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  • 【学生による授業レポート #3】実際に作った経験が知識に変わる

    第3回「学生による授業レポート」をお届けします。今回は、建設学科2年の上田翔大さんが「仕上基礎および実習Ⅴ」で学んだことについてレポートします。実習を通じて、学生たちは何を感じ、何を学んでいるのか、リアルな声をお届けします。(学年は記事執筆当時) 「仕上基礎および実習Ⅴ」の授業について この授業は2年の1クォータで履修することができます。RC(コンクリート)製のモニュメント制作を通じて図面と施工の関わりを学びます。今回は「ものつくり大学」のそれぞれの文字を4等分にして1つの文字を完成させるという大きなRC構造物を制作しました。私たちの班は「も」の下部分2つを担当しました。 この授業は、RCにとって最も重要な型枠・鉄筋・コンクリートの三拍子が揃った実習となっています。 実習内容 最初に行ったのは型枠に文字をレタリングする作業です。外形線を綺麗に書いたら、ジグソー(電動ノコギリ)で切り落としていきます。 切った部分を底板に固定して凹凸部分が完成しました。 次に、形を形成する型枠の加工に入っていきます。この作業が疎かになってしまうと、コンクリートが漏れてしまったり形が歪になったりしてしまいます。最初の難関として、チームのみんなで確認し合いながら作業をしていきました。 鉄筋の加工も同時進行で進めていきました。鉄筋はコンクリートとは離れられない運命になっているほど重要なもので、お互いの欠点を補いあい力を発揮してくれます。鉄筋の加工から切断まで手作業で行うことは大変でしたが、それ以上に楽しさが勝り、あっという間に鉄筋加工の作業は終わりました。 型枠・鉄筋の加工が終わると施工に移ります。この時、重要なことは鉄筋と型枠の被り(隙間)を一定にしたいので、できる限り位置や垂直を正確に出すようにします。また、そのままではコンクリートを打設した際に圧力で型枠がはずれ、コンクリートが漏れてしまうかもしれないので周りを単管パイプや木材等を使用して固定します。ここまでで、コンクリートを流す下準備は完了しました。 コンクリートの打設では、コンクリートが目に入る等、怪我をする可能性がある作業が多いので周囲の確認や声掛けをしっかり行います。コンクリートは一輪車を使用して、ミキサー車から運ぶので肉体作業になります。何往復もしてコンクリートを流し込み、バイブレーター(振動機)を用いて均等に均します。実は、この作業が一番きつかったです。この時に型枠に当ててしまうと傷がつき、変形してしまい完成時に形が変わる原因になるので、意外と繊細な作業も求められます。流し込めたら鏝を使用して表面を均します。 コンクリートが固まったら、傷つけないように型枠を外して分別します。再利用できるものは分けるようにします。外し終えたら、フォークリフトを用いて反転させて文字が上になるようにします。 最後に塗装を行います。手に付くと落ちにくいものなので手袋を着けて作業を行います。文字に沿って養生テープを貼るのが難しく、思った通りに貼れないので苦戦しました。塗装は数回に分けて行うので、時間と集中力が必要になります。ただ塗ればいいだけではなく、下地となる塗装など様々な種類があるので間違えないように気を付けます。塗装の作業は乾かす時間も必要になってくるので、実際の現場ではこの待ち時間も他の作業をしているのかなと感じました。 この授業を通して、良かった点や反省点は以下のとおりです。【良かった点】チームで効率よく作業できたので、最終週は余裕をもって授業を終わらせることができました。皆で確認しながら作業を行うことで、知識の定着を感じられました。 【反省点】今回、型枠の施工不良で文字の一部分が欠けてしまいました。しかし、原因を突き止め、修繕する方法を学ぶことができたので失敗をしても大丈夫です。実際の現場では迷惑をかけることになるので失敗するなら今のうちだと思いました。 何を学ぶことができたか 配布された図面通りに加工・施工をすることができ、図面から読み取る力・頭の中で想像する力を養うことができました。作業での適切な道具や使い方を再確認でき、応用も教わったので基礎を学んだだけで満足するのはまだ早いなと感じました。成功した経験だけではなく、失敗した経験を積み、原因を考え次に生かすことは大学生の今のうちにしか許されないので、何事も挑戦して学ぶ姿勢が大切だと思いました。 