしまったり、強風に煽られて紛失したりして失格になってしまったチームも少なからずありました。その結果、私の機体が優勝ということになりました。初めての大会ですから、優勝を狙うよりも記録を残そうと思って頑丈に作っていましたが、それが結果として優勝につながりました。だから、優勝するためには高さをだすことも重要ですが強度のある設計も必要です。優勝した後も機体の改良を続けていて、5月に開かれるプロジェクト内の部内戦でその機体を打ち上げたいと思っています。 初めて大会に出場してみて 初めてロケットの大会に出場しましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。競技の他にワークショップという、自分の機体を他の参加者にアピールできる時間があり、その時に私のロケットに興味を持ってくれた人が何人かいました。競技の時も話しかけてもらえて、表彰式の時に「何でこのフィンの形にしたの?」とか質問攻めでした。初めての大会で、1年生でチームのリーダーとして出場できて、優勝できるって言葉にならないくらい嬉しいです。 種目2「ペイロード有翼滞空」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞したチームとともに 種子島まで宇宙研のメンバーと行って楽しい思い出もできたかと思われるかもしれませんが、大会のことで頭がいっぱいですごく疲れてしまい、観光する余裕はありませんでした。宿泊していた旅館の近くに鉄砲館があったので、興味があった先輩にノリでついて行ったくらいです(笑)。大会が終わって種子島を離れる時に、ちょうどH3ロケットの打ち上げを港から見ることができました。ロケットを打ち上げる時って赤く光るのですが、その赤い物体がものすごい速さで高くまで上がっていくのを生で見て、遠くからでも凄さを感じました。実際に打ち上げの瞬間を自分の目で見ることができたのは良い体験でした。いつか、自分もでっかいロケットを作りたいです。 関連リンク ・宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」・情報メカトロニクス学科・種子島ロケットコンテストWEBサイト (※競技内容の詳細は上記のリンクを参照してください)
-
学費以上の経験が得られる!?学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは
2022年9月6日(火)~9月10日(土)の5日間にかけて、静岡県 小笠原総合運動公園にて「学生フォーミュラ日本大会2022-ものづくり・デザインコンペティション-」が開催されました。対面での開催は実に3年ぶりとなります。本学からは、学生フォーミュラプロジェクトが参加しましたが、出場に必要なEV車は完成していません。その中で出場した理由や、学生にとっての学生フォーミュラプロジェクトの魅力を聞きました。 学生フォーミュラプロジェクト ■リーダー 野原 涼平さん(総合機械学科4年) ■メンバー 小林 蒼さん(総合機械学科3年) 小林 駿祐さん(総合機械学科2年) 武井 孝成さん(総合機械学科2年) 3年ぶりの対面開催に向けて設定した目標、課題などはありましたか 【野原】一昨年、これまで製作していたエンジン車から、時代の流れに即した車作りを考え、電気自動車へ移行しました。目標は、直線を得意とする車両でしたが、エンジンからモーターに変更する際、単純に製作する物が増えただけではなく、製作に重要な安全装備の知識が必要でした。しかも、今年度は全国から14チームがエントリーしましたが、車両を完走させたチームが2チームのみということを知り、それくらい難しい製作なのだと実感しました。 新型コロナウイルスの影響で、大学間交流や実際に走行している車両を見ることが減ってしまったこともあり、今年度は他大学と交流をしながら様々な学びを持ち帰るという意識を持って参加しました。来年度の完成に向けて、モーターを動かすための電子回路の製作と、高電圧を取り扱うため、安全装置を動かすプログラミングを完成させたいです。 走行が叶わなくても、出場した理由はどうしてですか 【野原】情報が一番集まるからです。完成しないから出ないという選択肢はありませんでした。また、今の1年生から3年生は対面開催を経験したことがなく、大会に関する知識を付けて欲しいということもあり、参加しました。 【武井】来年度出場を目指すにあたり、大会の様子を知っているのとそうでないのとでは意識がかなり違ってくることも感じていたので、出場して良かったと思います。 【小林(駿)】僕は、イメージを膨らませる為に参加しました。EV車は本学に完成品がなく、大会に参加すれば他大学の完成品を見ることができるので、自分たちの目指すべきところの確認もできました。 他大学で見られたもの、得られた学びはありましたか 【武井】本学の強みは、外装をほぼ内製で製作しているにも関わらず、ハイクオリティなところだと自負しています。大会に持って行った時も、沢山の大学の方に話しかけていただいたことで誇らしい気持ちになっていました。他の大学からも、モーターやバッテリー位置がとても参考になったので、今後もお話を聞いてみたいなと思いました。 【小林(駿)】やはり部品の配置はとても参考になりました。また、大会の熱気を受けて、同じレーンに立てるように早く走らせたいと強く感じました。 【小林(蒼)】大会に出場できるチームの少なさを知った時に、本学だけが遅れているわけではないことに正直ホッとしました。しかし、スケジュール設定に関しては遅れていることが分かり、もっとスピード感を持って進めていかなくてはならないと気持ちが引き締まりました。 【野原】私だけが関係するものになりますが、学生フォーミュラに参加している関東圏の大学生で構成された外部団体に所属しています。主にそこで学び合いや大学間交流を行っているので、現地での開催はとても重要だと感じました。また、電子回路の組み方や部品の発注など勉強になることは多いので。後輩の為にも今後他大学との交流も増やしていきたいです。 来年度の目標や、それを達成するためにプロジェクトで行うことはありますか 【野原】チームとしては、車検を通る車を作りたいと考えています。そのためにも、とにかく1日でも早く車両を動かしたいと思っています。 【小林(駿)】チーム全体との関わりが足りないと思っているので、コミュニケーションは積極的に行いたいです。チームの全体把握をし、やりたいと考えているマネジメントもしていきたいと考えています。 【小林(蒼)】走行データがまだとれていないため、走れる車両が完成次第、より良い走行を実現できるよう設計等考えていきたいです。 【武井】電子関係を勉強したくて学生フォーミュラプロジェクトに入ったので、個人でも勉強を進めながら、車両完成に向けてチームのサポートをしていきたいと思っています。 チームワークについて、どのような雰囲気ですか 【野原】楽しんで進めている様子も見られますが、参加するメンバーに偏りが見られます。本来チーム全体で車検に向けて動かなければならないので、各メンバーの思いを聞いた上でベストな組織作りに努めていきたいと思っています。