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2022年11月の記事一覧

  • 【知・技の創造】装飾が愛着に繋がる

    「装飾」から考える「花飾建築」とは 「装飾」とは、飾ること。美しく装うこと。また、その装い・飾り。「愛着」とはなれ親しんだものに深く心が引かれること。を意味します。 私事になりますが、現在、行田市内花き農家応援花いっぱい運動に取り組んでいます。ヴェールカフェ(旧忍町信用組合)や忍城を装飾する「花飾《かしょく》建築」と題した花台を制作しました。そのため、装飾について考えることがしばしばありました。9月に亡くなられた英エリザベス女王が、生前使用していた装飾品に大英帝国王冠があります。この王冠は、女王が戴冠式から着用されていたもので、ジョージ6世から譲り受け女王のために再デザインされたものです。国葬の際、女王の棺の上に、宝石の散りばめられた王冠が飾られていたのがとても印象的でした。 ファッションも建築も装飾されることで注目される 私が専門とする建築の分野では、「建築装飾」という言葉が使われます。鬼瓦や風見鶏のような厄除け魔除けのために取り付けられたり、欄間や襖のようにインテリアとして設えたり、構造体や間取りなど実用的機能に関係しない建築表現を指します。また、建築物を飾りつけるものとしては、ハロウィンやクリスマスのイルミネーション、お正月に飾るしめ縄や門松などがあります。東京タワーを事例に挙げてみると、建設当初、しばしば4本の稜線を電球で点灯。1964年のオリンピック以降、毎日点灯、都市の高層化により目立たなくなる。1989年、石井幹子氏による季節感を取り入れたライトアップの開始。2013年、増上寺のプロジェクションマッピングの背景に活用される。このように東京タワーは、電気によって装飾されることで、ときには都市の主役のように、ときには脇役のように捉えられてきました。装飾は、その季節や時代のトレンドを取り入れつつ、伝統を重んじながら発展してきました。ファッションも建築も装飾されることで注目されます。そして、その装飾された人、建物、街への愛着へと結びつきます。私の研究室で制作した「花飾建築」も旧忍町信用組合や忍城、そして行田市への愛着に繋がればいいなと思います。 埼玉新聞「ものつくり大学発 知・技の創造」(2022年11月4日号)掲載 Profile 大竹 由夏 (おおたけ ゆか) ものつくり大学建設学科講師。筑波大学博士後期課程修了。博士(デザイン学)。一級建築士。筑波大学博士特別研究員を経て現職。 関連リンク 行田市花いっぱい運動 地域との交流を通じて得た学び 建設学科 デザイン・空間表現研究室(大竹研究室) 建設学科WEBページ

  • 【知・技の創造】D2C時代のものづくり

    「D2C」の潮流  皆さんは「D2C」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「D2C」とは「Direct to Consumer」(消費者に直接届ける)の略で、米国を中心に流行が始まっている新しい製品の販売、消費の動向です。「D2C」ブランドの特徴は原則小売店を介さずに、製造者が自社のwebサイトから直接消費者に販売する形態にあります。   「D2C」を代表するブランドとしては寝具の「Casper」、眼鏡の「Warby Parker」、日本でも若い世代を中心に支持を集めている、スニーカーの「Allbirds」などが挙げられます。  ではこれらの製品ジャンルは既に多くの製造者が古くから製品を供給しているにも関わらず、なぜこうした新興のブランドが誕生し消費者の支持を集めているのでしょうか。その背景にあるのはSNSの存在とサスティナビリティ(持続可能性)意識の普及にあると考えられます。  「Instagram」などのSNSの普及は、自分の持ち物を世界中の多くの人に見てもらう機会を生み出しました。それに従い、高価なものを自慢するのではなく「自分らしい」ものを選びたいというニーズ、そしてものを買うからにはそれを選んだ「確かな理由付け」が欲しいというニーズが消費者から求められるようになりました。  それに対し、例えば前述の「Warby Parker」は無償で5日間、5種類の試着用眼鏡を消費者の自宅に送付し、消費者はそれを試着してSNSに投稿し、その反応を見て自分に似合う眼鏡を選ぶ。といった新しい消費のスタイルを生み出しました。 そして「Allbirds」のスニーカーは、製品の製造から廃棄されるまでのCO2排出量を製品毎に公表し、消費者が出来るだけ環境負荷の少ない製品を選択できる仕組みを作っています。製品を購入し消費する以上、地球環境に対して何らかの悪影響を与えることは避けられませんが、このサスティナビリティに出来るだけ配慮してものづくりを行う企業姿勢が、環境意識に敏感な若い世代の支持を集めている理由であるといって良いでしょう。  こうしたD2Cの流行から考えられることは、消費者向けの製品開発は「小品種、大量生産」から「中品種、中量生産」、さらに「多品種、少量生産」の潮流へ向かっているということです。 これからの「ものづくり」教育 ではこの潮流に対して「ものづくり」教育はどのように応えていくべきでしょうか。「多品種、少量生産」の製品開発のためには、消費者個々のニーズを汲み取り、それをデザインに落とし込むユーザーリサーチ技術の研究や、サスティナビリティに配慮した素材を活用したデザインの研究が必要です。また少量生産に適した新しい生産プロセスの研究、あるいは手作りのプロセスによるものづくりの復権が考えられます。  従来「理系は人間の行動に対する想像力が弱く、文系は科学技術の進歩に対する理解力が足りない」と言われてきました。しかしこれからのものづくりに求められるのは、文理の枠を超えて消費者の行動、ニーズを理解した上で、最新の科学技術の進歩を享受した製品開発が出来るクロスオーバー型の人材であると言えるでしょう。ものつくり大学では2022年度より「教養教育センター」を設立し、従来の強みを活かしつつ分野をクロスオーバーする知を身につけた人材育成を目指しています。D2C時代のものづくりを切り拓く本学の教育展開にご期待ください。 埼玉新聞「ものつくり大学発 知・技の創造」(2022年10月7日号)掲載 Profile 町田 由徳 (まちだ よしのり) 教養教育センター・情報メカトロニクス学科 准教授 東京造形大学デザイン学科卒業後、デザイン事務所勤務、岡崎女子短期大学准教授等を経て、2020年より現職。専門はプロダクトデザイン。 関連リンク 教養教育センターWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 学費以上の経験が得られる!?学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは

    2022年9月6日(火)~9月10日(土)の5日間にかけて、静岡県 小笠原総合運動公園にて「学生フォーミュラ日本大会2022-ものづくり・デザインコンペティション-」が開催されました。対面での開催は実に3年ぶりとなります。本学からは、学生フォーミュラプロジェクトが参加しましたが、出場に必要なEV車は完成していません。その中で出場した理由や、学生にとっての学生フォーミュラプロジェクトの魅力を聞きました。 学生フォーミュラプロジェクト ■リーダー 野原 涼平さん(総合機械学科4年) ■メンバー 小林 蒼さん(総合機械学科3年) 小林 駿祐さん(総合機械学科2年) 武井 孝成さん(総合機械学科2年) 3年ぶりの対面開催に向けて設定した目標、課題などはありましたか 【野原】一昨年、これまで製作していたエンジン車から、時代の流れに即した車作りを考え、電気自動車へ移行しました。目標は、直線を得意とする車両でしたが、エンジンからモーターに変更する際、単純に製作する物が増えただけではなく、製作に重要な安全装備の知識が必要でした。しかも、今年度は全国から14チームがエントリーしましたが、車両を完走させたチームが2チームのみということを知り、それくらい難しい製作なのだと実感しました。 新型コロナウイルスの影響で、大学間交流や実際に走行している車両を見ることが減ってしまったこともあり、今年度は他大学と交流をしながら様々な学びを持ち帰るという意識を持って参加しました。来年度の完成に向けて、モーターを動かすための電子回路の製作と、高電圧を取り扱うため、安全装置を動かすプログラミングを完成させたいです。 走行が叶わなくても、出場した理由はどうしてですか 【野原】情報が一番集まるからです。完成しないから出ないという選択肢はありませんでした。また、今の1年生から3年生は対面開催を経験したことがなく、大会に関する知識を付けて欲しいということもあり、参加しました。 【武井】来年度出場を目指すにあたり、大会の様子を知っているのとそうでないのとでは意識がかなり違ってくることも感じていたので、出場して良かったと思います。 【小林(駿)】僕は、イメージを膨らませる為に参加しました。EV車は本学に完成品がなく、大会に参加すれば他大学の完成品を見ることができるので、自分たちの目指すべきところの確認もできました。 他大学で見られたもの、得られた学びはありましたか 【武井】本学の強みは、外装をほぼ内製で製作しているにも関わらず、ハイクオリティなところだと自負しています。大会に持って行った時も、沢山の大学の方に話しかけていただいたことで誇らしい気持ちになっていました。他の大学からも、モーターやバッテリー位置がとても参考になったので、今後もお話を聞いてみたいなと思いました。 【小林(駿)】やはり部品の配置はとても参考になりました。また、大会の熱気を受けて、同じレーンに立てるように早く走らせたいと強く感じました。 【小林(蒼)】大会に出場できるチームの少なさを知った時に、本学だけが遅れているわけではないことに正直ホッとしました。しかし、スケジュール設定に関しては遅れていることが分かり、もっとスピード感を持って進めていかなくてはならないと気持ちが引き締まりました。 【野原】私だけが関係するものになりますが、学生フォーミュラに参加している関東圏の大学生で構成された外部団体に所属しています。主にそこで学び合いや大学間交流を行っているので、現地での開催はとても重要だと感じました。また、電子回路の組み方や部品の発注など勉強になることは多いので。後輩の為にも今後他大学との交流も増やしていきたいです。 来年度の目標や、それを達成するためにプロジェクトで行うことはありますか 【野原】チームとしては、車検を通る車を作りたいと考えています。そのためにも、とにかく1日でも早く車両を動かしたいと思っています。 【小林(駿)】チーム全体との関わりが足りないと思っているので、コミュニケーションは積極的に行いたいです。チームの全体把握をし、やりたいと考えているマネジメントもしていきたいと考えています。 【小林(蒼)】走行データがまだとれていないため、走れる車両が完成次第、より良い走行を実現できるよう設計等考えていきたいです。 【武井】電子関係を勉強したくて学生フォーミュラプロジェクトに入ったので、個人でも勉強を進めながら、車両完成に向けてチームのサポートをしていきたいと思っています。 チームワークについて、どのような雰囲気ですか 【野原】楽しんで進めている様子も見られますが、参加するメンバーに偏りが見られます。本来チーム全体で車検に向けて動かなければならないので、各メンバーの思いを聞いた上でベストな組織作りに努めていきたいと思っています。また、卒業までに必要な知識をもっと蓄え、後輩にどんどん引き継いでいきたいです。 学生プロジェクトでの取り組みは大学生活でどのように役立っていますか? 【武井】学生プロジェクトに入ったことによって、授業の予習と復習が自然とできていることです。プロジェクトでやったことが予習になるときもあれば、授業で教わったことをプロジェクトでアウトプットできるということは、プロジェクトならではだと思います。 【小林(駿)】僕も同じです。プロジェクトで得たコミュニケーション能力が授業で発揮できました。縦や横の繋がりが出来たことも大きいです。 来年度の目標、目指している人はいますか 【小林(駿)】1人に絞ることは難しいので、様々な先輩の特性をどんどん吸収していきたいです。 【武井】父です。分からないことを教えてくれる時もスッと入ってくる分かりやすさでとても尊敬しています。そういう人間に成長したいと思っていますし、自分が目指している企業も父が勤めている企業です。 【小林(蒼)】僕は卒業生の丸山颯斗先輩(2022年3月卒業)のようになりたいと思っています。チーム内で意見の食い違いが起こった時に、みんなの要望を上手に汲み取って解決してくださったので、自分もチームのバランスを考えられる人になりたいです。 学生プロジェクトの強みや魅力を教えてください 【野原】就職活動にはかなり強いと思います。エピソードにもなるし、即戦力としての売り込みも出来るところは学生プロジェクトならではだと思います。 【小林(蒼)】授業では基礎的なことを広く教えてくれますが、学生プロジェクトではさらに深い知識・技能まで蓄えることができます。先輩や先生方に教えてもらうことで、繋がりや顔を覚えてもらえるところも強みだと思います。 【小林(駿)】僕は、逆に学生プロジェクトに入ってないと意味がないのではないかという話を友人とするくらいに重要性を感じています。授業で出てきた機械を学ぶ際も、何の為に使うのか、その機械によってものづくりの幅がどれだけ広がるのか考えられるようになりました。単位・成績を取るためだけに授業を受けるのではなくて、疑問や目的の為に授業を受ける意識になったのは学生プロジェクトに所属したからだと思います。 【武井】コミュニケーション能力が上がっているなと思いました。他大学や外部の企業との関わりにおいて、大学生活だけでは得ることのできない能力を学生プロジェクトで得ることができたと思います。 最後に一言お願いします! 【武井】まだプロジェクトに入っていない人、入ろうか迷っている人に、優しい人が多いよと伝えたいです。誰だって頭ごなしに怒られるのは嫌だと思いますが、まずありません。安心して見学に来てほしいと思います。 【小林(駿)】学生のうちはどれだけ失敗してもそれが自分の大きな責任にはならないし、失敗からの学びを身に付けることができます。むしろ大学が思う存分失敗できる最後の場所であって、就職してしまうと失敗に対して怖気づいてしまうと思うので、このタイミングで何もしないのはもったいないと思います。なので、何も恐れることなく挑戦する心を忘れないで欲しいです。 【小林(蒼)】学生プロジェクトは、学費以上の経験を積める場所です。自分の力では手に入れることのできない道具も、プロジェクト予算から出せるので、技能の幅も広がります。 【野原】小林(蒼)が言った「学費以上」は、個人的には「ものつくり大学の学生フォーミュラプロジェクトに所属すると、学費以上の経験を得られる」のだと思っています。ここまでの支援は他大学と比べてもトップクラスだと思うので、恩返しを出来るように気合を入れて頑張っていきたいと思います。 関連リンク 学生フォーミュラプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 現場体験で感じた林業に魅了されて・・・第二の故郷へ就く