また、先生のアドバイスだけでなく、自分たちで考えることで知識や作業の質を高めることができるので、周りの人とのコミュニケーションが大事です。中には上級生も参加していますが、一緒に作業をすると意外と話しやすくなります。 私は木造系に興味がありましたが、様々な実習を学んでいくうちに、この業種にはこんな魅力があって、こんなことをしているんだと知ることができたので、今では他の業種にもアンテナを広げて学びを深めていこうかなと考えるようになりました。どの授業でも同じだとは思いますが、自分たちで実際に作り上げたものは記憶して知識に変わります。その過程を楽しく感じながら成長できたことは良い経験でした。 今回の授業は今まで学んだことの総復習だと感じています。私は1年次に「仕上基礎および実習Ⅰ~Ⅳ」を履修し、コンクリートとは?鉄筋・型枠とは?のいろはを学びました。今回の授業はその知識を深め、実際に作ってみて、学内に設置するという内容でとてもワクワクしました。実習が終わる頃には、コンクリートの建物はこんな工程で建てられているんだなと想像力が広がりました。 原稿建設学科2年 上田 翔大(うえだ しょうた) 関連リンク ・【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ…五感で学ぶ溶接技術・【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び・建設学科WEBページ

  • 【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び

    第2回「学生による授業レポート」をお届けします。今回は建設学科4年の杉山一輝さんが「鋼構造物施工および実習」を紹介します。杉山さんは2年次に「鋼構造物施工および実習」を受講して、4年次ではSA(スチューデント・アシスタント)として実習の運営をサポートしました。学生とSAの両方の視点からのレポートをお届けします。(学年は記事執筆当時) 「鋼構造物施工および実習」について 「鋼構造物施工および実習」は、鋼構造の躯体モデルとして鉄骨部材で構成されたシステム建築を施工する工程を通じて、鋼構造部材の組み立てを中心とした施工管理を学びます。高力ボルトなどの締付け管理や母屋、胴縁などのボルトによる施工要領について学び、筋交いやサグロッドなどの2次部材の役目や施工方法を習得します。 システム建築の特徴 この実習は、株式会社横河システム建築から鉄骨などの部材を提供いただくとともに、社員の方に非常勤講師として来ていただき行われています。横河システム建築は、業界トップシェアを誇るシステム建築と、国内外の大型開閉スタジアムやハワイ天文台のすばる望遠鏡大型シャッター装置など、様々な用途の大型可動建築物を提供する建築製品のトップメーカーです。 システム建築とは、建物を構成する部材を「標準化」することにより、「建築生産プロセス」をシステム化し、商品化した建築です。工場・倉庫・物流施設・店舗・スポーツ施設・最終処分場等に適した建築工法で、建設のうえで想定される検討事項・仕様が予め標準化されているので高品質でありながら、短工期・低価格を実現しています。(株式会社横河システム建築HPより引用:https://www.yokogawa-yess.co.jp/yess01/feature) 完成写真 苦労した点、勉強になった点 2年生で受講した時は、システム建築、鉄骨造と聞いてもイメージが全然湧きませんでした。図面を見て理解するにも時間がかかって施工するにもいろいろ苦労しました。しかし、世の中の鉄骨造の建築物(特に工場・倉庫)はどのように施工されているのかを細かな部分まで実習を通して知ることができ、完成に近づくほど楽しく、面白く感じました。「システム建築」がどのような事なのかも学ぶことができました。 図面確認 3年生になり、SA(スチューデント・アシスタント、以下SA)になってからは、受講生に質問されてもしっかり答えられるように図面をよく確認したり、作業内容を熟知するようにして事前準備をしていました。現場は予定通りにいかないことが多いので臨機応変に対応していくのが大変でした。SAとして、また実習に参加することで、受講当時に分からなかったことが理解できるようになったり、新たな疑問点は見つかったり、毎回の実習が充実していたので参加できて良かったと思います。 