【学生による授業レポート】ジジジジッ、バチバチッ…五感で学ぶ溶接技術

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今回は、学生の目線から授業を紹介します。建設学科1年の佐々木望さん(上記写真左)、小林優芽さん(上記写真右)が「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習についてレポートします。
実習を通じて、学生たちは何を感じ、何を学んでいるのか。リアルな声をお届けします。
(学年は記事執筆当時)

ものつくり大学の授業について

ものつくり大学の特色…それは何といっても実習授業の多さです。なんと授業のおよそ6割が実習であり、実践を通して知識と技術の両方を身に着けることができます。科目ごとに基礎実習から始まり、使用する道具の名称や使い方などを一から学ぶことができます。

本学は4学期制でそれぞれを1クォータ、2クォータと呼び、1クォータにつき全7回の授業と最終試験を一区切りとして履修していきます。今回は、そんな授業の中で建設学科1年次の4クォータで履修する「構造基礎および実習Ⅳ」のアーク溶接実習について紹介します。

アーク溶接の実習とは

まず、アーク溶接について簡単に説明すると「アーク放電」という電気的現象を利用して金属同士をつなぎ合わせる溶接方法の一種です。アーク溶接の中にも被覆、ガスシールド、サブマージ、セルフシールドなど様々な種類がありますが、この実習では一般的に広く使用されている被覆アーク溶接を行いました。

アーク溶接の様子

この授業は、講義の中で溶接の基礎知識や安全管理等の法令を学び、実技を通してアーク溶接の技術を身に付けることを目的としています。また、6回目の授業で突合せ板継ぎ溶接の実技試験、7回目の授業で「アーク溶接等作業の安全」をテキストとした試験を行います。その試験に合格した学生には特別教育修了証が発行され、アーク溶接業務を行えるようになります。

実習では平板ストリンガー溶接、T型すみ肉溶接、丸棒フレア溶接、突合せ板継ぎ溶接といった、数種類の継手の面やコーナー部を溶接する練習を行いました。また、講義では鋼材に関する知識、溶接方法の原理、作業における安全管理、品質における溶接不良の原因や構造物への影響等について学び、試験に臨みました。

実習の流れとしては、まず作業の前に溶接方法の説明を受けます。その後、皮手袋やエプロン、防じんマスク、保護面等の保護具を着用して、3~4人で一班になり、各ブースに分かれて順番に練習を行います。作業中は、実際に現場で活躍されている非常勤講師の先生が学生の間を回り、精度の高い溶接ができるようアドバイスや注意をしてくれます。溶接金属やその周囲は非常に高温になるため、他の実習よりも危険なポイントが多いので作業中だけでなく、準備・片付けもケガ無く安全に行えるよう毎回KY(危険予知)活動をしてから実習に臨みました。

実習を行ってみて

説明ばかりでは授業の様子を想像するのも難しいですよね…。ということで、実際に授業を受けた建設学科1年、小林と佐々木の感想をお届けしたいと思います!

・何を学ぶことができたか

【小林】
アーク溶接とは何かを学ぶことができました。もっとも、それを教わるための講義なので何を言ってるんだと思われてしまいそうですが、そもそも私は溶接と無縁の生活を送ってきたので、アーク溶接ってなに?というか溶接ってなんだよ。というところから入りました。1回目の講義の際、どのようなものが溶接で作られているのか紹介していただいたのですが、ほとんどが知らなかったことだったので、とても面白かったのを覚えています。

【佐々木】
溶接というのは非常に優れた接合方法だということを学びました。溶接は継ぎ手効率が高く、大型の構造物を作るのに適しています。あの東京スカイツリーはなんと37,000ものパーツを全て溶接することで作られていると知り、世界一高い塔を作る溶接という技術がこんなに小さな機械で、こんなに簡単にできるものなのだと驚きました。また、一口に溶接といっても用途によって材料や溶接方法、継ぎ手の種類などが様々で、その違いを興味深く学ぶことができました。

・楽しかったこと

【小林】
アーク溶接を実技として教わったことがすごく楽しかったです。非常勤の先生方がとても優しく、どのようにすればいいか、どのくらい浮かすのか、どの音で進めていくのかなど一緒に動かしたり、その都度「今離れたよ。もう少し近付けて。そう、その音」と声をかけてくれたりして理解できるようにしてくださったので、すごく分かりやすかったです。そのおかげで綺麗に溶接ができるようになり、すごく褒めてくださることもあって、とても楽しく実習をすることができました。先生が「初めてでここまでできる人は初めて見た」とまで言ってくださったので、とても嬉しく、褒められればやる気が出る単純なタイプなので、やる気もすごく出ました。

【佐々木】
練習を重ねて、アドバイスを実践していく度に溶接の精度が上がり、目に見える形でできるようになっていくのが楽しかったです。溶接は五感がとても大切で、保護面越しで見るアーク放電の光だけでなく、ジジジジッ、バチバチッといった音の違いや溶接棒越し感触を頼りに集中し、真っすぐに溶接できた時にはとても達成感を感じました。班の中でも上手な学生から感覚を教えてもらったり、説明を受けながら溶接の様子を見学することで、より学びを深めることができたと思います。講義では、先生から現場での実体験を交えてお話いただいたおかげで楽しく知識を身に着けることができたので、苦にすることなく試験勉強に取り組めました。

実習中の様子

・苦労したこと

【小林】
T字の材料に溶接するところがすごく苦労しました。平面とはまた違った角度をつけて溶接しなければならず、どうにもそれが難しかったです。1層目の溶接は擦りつけながら溶接すると言われ、この前までは浮かせるって言ってたのに?と混乱している中、追い打ちで「この前とは違う角度で溶接する」と言われてしまい、思考が停止したのをよく覚えています。さらに、そのことに気を取られ、前回できていた適切な距離を維持することができなくなり、手が震えて作業している場所が分からず、ズレてガタガタになることを経験して、やっぱり一筋縄ではいかないんだと痛感しました。

T型すみ肉溶接

【佐々木】
被覆アーク溶接というのは、細長い溶接棒と溶接金属の母材を溶かし合わせてつなぎ合わせる方法で、溶接を進めるほど溶接棒が溶けていくので、母材と溶接棒の距離を保つのが難しく、溶接の後が上下にずれてしまい大変でした。アークの光が明るすぎて目視では距離の確認ができずに困っていたら、「正しい距離を保てば見えるようになる」と教えてもらい、それからは以前より真っすぐに溶接できるようになりました。また、溶接不良を何か所も発生させてしまい、溶接不良が原因で鉄橋が崩落した大事故についても学んでいたため、仕事としての難しさや、構造物を作っている技術の高さを改めて感じました。

最後に

私たちの授業紹介はいかがでしたでしょうか?建設学科では、今回紹介した構造基礎の授業だけでなく、設計製図や木造、仕上げといった幅広い分野について実習を通して学び、知識と技術を身に着けることができます。

この記事を通して「ものつくり大学って面白そう!」「他にどんな授業をしているのかな」と少しでも興味を持っていただけたらとても嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

原稿
建設学科1年 佐々木 望(ささき のぞみ)
       小林 優芽(こばやし ゆめ)

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ものつくり大学

大学概要、学科紹介、入試情報など、 詳しくは大学ホームページをご覧ください。
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