先輩たちへの感謝を胸に大会へ ~第18回若年者ものづくり競技大会②~

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2023年8月1日から2日にかけて静岡県で第18回若年者ものづくり競技大会が開催されました。本学では建設学科から2名(建築大工職種1名、木材加工職種1名)の学生が出場し、建築大工職種で金賞、木材加工職種で銀賞という好成績を残すことができました。

今回は木材加工職種で銀賞を受賞した入江 蛍さん(建設学科1年・静岡 科学技術高等学校出身)に、大会に出場した感想を伺いました。

※木材加工職種の競技は、「小いす」を製作します。原寸図の作成、ホゾ(木材を接合する部分の突起)、ダボ(部材をつなぎ合わせる小片)による接合の加工、接合部の組み立てなどを行います。

慣れない作業に苦戦する毎日

入学当初から技能五輪全国大会に出たいと思っていました。友人から若年者ものづくり競技大会には1年生から出場できる事を聞き、早速、学内の掲示板を探しました。
ものづくりに興味を持ったきっかけは、手先が器用な祖父が趣味で水車や離れを作っているのを見てきたからです。その後、大工仕事を学んでみたいと思って、高校で建築大工の技能検定を受けたり、高校生ものづくりコンテストの木材加工部門に出場しました。
大工や家具、左官など色々なことに興味があって、ものつくり大学に入学したので、若年者ものづくり競技大会ではどの職種に挑戦するか迷いましたが、やったことがなかった家具に挑戦したいという思いから出場しました。

練習は入学してすぐに始めました。大会出場を目指している新入生5人で先輩方に教えてもらいながら、毎日毎日練習をしました。先輩方は、日付が変わるくらいの時間まで常に教えてくださったのでびっくりしました。「まだ23時だからこれからノコやろう」とか日付をまたぐこともあったりして、時間の感覚がおかしくなっていました(笑)。授業もあって大変でしたが、昼夜を問わず練習できるのは良かったなって思います。それに、高校ではいつも一人で練習していたので、予選を受ける友人たちと一緒に、先輩方の指導を受けることができ、頑張ることができる環境はありがたいと思いましたし、だからこそ成長できたのかなって思います。

先輩との練習の様子

大工と家具では木材の大きさも道具も違いますが、少しは大工の経験があるから上手くできるかと思っていました。でも、予想以上に違いがありました。最初は、木材を切るにしても縦引き横引きが真っすぐできなくて、ぴったり合いませんでした。また、家具では白柿(しらがき)という罫書き線を引くための道具を使います。大工では墨差しや差し金を使って墨付けをするので、白柿を使ったことがありませんでした。持ち方もコツが必要で、垂直に線を引くのも難しかったので持ち方から慣れる必要がありました。
家具の作業は考えることがすごく多かったです。刃には、しのぎ面という斜めになっているところがあって、そこが加工する側にくるようにとか、線を引くのもどの向きにとかスコヤをどこに当てるのかなど、ただの墨付けではあるんですけど、考えながらやる必要がありました。

上手くできるようになったのは5月の学内予選の頃です。予選の時に、縦引きも横引きも最初に比べて真っすぐ切れるようになりましたし、ノミでの作業も綺麗にできるようになってきました。

わずかな隙間

高校生の時は、検定を受ける時も大会に出る時も自信を持てるまでずっと練習をしていたので、あまりプレッシャーを感じることはありませんでした。
だけど今回は、本番一週間前までは何回やっても標準時間内に完成できませんでした。やればやるほど課題が見つかって、上手くいかないことがどんどん増えて焦っていました。練習で最後の最後まで納得がいく作品を作れなかったので、緊張していました。それに、本当に多くの方に教えていただいたので、期待に応えたいという気持ちがあったけど不安でした。

練習では、標準時間にプラス30分程度かかって完成していましたが、それでは減点になってしまいます。金賞を狙うからには、時間内に作って減点を抑えようと思って大会に臨みました。午前中は思いのほかペースが良くて予定外のところまで作業が進んでしまいました。残りの5分は何をしたらいいのかというくらい余裕が出てしまい、掃除などをしていました(笑)。今にして思えば、ここでもうちょっと考えて進めておけば良かったなと思います。

午前は驚くほど調子が良かったのですが、午後になり、最後の一番大事なところを綺麗に切れなかったことを後悔しています。練習の時も上手くいかなくて改善策を見つけて挑みましたが、今一つ上手くいかず隙間がわずかにできてしまいました。仕上げの時に、やすりをかけたり、ボンドで埋めたりして隙間を少しでも埋めるために調整して何とか仕上げました。
不安だった作業時間は、標準時間よりプラス10分かかりました。プラス5分ごとに1点減点されてしまうので、出来栄えと減点を秤にかけて作業を終了することを目安にしていました。

完成した課題は、1か所隙間があり納得のいくものではなかったので「金賞は難しいかな」と思いました。でも、やってきたことに後悔はないのでその時の最大限の作品は作れたと思っています。
今回、銀賞を受賞することができましたが、「やっぱり金賞取りたかったなぁ」って残念な思いです。でも、作品の出来栄えからすると入賞できて、先輩方の期待に少しは応えることができてほっとしています。先輩方には本当に毎晩遅くまでたくさん教えていただいたので感謝の気持ちでいっぱいです。

やりたい事がいっぱい

色々興味はありますが、建築士になりたいという目標があります。設計する上で、大工や左官のことも分かっていたほうが良いと思うので、まずは、1年生2年生のうちに左官や設計、資格取得など色々なことを経験したいと思います。実習が豊富だから仕上げや木造の実習も頑張りたいです。もうすぐインターンシップ先を決める時期ですが、どの分野に行くかすごく迷っています。本当は、これと決めた分野を究めていったほうがいいとは思っているんですけど、やっぱり色々なことに挑戦して経験を積んでいきたいです。

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ものつくり大学

大学概要、学科紹介、入試情報など、 詳しくは大学ホームページをご覧ください。
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