SAとして工夫した点 就職活動では、株式会社横河システム建築から内定をいただいたということもあり、SAを2年間経験させてもらっています。一般的にSAという立場は、受講生のサポート役として参加しますが、この実習では規模が大きいということもあり、SAが率先して受講生をまとめています。受講生では危険な作業が少々あり、SAがやらなくてはいけない作業があったりするからです。 工夫したことは、その場その場でいろいろとあります。教授・非常勤講師の打ち合わせに参加して、実習で使用する工具類の確認、授業の流れを把握したりして受講生がスムーズに実習できるように環境づくりを行いました。また、複数人いるSAの中でリーダーでもあったので指示を出したり、自身の分からないことはすぐに非常勤講師に質問して対応できるようにしていました。 SAによる柱設置作業 原稿建設学科4年 杉山 一輝(すぎやま かずき) 関連リンク ・【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ・・・五感で学ぶ溶接技術・建設学科WEBページ

  • 【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ…五感で学ぶ溶接技術

    今回は、学生の目線から授業を紹介します。建設学科1年の佐々木望さん(上記写真左)、小林優芽さん(上記写真右)が「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習についてレポートします。実習を通じて、学生たちは何を感じ、何を学んでいるのか。リアルな声をお届けします。(学年は記事執筆当時) ものつくり大学の授業について ものつくり大学の特色…それは何といっても実習授業の多さです。なんと授業のおよそ6割が実習であり、実践を通して知識と技術の両方を身に着けることができます。科目ごとに基礎実習から始まり、使用する道具の名称や使い方などを一から学ぶことができます。 本学は4学期制でそれぞれを1クォータ、2クォータと呼び、1クォータにつき全7回の授業と最終試験を一区切りとして履修していきます。今回は、そんな授業の中で建設学科1年次の4クォータで履修する「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習について紹介します。 アーク溶接の実習とは まず、アーク溶接について簡単に説明すると「アーク放電」という電気的現象を利用して金属同士をつなぎ合わせる溶接方法の一種です。アーク溶接の中にも被覆、ガスシールド、サブマージ、セルフシールドなど様々な種類がありますが、この実習では一般的に広く使用されている被覆アーク溶接を行いました。 アーク溶接の様子 この授業は、講義の中で溶接の基礎知識や安全管理等の法令を学び、実技を通してアーク溶接の技術を身に付けることを目的としています。また、6回目の授業で突合せ板継ぎ溶接の実技試験、7回目の授業で「アーク溶接等作業の安全」をテキストとした試験を行います。その試験に合格した学生には特別教育修了証が発行され、アーク溶接業務を行えるようになります。 実技試験の課題 突合せ溶接 実習では平板ストリンガー溶接、T型すみ肉溶接、丸棒フレア溶接、突合せ板継ぎ溶接といった、数種類の継手の面やコーナー部を溶接する練習を行いました。また、講義では鋼材に関する知識、溶接方法の原理、作業における安全管理、品質における溶接不良の原因や構造物への影響等について学び、試験に臨みました。 実習の流れとしては、まず作業の前に溶接方法の説明を受けます。その後、皮手袋やエプロン、防じんマスク、保護面等の保護具を着用して、3~4人で一班になり、各ブースに分かれて順番に練習を行います。作業中は、実際に現場で活躍されている非常勤講師の先生が学生の間を回り、精度の高い溶接ができるようアドバイスや注意をしてくれます。溶接金属やその周囲は非常に高温になるため、他の実習よりも危険なポイントが多いので作業中だけでなく、準備・片付けもケガ無く安全に行えるよう毎回KY(危険予知)活動をしてから実習に臨みました。 実習を行ってみて 説明ばかりでは授業の様子を想像するのも難しいですよね…。ということで、実際に授業を受けた建設学科1年、小林と佐々木の感想をお届けしたいと思います! ・何を学ぶことができたか 【小林】アーク溶接とは何かを学ぶことができました。