    林業の機械化が進んだことで、素材生産や森林調査等で女性が活躍する場が増えています。とはいえ、まだまだ3K(きつい、汚い、危険)のイメージは拭えません。その林業の現場に大きな夢を抱いて挑戦する女子学生がいます。 例えば、京都を代表する銘木「北山杉」。古くから北山林業では女性は重要な役割を担っていました。枝打ちや伐採は男性の仕事ですが、加工作業や運搬、苗木の植え付けは主に女性の仕事でした。では、現代の林業女子には仕事はないのでしょうか。近年は機械化が進むことで伐採等の林業現場へも女性が進出することが期待されています。その林業に挑戦する浅野 零さん(建設学科4年)。153㎝の華奢なカラダからは想像できないバイタリティーの源はなにか、感動のインタビューです。 浅野さんのチャレンジ魂を育てたものは何ですか 高校までものづくりとは縁がなかったです。茨城県の生まれですが、小学校4年から中学卒業まで長野県にある人口850人程の村へ山村留学していました。高校は山口県でした。田舎が好きで、今度は瀬戸内海の島でした。山から海へ、です。高校時代は、アーチェリー部に所属していました。強化指定を受けていたことで、3年生では選手として全国大会へ出場しています。強いてものづくりと縁があるなら、山村留学時に仲間と小屋を作ったことでしょうか。その楽しかった思い出は心のどこかにずっとあって、このエピソードはものつくり大学へ進学する時に大学の方にお話しました。大学からすると、私の志望動機が不思議に思えたようでした。 そもそも母の影響というか、子育て方針というか、兄も同じ村に先に山村留学していて、後にカナダへ海外留学をしました。私は茨城→長野→山口→埼玉と国内を巡っていますが、この度、就職で長野へ戻ります。それも山村留学でお世話になった同じ村に戻ります。何でしょうね、Uターンでもなく、Iターンでもなくて。 大学での4年間もパワフルだったのではないですか もちろん普通高校卒なので、ものづくりを学んだのは入学してからです。木に触れることは好きだったので、最初は木工家具の製作に憧れました。角材を加工する授業は楽しかったけれど、そのうち角材になる前の木自体に興味が湧いてきて、林業を意識するようになりました。 1年の秋に「林業体験」のイベントを探して個人で参加しました。木を切って、加工して、その凄さに憧れました。女性も参加しやすいイベントで、参加したのは大方女性でした。人生で初めてチェンソーを使って、木を切りました。そして、垂直に立てた木の幹に切り込みを入れて燃やし、手軽に焚き火が楽しめるスウェーデントーチでの料理を楽しみました。 これをきっかけに林業界への憧れが強くなり、将来仕事として就きたいと思うようになりました。2年次に実施される大学のインターンシップは、長野県飯山市のNPO法人で木材加工に従事しました。3年次では、進路を林業一本に絞ったため、個人的に様々な企業や現場を見学に行きました。そういう意味では決断も早く、行動力もありましたね。いま思えば大学の授業との両立もうまく対処していたように思います。 自らの進むべき道を見つけるまでに、どんな出会いがありましたか 大学では就活を意識した活動と共に、1年次で建築大工3級、2年次で左官2級、造園3級、3年次で造園2級と、とにかく木に関わる資格を取得していきました。生活全てを木に関わっていきたい思いが強かったです。 実は、高校時代に生活していた山口県の林業会社の方に「この世界、女性ではたいへんだけれど、男性とは違う視点で活躍している方がたくさんいるよ」と言われました。その林業会社の方にはオンラインで頻繁に相談に乗っていただきました。「山口においでよ」と何度もお誘いをいただきました。正直、山口へ移住しようという気持ちにもなりました。同時に長野とも連絡を取っていて、情報収集に努めていました。 林業は、国の重要な施策なので、どちらかと言えば昔ながらの堅苦しいイメージを持っていました。でも、民間の小さな林業会社では、自分の技術やスキルがついたらやりたいことをやらせてもらえるような新しい考え方も生まれてきていることを知りました。長野で林業を起業された社長さんと話していると、ぐいぐい引き込まれていきました。その将来を見据えた魅力たっぷりの内容に感激しました。 そして最終的に長野へ就職を決めたのですか もちろん企業方針を何度も聞いて、性格的に合っているなと思いましたし、私が内定をいただいた会社がある村は、小学生の山村留学でお世話になったところでした。この村は私にとって特別です。住むことができる、仕事をすることができるなら恩返しの気持ちを持って戻りたいと強く思いました。会社も林業としては2021年に法人化されたばかり。不思議な縁を感じて、お世話になった村へ帰ろうと思いました。 林業女子としての不安や期待はありますか 林業は3Kと言われます。きつい、汚い、危険ですね。それに林業の現場に出る女性としての問題は、まずトイレ。いまは自然保護の観点から、以前のような現地で処理するようなことは減ってきています。トイレの設置や、山を下って用を足すこともできます。それから力の強さですね。女性ですので、体力は男性と比べて見劣りします。でも機械化も進み、力の問題も徐々に解決してくれそうです。緑の雇用制度で3年間鍛えることができるので、いまはそれが楽しみでなりません。都会にある林業会社では、近年「かっこいい林業」をスローガンにして新しい「K」が生まれています。期待ということでは、いずれキャンプ場を作るという会社の重点方針があります。いまは力不足ですが、ぜひチャレンジしたいです。 林業を通して、森林と地域との新たな価値を創造する繋ぎになるということですね 日本は平野の少ない森林大国です。木があれば、火を起こせる。火を起こしたら、ごはんも炊ける、お風呂も沸かせる。家も建てられるし、生きていく上でのあらゆる繋がりがあります。花粉問題だって、木を切る人がいれば、むしろ空気の循環を良くしてくれる。林業は大切なんですよね。人間の生活の基盤になっていると思っています。 ですから林業を通して、そこに生活する方たちのほのぼのとした幸福感や満足感を充足したいですし、村おこしといった地域の活性化にも非常に興味があります。 大学では様々な検定試験に挑戦しましたが、授業では学べないところまで教えてもらいました。先生方の技術が素晴らしいので、安心して学べます。私はこうした知識や技能・技術は、いずれどこかの場面で役立つと思っています。自分と仕事、自分と社会を繋ぐ力です。その力がないと新たな価値の創造なんてできないです。 視野が広がり、自分の進むべき道を見つけた大学での4年間。いまは卒業制作に仲間と懸命に取り組んでいます。一般家庭のエントランスと庭づくりです。次のステップへ進むために!!! 関連リンク 建設学科WEBページ