また、卒業までに必要な知識をもっと蓄え、後輩にどんどん引き継いでいきたいです。 学生プロジェクトでの取り組みは大学生活でどのように役立っていますか? 【武井】学生プロジェクトに入ったことによって、授業の予習と復習が自然とできていることです。プロジェクトでやったことが予習になるときもあれば、授業で教わったことをプロジェクトでアウトプットできるということは、プロジェクトならではだと思います。 【小林(駿)】僕も同じです。プロジェクトで得たコミュニケーション能力が授業で発揮できました。縦や横の繋がりが出来たことも大きいです。 来年度の目標、目指している人はいますか 【小林(駿)】1人に絞ることは難しいので、様々な先輩の特性をどんどん吸収していきたいです。 【武井】父です。分からないことを教えてくれる時もスッと入ってくる分かりやすさでとても尊敬しています。そういう人間に成長したいと思っていますし、自分が目指している企業も父が勤めている企業です。 【小林(蒼)】僕は卒業生の丸山颯斗先輩(2022年3月卒業)のようになりたいと思っています。チーム内で意見の食い違いが起こった時に、みんなの要望を上手に汲み取って解決してくださったので、自分もチームのバランスを考えられる人になりたいです。 学生プロジェクトの強みや魅力を教えてください 【野原】就職活動にはかなり強いと思います。エピソードにもなるし、即戦力としての売り込みも出来るところは学生プロジェクトならではだと思います。 【小林(蒼)】授業では基礎的なことを広く教えてくれますが、学生プロジェクトではさらに深い知識・技能まで蓄えることができます。先輩や先生方に教えてもらうことで、繋がりや顔を覚えてもらえるところも強みだと思います。 【小林(駿)】僕は、逆に学生プロジェクトに入ってないと意味がないのではないかという話を友人とするくらいに重要性を感じています。授業で出てきた機械を学ぶ際も、何の為に使うのか、その機械によってものづくりの幅がどれだけ広がるのか考えられるようになりました。単位・成績を取るためだけに授業を受けるのではなくて、疑問や目的の為に授業を受ける意識になったのは学生プロジェクトに所属したからだと思います。 【武井】コミュニケーション能力が上がっているなと思いました。他大学や外部の企業との関わりにおいて、大学生活だけでは得ることのできない能力を学生プロジェクトで得ることができたと思います。 最後に一言お願いします! 【武井】まだプロジェクトに入っていない人、入ろうか迷っている人に、優しい人が多いよと伝えたいです。誰だって頭ごなしに怒られるのは嫌だと思いますが、まずありません。安心して見学に来てほしいと思います。 【小林(駿)】学生のうちはどれだけ失敗してもそれが自分の大きな責任にはならないし、失敗からの学びを身に付けることができます。むしろ大学が思う存分失敗できる最後の場所であって、就職してしまうと失敗に対して怖気づいてしまうと思うので、このタイミングで何もしないのはもったいないと思います。なので、何も恐れることなく挑戦する心を忘れないで欲しいです。 【小林(蒼)】学生プロジェクトは、学費以上の経験を積める場所です。自分の力では手に入れることのできない道具も、プロジェクト予算から出せるので、技能の幅も広がります。 【野原】小林(蒼)が言った「学費以上」は、個人的には「ものつくり大学の学生フォーミュラプロジェクトに所属すると、学費以上の経験を得られる」のだと思っています。ここまでの支援は他大学と比べてもトップクラスだと思うので、恩返しを出来るように気合を入れて頑張っていきたいと思います。 関連リンク 学生フォーミュラプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!
皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。 【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
宇宙研究開発プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦
情報メカトロニクス学科の学生プロジェクト「宇宙研究開発プロジェクト」。ロケットの構造や整備、制御、運用体制などを学生自らが学び、毎年開催されている「能代宇宙イベント」や「種子島ロケットコンテスト」に出場しています。2021年からは新たに「全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」への出場を始めました。全日本学生室内飛行ロボットコンテストは、全国各地の高校や高専、大学が出場するラジコン飛行機やドローンについて競う大会です。部門は4つあり、ラジコン飛行機の一般部門と無人操縦部門、マルチコプター部門、機体の特性を評価するユニークデザイン部門があります。2022年9月に開催された同大会の一般部門に出場した機体を製作した鈴木 郁宣さん(総合機械学科3年)、パイロットの吉開 啓冴さん(総合機械学科3年)に伺いました。 宇宙研究開発プロジェクトに入ったきっかけ 【吉開】ものつくり大学に入学したら、自分のやりたい事を見つけて、それをやった方が絶対に未来に活かせると思っていました。いくつか学生プロジェクトがある中で、興味がある宇宙に関連した活動をしている宇宙研究開発プロジェクトに入る事を決めました。 【鈴木】動機は不純ですが、1年生の時にドーミトリ(学生寮)に入っていて、残寮するためには学生プロジェクトに入っていると有利だと先輩から聞いて、何か学生プロジェクトに入ろうと思いました。友人から、宇宙研究開発プロジェクトは色々できるという話を聞き、入りました。 全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出場する理由 【吉開】宇宙研究開発プロジェクトには、モデルロケットとハイブリッドロケットの2つの軸があります。ハイブリッドロケットを担当している学生は、ハイブリッドロケットもモデルロケットも製作するのですが、モデルロケットの学生はそれしか無いため、活動の幅を広げるために航空機の製作を始めることになりました。それで、先輩から「航空機を作るなら、全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出てみたら」と勧められ、出場を始めました。 今回出場した機体のコンセプト 【鈴木】練習で使う事も想定して壊れにくい機体を第一に考えて、機体の骨組みをしっかり組みました。競技では、宙返りすることもあるため、機動力も重要でした。通常の飛行機は、安定飛行のために翼を大きく長くしています。機動力を出すためには、翼のアスペクト比をできる限り正方形に近付け、翼の幅を短くします。そうすると左右の移動がしやすくなります。また、主翼から尾翼までの長さを短くすると宙返りの半径を小さくすることができます。 大会当日の飛行 【鈴木】練習を重ねた機体に補強をしたら、規定の重量をオーバーしてしまいました。