もっとも、それを教わるための講義なので何を言ってるんだと思われてしまいそうですが、そもそも私は溶接と無縁の生活を送ってきたので、アーク溶接ってなに?というか溶接ってなんだよ。というところから入りました。1回目の講義の際、どのようなものが溶接で作られているのか紹介していただいたのですが、ほとんどが知らなかったことだったので、とても面白かったのを覚えています。 【佐々木】溶接というのは非常に優れた接合方法だということを学びました。溶接は継ぎ手効率が高く、大型の構造物を作るのに適しています。あの東京スカイツリーはなんと37,000ものパーツを全て溶接することで作られていると知り、世界一高い塔を作る溶接という技術がこんなに小さな機械で、こんなに簡単にできるものなのだと驚きました。また、一口に溶接といっても用途によって材料や溶接方法、継ぎ手の種類などが様々で、その違いを興味深く学ぶことができました。 ・楽しかったこと 【小林】アーク溶接を実技として教わったことがすごく楽しかったです。非常勤の先生方がとても優しく、どのようにすればいいか、どのくらい浮かすのか、どの音で進めていくのかなど一緒に動かしたり、その都度「今離れたよ。もう少し近付けて。そう、その音」と声をかけてくれたりして理解できるようにしてくださったので、すごく分かりやすかったです。そのおかげで綺麗に溶接ができるようになり、すごく褒めてくださることもあって、とても楽しく実習をすることができました。先生が「初めてでここまでできる人は初めて見た」とまで言ってくださったので、とても嬉しく、褒められればやる気が出る単純なタイプなので、やる気もすごく出ました。 【佐々木】練習を重ねて、アドバイスを実践していく度に溶接の精度が上がり、目に見える形でできるようになっていくのが楽しかったです。溶接は五感がとても大切で、保護面越しで見るアーク放電の光だけでなく、ジジジジッ、バチバチッといった音の違いや溶接棒越し感触を頼りに集中し、真っすぐに溶接できた時にはとても達成感を感じました。班の中でも上手な学生から感覚を教えてもらったり、説明を受けながら溶接の様子を見学することで、より学びを深めることができたと思います。講義では、先生から現場での実体験を交えてお話いただいたおかげで楽しく知識を身に着けることができたので、苦にすることなく試験勉強に取り組めました。 実習中の様子 ・苦労したこと 【小林】T字の材料に溶接するところがすごく苦労しました。平面とはまた違った角度をつけて溶接しなければならず、どうにもそれが難しかったです。1層目の溶接は擦りつけながら溶接すると言われ、この前までは浮かせるって言ってたのに?と混乱している中、追い打ちで「この前とは違う角度で溶接する」と言われてしまい、思考が停止したのをよく覚えています。さらに、そのことに気を取られ、前回できていた適切な距離を維持することができなくなり、手が震えて作業している場所が分からず、ズレてガタガタになることを経験して、やっぱり一筋縄ではいかないんだと痛感しました。 T型すみ肉溶接 【佐々木】被覆アーク溶接というのは、細長い溶接棒と溶接金属の母材を溶かし合わせてつなぎ合わせる方法で、溶接を進めるほど溶接棒が溶けていくので、母材と溶接棒の距離を保つのが難しく、溶接の後が上下にずれてしまい大変でした。アークの光が明るすぎて目視では距離の確認ができずに困っていたら、「正しい距離を保てば見えるようになる」と教えてもらい、それからは以前より真っすぐに溶接できるようになりました。また、溶接不良を何か所も発生させてしまい、溶接不良が原因で鉄橋が崩落した大事故についても学んでいたため、仕事としての難しさや、構造物を作っている技術の高さを改めて感じました。 最後に 私たちの授業紹介はいかがでしたでしょうか?建設学科では、今回紹介した構造基礎の授業だけでなく、設計製図や木造、仕上げといった幅広い分野について実習を通して学び、知識と技術を身に着けることができます。 この記事を通して「ものつくり大学って面白そう!」「他にどんな授業をしているのかな」と少しでも興味を持っていただけたらとても嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 原稿建設学科1年 佐々木 望(ささき のぞみ)       小林 優芽(こばやし ゆめ) 関連リンク ・【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び・建設学科WEBページ