  • Japan Steel Bridge Competition 2022 ものつくり大学だからこそ作れる橋梁モデル

    建設学科 大垣研究室は、「Japan Steel Bridge Competition(通称:ブリコン)」に毎年出場しています。ブリコンとは、学生が自ら橋の構造を考え、設計、製作(鋼材の切断、溶接、孔開け、塗装)、架設を行い、全国の大学生および高専生の間で競い合う大会です。大会当日は、架設競技、プレゼン競技、載荷競技、美観投票を行います。2022年9月に開催された大会では、大垣研究室から2チームが出場し、Aチームが美観部門1位、Bチームが美観部門2位という成績を収めました。美観部門で1位を受賞したAチームで、プレゼン競技を担当した後藤 七海さん(建設学科4年)、製作を担当した杉本 陸さん(建設学科4年)に伺いました。 どんな橋を目指して作ったか 【後藤】美観と構造を意識しました。美観を重視するためにレンズ型トラス橋を選択しました。構造は、曲線と直線を組み合わせています。昨年のブリコンでは、曲線部分の継手に時間がかかってしまったため、今回は3種類の継手を取り入れ、継手箇所を工夫して架設も意識しました。 製作したレンズ型トラス橋の設計図 プレートで挟むタイプの継手 差し込むタイプの継手 かみ合わせるタイプの継手 美観部門1位に選ばれた理由は 【杉本】シンプルに形だと思います。他のチームも凝った形をした橋はありましたが、鉄骨を1番曲げていたのは私たちでした。私は高校の3年間、溶接と鉄を加工した経験がありますが、真っ直ぐな鉄骨を700℃~800℃くらいの熱で少しずつ曲げるため、ものすごく時間がかかりましたし、難しかったです。加工は、ほぼ一人で作業しました。材料から切り出すのが2~3日、曲げ加工に1週間、溶接に1週間、塗装に3~4日かけて、全体で2週間半かかりました。お昼の12時に大学に来て作業をして、大学から帰るのは夜中の3時とか、1日10時間以上かけて曲げました。本来であれば、2か月かかるような作業を突貫で仕上げました。それでも、大会前夜まで溶接をしていました。 【後藤】部材を決められた箱の中に納めないといけないのですが、設計に甘いところがあって納まりきらなかったため、一度加工したものを削り直し、歪んでしまった部材を大会前夜まで直していました。ビードをあんなに削ったのは初めてだっていうくらい削りました。今年は、アーチ橋を作っている大学が少なかったです。私たち以外にもアーチ橋を作っている大学はありましたが、継手の部分が多くてカクカクしていました。直線を重ねたアーチよりも、鉄骨を曲げてアーチを作った方が綺麗に見えます。 【杉本】他には、塗装も評価されたと思います。私たちの橋は、スクールカラーの茜色をベースにしたキャンディレッドにしましたが、通常、1層から3層くらいで塗装を終わりにするところ、私たちは13層塗りました。シルバーを5~6層、レッドを3~4層、クリアを4層と重ねて塗っていて、車の塗装の層数より多いです。時間をかけた分、仕上りも綺麗になりました。アーチが綺麗でも、塗装が汚かったら、1位を取れていたか分からないです。 今回以上に美観の良い橋は作れるか 【杉本】情報メカトロニクス学科と一緒に製作すればできると思います。建設学科の設備だけでは加工の機械が足りていません。情報メカトロニクス学科には、使いたいと思う設備が全部揃っています。一緒に製作できれば、企業に依頼したのではないかというくらいケタ違いの橋ができると思います。学内に機械は揃っているので、後は使いこなす知識が必要です。 【後藤】ものつくり大学の設備はピカイチだと思います。知識についても、私たちは様々な実習を経験しているから身に付いていると思います。私たちは全員、溶接の資格を持っていますが、他のチームは、溶接担当の人しか持っていないチームもあります。 【杉本】橋の形としては、今回以上のものは作れないと感じます。総合優勝を目指すのであれば、鉄骨を変えて耐力を上げる必要があります。ブリコンで使う材料は「鋼材」とだけ決まっています。鋼材と一言でいっても色々な物がありますから、今使っている鋼材よりも硬い鋼材を使えば総合優勝を狙えるかもしれません。ただ、今より費用がかかり、溶接も加工も大変になるという問題があります。 【後藤】他には、橋を車上橋にすることも考えられます。吊り橋にしてワイヤーを上手く使った形ができたら、今回の橋より格好良い橋ができると思います。ただ、架設にかかる時間と耐力を考えると、今回の橋の形のバランスがベストだと思います。 プレゼン競技で伝えたかったことは 【後藤】大学の実習でも、要点をまとめて施工フローを作っているのですが、それと同じ感覚でプレゼン資料を作りました。文章は少なくして、写真と言葉で伝えることを心がけました。1番伝えたかったのは製作過程です。杉本さんが頑張ってくれた分、うまく伝えたいと思っていました。製作風景の写真を説明していた時に、審査員の方に「企業に依頼したのですか?」と聞かれましたが、杉本さんの作業している写真が学生の作業風景に見えなかったみたいです(笑)。 昨年の大会から成長していたことは 【後藤】チームメンバーとは、1年間一緒に研究をしてきたから、コミュニケーションが上がっています。誰が何をできるのか分かっているため、仕事も振りやすかったです。加工ができるからとか、去年もプレゼンやったからとか、架設のリーダーはまとめる力があるメンバーにやってもらうとか。1年で人となりを知れて、それぞれの得意分野を知れたから仕事を任せることができるようになりました。 総合優勝するために必要なこと 【杉本】自分たちだけで処理しないで、大学全体を巻き込んで作れると良いと思います。今のままでは、加工の知識や技術があっても、他で負けている部分があります。例えば、美観の面では、他のチームにはカラーコーディネーターの資格を持っている人や、デザインのセンスがある人がいます。でも、私たちの橋は、デザインはあまり凝っている方ではありません。そこで、デザインに強い人がいたら、その人のデザインを基に、「じゃあ、こうしたら耐久性も上がるよ」ということができます。また、チームの人員に限りがあり、製作に時間をかける分、設計と解析にかけられる時間が少ない現状があります。 【後藤】他には、アーチ橋ではなく、早く架設できる橋にすることや、知識を深めて解析をしっかり行い、強い構造の橋にすることも考えられます。解析の知識があれば、色々な形をどんどん解析にかけて強い形を検討することができます。今は知識が無いから、解析通りの結果が出ずに、橋が想定以上にたわんでしまっています。 橋梁の魅力は 【杉本】橋は人の目に付くところが魅力です。ビル等の建築物だと自分が製作した鉄骨が隠れてしまいますが、橋なら完成した後も鉄骨が見えます。橋は人が通る所に作りますし、運送がロボットに変わって自動になっても橋が無くなることはありません。 【後藤】単純に橋は格好良いと思っています。そして、橋は人の生活を良くするためにあり、人が住んでいる限り無くなりません。住宅は古くなると壊してしまいますが、橋は補修されてずっと残ります。それに、橋には色々な形があって、変わった形の橋を作ることができるのも魅力です。 ブリコンの経験は今後に活かせるか 【後藤】ブリコンを通じて、色々な形の橋を知りました。私は橋梁関係の企業で施工管理に就くため、工程についても、誰に仕事を振って、次の作業は何か、工程はどの程度あるか、安全やKY(危険予知)等も心がけるようになりました。ブリコンで、設計の知識も製作の知識も身に付き、それぞれの工程についても知ることができました。 【杉本】後藤さんと同じく、設計と製作などの他の工程を担当している人とのコミュニケーションの取り方が身に付いたと思います。他には、今回の製作では工程計画も無く、自分の限界までやってしまったから、しっかり工程計画を作れるようになったら、工程を管理できたかなと思います。 関連リンク 建設学科WEBページ 建設学科 橋梁・構造研究室(大垣研究室)

  • F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!

    皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。  【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 宇宙開発研究プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦

    情報メカトロニクス学科の学生プロジェクト「宇宙研究開発プロジェクト」。ロケットの構造や整備、制御、運用体制などを学生自らが学び、毎年開催されている「能代宇宙イベント」や「種子島ロケットコンテスト」に出場しています。2021年からは新たに「全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」への出場を始めました。全日本学生室内飛行ロボットコンテストは、全国各地の高校や高専、大学が出場するラジコン飛行機やドローンについて競う大会です。部門は4つあり、ラジコン飛行機の一般部門と無人操縦部門、マルチコプター部門、機体の特性を評価するユニークデザイン部門があります。2022年9月に開催された同大会の一般部門に出場した機体を製作した鈴木 郁宣さん(総合機械学科3年)、パイロットの吉開 啓冴さん(総合機械学科3年)に伺いました。 宇宙開発研究プロジェクトに入ったきっかけ 【吉開】ものつくり大学に入学したら、自分のやりたい事を見つけて、それをやった方が絶対に未来に活かせると思っていました。いくつか学生プロジェクトがある中で、興味がある宇宙に関連した活動をしている宇宙開発研究プロジェクトに入る事を決めました。 【鈴木】動機は不純ですが、1年生の時にドーミトリ(学生寮)に入っていて、残寮するためには学生プロジェクトに入っていると有利だと先輩から聞いて、何か学生プロジェクトに入ろうと思いました。友人から、宇宙開発研究プロジェクトは色々できるという話を聞き、入りました。 全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出場する理由 【吉開】宇宙開発研究プロジェクトには、モデルロケットとハイブリッドロケットの2つの軸があります。ハイブリッドロケットを担当している学生は、ハイブリッドロケットもモデルロケットも製作するのですが、モデルロケットの学生はそれしか無いため、活動の幅を広げるために航空機の製作を始めることになりました。それで、先輩から「航空機を作るなら、全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出てみたら」と勧められ、出場を始めました。 今回出場した機体のコンセプト 【鈴木】練習で使う事も想定して壊れにくい機体を第一に考えて、機体の骨組みをしっかり組みました。競技では、宙返りすることもあるため、機動力も重要でした。通常の飛行機は、安定飛行のために翼を大きく長くしています。機動力を出すためには、翼のアスペクト比をできる限り正方形に近付け、翼の幅を短くします。そうすると左右の移動がしやすくなります。また、主翼から尾翼までの長さを短くすると宙返りの半径を小さくすることができます。 大会当日の飛行 【鈴木】練習を重ねた機体に補強をしたら、規定の重量をオーバーしてしまいました。そのため、大会当日にバッテリーを軽いものに変えたのですが、軽くなり過ぎてしまい、練習の時と挙動が変わってしまいました。上手くいったところは、設計段階から機体の整備性を考えていて、モーター部分の取付けを容易にできるようにしていました。競技直前にモーターの不調があり、交換する必要がありましたが、早く交換することが出来ました。 他校の機体から学んだこと 【鈴木】私たちの機体の材料は、木材と発泡ポリプロピレンを使い、レーザーカッターで加工していますが、強豪校には、発泡スチロールを削り出して作っている学校や、電熱線カッターや手作業で作っている学校があります。発泡スチロールを削り出してボディを作った方が、強度と軽量性がある場合もあり、手作業で加工する技術はすごいと思いました。今後は、私たちも発泡スチロールで作ることも検討しています。 来年以降の出場について 【鈴木】優勝を目指して出場を続けます。今回は、本番で操縦が上手くいきませんでしたが、機体のスペックを活かすことができれば十分優勝を狙える機体だったと思います。優勝するためには、操縦技術が必要になると思います。 今後の宇宙開発研究プロジェクトの活動予定 【吉開】3月の種子島ロケットコンテストに出場予定です。今は、種子島ロケットコンテストを想定した機体を作っていて、近日中に部内戦を行います。この部内戦を経て、種子島ロケットコンテストに向けたチームを作っていきます。 宇宙開発研究プロジェクトで学んだ事、成長した事 【鈴木】パーツを設計するために毎日のようにCADを使っているため、CADや設計について知識が深まりました。 【吉開】私たちが入学した時は、コロナ禍で大学に行くこともあまり無くて、なかなか友人ができませんでした。しかし、1年生の9月にこのプロジェクトに入ってからは、友人関係が広がり、色んな学生がいるため趣味や知識を深めることができるようになりました。 今後の目標 【鈴木】宇宙開発研究プロジェクトとしては、種子島ロケットコンテストで優勝を目指します。その他にも色々な大会に出て、結果を残したいと思っています。個人としての目標は、後輩を育てることです。特に航空機のパイロットが私と吉開さんしかいないので、良いパイロットを育てる必要があります。機体の製作についても、今回出場した2機とも私が作っているため、航空機体の製作も教えていく必要があると思っています。 【吉開】大学からの資金援助を受けるためにも、色々な大会で結果を出し続ける必要があります。最近、NHK学生ロボコンプロジェクトが実力を付けてきているので、負けないように頑張ります。 関連リンク ・でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテスト優勝!-・宇宙開発研究プロジェクトWEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 若年者ものづくり競技大会 大会後インタビュー

    若年者ものづくり競技大会は、企業等に就業していない20歳以下の若年者のものづくりの技能向上と就業意識を高めるための大会です。技能五輪全国大会の登竜門でもあります。本学では第2回目から毎回出場しています。第17回大会は、2022年7月27日(水)から28日(木)にかけて広島県立広島産業会館にて開催されました。本学からは建設学科より2名が出場し、建築大工職種において銀賞、木材加工職種において敢闘賞を受賞しました。 今回は、2名の受賞者に大会への思いや今後の目標を伺いました。 先輩方からの指導を胸に大会に臨みました 木材加工職種 敢闘賞 建設学科1年 山口 菜さん 幼いころからものづくりに興味があり、中学では木材を使った技術科目の授業が好きで、本棚などを作っていました。その後、建築士になりたいという夢ができ、実習の授業が多いものつくり大学に入学しました。入学後は本格的に木材を加工することが好きになり、何かに挑戦してみたいという気持ちから、若年者ものづくり競技大会出場を目指しました。 指導いただいた先輩方からのアドバイスは、全て参考になるものばかりでした。特に、本番を想定した通し練習では、先輩方に作業ごとのタイムをメモしていただき、時間配分なども一緒に考えていただきました。大会が近づくにつれて、同じようなミスを繰り返してしまうことや、学業とひとり暮らしの両立のなかで練習時間が確保できず、落ち込んでしまうこともありました。しかし、大会で賞を取ることを目標に、心を強く持つことで最後まで頑張ることが出来ました。 大会では、タイムにこだわりましたが、組み立てのタイミングで木材が曲がってしまうなど想定外のミスが重なり、競技時間をオーバーしてしまいました。しかし、最後まで諦めずに完成を目指し、延長時間内に収めることができました。結果が敢闘賞だと分かった時には驚きましたが、一番に家族へ結果を伝え、喜んでもらえたので良かったです。卒業後に就きたい仕事はまだ決めていませんが、今後は技能五輪全国大会への出場を目標に、どんどん練習を重ねて腕を磨きたいと思っています。 険しい道は成長への第一歩。今後も挑戦し続けます! 建築加工職種 銀賞 建設学科 2年 森上 雄介さん 昨年は家具職種で出場しましたが、今年は建築大工職種を先生に薦められました。異なる職種なので技術を学び直すのは大変ですが、険しい道を選択すれば今後の役に立つと考え、建築大工職種に変更して大会に臨みました。練習は、非常勤講師の宮前先生やものつくり大学の卒業生の方にご指導いただきながら、インターンシップ先の宮前工務店で行いました。練習期間では、作業効率を意識しながらより多くの課題を仕上げることによって、大会直前までしっかりと練習を積み重ねることができました。家具職種とは注意を向ける工程が異なるので、新たな学びや、逆に昨年得た技術を活かすことができたと実感しています。また、練習で仕上げた課題の数が歴代の学生の中で多かったことも、今回の受賞に繋がっていると感じています。 大会当日は、昨年の出場経験から大きな緊張はありませんでした。原寸図の作成の際に、設計図を書き直してしまうという減点に繋がるミスはありましたが、常に練習通りを意識しながら、組み立てなど仕上がりに影響の出る箇所はいつもより多く時間を取り、時間内に終了させることができました。応援に駆けつけてくださった先生やOBの先輩と、無事に完成出来たことにホッと胸を撫でおろしました。 結果発表は競技の翌日でした。ドン!と待ち構えていましたが、銀賞受賞を聞いたときはやはり安心しました。すぐに仲間に連絡を入れて、「おめでとう」という声をかけてもらえたので、頑張った甲斐があったなと感じています。今大会では、計画をきちんと練り、時間通りに課題を進めることの大切さを学ぶことができたので、2級建築大工技能士や技能五輪全国大会の出場を視野に挑戦をし続けたいと思います。そのためには、日々の授業を楽しみながら仲間と技術を磨き合い、志を忘れずに過ごすことが重要だと思います。目標は、技能五輪全国大会で金賞受賞です! 関連リンク 若年者ものづくり競技大会出場実績 建設学科WEBページ