そのため、大会当日にバッテリーを軽いものに変えたのですが、軽くなり過ぎてしまい、練習の時と挙動が変わってしまいました。上手くいったところは、設計段階から機体の整備性を考えていて、モーター部分の取付けを容易にできるようにしていました。競技直前にモーターの不調があり、交換する必要がありましたが、早く交換することが出来ました。 他校の機体から学んだこと 【鈴木】私たちの機体の材料は、木材と発泡ポリプロピレンを使い、レーザーカッターで加工していますが、強豪校には、発泡スチロールを削り出して作っている学校や、電熱線カッターや手作業で作っている学校があります。発泡スチロールを削り出してボディを作った方が、強度と軽量性がある場合もあり、手作業で加工する技術はすごいと思いました。今後は、私たちも発泡スチロールで作ることも検討しています。 来年以降の出場について 【鈴木】優勝を目指して出場を続けます。今回は、本番で操縦が上手くいきませんでしたが、機体のスペックを活かすことができれば十分優勝を狙える機体だったと思います。優勝するためには、操縦技術が必要になると思います。 今後の宇宙研究開発プロジェクトの活動予定 【吉開】3月の種子島ロケットコンテストに出場予定です。今は、種子島ロケットコンテストを想定した機体を作っていて、近日中に部内戦を行います。この部内戦を経て、種子島ロケットコンテストに向けたチームを作っていきます。 宇宙研究開発プロジェクトで学んだ事、成長した事 【鈴木】パーツを設計するために毎日のようにCADを使っているため、CADや設計について知識が深まりました。 【吉開】私たちが入学した時は、コロナ禍で大学に行くこともあまり無くて、なかなか友人ができませんでした。しかし、1年生の9月にこのプロジェクトに入ってからは、友人関係が広がり、色んな学生がいるため趣味や知識を深めることができるようになりました。 今後の目標 【鈴木】宇宙研究開発プロジェクトとしては、種子島ロケットコンテストで優勝を目指します。その他にも色々な大会に出て、結果を残したいと思っています。個人としての目標は、後輩を育てることです。特に航空機のパイロットが私と吉開さんしかいないので、良いパイロットを育てる必要があります。機体の製作についても、今回出場した2機とも私が作っているため、航空機体の製作も教えていく必要があると思っています。 【吉開】大学からの資金援助を受けるためにも、色々な大会で結果を出し続ける必要があります。最近、NHK学生ロボコンプロジェクトが実力を付けてきているので、負けないように頑張ります。 関連リンク 宇宙研究開発プロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
若年者ものづくり競技大会 大会後インタビュー
若年者ものづくり競技大会は、企業等に就業していない20歳以下の若年者のものづくりの技能向上と就業意識を高めるための大会です。技能五輪全国大会の登竜門でもあります。本学では第2回目から毎回出場しています。第17回大会は、2022年7月27日(水)から28日(木)にかけて広島県立広島産業会館にて開催されました。本学からは建設学科より2名が出場し、建築大工職種において銀賞、木材加工職種において敢闘賞を受賞しました。 今回は、2名の受賞者に大会への思いや今後の目標を伺いました。 先輩方からの指導を胸に大会に臨みました 木材加工職種 敢闘賞 建設学科1年 山口 菜さん 幼いころからものづくりに興味があり、中学では木材を使った技術科目の授業が好きで、本棚などを作っていました。その後、建築士になりたいという夢ができ、実習の授業が多いものつくり大学に入学しました。入学後は本格的に木材を加工することが好きになり、何かに挑戦してみたいという気持ちから、若年者ものづくり競技大会出場を目指しました。 指導いただいた先輩方からのアドバイスは、全て参考になるものばかりでした。特に、本番を想定した通し練習では、先輩方に作業ごとのタイムをメモしていただき、時間配分なども一緒に考えていただきました。大会が近づくにつれて、同じようなミスを繰り返してしまうことや、学業とひとり暮らしの両立のなかで練習時間が確保できず、落ち込んでしまうこともありました。しかし、大会で賞を取ることを目標に、心を強く持つことで最後まで頑張ることが出来ました。 大会では、タイムにこだわりましたが、組み立てのタイミングで木材が曲がってしまうなど想定外のミスが重なり、競技時間をオーバーしてしまいました。しかし、最後まで諦めずに完成を目指し、延長時間内に収めることができました。結果が敢闘賞だと分かった時には驚きましたが、一番に家族へ結果を伝え、喜んでもらえたので良かったです。卒業後に就きたい仕事はまだ決めていませんが、今後は技能五輪全国大会への出場を目標に、どんどん練習を重ねて腕を磨きたいと思っています。 険しい道は成長への第一歩。今後も挑戦し続けます! 建築加工職種 銀賞 建設学科 2年 森上 雄介さん 昨年は家具職種で出場しましたが、今年は建築大工職種を先生に薦められました。異なる職種なので技術を学び直すのは大変ですが、険しい道を選択すれば今後の役に立つと考え、建築大工職種に変更して大会に臨みました。練習は、非常勤講師の宮前先生やものつくり大学の卒業生の方にご指導いただきながら、インターンシップ先の宮前工務店で行いました。練習期間では、作業効率を意識しながらより多くの課題を仕上げることによって、大会直前までしっかりと練習を積み重ねることができました。家具職種とは注意を向ける工程が異なるので、新たな学びや、逆に昨年得た技術を活かすことができたと実感しています。また、練習で仕上げた課題の数が歴代の学生の中で多かったことも、今回の受賞に繋がっていると感じています。 大会当日は、昨年の出場経験から大きな緊張はありませんでした。原寸図の作成の際に、設計図を書き直してしまうという減点に繋がるミスはありましたが、常に練習通りを意識しながら、組み立てなど仕上がりに影響の出る箇所はいつもより多く時間を取り、時間内に終了させることができました。応援に駆けつけてくださった先生やOBの先輩と、無事に完成出来たことにホッと胸を撫でおろしました。 結果発表は競技の翌日でした。ドン!と待ち構えていましたが、銀賞受賞を聞いたときはやはり安心しました。すぐに仲間に連絡を入れて、「おめでとう」という声をかけてもらえたので、頑張った甲斐があったなと感じています。今大会では、計画をきちんと練り、時間通りに課題を進めることの大切さを学ぶことができたので、2級建築大工技能士や技能五輪全国大会の出場を視野に挑戦をし続けたいと思います。そのためには、日々の授業を楽しみながら仲間と技術を磨き合い、志を忘れずに過ごすことが重要だと思います。目標は、技能五輪全国大会で金賞受賞です! 関連リンク 若年者ものづくり競技大会出場実績 建設学科WEBページ
-
完璧じゃなくても、より完成へ近づくまでプログラミングに集中する