  • 【学生による授業レポート #3】実際に作った経験が知識に変わる

    第3回「学生による授業レポート」をお届けします。今回は、建設学科2年の上田翔大さんが「仕上基礎および実習Ⅴ」で学んだことについてレポートします。実習を通じて、学生たちは何を感じ、何を学んでいるのか、リアルな声をお届けします。(学年は記事執筆当時) 「仕上基礎および実習Ⅴ」の授業について この授業は2年の1クォータで履修することができます。RC(コンクリート)製のモニュメント制作を通じて図面と施工の関わりを学びます。今回は「ものつくり大学」のそれぞれの文字を4等分にして1つの文字を完成させるという大きなRC構造物を制作しました。私たちの班は「も」の下部分2つを担当しました。 この授業は、RCにとって最も重要な型枠・鉄筋・コンクリートの三拍子が揃った実習となっています。 実習内容 最初に行ったのは型枠に文字をレタリングする作業です。外形線を綺麗に書いたら、ジグソー(電動ノコギリ)で切り落としていきます。 切った部分を底板に固定して凹凸部分が完成しました。 次に、形を形成する型枠の加工に入っていきます。この作業が疎かになってしまうと、コンクリートが漏れてしまったり形が歪になったりしてしまいます。最初の難関として、チームのみんなで確認し合いながら作業をしていきました。 鉄筋の加工も同時進行で進めていきました。鉄筋はコンクリートとは離れられない運命になっているほど重要なもので、お互いの欠点を補いあい力を発揮してくれます。鉄筋の加工から切断まで手作業で行うことは大変でしたが、それ以上に楽しさが勝り、あっという間に鉄筋加工の作業は終わりました。 型枠・鉄筋の加工が終わると施工に移ります。この時、重要なことは鉄筋と型枠の被り(隙間)を一定にしたいので、できる限り位置や垂直を正確に出すようにします。また、そのままではコンクリートを打設した際に圧力で型枠がはずれ、コンクリートが漏れてしまうかもしれないので周りを単管パイプや木材等を使用して固定します。ここまでで、コンクリートを流す下準備は完了しました。 コンクリートの打設では、コンクリートが目に入る等、怪我をする可能性がある作業が多いので周囲の確認や声掛けをしっかり行います。コンクリートは一輪車を使用して、ミキサー車から運ぶので肉体作業になります。何往復もしてコンクリートを流し込み、バイブレーター(振動機)を用いて均等に均します。実は、この作業が一番きつかったです。この時に型枠に当ててしまうと傷がつき、変形してしまい完成時に形が変わる原因になるので、意外と繊細な作業も求められます。流し込めたら鏝を使用して表面を均します。 コンクリートが固まったら、傷つけないように型枠を外して分別します。再利用できるものは分けるようにします。外し終えたら、フォークリフトを用いて反転させて文字が上になるようにします。 最後に塗装を行います。手に付くと落ちにくいものなので手袋を着けて作業を行います。文字に沿って養生テープを貼るのが難しく、思った通りに貼れないので苦戦しました。塗装は数回に分けて行うので、時間と集中力が必要になります。ただ塗ればいいだけではなく、下地となる塗装など様々な種類があるので間違えないように気を付けます。塗装の作業は乾かす時間も必要になってくるので、実際の現場ではこの待ち時間も他の作業をしているのかなと感じました。 この授業を通して、良かった点や反省点は以下のとおりです。【良かった点】チームで効率よく作業できたので、最終週は余裕をもって授業を終わらせることができました。皆で確認しながら作業を行うことで、知識の定着を感じられました。 【反省点】今回、型枠の施工不良で文字の一部分が欠けてしまいました。しかし、原因を突き止め、修繕する方法を学ぶことができたので失敗をしても大丈夫です。実際の現場では迷惑をかけることになるので失敗するなら今のうちだと思いました。 何を学ぶことができたか 配布された図面通りに加工・施工をすることができ、図面から読み取る力・頭の中で想像する力を養うことができました。作業での適切な道具や使い方を再確認でき、応用も教わったので基礎を学んだだけで満足するのはまだ早いなと感じました。成功した経験だけではなく、失敗した経験を積み、原因を考え次に生かすことは大学生の今のうちにしか許されないので、何事も挑戦して学ぶ姿勢が大切だと思いました。 