  • 対面開催は3年ぶり-碧蓮祭実行委員長・副実行委員長が語る、学園祭への思い

    2022年10月29日(土)、30日(日)の両日にわたり、対面式では3年ぶりとなる第22回碧蓮祭が開催されました。2020年度、2021年度のオンライン開催を経て碧蓮祭実行委員長に就任した木村晴人さん(建設学科3年)、副委員長の廣田雅人さん(建設学科3年)は、対面式の学園祭を経験していません。そのような中でも、卒業生が繋いできた伝統を絶やすことなく開催した碧蓮祭をどのように感じているのか伺いました。 まずは、今年度のコンセプトについて込めた思いを聞かせてください 【木村】過去2年間で対面式の開催が叶わず、何もわからないまま代替わりをしてしまったので、新体制の実行委員は碧蓮祭そのものを体験したことのないメンバーばかりでした。開催に向けて沢山の壁があるなかで、それをすべて超えたいという気持ちや、自分たちの力で元に戻せたらいいなという意気込みから、「Break Through ~Our Challenge~」というコンセプトにしました。 碧蓮祭実行委員会に所属している後輩にも僕たちの背中を見てもらうことで、次年度以降は、様々な変化にも恐れを抱かず勇気をもって取り組んで欲しいと思っています。 3年ぶりに対面の碧蓮祭を実施するにあたり、例年と変化したところはありますか 【木村】2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となりました。実行委員の中で企画したイベントをYouTubeに公開しましたが、これは今後の対面開催に向けて、外部の方への認知度を上げるための開催でした。対面開催では、地域の方々にとって、イベントが少ない中でも碧蓮祭を楽しんでいただくことで、地域を活性化できたらなという目的がありました。 碧蓮祭を作り上げていく中で楽しかったことはありましたか 【木村】楽しかったことは、学年を超えて準備ができたことです。開催に向けて先輩方に相談できたり、みんなとステージの製作ができたことは強く心に残っています。あとは、開催当日が一番楽しい時間でした。準備の段階では疲れも重なり、実行委員のほとんどが辛そうな顔をしていましたが、当日になると生き生きとした表情で動いているのを見て、僕自身も元気をもらえました。 【廣田】僕は、様々な人を巻き込んで取り組むことで、最終的に1つの輪ができたことがとても嬉しかったです。正直、あまり大変だったと感じないほど、とても充実した期間だったと思います。しかし、実行委員の人数が不足していることは今後の課題にもなっていきますので、後輩たちにはしっかり勧誘を行ってほしいと伝えました。 大変だったことはありましたか 【木村】 準備の期間、呼びかけてもなかなか人数が集まらず、最終的には有志で協力してくださった先輩もいました。また、報連相や情報共有不足が毎年の課題になっていました。どちらの苦労もまずは資料や言葉で理解してもらおうと考えましたが、うまくいきませんでした。なので、自分自身の熱量とやる気を全面的に出し、休まず毎日準備を進めていたら徐々に協力してくれる人が増えていきました。碧蓮祭実行委員会の垣根を越えて沢山の方々が助けてくれた結果、成功したと思っています。 今後の碧蓮祭について考えていることはありますか 【木村】今年度が開催できたことは、これまでの先輩が繋いでいてくれたからこそ叶ったことなので、後輩たちには毎年当たり前に開催できるとは思わないでほしいです。そして、僕たちが繋いだもの、伝えたことが1人でも多くの後輩に繋げられたらいいなと思います。 また、もっと後輩が活躍できる場を設ける為、2023年2月に節分祭を復活させ、その運営は1、2年生中心で動いてもらう予定です。そこでは、碧蓮祭実行委員会だからといって、碧蓮祭しかできないという訳ではないことを伝えていきたいです。そもそも碧蓮祭実行委員会は、ものつくり大学を盛り上げるという目的でできた組織なので、様々なことにチャレンジしてほしいと思っています。 <節分祭とは>節分の時期に学生や近隣住民を集め、本学の連絡橋から豆やお菓子を配布する行事。地域住民の方との交流を目的としているが、新型コロナウイルスの影響により、2019年度以来開催されていない。 【廣田】基本的なことは引き継ぎますが、その年の色や自分たちのやりたいと感じたことを思う存分発揮してほしいと思います。節分祭自体も、2019年度に卒業した先輩たちで最後になっているため難しいとは思っていますが、そこで誰がどの役職に向いているのか、見守っていきたいです。 【木村】これは僕が碧蓮祭実行委員会に入った理由になるのですが、2020年度の碧蓮祭では、オンラインで「学生施工型アスレチック ~遊具王~」に参加し、自分も運営したいという気持ちがずっと強くありました。2020年度でチームの中心になった先輩の意志を継ぎ、もっとパワーアップした形で開催しようと準備を進めているところです。 <学生施工型アスレチック ~遊具王~とは>2020年度のオンライン碧蓮祭で開催した、設計から施工、競技運営まですべて学生が行うアスレチック型スポーツ大会。全身の筋肉と頭を使いながら、時間内に完走できるか競い合う。動画はこちら → https://youtu.be/5ThpU_DFypc 碧蓮祭を通して成長した部分はありましたか 【木村】所属当初は先輩からの指示を待つ状態でしたが、2年生の中盤から、このままでは次年度開催が難しいのではないかと感じ、組織としてどのように動いていったらいいのかを考えられるようになりました。委員長に就任してからは、部署ごとの進み具合や意見を聞くことで、更に視野が広がりました。 【廣田】副委員長の立場になってからは、一人ひとりの意見を聞けるようになりました。みんなの考えをまとめて、どのように動いたら最善の解決が出来るのか試行錯誤を続けられたことは、大きな成長だと思います。 碧蓮祭実行委員の仕事は大学生活でどのように役立っていますか 【木村】これは後悔になってしまいますが、熱量だけはすごくあるのに技術が追い付かないことがすごく多くて、もっときちんと授業を受けていれば…と思いました。逆に言うと、準備の段階で学んだことが授業できちんとできるようになるということです。碧蓮祭を通して人をまとめる力、履修している授業の基礎などが身に付いたので、先生の言っていることも頭の中にストンと入ってきました。 【廣田】目上の方や外部の方と連絡を取るときの文章能力が身に付きました。これは就職してから当たり前のスキルになっていくので、学生のうちに身に付けられたことは大きな経験だと思っています。 碧蓮祭実行委員の魅力とは何ですか 【木村】正直、かなり大変だとは思いますが、その分人として成長できるし、何よりも自分たちが主催する人生最後の祭を心から楽しめる場所だと思います。個人的には、「夢の叶う場所」ですね。まずは卒業生を含めた歴代の実行委員長と写真を撮ること、これは碧蓮祭で叶いました。また、その先輩たちと一緒に何かを作り上げたい。そして、実行委員会に所属する理由になった遊具王の開催。遊具王は碧蓮祭と同時開催が出来なかったため、節分祭で開催出来たら、全部の夢が叶います。 【廣田】本当に傍から見たら大変だと思います。でも、最終的には楽しくなって、良い経験には絶対なるのではないかなと思います。縦にも横にも輪が広がって、今後の為にもなる。この上ないくらい達成感があります。 最後に一言お願いします! 【木村】碧蓮祭実行委員会に所属しているメンバーや、これから入ろうとしている学生に「安パイと妥協は絶対にするな」と言いたいです。ベストを尽くしたとしても後悔は残ってしまうので、考えられるプランをやりきることが次年度の活力に繋がると思います。個人でも部活でもない「組織」なので決めたことをきちんと貫き、それでも残った反省点を後輩に伝えていくことでもっと大きな組織に成長すると思います。その背中を見て、沢山の人に碧蓮祭実行委員会へ所属してほしいです。 【廣田】僕はまったく逆です。できることとできないことを考えた上で、やりたくても妥協しなくてはいけない時があることを伝えたいです。木村は見ての通りやる気と熱量は誰よりもありますが、時間は有限だし予算や人材にも限りがある。どうしてもやりたいという気持ちも分かりますが、1回立ち止まる判断ができる人が1人はいた方が良いと思います。 【木村】僕らは火と水のようなコンビなので、運営を続ける中でも絶え間なく意見をぶつけ合いました。互いに違った視点を持っているので、とても勉強になるしやりやすかったです。 【廣田】たくさんの学生が碧蓮祭実行委員に入ってくれたら様々な個性が集まるので、恐れることなく是非入って欲しいです。もちろん、1年生でなくても大歓迎です。 関連リンク 碧蓮祭実行委員会WEBサイト