ETロボコンは、エンジニアの人材育成と技術教育の機会を提供することを目的としたロボットコンテスト。ETとはEmbedded Technologyの略。つまりマイコンを用いた組み込みソフトウェアの技術を競い合うもの。本学のETロボコンプロジェクトでは2012年から大会に参加し、2016年、2020年にチャンピオンシップ大会への出場歴があります。機体は同一のキットを使い、機体の中にインストールする制御プログラムの違いを競い合うレース大会。ひたすらプログラム製作に向かう辛い日々を凌駕する楽しさ、魅力はどこにあるのか! 若手エンジニアたちを熱くする、その魅力を高校時代から取り組んでいる青木 翔哉さん(総合機械学科2年)にインタビューしてみました。 ETロボコンに興味を持ったのは、いつ頃から 聖望学園高校時代に科学部に所属していました。部活でETロボコンに関わっていましたが、ちょうど2016年にものつくり大学と高校による合同チーム「mono&科学の妖精」で大会に出場し、デベロッパ部門アドバンストクラスのシルバーモデル賞を受賞しました。その連携の縁もあって、ものつくり大学に入学したという経緯です。とはいえ、入学当初はETロボコンを続けることに対して曖昧な気持ちしかなく、本格的に取組もうと思ったのは3カ月経った頃ですね。プログラミングは好きなので、他にも興味あることも多かったですが、最終的に選択したのはETロボコンでした。 高校時代から引き続き関わりたいと思った、その面白さとは 高校での経験やスキルもあるので、パソコンに向かって根を詰めることは苦にはならないのです。プログラムとにらめっこばかりだけど、注力した分の結果が出るところが面白いんです。プログラムエラーも出ますし、見えないエラーもあります。それを設計図通りに、重い通りに動くことができると楽しい。きれいにスムーズに動くと、より嬉しい。簡単ではないですけどね。 今年の大会での反省点や課題は まず、スムーズに走らなかった。それは機能が足りていなかった。僕がメインで、短期間で成果が出るように方針を決め、プログラム設計と、そのプログラムを動かす作業を行いました。でも、複数人で検証しながら、修正のアイデアを出して調整していくということができなかったので、結果的にリスク分析など検討が甘かったです。新しい機体だったので、脱線したりして、そうしたプログラムのずれを克服できなかったです。 例えば、ロボットはコースの黒のラインをトレースしながら走行するのですが、黒白の境界線を数値化してゼロと設定することで音が消えるというようなプログラムを組むんです。するとロボットがそこに動いたときに正確な位置を判断することができる。こうしたずれの修正策を検討しておかないと、ライントレースだけでなく、階段やジャンプ台、ゲートなど難所と呼ばれる箇所をクリアできないのです。そのためのリスク対策が重要だということを身をもって体験しました。 少人数で作業することのメリットやデメリットを理解して感じたことは 先程も言いましたが、少人数でのデメリットは、リスクを検討するにも、実装にも時間がかかる。人数がいれば開発もできただろうし、話し合う時間が持てることで様々なアイデアも出たと思います。でも自分は、自分に対して完璧主義なので、もしかすると相手にも高い成果を求めていたかもしれないと思うとチームをまとめる力があったかどうか、今後の課題です。ただし、今回の大会出場を通して自分自身に大きな変化がありました。完璧主義で、一つひとつを完璧に納得いくまで作業してきました。それが、一旦完成させてから妥協して進めてきた部分を検討するなど、それはあきらめる力というか、前へ進める力というか、いけぇ~というようなスキルがついたなと思いました。 今後、目標とすることや挑戦したいことは モデル競技はロボットにインストールするプログラムの組み方を競うものです。プログラムの概念を物体的に捉えるという考え方です。そのモデルの精度をきちっとすると色々な言語に対応できるので、今後は設計に力を入れていきたいです。今年よりもさらに良いモデルを製作できるようにしたいし、それを踏まえた上で、しっかり検討を重ねた設計内容を落とし込んだモデルにしたいですね。走行タイムを縮めて、難所もクリアできて、そして地区大会を突破し、本予選に出たい。そこまでいきたいです!! 最後にETロボコンプロジェクトのPRをお願いします 情報化社会で機械をプログラムで制御することは、ますます増えていくと思います。モデルの設計を通して、しかも短期間で製作し、成果を出す経験は、社会に出たときの良い訓練になるのではないかと思うので、やって損はないですね。学生時代にプロジェクト開発に関われる経験は、大きな財産になると思います。興味のある方、ぜひETロボコンプロジェクトの門を叩いてください。新しい自分発見とコミュニケーションで成長の実感ありますよ。僕自身は、マルチタスクが苦手なので、自分の性格に合った作業ができるETロボコンに注力していきます。目標に向かって一緒に頑張りましょう! 関連リンク ETロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテストで優勝!-
宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」は情報メカトロニクス学科の学生プロジェクトの1つで、ロケットの構造や制御、整備、運用体制を学生が主体となって学んでいるプロジェクトです。 第19回種子島ロケットコンテスト(2023年3月2日~3月5日開催)に、6チームが参加し、ロケット部門の種目3「高度※」で優勝、種目2「ペイロード有翼滞空※」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞しました。 「高度」で優勝した機体「KYLEEROCKET-Ⅱ」をチームの中心となって製作したのは、ボートライト 海里さん(情報メカトロニクス学科2年)です。機体製作で工夫したことや初めてロケットコンテストに出場した印象などを伺いました。 最後にはロケット打ち上げの様子を動画で見ることができます。そちらもぜひご覧ください。 幼い頃のワクワクが蘇ってロケット製作へ 工業高校に通っていて、高校生の時から親にものつくり大学を勧められていました。大学進学はあまり考えていませんでしたが、宇宙研究開発プロジェクト(以下、宇宙研)というロケットを作っているプロジェクトがある事を聞きました。その時、幼い頃の記憶がふと蘇ってきました。当時の私はアメリカに住んでいて、広い平野の一角で、父が趣味で全長1mくらいの小さなロケットを打ち上げていました。その光景を見て「ロケットって楽しそうだな」と思っていました。親から勧められた進学でしたが、ロケット目当てに入学し、宇宙研に参加しました。 高校生の時は電子の勉強をしていて、CADは苦手でしたが、ロケットを設計するようになってからは苦手意識がなくなりました。宇宙研は1年生教育がしっかりしていて、入ってすぐにCADの勉強をさせてもらえます。特に、ロケットのトップの部分などは、SOLIDWORKSという3DCADソフトで作ります。CADだけではなく、ロケットの翼の部分はレーザー加工機でバルサ材から切り出して作っています。 