また、先生のアドバイスだけでなく、自分たちで考えることで知識や作業の質を高めることができるので、周りの人とのコミュニケーションが大事です。中には上級生も参加していますが、一緒に作業をすると意外と話しやすくなります。 私は木造系に興味がありましたが、様々な実習を学んでいくうちに、この業種にはこんな魅力があって、こんなことをしているんだと知ることができたので、今では他の業種にもアンテナを広げて学びを深めていこうかなと考えるようになりました。どの授業でも同じだとは思いますが、自分たちで実際に作り上げたものは記憶して知識に変わります。その過程を楽しく感じながら成長できたことは良い経験でした。 今回の授業は今まで学んだことの総復習だと感じています。私は1年次に「仕上基礎および実習Ⅰ~Ⅳ」を履修し、コンクリートとは?鉄筋・型枠とは?のいろはを学びました。今回の授業はその知識を深め、実際に作ってみて、学内に設置するという内容でとてもワクワクしました。実習が終わる頃には、コンクリートの建物はこんな工程で建てられているんだなと想像力が広がりました。 原稿建設学科2年 上田 翔大(うえだ しょうた) 関連リンク ・【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ…五感で学ぶ溶接技術・【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び・建設学科WEBページ

  • 【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び

    第2回「学生による授業レポート」をお届けします。今回は建設学科4年の杉山一輝さんが「鋼構造物施工および実習」を紹介します。杉山さんは2年次に「鋼構造物施工および実習」を受講して、4年次ではSA(スチューデント・アシスタント)として実習の運営をサポートしました。学生とSAの両方の視点からのレポートをお届けします。(学年は記事執筆当時) 「鋼構造物施工および実習」について 「鋼構造物施工および実習」は、鋼構造の躯体モデルとして鉄骨部材で構成されたシステム建築を施工する工程を通じて、鋼構造部材の組み立てを中心とした施工管理を学びます。高力ボルトなどの締付け管理や母屋、胴縁などのボルトによる施工要領について学び、筋交いやサグロッドなどの2次部材の役目や施工方法を習得します。 システム建築の特徴 この実習は、株式会社横河システム建築から鉄骨などの部材を提供いただくとともに、社員の方に非常勤講師として来ていただき行われています。横河システム建築は、業界トップシェアを誇るシステム建築と、国内外の大型開閉スタジアムやハワイ天文台のすばる望遠鏡大型シャッター装置など、様々な用途の大型可動建築物を提供する建築製品のトップメーカーです。 システム建築とは、建物を構成する部材を「標準化」することにより、「建築生産プロセス」をシステム化し、商品化した建築です。工場・倉庫・物流施設・店舗・スポーツ施設・最終処分場等に適した建築工法で、建設のうえで想定される検討事項・仕様が予め標準化されているので高品質でありながら、短工期・低価格を実現しています。(株式会社横河システム建築HPより引用:https://www.yokogawa-yess.co.jp/yess01/feature) 完成写真 苦労した点、勉強になった点 2年生で受講した時は、システム建築、鉄骨造と聞いてもイメージが全然湧きませんでした。図面を見て理解するにも時間がかかって施工するにもいろいろ苦労しました。しかし、世の中の鉄骨造の建築物(特に工場・倉庫)はどのように施工されているのかを細かな部分まで実習を通して知ることができ、完成に近づくほど楽しく、面白く感じました。「システム建築」がどのような事なのかも学ぶことができました。 図面確認 3年生になり、SA(スチューデント・アシスタント、以下SA)になってからは、受講生に質問されてもしっかり答えられるように図面をよく確認したり、作業内容を熟知するようにして事前準備をしていました。現場は予定通りにいかないことが多いので臨機応変に対応していくのが大変でした。SAとして、また実習に参加することで、受講当時に分からなかったことが理解できるようになったり、新たな疑問点は見つかったり、毎回の実習が充実していたので参加できて良かったと思います。 