  • 行田市花いっぱい運動 地域との交流を通じて得た学び

    行田市はコロナ禍が続き、需要が低迷している市内の花卉《かき》農家を支援するため、「花いっぱい運動」を開始しました。行田市の観光事業である花手水に合わせて、忍城周辺や水城公園のヴェールカフェ周辺を花で彩っています。ものつくり大学では、建設学科の大竹研究室が、花によるフォトスポットやフラワースポットを制作し、花いっぱい運動に協力しました。今回は、忍城東小路とヴェールカフェ前のフォトスポット制作を担当した笠倉 圭佑さん(建設学科4年)と、忍城址内と浮き城の径のフラワースポット制作を担当した三森 公威さん(ものつくり学研究科1年)に伺いました。 フォトスポット制作が決まった時の気持ち 【笠倉】お話をいただいのが5月で、フォトスポットの設置時期が9月ということで、あまり時間も無く、最初は「できるかな」という気持ちでした。制作に関しては、フォトスポットは、今までに設計した事もありませんし、花についても詳しくないのですが、知らないが故に、逆にデザインの幅広さを感じていました。 【三森】最初は、笠倉さんのサポートというイメージで関わりました。2か所にフォトスポットを作るのだと思っていましたが、話を聞いているうちに他にもフラワースポットを作ることを知り、大竹先生から勧められて、制作を始めました。 フォトスポット、フラワースポットのコンセプト 【笠倉】フォトスポットのコンセプトは「カメラマンも被写体になる人も、花を楽しめるフォトスポット」です。フォトスポット制作の話を聞いたその日の午後には、スケッチを描き始めました。そこで、平面的なフォトスポットだと、被写体になる人から見えるのはカメラマンだけで、花を見られないのは勿体無いなと感じ、最初から奥行きのある立方体のデザインを考えていました。大竹先生からは、「フォトスポットの背後にあるヴェールカフェも背景に使ってみたら」というアドバイスをいただき、借景のヒントを得ました。 笠倉さんが描いたスケッチ ヴェールカフェ前のフォトスポット模型 【三森】フラワースポットは、行田市が月に1度開催している花手水のライトアップイベント「希望の光」をサポートして、より華やかにできるスポットを作ろうと思いました。浮き城の径の池に浮かべたフラワースポットのコンセプトは「浮かぶ行田市」です。池に花手水を作り、忍城の模型を浮かべて、「のぼうの城」の田楽踊りのシーンを作りました。忍城址内のフラワースポットは、番傘と組み合わせる予定だったので、番傘の上でよく回される「枡」をコンセプトにしました。ライトアップのメインである番傘との調和を崩さないことを意識して制作しました。 制作にあたって大学で学んできたことは活かせたか 【笠倉】設計の授業で、人の目線や見え方を学んでいなかったら、平面的なフォトスポットになっていたと思います。自分の好きなように設計するのではなく、使ってもらう人たちに楽しんでもらいたいと考えて作ることができました。 【三森】大学での学びを強く実感したのは、現場で施工している時でした。非常勤講師の先生と学生だけで施工したのですが、私たちは全員、1年生の時に架設の経験をしているため、スムーズに組み立てることができました。元々、2日間かけて単管を組む予定でしたが、1日目で組み終わり、2日目からは花を飾り付ける作業に入ることができました。 制作で苦労したことは 【笠倉】私が花に詳しくないため、花の飾り方は一番苦労しました。始めは、ただ花を吊るすことを考えていましたが、「花と花の間隔や、水やりや花の入れ替え作業の効率も考える必要がある」と行田市の方たちから意見をいただきました。そこで、フォトスポットの高さを低くし、作業をしやすくしました。また、花を斜めに設置すれば花が綺麗に見えると思い、格子状に組んだフェンスに入れる案や、板に丸い穴を開けて花を入れる案などを考えました。試行錯誤する中で、苗のポッドをアーチ状に結ぶ案が出て、試してみたところ強度もあり、花の見え方も綺麗だったので、実際に花を入れて撮った動画を行田市の方たちに見ていただき、強度を確認してもらい、この案に決定しました。 【三森】浮き城の径のフラワースポットは、打合せの時に忍城の模型を持参して、浮く素材を何パターンか提案しながら制作を進めました。花手水に使用する花が、ロス花を使用する関係上、数に限りがあったため、枠のサイズや厚みを調整して、花が綺麗に見えるパターンを探しました。また、池の流れで枠が流れてしまうため、重しの付け方や紐の長さも繰り返し試しました。 施工中の市民の方々の反応は 【笠倉】単管を組んでいる時は、近くを通った人たちから「何を作っているの?」と、たくさんの声をかけていただきました。花を飾り付けていくうちに「あ~、綺麗だね」という声が増えてきて、喜んでもらえていることを実感しました。忍城東小路のフォトスポットは、小学生の通学路になっていたため、単管を組んでいる時に「あ~、ジャングルジム!」って言われたりして、「登っちゃダメだよ」みたいなコミュニケーションがありました。制作中に声をかけていただいて、市民の方たちに注目されている事を感じることができ、嬉しかったです。 【三森】浮き城の径の池に入っている時に「池で花手水やるの?」という感じで、たくさんの方に話しかけられました。池に忍城と船を浮かべている時は、小さい子から中学生まで反応がすごく良かったので、やって良かったと感じました。 学生の視点から見る地域交流は 【三森】授業でものを作る時も、安全性は気にしながら作っていますが、学外にものを作る時は、長く設置されることを考慮して、継続性や見た目の変化を気にする必要があることを学びました。これは、授業では学べない事で、責任を感じました。 【笠倉】色々な条件がある中でものを作るのは難しかったですし、考える事がたくさんありました。ですが、完成した時に見てくれる人の数が学内で制作する時より格段に多く、人に見せるためにものを作るのは初めての経験でしたので、すごくやりがいがありました。大変でしたが、こんな経験はそうそうできないですから、制作できて良かったです。達成感が授業とは段違いでした。 地域と大学のより良い関係とは 【三森】今回のような連携は、学生にとっては経験になりますし、市役所の方たちにとっては新しいアイデアをもらえるということがお互いのメリットかと思います。普通、大学に依頼すると設計はできても、施工は企業に別途依頼すると思いますが、ものつくり大学であれば、設計から施工まで全部できる。できる幅が広いことが、ものつくり大学の強みだと思います。 【笠倉】頼られる大学になっていくと良いと思います。地域から頼られることで、学生は勉強する場ができます。ものつくり大学が作ったものが地域に増えたら、大学の名前も広がっていきますし、大学の外でものを作る経験をした方が絶対に自分の経験になりますから。 今回の学びをどう活かすか 【三森】行政の仕事に就くことを考えているため、行田市の方たちと仕事をできたことが貴重な経験になりました。私は、3Dプリンターやレーザーカッターを活用したデジタルファブリケーションについて研究していますが、レーザーカッターで多くの試作品を作ったことで、有用性や課題が見えてきました。手作業で模型を作ると時間がかかるのですが、レーザーカッターで作ると部材を切る時間は15分くらいで済みます。組み立てはあまり時間がかからず、加工も一定の精度でできるため、デジタルファブリケーションの強みが見えました。 【笠倉】条件がある中での制作で、考える力が身に付いたと思います。そして、知識が無いとそもそも思いつかない、知らない事が多いと何もできないということを実感しました。後は、伝え方が一番大事だと思いました。例えば、単管を組む時に、非常勤講師の先生から、どうやって作ればいいのか聞かれた時に、私は言葉で伝えるのが苦手なので、絵を描いて伝えていました。自分の強みを使って伝える力は大事だなと思いました。どう活かせるかというか、どこでも使える力だということを学べました。 関連リンク 【知・技の創造】装飾が愛着に繋がる 建設学科 デザイン・空間表現研究室(大竹研究室) 建設学科WEBページ

  • 完璧じゃなくても、より完成へ近づくまでプログラミングに集中する

    ETロボコンは、エンジニアの人材育成と技術教育の機会を提供することを目的としたロボットコンテスト。ETとはEmbedded Technologyの略。つまりマイコンを用いた組み込みソフトウェアの技術を競い合うもの。本学のETロボコンプロジェクトでは2012年から大会に参加し、2016年、2020年にチャンピオンシップ大会への出場歴があります。機体は同一のキットを使い、機体の中にインストールする制御プログラムの違いを競い合うレース大会。ひたすらプログラム製作に向かう辛い日々を凌駕する楽しさ、魅力はどこにあるのか! 若手エンジニアたちを熱くする、その魅力を高校時代から取り組んでいる青木 翔哉さん(総合機械学科2年)にインタビューしてみました。 ETロボコンに興味を持ったのは、いつ頃から 聖望学園高校時代に科学部に所属していました。部活でETロボコンに関わっていましたが、ちょうど2016年にものつくり大学と高校による合同チーム「mono&科学の妖精」で大会に出場し、デベロッパ部門アドバンストクラスのシルバーモデル賞を受賞しました。その連携の縁もあって、ものつくり大学に入学したという経緯です。とはいえ、入学当初はETロボコンを続けることに対して曖昧な気持ちしかなく、本格的に取組もうと思ったのは3カ月経った頃ですね。プログラミングは好きなので、他にも興味あることも多かったですが、最終的に選択したのはETロボコンでした。 高校時代から引き続き関わりたいと思った、その面白さとは 高校での経験やスキルもあるので、パソコンに向かって根を詰めることは苦にはならないのです。プログラムとにらめっこばかりだけど、注力した分の結果が出るところが面白いんです。プログラムエラーも出ますし、見えないエラーもあります。それを設計図通りに、重い通りに動くことができると楽しい。きれいにスムーズに動くと、より嬉しい。簡単ではないですけどね。 今年の大会での反省点や課題は まず、スムーズに走らなかった。それは機能が足りていなかった。僕がメインで、短期間で成果が出るように方針を決め、プログラム設計と、そのプログラムを動かす作業を行いました。でも、複数人で検証しながら、修正のアイデアを出して調整していくということができなかったので、結果的にリスク分析など検討が甘かったです。新しい機体だったので、脱線したりして、そうしたプログラムのずれを克服できなかったです。 例えば、ロボットはコースの黒のラインをトレースしながら走行するのですが、黒白の境界線を数値化してゼロと設定することで音が消えるというようなプログラムを組むんです。するとロボットがそこに動いたときに正確な位置を判断することができる。こうしたずれの修正策を検討しておかないと、ライントレースだけでなく、階段やジャンプ台、ゲートなど難所と呼ばれる箇所をクリアできないのです。そのためのリスク対策が重要だということを身をもって体験しました。 少人数で作業することのメリットやデメリットを理解して感じたことは 先程も言いましたが、少人数でのデメリットは、リスクを検討するにも、実装にも時間がかかる。人数がいれば開発もできただろうし、話し合う時間が持てることで様々なアイデアも出たと思います。でも自分は、自分に対して完璧主義なので、もしかすると相手にも高い成果を求めていたかもしれないと思うとチームをまとめる力があったかどうか、今後の課題です。ただし、今回の大会出場を通して自分自身に大きな変化がありました。完璧主義で、一つひとつを完璧に納得いくまで作業してきました。それが、一旦完成させてから妥協して進めてきた部分を検討するなど、それはあきらめる力というか、前へ進める力というか、いけぇ~というようなスキルがついたなと思いました。 今後、目標とすることや挑戦したいことは モデル競技はロボットにインストールするプログラムの組み方を競うものです。プログラムの概念を物体的に捉えるという考え方です。そのモデルの精度をきちっとすると色々な言語に対応できるので、今後は設計に力を入れていきたいです。今年よりもさらに良いモデルを製作できるようにしたいし、それを踏まえた上で、しっかり検討を重ねた設計内容を落とし込んだモデルにしたいですね。走行タイムを縮めて、難所もクリアできて、そして地区大会を突破し、本予選に出たい。そこまでいきたいです!! 最後にETロボコンプロジェクトのPRをお願いします 情報化社会で機械をプログラムで制御することは、ますます増えていくと思います。モデルの設計を通して、しかも短期間で製作し、成果を出す経験は、社会に出たときの良い訓練になるのではないかと思うので、やって損はないですね。学生時代にプロジェクト開発に関われる経験は、大きな財産になると思います。興味のある方、ぜひETロボコンプロジェクトの門を叩いてください。新しい自分発見とコミュニケーションで成長の実感ありますよ。僕自身は、マルチタスクが苦手なので、自分の性格に合った作業ができるETロボコンに注力していきます。目標に向かって一緒に頑張りましょう! 関連リンク ETロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 【知・技の創造】装飾が愛着に繋がる

    「装飾」から考える「花飾建築」とは 「装飾」とは、飾ること。美しく装うこと。また、その装い・飾り。「愛着」とはなれ親しんだものに深く心が引かれること。を意味します。 私事になりますが、現在、行田市内花き農家応援花いっぱい運動に取り組んでいます。ヴェールカフェ(旧忍町信用組合)や忍城を装飾する「花飾《かしょく》建築」と題した花台を制作しました。そのため、装飾について考えることがしばしばありました。9月に亡くなられた英エリザベス女王が、生前使用していた装飾品に大英帝国王冠があります。この王冠は、女王が戴冠式から着用されていたもので、ジョージ6世から譲り受け女王のために再デザインされたものです。国葬の際、女王の棺の上に、宝石の散りばめられた王冠が飾られていたのがとても印象的でした。 ファッションも建築も装飾されることで注目される 私が専門とする建築の分野では、「建築装飾」という言葉が使われます。鬼瓦や風見鶏のような厄除け魔除けのために取り付けられたり、欄間や襖のようにインテリアとして設えたり、構造体や間取りなど実用的機能に関係しない建築表現を指します。また、建築物を飾りつけるものとしては、ハロウィンやクリスマスのイルミネーション、お正月に飾るしめ縄や門松などがあります。東京タワーを事例に挙げてみると、建設当初、しばしば4本の稜線を電球で点灯。1964年のオリンピック以降、毎日点灯、都市の高層化により目立たなくなる。1989年、石井幹子氏による季節感を取り入れたライトアップの開始。2013年、増上寺のプロジェクションマッピングの背景に活用される。このように東京タワーは、電気によって装飾されることで、ときには都市の主役のように、ときには脇役のように捉えられてきました。装飾は、その季節や時代のトレンドを取り入れつつ、伝統を重んじながら発展してきました。ファッションも建築も装飾されることで注目されます。そして、その装飾された人、建物、街への愛着へと結びつきます。私の研究室で制作した「花飾建築」も旧忍町信用組合や忍城、そして行田市への愛着に繋がればいいなと思います。 埼玉新聞「ものつくり大学発 知・技の創造」(2022年11月4日号)掲載 Profile 大竹 由夏 (おおたけ ゆか) ものつくり大学建設学科講師。筑波大学博士後期課程修了。博士(デザイン学)。一級建築士。筑波大学博士特別研究員を経て現職。 関連リンク 行田市花いっぱい運動 地域との交流を通じて得た学び 建設学科 デザイン・空間表現研究室(大竹研究室) 建設学科WEBページ