種子島ロケットコンテストについて 種子島ロケットコンテストは、小型のモデルロケットを打ち上げる大会です。競技はロケット部門とCanSat部門に分かれています。私はロケット部門の4種目(「滞空・定点回収」、「ペイロード有翼滞空」、「高度」、「インテリジェント」)のうちの1つ「高度」に出場して、優勝することができました。この種目は、大会が支給する高度測定装置をロケットに搭載して、どれだけ高く飛ばせたかを競います。 競技のルールとして、打ち上げた後に機体からパラシュートが開かなかった場合や、落下途中に機体が分離してしまうと失格になります。また、射点から半径400m以内に落下しなかった場合も失格です。それから、高度ロケットは高度計や位置情報を把握するビーコンをロケットの先端に収納するのですが、落下した衝撃で中の機材が壊れたら失格になる可能性もあります。だから、他の部門のロケットに比べて頑丈に作る必要があります。 競技以外にも技術発表会があり、3分という限られた時間の中で機体のプレゼンテーションをします。その後、実行委員から技術面について質問を受けます。技術発表会は大会の結果にも影響があります。晴天であれば、ロケットを打ち上げた結果で順位が決まりますが、雨で競技が中止になってしまった時はこのプレゼンテーションで決まります。だから、必死です。 宇宙研から出場した機体たち(最奥が「KYLEEROCKET-Ⅱ」) 優勝よりも記録を狙った機体づくり 初期デザインや設計計画書の作成は2022年度卒業の先輩に手伝ってもらいましたが、その他はほぼ一人で作りました。他にもチームメイトはいたのですが、他のプロジェクトが忙しかったり、アルバイトが忙しかったりしてなかなか来れなくて。だから、機体名も自分の名前から取って「KYLEEROCKET-Ⅱ」と名付けました(笑)。コンテストの前の試し打ちや機体の改良、技術発表会のプレゼンテーション資料の作成などもほとんど一人でやりました。機体の改良は先輩が残してくれた初期設計を元にして、自分で設計しながら作り上げていきました。 ロケットは打ち上げた後、落下時にバックファイアが開くのですが、初期デザインではチューブの細いところから出る設計でした。試し打ちした時は、展開せずに自由落下して壊れてしまったり、そのまま飛んでいって機体を無くしてしまったりしました。コンテストが迫ってくる中で、このままではいけないと思い、もっとチューブが太くなっている位置からバックファイアを出るようにデザインし直したら、上手く開くようになりました。 改良後の機体 また、機体の強度を上げるために、尾翼のバルサ材を硬化樹脂でコーティングして、落ちても割れないようにしました。他の部分にも硬化されたガラス繊維を使って、軽くて硬い機体を製作しました。それから、フィンの形状も工夫しています。ロケットのシミュレーションが可能な「オープンロケット」というアプリで、遊び心でデザインしてみたら今までで一番高く飛ぶという結果が出ました。たまたまだったのですが、よく考えてみると、先端の方が急な角度になっていて打ち上げた際に空気抵抗を受けにくいデザインになっていました。 今回の機体は、シミュレーション上は319mの高さまで飛びます。大会では280mくらいの高さでした。過去に優勝した機体は500m近くまで飛んだ機体もあって、今回の大会でも私の機体より高く飛んだ機体もひょっとしたらあったのかもしれません。しかし、他のチームは高く飛んでも機体が壊れてしまったり、強風に煽られて紛失したりして失格になってしまったチームも少なからずありました。その結果、私の機体が優勝ということになりました。初めての大会ですから、優勝を狙うよりも記録を残そうと思って頑丈に作っていましたが、それが結果として優勝につながりました。だから、優勝するためには高さをだすことも重要ですが強度のある設計も必要です。優勝した後も機体の改良を続けていて、5月に開かれるプロジェクト内の部内戦でその機体を打ち上げたいと思っています。 初めて大会に出場してみて 初めてロケットの大会に出場しましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。競技の他にワークショップという、自分の機体を他の参加者にアピールできる時間があり、その時に私のロケットに興味を持ってくれた人が何人かいました。競技の時も話しかけてもらえて、表彰式の時に「何でこのフィンの形にしたの?」とか質問攻めでした。初めての大会で、1年生でチームのリーダーとして出場できて、優勝できるって言葉にならないくらい嬉しいです。 種目2「ペイロード有翼滞空」でベストデザイン賞(川崎重工賞)を受賞したチームとともに 種子島まで宇宙研のメンバーと行って楽しい思い出もできたかと思われるかもしれませんが、大会のことで頭がいっぱいですごく疲れてしまい、観光する余裕はありませんでした。宿泊していた旅館の近くに鉄砲館があったので、興味があった先輩にノリでついて行ったくらいです(笑)。大会が終わって種子島を離れる時に、ちょうどH3ロケットの打ち上げを港から見ることができました。ロケットを打ち上げる時って赤く光るのですが、その赤い物体がものすごい速さで高くまで上がっていくのを生で見て、遠くからでも凄さを感じました。実際に打ち上げの瞬間を自分の目で見ることができたのは良い体験でした。いつか、自分もでっかいロケットを作りたいです。 関連リンク ・宇宙研究開発プロジェクト「MAXS」・情報メカトロニクス学科・種子島ロケットコンテストWEBサイト (※競技内容の詳細は上記のリンクを参照してください)
-
学費以上の経験が得られる!?学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは
2022年9月6日(火)~9月10日(土)の5日間にかけて、静岡県 小笠原総合運動公園にて「学生フォーミュラ日本大会2022-ものづくり・デザインコンペティション-」が開催されました。対面での開催は実に3年ぶりとなります。本学からは、学生フォーミュラプロジェクトが参加しましたが、出場に必要なEV車は完成していません。その中で出場した理由や、学生にとっての学生フォーミュラプロジェクトの魅力を聞きました。 学生フォーミュラプロジェクト ■リーダー 野原 涼平さん(総合機械学科4年) ■メンバー 小林 蒼さん(総合機械学科3年) 小林 駿祐さん(総合機械学科2年) 武井 孝成さん(総合機械学科2年) 3年ぶりの対面開催に向けて設定した目標、課題などはありましたか 【野原】一昨年、これまで製作していたエンジン車から、時代の流れに即した車作りを考え、電気自動車へ移行しました。目標は、直線を得意とする車両でしたが、エンジンからモーターに変更する際、単純に製作する物が増えただけではなく、製作に重要な安全装備の知識が必要でした。しかも、今年度は全国から14チームがエントリーしましたが、車両を完走させたチームが2チームのみということを知り、それくらい難しい製作なのだと実感しました。 新型コロナウイルスの影響で、大学間交流や実際に走行している車両を見ることが減ってしまったこともあり、今年度は他大学と交流をしながら様々な学びを持ち帰るという意識を持って参加しました。