SAとして工夫した点 就職活動では、株式会社横河システム建築から内定をいただいたということもあり、SAを2年間経験させてもらっています。一般的にSAという立場は、受講生のサポート役として参加しますが、この実習では規模が大きいということもあり、SAが率先して受講生をまとめています。受講生では危険な作業が少々あり、SAがやらなくてはいけない作業があったりするからです。 工夫したことは、その場その場でいろいろとあります。教授・非常勤講師の打ち合わせに参加して、実習で使用する工具類の確認、授業の流れを把握したりして受講生がスムーズに実習できるように環境づくりを行いました。また、複数人いるSAの中でリーダーでもあったので指示を出したり、自身の分からないことはすぐに非常勤講師に質問して対応できるようにしていました。 SAによる柱設置作業 原稿建設学科4年 杉山 一輝(すぎやま かずき) 関連リンク ・【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ・・・五感で学ぶ溶接技術・建設学科WEBページ

  • 【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ…五感で学ぶ溶接技術

    今回は、学生の目線から授業を紹介します。建設学科1年の佐々木望さん(上記写真左)、小林優芽さん(上記写真右)が「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習についてレポートします。実習を通じて、学生たちは何を感じ、何を学んでいるのか。リアルな声をお届けします。(学年は記事執筆当時) ものつくり大学の授業について ものつくり大学の特色…それは何といっても実習授業の多さです。なんと授業のおよそ6割が実習であり、実践を通して知識と技術の両方を身に着けることができます。科目ごとに基礎実習から始まり、使用する道具の名称や使い方などを一から学ぶことができます。 本学は4学期制でそれぞれを1クォータ、2クォータと呼び、1クォータにつき全7回の授業と最終試験を一区切りとして履修していきます。今回は、そんな授業の中で建設学科1年次の4クォータで履修する「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習について紹介します。 アーク溶接の実習とは まず、アーク溶接について簡単に説明すると「アーク放電」という電気的現象を利用して金属同士をつなぎ合わせる溶接方法の一種です。アーク溶接の中にも被覆、ガスシールド、サブマージ、セルフシールドなど様々な種類がありますが、この実習では一般的に広く使用されている被覆アーク溶接を行いました。 アーク溶接の様子 この授業は、講義の中で溶接の基礎知識や安全管理等の法令を学び、実技を通してアーク溶接の技術を身に付けることを目的としています。また、6回目の授業で突合せ板継ぎ溶接の実技試験、7回目の授業で「アーク溶接等作業の安全」をテキストとした試験を行います。その試験に合格した学生には特別教育修了証が発行され、アーク溶接業務を行えるようになります。 実技試験の課題 突合せ溶接 実習では平板ストリンガー溶接、T型すみ肉溶接、丸棒フレア溶接、突合せ板継ぎ溶接といった、数種類の継手の面やコーナー部を溶接する練習を行いました。また、講義では鋼材に関する知識、溶接方法の原理、作業における安全管理、品質における溶接不良の原因や構造物への影響等について学び、試験に臨みました。 実習の流れとしては、まず作業の前に溶接方法の説明を受けます。その後、皮手袋やエプロン、防じんマスク、保護面等の保護具を着用して、3~4人で一班になり、各ブースに分かれて順番に練習を行います。作業中は、実際に現場で活躍されている非常勤講師の先生が学生の間を回り、精度の高い溶接ができるようアドバイスや注意をしてくれます。溶接金属やその周囲は非常に高温になるため、他の実習よりも危険なポイントが多いので作業中だけでなく、準備・片付けもケガ無く安全に行えるよう毎回KY(危険予知)活動をしてから実習に臨みました。 実習を行ってみて 説明ばかりでは授業の様子を想像するのも難しいですよね…。ということで、実際に授業を受けた建設学科1年、小林と佐々木の感想をお届けしたいと思います! ・何を学ぶことができたか 【小林】アーク溶接とは何かを学ぶことができました。