  • 【知・技の創造】D2C時代のものづくり

    「D2C」の潮流  皆さんは「D2C」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「D2C」とは「Direct to Consumer」(消費者に直接届ける)の略で、米国を中心に流行が始まっている新しい製品の販売、消費の動向です。「D2C」ブランドの特徴は原則小売店を介さずに、製造者が自社のwebサイトから直接消費者に販売する形態にあります。   「D2C」を代表するブランドとしては寝具の「Casper」、眼鏡の「Warby Parker」、日本でも若い世代を中心に支持を集めている、スニーカーの「Allbirds」などが挙げられます。  ではこれらの製品ジャンルは既に多くの製造者が古くから製品を供給しているにも関わらず、なぜこうした新興のブランドが誕生し消費者の支持を集めているのでしょうか。その背景にあるのはSNSの存在とサスティナビリティ(持続可能性)意識の普及にあると考えられます。  「Instagram」などのSNSの普及は、自分の持ち物を世界中の多くの人に見てもらう機会を生み出しました。それに従い、高価なものを自慢するのではなく「自分らしい」ものを選びたいというニーズ、そしてものを買うからにはそれを選んだ「確かな理由付け」が欲しいというニーズが消費者から求められるようになりました。  それに対し、例えば前述の「Warby Parker」は無償で5日間、5種類の試着用眼鏡を消費者の自宅に送付し、消費者はそれを試着してSNSに投稿し、その反応を見て自分に似合う眼鏡を選ぶ。といった新しい消費のスタイルを生み出しました。 そして「Allbirds」のスニーカーは、製品の製造から廃棄されるまでのCO2排出量を製品毎に公表し、消費者が出来るだけ環境負荷の少ない製品を選択できる仕組みを作っています。製品を購入し消費する以上、地球環境に対して何らかの悪影響を与えることは避けられませんが、このサスティナビリティに出来るだけ配慮してものづくりを行う企業姿勢が、環境意識に敏感な若い世代の支持を集めている理由であるといって良いでしょう。  こうしたD2Cの流行から考えられることは、消費者向けの製品開発は「小品種、大量生産」から「中品種、中量生産」、さらに「多品種、少量生産」の潮流へ向かっているということです。 これからの「ものづくり」教育 ではこの潮流に対して「ものづくり」教育はどのように応えていくべきでしょうか。「多品種、少量生産」の製品開発のためには、消費者個々のニーズを汲み取り、それをデザインに落とし込むユーザーリサーチ技術の研究や、サスティナビリティに配慮した素材を活用したデザインの研究が必要です。また少量生産に適した新しい生産プロセスの研究、あるいは手作りのプロセスによるものづくりの復権が考えられます。  従来「理系は人間の行動に対する想像力が弱く、文系は科学技術の進歩に対する理解力が足りない」と言われてきました。しかしこれからのものづくりに求められるのは、文理の枠を超えて消費者の行動、ニーズを理解した上で、最新の科学技術の進歩を享受した製品開発が出来るクロスオーバー型の人材であると言えるでしょう。ものつくり大学では2022年度より「教養教育センター」を設立し、従来の強みを活かしつつ分野をクロスオーバーする知を身につけた人材育成を目指しています。D2C時代のものづくりを切り拓く本学の教育展開にご期待ください。 埼玉新聞「ものつくり大学発 知・技の創造」(2022年10月7日号)掲載 Profile 町田 由徳 (まちだ よしのり) 教養教育センター・情報メカトロニクス学科 准教授 東京造形大学デザイン学科卒業後、デザイン事務所勤務、岡崎女子短期大学准教授等を経て、2020年より現職。専門はプロダクトデザイン。 関連リンク 教養教育センターWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 学費以上の経験が得られる!?学生フォーミュラプロジェクトの魅力とは

    2022年9月6日(火)~9月10日(土)の5日間にかけて、静岡県 小笠原総合運動公園にて「学生フォーミュラ日本大会2022-ものづくり・デザインコンペティション-」が開催されました。対面での開催は実に3年ぶりとなります。本学からは、学生フォーミュラプロジェクトが参加しましたが、出場に必要なEV車は完成していません。その中で出場した理由や、学生にとっての学生フォーミュラプロジェクトの魅力を聞きました。 学生フォーミュラプロジェクト ■リーダー 野原 涼平さん(総合機械学科4年) ■メンバー 小林 蒼さん(総合機械学科3年) 小林 駿祐さん(総合機械学科2年) 武井 孝成さん(総合機械学科2年) 3年ぶりの対面開催に向けて設定した目標、課題などはありましたか 【野原】一昨年、これまで製作していたエンジン車から、時代の流れに即した車作りを考え、電気自動車へ移行しました。目標は、直線を得意とする車両でしたが、エンジンからモーターに変更する際、単純に製作する物が増えただけではなく、製作に重要な安全装備の知識が必要でした。しかも、今年度は全国から14チームがエントリーしましたが、車両を完走させたチームが2チームのみということを知り、それくらい難しい製作なのだと実感しました。 新型コロナウイルスの影響で、大学間交流や実際に走行している車両を見ることが減ってしまったこともあり、今年度は他大学と交流をしながら様々な学びを持ち帰るという意識を持って参加しました。来年度の完成に向けて、モーターを動かすための電子回路の製作と、高電圧を取り扱うため、安全装置を動かすプログラミングを完成させたいです。 走行が叶わなくても、出場した理由はどうしてですか 【野原】情報が一番集まるからです。完成しないから出ないという選択肢はありませんでした。また、今の1年生から3年生は対面開催を経験したことがなく、大会に関する知識を付けて欲しいということもあり、参加しました。 【武井】来年度出場を目指すにあたり、大会の様子を知っているのとそうでないのとでは意識がかなり違ってくることも感じていたので、出場して良かったと思います。 【小林(駿)】僕は、イメージを膨らませる為に参加しました。EV車は本学に完成品がなく、大会に参加すれば他大学の完成品を見ることができるので、自分たちの目指すべきところの確認もできました。 他大学で見られたもの、得られた学びはありましたか 【武井】本学の強みは、外装をほぼ内製で製作しているにも関わらず、ハイクオリティなところだと自負しています。大会に持って行った時も、沢山の大学の方に話しかけていただいたことで誇らしい気持ちになっていました。他の大学からも、モーターやバッテリー位置がとても参考になったので、今後もお話を聞いてみたいなと思いました。 【小林(駿)】やはり部品の配置はとても参考になりました。また、大会の熱気を受けて、同じレーンに立てるように早く走らせたいと強く感じました。 【小林(蒼)】大会に出場できるチームの少なさを知った時に、本学だけが遅れているわけではないことに正直ホッとしました。しかし、スケジュール設定に関しては遅れていることが分かり、もっとスピード感を持って進めていかなくてはならないと気持ちが引き締まりました。 【野原】私だけが関係するものになりますが、学生フォーミュラに参加している関東圏の大学生で構成された外部団体に所属しています。主にそこで学び合いや大学間交流を行っているので、現地での開催はとても重要だと感じました。また、電子回路の組み方や部品の発注など勉強になることは多いので。後輩の為にも今後他大学との交流も増やしていきたいです。 来年度の目標や、それを達成するためにプロジェクトで行うことはありますか 【野原】チームとしては、車検を通る車を作りたいと考えています。そのためにも、とにかく1日でも早く車両を動かしたいと思っています。 【小林(駿)】チーム全体との関わりが足りないと思っているので、コミュニケーションは積極的に行いたいです。チームの全体把握をし、やりたいと考えているマネジメントもしていきたいと考えています。 【小林(蒼)】走行データがまだとれていないため、走れる車両が完成次第、より良い走行を実現できるよう設計等考えていきたいです。 【武井】電子関係を勉強したくて学生フォーミュラプロジェクトに入ったので、個人でも勉強を進めながら、車両完成に向けてチームのサポートをしていきたいと思っています。 チームワークについて、どのような雰囲気ですか 【野原】楽しんで進めている様子も見られますが、参加するメンバーに偏りが見られます。本来チーム全体で車検に向けて動かなければならないので、各メンバーの思いを聞いた上でベストな組織作りに努めていきたいと思っています。また、卒業までに必要な知識をもっと蓄え、後輩にどんどん引き継いでいきたいです。 学生プロジェクトでの取り組みは大学生活でどのように役立っていますか? 【武井】学生プロジェクトに入ったことによって、授業の予習と復習が自然とできていることです。プロジェクトでやったことが予習になるときもあれば、授業で教わったことをプロジェクトでアウトプットできるということは、プロジェクトならではだと思います。 【小林(駿)】僕も同じです。プロジェクトで得たコミュニケーション能力が授業で発揮できました。縦や横の繋がりが出来たことも大きいです。 来年度の目標、目指している人はいますか 【小林(駿)】1人に絞ることは難しいので、様々な先輩の特性をどんどん吸収していきたいです。 【武井】父です。分からないことを教えてくれる時もスッと入ってくる分かりやすさでとても尊敬しています。そういう人間に成長したいと思っていますし、自分が目指している企業も父が勤めている企業です。 【小林(蒼)】僕は卒業生の丸山颯斗先輩(2022年3月卒業)のようになりたいと思っています。チーム内で意見の食い違いが起こった時に、みんなの要望を上手に汲み取って解決してくださったので、自分もチームのバランスを考えられる人になりたいです。 学生プロジェクトの強みや魅力を教えてください 【野原】就職活動にはかなり強いと思います。エピソードにもなるし、即戦力としての売り込みも出来るところは学生プロジェクトならではだと思います。 【小林(蒼)】授業では基礎的なことを広く教えてくれますが、学生プロジェクトではさらに深い知識・技能まで蓄えることができます。先輩や先生方に教えてもらうことで、繋がりや顔を覚えてもらえるところも強みだと思います。 【小林(駿)】僕は、逆に学生プロジェクトに入ってないと意味がないのではないかという話を友人とするくらいに重要性を感じています。授業で出てきた機械を学ぶ際も、何の為に使うのか、その機械によってものづくりの幅がどれだけ広がるのか考えられるようになりました。単位・成績を取るためだけに授業を受けるのではなくて、疑問や目的の為に授業を受ける意識になったのは学生プロジェクトに所属したからだと思います。 【武井】コミュニケーション能力が上がっているなと思いました。他大学や外部の企業との関わりにおいて、大学生活だけでは得ることのできない能力を学生プロジェクトで得ることができたと思います。 最後に一言お願いします! 【武井】まだプロジェクトに入っていない人、入ろうか迷っている人に、優しい人が多いよと伝えたいです。誰だって頭ごなしに怒られるのは嫌だと思いますが、まずありません。安心して見学に来てほしいと思います。 【小林(駿)】学生のうちはどれだけ失敗してもそれが自分の大きな責任にはならないし、失敗からの学びを身に付けることができます。むしろ大学が思う存分失敗できる最後の場所であって、就職してしまうと失敗に対して怖気づいてしまうと思うので、このタイミングで何もしないのはもったいないと思います。なので、何も恐れることなく挑戦する心を忘れないで欲しいです。 【小林(蒼)】学生プロジェクトは、学費以上の経験を積める場所です。自分の力では手に入れることのできない道具も、プロジェクト予算から出せるので、技能の幅も広がります。 【野原】小林(蒼)が言った「学費以上」は、個人的には「ものつくり大学の学生フォーミュラプロジェクトに所属すると、学費以上の経験を得られる」のだと思っています。ここまでの支援は他大学と比べてもトップクラスだと思うので、恩返しを出来るように気合を入れて頑張っていきたいと思います。 関連リンク 学生フォーミュラプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 現場体験で感じた林業に魅了されて・・・第二の故郷へ就く