来年度の完成に向けて、モーターを動かすための電子回路の製作と、高電圧を取り扱うため、安全装置を動かすプログラミングを完成させたいです。 走行が叶わなくても、出場した理由はどうしてですか 【野原】情報が一番集まるからです。完成しないから出ないという選択肢はありませんでした。また、今の1年生から3年生は対面開催を経験したことがなく、大会に関する知識を付けて欲しいということもあり、参加しました。 【武井】来年度出場を目指すにあたり、大会の様子を知っているのとそうでないのとでは意識がかなり違ってくることも感じていたので、出場して良かったと思います。 【小林(駿)】僕は、イメージを膨らませる為に参加しました。EV車は本学に完成品がなく、大会に参加すれば他大学の完成品を見ることができるので、自分たちの目指すべきところの確認もできました。 他大学で見られたもの、得られた学びはありましたか 【武井】本学の強みは、外装をほぼ内製で製作しているにも関わらず、ハイクオリティなところだと自負しています。大会に持って行った時も、沢山の大学の方に話しかけていただいたことで誇らしい気持ちになっていました。他の大学からも、モーターやバッテリー位置がとても参考になったので、今後もお話を聞いてみたいなと思いました。 【小林(駿)】やはり部品の配置はとても参考になりました。また、大会の熱気を受けて、同じレーンに立てるように早く走らせたいと強く感じました。 【小林(蒼)】大会に出場できるチームの少なさを知った時に、本学だけが遅れているわけではないことに正直ホッとしました。しかし、スケジュール設定に関しては遅れていることが分かり、もっとスピード感を持って進めていかなくてはならないと気持ちが引き締まりました。 【野原】私だけが関係するものになりますが、学生フォーミュラに参加している関東圏の大学生で構成された外部団体に所属しています。主にそこで学び合いや大学間交流を行っているので、現地での開催はとても重要だと感じました。また、電子回路の組み方や部品の発注など勉強になることは多いので。後輩の為にも今後他大学との交流も増やしていきたいです。 来年度の目標や、それを達成するためにプロジェクトで行うことはありますか 【野原】チームとしては、車検を通る車を作りたいと考えています。そのためにも、とにかく1日でも早く車両を動かしたいと思っています。 【小林(駿)】チーム全体との関わりが足りないと思っているので、コミュニケーションは積極的に行いたいです。チームの全体把握をし、やりたいと考えているマネジメントもしていきたいと考えています。 【小林(蒼)】走行データがまだとれていないため、走れる車両が完成次第、より良い走行を実現できるよう設計等考えていきたいです。 【武井】電子関係を勉強したくて学生フォーミュラプロジェクトに入ったので、個人でも勉強を進めながら、車両完成に向けてチームのサポートをしていきたいと思っています。 チームワークについて、どのような雰囲気ですか 【野原】楽しんで進めている様子も見られますが、参加するメンバーに偏りが見られます。本来チーム全体で車検に向けて動かなければならないので、各メンバーの思いを聞いた上でベストな組織作りに努めていきたいと思っています。また、卒業までに必要な知識をもっと蓄え、後輩にどんどん引き継いでいきたいです。 学生プロジェクトでの取り組みは大学生活でどのように役立っていますか? 【武井】学生プロジェクトに入ったことによって、授業の予習と復習が自然とできていることです。プロジェクトでやったことが予習になるときもあれば、授業で教わったことをプロジェクトでアウトプットできるということは、プロジェクトならではだと思います。 【小林(駿)】僕も同じです。プロジェクトで得たコミュニケーション能力が授業で発揮できました。縦や横の繋がりが出来たことも大きいです。 来年度の目標、目指している人はいますか 【小林(駿)】1人に絞ることは難しいので、様々な先輩の特性をどんどん吸収していきたいです。 【武井】父です。分からないことを教えてくれる時もスッと入ってくる分かりやすさでとても尊敬しています。そういう人間に成長したいと思っていますし、自分が目指している企業も父が勤めている企業です。 【小林(蒼)】僕は卒業生の丸山颯斗先輩(2022年3月卒業)のようになりたいと思っています。チーム内で意見の食い違いが起こった時に、みんなの要望を上手に汲み取って解決してくださったので、自分もチームのバランスを考えられる人になりたいです。 学生プロジェクトの強みや魅力を教えてください 【野原】就職活動にはかなり強いと思います。エピソードにもなるし、即戦力としての売り込みも出来るところは学生プロジェクトならではだと思います。 【小林(蒼)】授業では基礎的なことを広く教えてくれますが、学生プロジェクトではさらに深い知識・技能まで蓄えることができます。先輩や先生方に教えてもらうことで、繋がりや顔を覚えてもらえるところも強みだと思います。 【小林(駿)】僕は、逆に学生プロジェクトに入ってないと意味がないのではないかという話を友人とするくらいに重要性を感じています。授業で出てきた機械を学ぶ際も、何の為に使うのか、その機械によってものづくりの幅がどれだけ広がるのか考えられるようになりました。単位・成績を取るためだけに授業を受けるのではなくて、疑問や目的の為に授業を受ける意識になったのは学生プロジェクトに所属したからだと思います。 【武井】コミュニケーション能力が上がっているなと思いました。他大学や外部の企業との関わりにおいて、大学生活だけでは得ることのできない能力を学生プロジェクトで得ることができたと思います。 最後に一言お願いします! 【武井】まだプロジェクトに入っていない人、入ろうか迷っている人に、優しい人が多いよと伝えたいです。誰だって頭ごなしに怒られるのは嫌だと思いますが、まずありません。安心して見学に来てほしいと思います。 【小林(駿)】学生のうちはどれだけ失敗してもそれが自分の大きな責任にはならないし、失敗からの学びを身に付けることができます。むしろ大学が思う存分失敗できる最後の場所であって、就職してしまうと失敗に対して怖気づいてしまうと思うので、このタイミングで何もしないのはもったいないと思います。なので、何も恐れることなく挑戦する心を忘れないで欲しいです。 【小林(蒼)】学生プロジェクトは、学費以上の経験を積める場所です。自分の力では手に入れることのできない道具も、プロジェクト予算から出せるので、技能の幅も広がります。 【野原】小林(蒼)が言った「学費以上」は、個人的には「ものつくり大学の学生フォーミュラプロジェクトに所属すると、学費以上の経験を得られる」のだと思っています。ここまでの支援は他大学と比べてもトップクラスだと思うので、恩返しを出来るように気合を入れて頑張っていきたいと思います。 関連リンク 学生フォーミュラプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!
皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。 【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
宇宙研究開発プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦
情報メカトロニクス学科の学生プロジェクト「宇宙研究開発プロジェクト」。ロケットの構造や整備、制御、運用体制などを学生自らが学び、毎年開催されている「能代宇宙イベント」や「種子島ロケットコンテスト」に出場しています。2021年からは新たに「全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」への出場を始めました。全日本学生室内飛行ロボットコンテストは、全国各地の高校や高専、大学が出場するラジコン飛行機やドローンについて競う大会です。部門は4つあり、ラジコン飛行機の一般部門と無人操縦部門、マルチコプター部門、機体の特性を評価するユニークデザイン部門があります。2022年9月に開催された同大会の一般部門に出場した機体を製作した鈴木 郁宣さん(総合機械学科3年)、パイロットの吉開 啓冴さん(総合機械学科3年)に伺いました。 宇宙研究開発プロジェクトに入ったきっかけ 【吉開】ものつくり大学に入学したら、自分のやりたい事を見つけて、それをやった方が絶対に未来に活かせると思っていました。いくつか学生プロジェクトがある中で、興味がある宇宙に関連した活動をしている宇宙研究開発プロジェクトに入る事を決めました。 【鈴木】動機は不純ですが、1年生の時にドーミトリ(学生寮)に入っていて、残寮するためには学生プロジェクトに入っていると有利だと先輩から聞いて、何か学生プロジェクトに入ろうと思いました。友人から、宇宙研究開発プロジェクトは色々できるという話を聞き、入りました。 全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出場する理由 【吉開】宇宙研究開発プロジェクトには、モデルロケットとハイブリッドロケットの2つの軸があります。ハイブリッドロケットを担当している学生は、ハイブリッドロケットもモデルロケットも製作するのですが、モデルロケットの学生はそれしか無いため、活動の幅を広げるために航空機の製作を始めることになりました。それで、先輩から「航空機を作るなら、全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出てみたら」と勧められ、出場を始めました。 今回出場した機体のコンセプト 【鈴木】練習で使う事も想定して壊れにくい機体を第一に考えて、機体の骨組みをしっかり組みました。競技では、宙返りすることもあるため、機動力も重要でした。通常の飛行機は、安定飛行のために翼を大きく長くしています。機動力を出すためには、翼のアスペクト比をできる限り正方形に近付け、翼の幅を短くします。そうすると左右の移動がしやすくなります。また、主翼から尾翼までの長さを短くすると宙返りの半径を小さくすることができます。 大会当日の飛行 【鈴木】練習を重ねた機体に補強をしたら、規定の重量をオーバーしてしまいました。そのため、大会当日にバッテリーを軽いものに変えたのですが、軽くなり過ぎてしまい、練習の時と挙動が変わってしまいました。上手くいったところは、設計段階から機体の整備性を考えていて、モーター部分の取付けを容易にできるようにしていました。競技直前にモーターの不調があり、交換する必要がありましたが、早く交換することが出来ました。 他校の機体から学んだこと 【鈴木】私たちの機体の材料は、木材と発泡ポリプロピレンを使い、レーザーカッターで加工していますが、強豪校には、発泡スチロールを削り出して作っている学校や、電熱線カッターや手作業で作っている学校があります。発泡スチロールを削り出してボディを作った方が、強度と軽量性がある場合もあり、手作業で加工する技術はすごいと思いました。今後は、私たちも発泡スチロールで作ることも検討しています。 来年以降の出場について 【鈴木】優勝を目指して出場を続けます。今回は、本番で操縦が上手くいきませんでしたが、機体のスペックを活かすことができれば十分優勝を狙える機体だったと思います。優勝するためには、操縦技術が必要になると思います。 今後の宇宙研究開発プロジェクトの活動予定 【吉開】3月の種子島ロケットコンテストに出場予定です。今は、種子島ロケットコンテストを想定した機体を作っていて、近日中に部内戦を行います。この部内戦を経て、種子島ロケットコンテストに向けたチームを作っていきます。 宇宙研究開発プロジェクトで学んだ事、成長した事 【鈴木】パーツを設計するために毎日のようにCADを使っているため、CADや設計について知識が深まりました。 【吉開】私たちが入学した時は、コロナ禍で大学に行くこともあまり無くて、なかなか友人ができませんでした。しかし、1年生の9月にこのプロジェクトに入ってからは、友人関係が広がり、色んな学生がいるため趣味や知識を深めることができるようになりました。 今後の目標 【鈴木】宇宙研究開発プロジェクトとしては、種子島ロケットコンテストで優勝を目指します。その他にも色々な大会に出て、結果を残したいと思っています。個人としての目標は、後輩を育てることです。特に航空機のパイロットが私と吉開さんしかいないので、良いパイロットを育てる必要があります。機体の製作についても、今回出場した2機とも私が作っているため、航空機体の製作も教えていく必要があると思っています。 【吉開】大学からの資金援助を受けるためにも、色々な大会で結果を出し続ける必要があります。最近、NHK学生ロボコンプロジェクトが実力を付けてきているので、負けないように頑張ります。 関連リンク 宇宙研究開発プロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ
-
若年者ものづくり競技大会 大会後インタビュー
若年者ものづくり競技大会は、企業等に就業していない20歳以下の若年者のものづくりの技能向上と就業意識を高めるための大会です。技能五輪全国大会の登竜門でもあります。本学では第2回目から毎回出場しています。第17回大会は、2022年7月27日(水)から28日(木)にかけて広島県立広島産業会館にて開催されました。本学からは建設学科より2名が出場し、建築大工職種において銀賞、木材加工職種において敢闘賞を受賞しました。 今回は、2名の受賞者に大会への思いや今後の目標を伺いました。 先輩方からの指導を胸に大会に臨みました 木材加工職種 敢闘賞 建設学科1年 山口 菜さん 幼いころからものづくりに興味があり、中学では木材を使った技術科目の授業が好きで、本棚などを作っていました。その後、建築士になりたいという夢ができ、実習の授業が多いものつくり大学に入学しました。入学後は本格的に木材を加工することが好きになり、何かに挑戦してみたいという気持ちから、若年者ものづくり競技大会出場を目指しました。 指導いただいた先輩方からのアドバイスは、全て参考になるものばかりでした。特に、本番を想定した通し練習では、先輩方に作業ごとのタイムをメモしていただき、時間配分なども一緒に考えていただきました。大会が近づくにつれて、同じようなミスを繰り返してしまうことや、学業とひとり暮らしの両立のなかで練習時間が確保できず、落ち込んでしまうこともありました。しかし、大会で賞を取ることを目標に、心を強く持つことで最後まで頑張ることが出来ました。 