もっとも、それを教わるための講義なので何を言ってるんだと思われてしまいそうですが、そもそも私は溶接と無縁の生活を送ってきたので、アーク溶接ってなに?というか溶接ってなんだよ。というところから入りました。1回目の講義の際、どのようなものが溶接で作られているのか紹介していただいたのですが、ほとんどが知らなかったことだったので、とても面白かったのを覚えています。 【佐々木】溶接というのは非常に優れた接合方法だということを学びました。溶接は継ぎ手効率が高く、大型の構造物を作るのに適しています。あの東京スカイツリーはなんと37,000ものパーツを全て溶接することで作られていると知り、世界一高い塔を作る溶接という技術がこんなに小さな機械で、こんなに簡単にできるものなのだと驚きました。また、一口に溶接といっても用途によって材料や溶接方法、継ぎ手の種類などが様々で、その違いを興味深く学ぶことができました。 ・楽しかったこと 【小林】アーク溶接を実技として教わったことがすごく楽しかったです。非常勤の先生方がとても優しく、どのようにすればいいか、どのくらい浮かすのか、どの音で進めていくのかなど一緒に動かしたり、その都度「今離れたよ。もう少し近付けて。そう、その音」と声をかけてくれたりして理解できるようにしてくださったので、すごく分かりやすかったです。そのおかげで綺麗に溶接ができるようになり、すごく褒めてくださることもあって、とても楽しく実習をすることができました。先生が「初めてでここまでできる人は初めて見た」とまで言ってくださったので、とても嬉しく、褒められればやる気が出る単純なタイプなので、やる気もすごく出ました。 【佐々木】練習を重ねて、アドバイスを実践していく度に溶接の精度が上がり、目に見える形でできるようになっていくのが楽しかったです。溶接は五感がとても大切で、保護面越しで見るアーク放電の光だけでなく、ジジジジッ、バチバチッといった音の違いや溶接棒越し感触を頼りに集中し、真っすぐに溶接できた時にはとても達成感を感じました。班の中でも上手な学生から感覚を教えてもらったり、説明を受けながら溶接の様子を見学することで、より学びを深めることができたと思います。講義では、先生から現場での実体験を交えてお話いただいたおかげで楽しく知識を身に着けることができたので、苦にすることなく試験勉強に取り組めました。 実習中の様子 ・苦労したこと 【小林】T字の材料に溶接するところがすごく苦労しました。平面とはまた違った角度をつけて溶接しなければならず、どうにもそれが難しかったです。1層目の溶接は擦りつけながら溶接すると言われ、この前までは浮かせるって言ってたのに?と混乱している中、追い打ちで「この前とは違う角度で溶接する」と言われてしまい、思考が停止したのをよく覚えています。さらに、そのことに気を取られ、前回できていた適切な距離を維持することができなくなり、手が震えて作業している場所が分からず、ズレてガタガタになることを経験して、やっぱり一筋縄ではいかないんだと痛感しました。 T型すみ肉溶接 【佐々木】被覆アーク溶接というのは、細長い溶接棒と溶接金属の母材を溶かし合わせてつなぎ合わせる方法で、溶接を進めるほど溶接棒が溶けていくので、母材と溶接棒の距離を保つのが難しく、溶接の後が上下にずれてしまい大変でした。アークの光が明るすぎて目視では距離の確認ができずに困っていたら、「正しい距離を保てば見えるようになる」と教えてもらい、それからは以前より真っすぐに溶接できるようになりました。また、溶接不良を何か所も発生させてしまい、溶接不良が原因で鉄橋が崩落した大事故についても学んでいたため、仕事としての難しさや、構造物を作っている技術の高さを改めて感じました。 最後に 私たちの授業紹介はいかがでしたでしょうか?建設学科では、今回紹介した構造基礎の授業だけでなく、設計製図や木造、仕上げといった幅広い分野について実習を通して学び、知識と技術を身に着けることができます。 この記事を通して「ものつくり大学って面白そう!」「他にどんな授業をしているのかな」と少しでも興味を持っていただけたらとても嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 原稿建設学科1年 佐々木 望(ささき のぞみ)       小林 優芽(こばやし ゆめ) 関連リンク ・【学生による授業レポート #2】受講後もSA(スチューデント・アシスタント)を通じて深める学び・建設学科WEBページ