    林業の機械化が進んだことで、素材生産や森林調査等で女性が活躍する場が増えています。とはいえ、まだまだ3K(きつい、汚い、危険)のイメージは拭えません。その林業の現場に大きな夢を抱いて挑戦する女子学生がいます。 例えば、京都を代表する銘木「北山杉」。古くから北山林業では女性は重要な役割を担っていました。枝打ちや伐採は男性の仕事ですが、加工作業や運搬、苗木の植え付けは主に女性の仕事でした。では、現代の林業女子には仕事はないのでしょうか。近年は機械化が進むことで伐採等の林業現場へも女性が進出することが期待されています。その林業に挑戦する浅野 零さん(建設学科4年)。153㎝の華奢なカラダからは想像できないバイタリティーの源はなにか、感動のインタビューです。 浅野さんのチャレンジ魂を育てたものは何ですか 高校までものづくりとは縁がなかったです。茨城県の生まれですが、小学校4年から中学卒業まで長野県にある人口850人程の村へ山村留学していました。高校は山口県でした。田舎が好きで、今度は瀬戸内海の島でした。山から海へ、です。高校時代は、アーチェリー部に所属していました。強化指定を受けていたことで、3年生では選手として全国大会へ出場しています。強いてものづくりと縁があるなら、山村留学時に仲間と小屋を作ったことでしょうか。その楽しかった思い出は心のどこかにずっとあって、このエピソードはものつくり大学へ進学する時に大学の方にお話しました。大学からすると、私の志望動機が不思議に思えたようでした。 そもそも母の影響というか、子育て方針というか、兄も同じ村に先に山村留学していて、後にカナダへ海外留学をしました。私は茨城→長野→山口→埼玉と国内を巡っていますが、この度、就職で長野へ戻ります。それも山村留学でお世話になった同じ村に戻ります。何でしょうね、Uターンでもなく、Iターンでもなくて。 大学での4年間もパワフルだったのではないですか もちろん普通高校卒なので、ものづくりを学んだのは入学してからです。木に触れることは好きだったので、最初は木工家具の製作に憧れました。角材を加工する授業は楽しかったけれど、そのうち角材になる前の木自体に興味が湧いてきて、林業を意識するようになりました。 1年の秋に「林業体験」のイベントを探して個人で参加しました。木を切って、加工して、その凄さに憧れました。女性も参加しやすいイベントで、参加したのは大方女性でした。人生で初めてチェンソーを使って、木を切りました。そして、垂直に立てた木の幹に切り込みを入れて燃やし、手軽に焚き火が楽しめるスウェーデントーチでの料理を楽しみました。 これをきっかけに林業界への憧れが強くなり、将来仕事として就きたいと思うようになりました。2年次に実施される大学のインターンシップは、長野県飯山市のNPO法人で木材加工に従事しました。3年次では、進路を林業一本に絞ったため、個人的に様々な企業や現場を見学に行きました。そういう意味では決断も早く、行動力もありましたね。いま思えば大学の授業との両立もうまく対処していたように思います。 自らの進むべき道を見つけるまでに、どんな出会いがありましたか 大学では就活を意識した活動と共に、1年次で建築大工3級、2年次で左官2級、造園3級、3年次で造園2級と、とにかく木に関わる資格を取得していきました。生活全てを木に関わっていきたい思いが強かったです。 実は、高校時代に生活していた山口県の林業会社の方に「この世界、女性ではたいへんだけれど、男性とは違う視点で活躍している方がたくさんいるよ」と言われました。その林業会社の方にはオンラインで頻繁に相談に乗っていただきました。「山口においでよ」と何度もお誘いをいただきました。正直、山口へ移住しようという気持ちにもなりました。同時に長野とも連絡を取っていて、情報収集に努めていました。 林業は、国の重要な施策なので、どちらかと言えば昔ながらの堅苦しいイメージを持っていました。でも、民間の小さな林業会社では、自分の技術やスキルがついたらやりたいことをやらせてもらえるような新しい考え方も生まれてきていることを知りました。長野で林業を起業された社長さんと話していると、ぐいぐい引き込まれていきました。その将来を見据えた魅力たっぷりの内容に感激しました。 そして最終的に長野へ就職を決めたのですか もちろん企業方針を何度も聞いて、性格的に合っているなと思いましたし、私が内定をいただいた会社がある村は、小学生の山村留学でお世話になったところでした。この村は私にとって特別です。住むことができる、仕事をすることができるなら恩返しの気持ちを持って戻りたいと強く思いました。会社も林業としては2021年に法人化されたばかり。不思議な縁を感じて、お世話になった村へ帰ろうと思いました。 林業女子としての不安や期待はありますか 林業は3Kと言われます。きつい、汚い、危険ですね。それに林業の現場に出る女性としての問題は、まずトイレ。いまは自然保護の観点から、以前のような現地で処理するようなことは減ってきています。トイレの設置や、山を下って用を足すこともできます。それから力の強さですね。女性ですので、体力は男性と比べて見劣りします。でも機械化も進み、力の問題も徐々に解決してくれそうです。緑の雇用制度で3年間鍛えることができるので、いまはそれが楽しみでなりません。都会にある林業会社では、近年「かっこいい林業」をスローガンにして新しい「K」が生まれています。期待ということでは、いずれキャンプ場を作るという会社の重点方針があります。いまは力不足ですが、ぜひチャレンジしたいです。 林業を通して、森林と地域との新たな価値を創造する繋ぎになるということですね 日本は平野の少ない森林大国です。木があれば、火を起こせる。火を起こしたら、ごはんも炊ける、お風呂も沸かせる。家も建てられるし、生きていく上でのあらゆる繋がりがあります。花粉問題だって、木を切る人がいれば、むしろ空気の循環を良くしてくれる。林業は大切なんですよね。人間の生活の基盤になっていると思っています。 ですから林業を通して、そこに生活する方たちのほのぼのとした幸福感や満足感を充足したいですし、村おこしといった地域の活性化にも非常に興味があります。 大学では様々な検定試験に挑戦しましたが、授業では学べないところまで教えてもらいました。先生方の技術が素晴らしいので、安心して学べます。私はこうした知識や技能・技術は、いずれどこかの場面で役立つと思っています。自分と仕事、自分と社会を繋ぐ力です。その力がないと新たな価値の創造なんてできないです。 視野が広がり、自分の進むべき道を見つけた大学での4年間。いまは卒業制作に仲間と懸命に取り組んでいます。一般家庭のエントランスと庭づくりです。次のステップへ進むために!!! 関連リンク 建設学科WEBページ

  • Japan Steel Bridge Competition 2022 ものつくり大学だからこそ作れる橋梁モデル

    建設学科 大垣研究室は、「Japan Steel Bridge Competition(通称:ブリコン)」に毎年出場しています。ブリコンとは、学生が自ら橋の構造を考え、設計、製作(鋼材の切断、溶接、孔開け、塗装)、架設を行い、全国の大学生および高専生の間で競い合う大会です。大会当日は、架設競技、プレゼン競技、載荷競技、美観投票を行います。2022年9月に開催された大会では、大垣研究室から2チームが出場し、Aチームが美観部門1位、Bチームが美観部門2位という成績を収めました。美観部門で1位を受賞したAチームで、プレゼン競技を担当した後藤 七海さん(建設学科4年)、製作を担当した杉本 陸さん(建設学科4年)に伺いました。 どんな橋を目指して作ったか 【後藤】美観と構造を意識しました。美観を重視するためにレンズ型トラス橋を選択しました。構造は、曲線と直線を組み合わせています。昨年のブリコンでは、曲線部分の継手に時間がかかってしまったため、今回は3種類の継手を取り入れ、継手箇所を工夫して架設も意識しました。 製作したレンズ型トラス橋の設計図 プレートで挟むタイプの継手 差し込むタイプの継手 かみ合わせるタイプの継手 美観部門1位に選ばれた理由は 【杉本】シンプルに形だと思います。他のチームも凝った形をした橋はありましたが、鉄骨を1番曲げていたのは私たちでした。私は高校の3年間、溶接と鉄を加工した経験がありますが、真っ直ぐな鉄骨を700℃~800℃くらいの熱で少しずつ曲げるため、ものすごく時間がかかりましたし、難しかったです。加工は、ほぼ一人で作業しました。材料から切り出すのが2~3日、曲げ加工に1週間、溶接に1週間、塗装に3~4日かけて、全体で2週間半かかりました。お昼の12時に大学に来て作業をして、大学から帰るのは夜中の3時とか、1日10時間以上かけて曲げました。本来であれば、2か月かかるような作業を突貫で仕上げました。それでも、大会前夜まで溶接をしていました。 【後藤】部材を決められた箱の中に納めないといけないのですが、設計に甘いところがあって納まりきらなかったため、一度加工したものを削り直し、歪んでしまった部材を大会前夜まで直していました。ビードをあんなに削ったのは初めてだっていうくらい削りました。今年は、アーチ橋を作っている大学が少なかったです。私たち以外にもアーチ橋を作っている大学はありましたが、継手の部分が多くてカクカクしていました。直線を重ねたアーチよりも、鉄骨を曲げてアーチを作った方が綺麗に見えます。 【杉本】他には、塗装も評価されたと思います。私たちの橋は、スクールカラーの茜色をベースにしたキャンディレッドにしましたが、通常、1層から3層くらいで塗装を終わりにするところ、私たちは13層塗りました。シルバーを5~6層、レッドを3~4層、クリアを4層と重ねて塗っていて、車の塗装の層数より多いです。時間をかけた分、仕上りも綺麗になりました。アーチが綺麗でも、塗装が汚かったら、1位を取れていたか分からないです。 今回以上に美観の良い橋は作れるか 【杉本】情報メカトロニクス学科と一緒に製作すればできると思います。建設学科の設備だけでは加工の機械が足りていません。情報メカトロニクス学科には、使いたいと思う設備が全部揃っています。一緒に製作できれば、企業に依頼したのではないかというくらいケタ違いの橋ができると思います。学内に機械は揃っているので、後は使いこなす知識が必要です。 【後藤】ものつくり大学の設備はピカイチだと思います。知識についても、私たちは様々な実習を経験しているから身に付いていると思います。私たちは全員、溶接の資格を持っていますが、他のチームは、溶接担当の人しか持っていないチームもあります。 【杉本】橋の形としては、今回以上のものは作れないと感じます。総合優勝を目指すのであれば、鉄骨を変えて耐力を上げる必要があります。ブリコンで使う材料は「鋼材」とだけ決まっています。鋼材と一言でいっても色々な物がありますから、今使っている鋼材よりも硬い鋼材を使えば総合優勝を狙えるかもしれません。ただ、今より費用がかかり、溶接も加工も大変になるという問題があります。 【後藤】他には、橋を車上橋にすることも考えられます。吊り橋にしてワイヤーを上手く使った形ができたら、今回の橋より格好良い橋ができると思います。ただ、架設にかかる時間と耐力を考えると、今回の橋の形のバランスがベストだと思います。 プレゼン競技で伝えたかったことは 【後藤】大学の実習でも、要点をまとめて施工フローを作っているのですが、それと同じ感覚でプレゼン資料を作りました。文章は少なくして、写真と言葉で伝えることを心がけました。1番伝えたかったのは製作過程です。杉本さんが頑張ってくれた分、うまく伝えたいと思っていました。製作風景の写真を説明していた時に、審査員の方に「企業に依頼したのですか?」と聞かれましたが、杉本さんの作業している写真が学生の作業風景に見えなかったみたいです(笑)。 昨年の大会から成長していたことは 【後藤】チームメンバーとは、1年間一緒に研究をしてきたから、コミュニケーションが上がっています。誰が何をできるのか分かっているため、仕事も振りやすかったです。加工ができるからとか、去年もプレゼンやったからとか、架設のリーダーはまとめる力があるメンバーにやってもらうとか。1年で人となりを知れて、それぞれの得意分野を知れたから仕事を任せることができるようになりました。 総合優勝するために必要なこと 【杉本】自分たちだけで処理しないで、大学全体を巻き込んで作れると良いと思います。今のままでは、加工の知識や技術があっても、他で負けている部分があります。例えば、美観の面では、他のチームにはカラーコーディネーターの資格を持っている人や、デザインのセンスがある人がいます。でも、私たちの橋は、デザインはあまり凝っている方ではありません。そこで、デザインに強い人がいたら、その人のデザインを基に、「じゃあ、こうしたら耐久性も上がるよ」ということができます。また、チームの人員に限りがあり、製作に時間をかける分、設計と解析にかけられる時間が少ない現状があります。 【後藤】他には、アーチ橋ではなく、早く架設できる橋にすることや、知識を深めて解析をしっかり行い、強い構造の橋にすることも考えられます。解析の知識があれば、色々な形をどんどん解析にかけて強い形を検討することができます。今は知識が無いから、解析通りの結果が出ずに、橋が想定以上にたわんでしまっています。 橋梁の魅力は 【杉本】橋は人の目に付くところが魅力です。ビル等の建築物だと自分が製作した鉄骨が隠れてしまいますが、橋なら完成した後も鉄骨が見えます。橋は人が通る所に作りますし、運送がロボットに変わって自動になっても橋が無くなることはありません。 【後藤】単純に橋は格好良いと思っています。そして、橋は人の生活を良くするためにあり、人が住んでいる限り無くなりません。住宅は古くなると壊してしまいますが、橋は補修されてずっと残ります。それに、橋には色々な形があって、変わった形の橋を作ることができるのも魅力です。 ブリコンの経験は今後に活かせるか 【後藤】ブリコンを通じて、色々な形の橋を知りました。私は橋梁関係の企業で施工管理に就くため、工程についても、誰に仕事を振って、次の作業は何か、工程はどの程度あるか、安全やKY(危険予知)等も心がけるようになりました。ブリコンで、設計の知識も製作の知識も身に付き、それぞれの工程についても知ることができました。 【杉本】後藤さんと同じく、設計と製作などの他の工程を担当している人とのコミュニケーションの取り方が身に付いたと思います。他には、今回の製作では工程計画も無く、自分の限界までやってしまったから、しっかり工程計画を作れるようになったら、工程を管理できたかなと思います。 関連リンク 建設学科WEBページ 建設学科 橋梁・構造研究室(大垣研究室)

  • F3RC大会で強豪校を下して優勝した3人の1年生。その快挙の本質に迫る!