大会では、タイムにこだわりましたが、組み立てのタイミングで木材が曲がってしまうなど想定外のミスが重なり、競技時間をオーバーしてしまいました。しかし、最後まで諦めずに完成を目指し、延長時間内に収めることができました。結果が敢闘賞だと分かった時には驚きましたが、一番に家族へ結果を伝え、喜んでもらえたので良かったです。卒業後に就きたい仕事はまだ決めていませんが、今後は技能五輪全国大会への出場を目標に、どんどん練習を重ねて腕を磨きたいと思っています。 険しい道は成長への第一歩。今後も挑戦し続けます! 建築加工職種 銀賞 建設学科 2年 森上 雄介さん 昨年は家具職種で出場しましたが、今年は建築大工職種を先生に薦められました。異なる職種なので技術を学び直すのは大変ですが、険しい道を選択すれば今後の役に立つと考え、建築大工職種に変更して大会に臨みました。練習は、非常勤講師の宮前先生やものつくり大学の卒業生の方にご指導いただきながら、インターンシップ先の宮前工務店で行いました。練習期間では、作業効率を意識しながらより多くの課題を仕上げることによって、大会直前までしっかりと練習を積み重ねることができました。家具職種とは注意を向ける工程が異なるので、新たな学びや、逆に昨年得た技術を活かすことができたと実感しています。また、練習で仕上げた課題の数が歴代の学生の中で多かったことも、今回の受賞に繋がっていると感じています。 大会当日は、昨年の出場経験から大きな緊張はありませんでした。原寸図の作成の際に、設計図を書き直してしまうという減点に繋がるミスはありましたが、常に練習通りを意識しながら、組み立てなど仕上がりに影響の出る箇所はいつもより多く時間を取り、時間内に終了させることができました。応援に駆けつけてくださった先生やOBの先輩と、無事に完成出来たことにホッと胸を撫でおろしました。 結果発表は競技の翌日でした。ドン!と待ち構えていましたが、銀賞受賞を聞いたときはやはり安心しました。すぐに仲間に連絡を入れて、「おめでとう」という声をかけてもらえたので、頑張った甲斐があったなと感じています。今大会では、計画をきちんと練り、時間通りに課題を進めることの大切さを学ぶことができたので、2級建築大工技能士や技能五輪全国大会の出場を視野に挑戦をし続けたいと思います。そのためには、日々の授業を楽しみながら仲間と技術を磨き合い、志を忘れずに過ごすことが重要だと思います。目標は、技能五輪全国大会で金賞受賞です! 関連リンク 若年者ものづくり競技大会出場実績 建設学科WEBページ
-
完璧じゃなくても、より完成へ近づくまでプログラミングに集中する
ETロボコンは、エンジニアの人材育成と技術教育の機会を提供することを目的としたロボットコンテスト。ETとはEmbedded Technologyの略。つまりマイコンを用いた組み込みソフトウェアの技術を競い合うもの。本学のETロボコンプロジェクトでは2012年から大会に参加し、2016年、2020年にチャンピオンシップ大会への出場歴があります。機体は同一のキットを使い、機体の中にインストールする制御プログラムの違いを競い合うレース大会。ひたすらプログラム製作に向かう辛い日々を凌駕する楽しさ、魅力はどこにあるのか! 若手エンジニアたちを熱くする、その魅力を高校時代から取り組んでいる青木 翔哉さん(総合機械学科2年)にインタビューしてみました。 ETロボコンに興味を持ったのは、いつ頃から 聖望学園高校時代に科学部に所属していました。部活でETロボコンに関わっていましたが、ちょうど2016年にものつくり大学と高校による合同チーム「mono&科学の妖精」で大会に出場し、デベロッパ部門アドバンストクラスのシルバーモデル賞を受賞しました。その連携の縁もあって、ものつくり大学に入学したという経緯です。とはいえ、入学当初はETロボコンを続けることに対して曖昧な気持ちしかなく、本格的に取組もうと思ったのは3カ月経った頃ですね。プログラミングは好きなので、他にも興味あることも多かったですが、最終的に選択したのはETロボコンでした。 高校時代から引き続き関わりたいと思った、その面白さとは 高校での経験やスキルもあるので、パソコンに向かって根を詰めることは苦にはならないのです。プログラムとにらめっこばかりだけど、注力した分の結果が出るところが面白いんです。プログラムエラーも出ますし、見えないエラーもあります。それを設計図通りに、重い通りに動くことができると楽しい。きれいにスムーズに動くと、より嬉しい。簡単ではないですけどね。 今年の大会での反省点や課題は まず、スムーズに走らなかった。それは機能が足りていなかった。僕がメインで、短期間で成果が出るように方針を決め、プログラム設計と、そのプログラムを動かす作業を行いました。でも、複数人で検証しながら、修正のアイデアを出して調整していくということができなかったので、結果的にリスク分析など検討が甘かったです。新しい機体だったので、脱線したりして、そうしたプログラムのずれを克服できなかったです。 例えば、ロボットはコースの黒のラインをトレースしながら走行するのですが、黒白の境界線を数値化してゼロと設定することで音が消えるというようなプログラムを組むんです。するとロボットがそこに動いたときに正確な位置を判断することができる。こうしたずれの修正策を検討しておかないと、ライントレースだけでなく、階段やジャンプ台、ゲートなど難所と呼ばれる箇所をクリアできないのです。そのためのリスク対策が重要だということを身をもって体験しました。 少人数で作業することのメリットやデメリットを理解して感じたことは 先程も言いましたが、少人数でのデメリットは、リスクを検討するにも、実装にも時間がかかる。人数がいれば開発もできただろうし、話し合う時間が持てることで様々なアイデアも出たと思います。でも自分は、自分に対して完璧主義なので、もしかすると相手にも高い成果を求めていたかもしれないと思うとチームをまとめる力があったかどうか、今後の課題です。ただし、今回の大会出場を通して自分自身に大きな変化がありました。完璧主義で、一つひとつを完璧に納得いくまで作業してきました。それが、一旦完成させてから妥協して進めてきた部分を検討するなど、それはあきらめる力というか、前へ進める力というか、いけぇ~というようなスキルがついたなと思いました。 今後、目標とすることや挑戦したいことは モデル競技はロボットにインストールするプログラムの組み方を競うものです。プログラムの概念を物体的に捉えるという考え方です。そのモデルの精度をきちっとすると色々な言語に対応できるので、今後は設計に力を入れていきたいです。今年よりもさらに良いモデルを製作できるようにしたいし、それを踏まえた上で、しっかり検討を重ねた設計内容を落とし込んだモデルにしたいですね。走行タイムを縮めて、難所もクリアできて、そして地区大会を突破し、本予選に出たい。そこまでいきたいです!! 最後にETロボコンプロジェクトのPRをお願いします 情報化社会で機械をプログラムで制御することは、ますます増えていくと思います。モデルの設計を通して、しかも短期間で製作し、成果を出す経験は、社会に出たときの良い訓練になるのではないかと思うので、やって損はないですね。学生時代にプロジェクト開発に関われる経験は、大きな財産になると思います。興味のある方、ぜひETロボコンプロジェクトの門を叩いてください。新しい自分発見とコミュニケーションで成長の実感ありますよ。僕自身は、マルチタスクが苦手なので、自分の性格に合った作業ができるETロボコンに注力していきます。目標に向かって一緒に頑張りましょう! 関連リンク ETロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