    皆さんはロボットに興味はありますか。 鉄腕アトムや鉄人28号、ガンダムなど、当時は夢物語で、子供の心を掴んで離さない存在でした。しかし現代は目覚しい技術の発展により、ロボットの存在は夢物語ではなくなっています。ロボットは多様な技術が結集したシステム。ものつくり大学にもロボット製作に熱く取組んでいる学生たちがいます。ロボコン界の新人戦ともいえるF3RC(エフキューブロボットコンテスト)で優勝した学生たちにロボットの魅力と今後の目標についてインタビューしました。 NHK学生ロボコンプロジェクト ■チーム名/SRG MOF ■チームメンバー 藤野 楓土さん(情報メカトロニクス学科1年) 茂木 柊斗さん(情報メカトロニクス学科1年) 大出 将太さん(情報メカトロニクス学科1年) ■F3RC(エフキューブロボットコンテスト) 開催日:2022年9月24日(土)~25日(日) 会場:東京大学本郷キャンパス 参加大学:東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京工科大学・工学院大学・千葉工業大学・ものつくり大学 優勝おめでとうございます。新人戦とも言えるロボット大会で優勝できた要因は? 【藤野】予選勝ち抜けのじゃんけんかなぁ(笑)。今回、予選で1位が3組出ましたが、TOPで勝ち抜いて、その後の準決勝、決勝とパーフェクトの試技でした。大会前に起きていたトラブルが全くなかったことが大きな要因です。 【茂木】足回りに特殊なプログラムを用いました。当日の現地では短時間でのパラメーターの調整に苦労しましたが、競技では問題なく動いてくれました。個人的には優勝したことよりも他大学の遊びゴコロあるロボットへの仕掛けが見られて良かったです。 【藤野】他大学の学生に「おめでとう」と声掛けされましたし、大会後の交流会では名刺交換もしました。今でもやり取りをしていまして、ものつくり大学へ見学に来たいと言われてもいます。本学では、加工も一からマシンを使える環境にあり、だいぶ羨ましがられています。 3人のチームワークも大きな勝因だったのでは? 【大出】お互いに楽しく、やりたいことをやっていました。話し合いながら、どういうところを改善したらよいか、前向きに取り組むことができました。目標があったから、お互いを理解し合うことで一つにまとまったのかなぁ。偶然にできたチームですが、まとまったのは必然ですかね。 【藤野】大出くんが設計と加工、茂木くんが加工、自分は制御と設計を担当しました。設計を2人で進めていて、設計が終わったら、加工にかかりました。加工作業は1日で済ませてくれましたが、組立ての時間や制御に時間をかける中、ルールの理解を深めるなど、それぞれが自分のペースで行いました。ロボットが動き出してからは、茂木くんも毎日参加してくれて、コート整備など雑用も進んでやってくれました。チームですが、相方って感じです。 強豪校ばかりのライバル校については 【藤野】緊張したぁ。 【大出】大会に臨む段階でやるだけはやってきたので、あとは操縦者の2人の緊張をほぐすようにと思っていました。対戦相手の様子やタイムを気にかけながら、2人に声掛けしていました。 【茂木】意外と2人は緊張していましたね。私は他大学をみても特に緊張はしなかったです。それよりも自分の操作がうまくいくよう全力を出すように心がけていました。 【藤野】他校のロボットには面白さを求めたことでの形状や動き方の違いを見ることができました。またサッカーがテーマだったので、蹴ることを重視したアイデアなど作業していたら楽しいだろなと思いました。いまはもっと自分たちの世界に没入しても良かった気もしています。 ロボットづくりに興味をもったのは、いつから? 【大出】高校は普通科なので、ロボットに触れるのも、まして大会へ出るなど入学時には考えられませんでした。NHKロボコンプロジェクトを知り、先輩方から色々と説明を聞いて、設計に関われたらと思いました。 【茂木】高校で設計と加工を学んできたので、当然大学でも関わりたいと思っていました。このチームでは加工分野を担当しましたが、先輩たちが講習会を開いて、丁寧に教えてくれましたので、いまでは一人で作業ができるようになりました。  【藤野】ロボコンに関わりたい、大会に出たいという強い気持ちで入学しました。高校から制御設計の経験もあって、今回は制御・設計担当でしたが、いまは先輩たちを目指して頑張っています。 今回のロボットですが、技術的に難しかったところは 【藤野】上部の手の部分やエアシリンダーを使った発射機構が難しかった。最初は大きすぎてロボットのサイズに合いませんでした。足回りパーツの組み合わせを調整するときに、耐久性が下がらないように、切削するのが難しかったですね。結局、課題は軽量化と耐久性のバランスを考慮することでした。 【茂木】本体はすべて加工しています。3DCADでは設計者が作ったデータを変換してプリンターへ送るだけなので、結構複雑な形状も可能でした。加工担当の負担も少なかったです。あとは組立ててから自走させて調整しました。 【藤野】強度をメインにした構造。4回の競技に耐えてくれました。1日10回の事前テストでも、ほとんどの部品は壊れなかったです。学生プロジェクトでは、毎年のデータをバックアップしてあるので、それを共有できるのが強みですね。後輩たちに残してくれています。プロジェクトの大きな特長は、こうして先輩たちが残してくれたプログラムをベースにして製作しているので、ロボットの足回りの作り方が似ていることですね。その上でプログラムを理解して、自分たちなりにゼロから製作していきます。 ところでロボットの魅力とは 【藤野】ロボットを作る方の多くが、人の役に立つものを作れるということに魅力ややりがいを感じているものです。機械や電気、プログラミングなど様々な専門的な知識やスキルを身に付けることで、自分にとって大きな強みとなるところも魅力です。 【茂木】そうですね。ものを作れるというのが楽しい。ものとものが合体して動いているのが面白いし、何が起きるかわからないからドキドキします。想定外の動きがうまくいったり、改良を要したりなど、答えがなくてやり続けてしまうところですかね。 【大出】ロボットは、多様な技術や専門分野が複合的に組み合わさったシステムです。そして、その研究開発は間違いなく面白いと言えます。そのためには専門知識が必要になりますし、それを習得するには基礎学力が欠かせません。プロジェクトでは、それらを身に付けられると思いますので、向上心を持って、能動的に学んでいきたいです。 物怖じしない3人ですが、今後の目標は 【全員】NHK学生ロボコンに出場し、優勝したい。 【藤野】これは最終目標ですが、先輩たちと一緒に、そしてアイデア出しから参画できるようレベルを上げていきたいです。ロボットが作りたくて入学したので、今回の優勝は自信になりました。最近だとカメラを使ったセンサー方式になっていて、他大学では多数搭載しています。これらは技術的なコントロールが難しいのですが、プロジェクトを通してやり遂げたいです。 【茂木】入学して、論理的な思考を持てるようになりました。物事の一つひとつに対して、すごく考えるようになりました。尊敬する高校の先輩のように材料の知識が豊富で、材料の特性を理解していることで瞬時に最適解を出せるようになりたいです。深く学び続けることで得られる言動を見習いたいと思います。また、今大会ではロボットは動かないことが大前提の中で、動いた瞬間の喜びは何事にも代えられません。 【大出】普通科出身なので、入学して生活そのものが変わりました。今回の大会で設計担当になり、知識や技術が身に付いた実感があります。やればやるだけ身に付くと思っているので、今日よりは明日を目指して、自分自身を磨いていくしかないと思います。1人ではなく、仲間も一緒なので面白さは倍増すると思いますね。 関連リンク NHK学生ロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 宇宙開発研究プロジェクト 航空機製作への新たな挑戦

    情報メカトロニクス学科の学生プロジェクト「宇宙研究開発プロジェクト」。ロケットの構造や整備、制御、運用体制などを学生自らが学び、毎年開催されている「能代宇宙イベント」や「種子島ロケットコンテスト」に出場しています。2021年からは新たに「全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」への出場を始めました。全日本学生室内飛行ロボットコンテストは、全国各地の高校や高専、大学が出場するラジコン飛行機やドローンについて競う大会です。部門は4つあり、ラジコン飛行機の一般部門と無人操縦部門、マルチコプター部門、機体の特性を評価するユニークデザイン部門があります。2022年9月に開催された同大会の一般部門に出場した機体を製作した鈴木 郁宣さん(総合機械学科3年)、パイロットの吉開 啓冴さん(総合機械学科3年)に伺いました。 宇宙開発研究プロジェクトに入ったきっかけ 【吉開】ものつくり大学に入学したら、自分のやりたい事を見つけて、それをやった方が絶対に未来に活かせると思っていました。いくつか学生プロジェクトがある中で、興味がある宇宙に関連した活動をしている宇宙開発研究プロジェクトに入る事を決めました。 【鈴木】動機は不純ですが、1年生の時にドーミトリ(学生寮)に入っていて、残寮するためには学生プロジェクトに入っていると有利だと先輩から聞いて、何か学生プロジェクトに入ろうと思いました。友人から、宇宙開発研究プロジェクトは色々できるという話を聞き、入りました。 全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出場する理由 【吉開】宇宙開発研究プロジェクトには、モデルロケットとハイブリッドロケットの2つの軸があります。ハイブリッドロケットを担当している学生は、ハイブリッドロケットもモデルロケットも製作するのですが、モデルロケットの学生はそれしか無いため、活動の幅を広げるために航空機の製作を始めることになりました。それで、先輩から「航空機を作るなら、全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出てみたら」と勧められ、出場を始めました。 今回出場した機体のコンセプト 【鈴木】練習で使う事も想定して壊れにくい機体を第一に考えて、機体の骨組みをしっかり組みました。競技では、宙返りすることもあるため、機動力も重要でした。通常の飛行機は、安定飛行のために翼を大きく長くしています。機動力を出すためには、翼のアスペクト比をできる限り正方形に近付け、翼の幅を短くします。そうすると左右の移動がしやすくなります。また、主翼から尾翼までの長さを短くすると宙返りの半径を小さくすることができます。 大会当日の飛行 【鈴木】練習を重ねた機体に補強をしたら、規定の重量をオーバーしてしまいました。そのため、大会当日にバッテリーを軽いものに変えたのですが、軽くなり過ぎてしまい、練習の時と挙動が変わってしまいました。上手くいったところは、設計段階から機体の整備性を考えていて、モーター部分の取付けを容易にできるようにしていました。競技直前にモーターの不調があり、交換する必要がありましたが、早く交換することが出来ました。 他校の機体から学んだこと 【鈴木】私たちの機体の材料は、木材と発泡ポリプロピレンを使い、レーザーカッターで加工していますが、強豪校には、発泡スチロールを削り出して作っている学校や、電熱線カッターや手作業で作っている学校があります。発泡スチロールを削り出してボディを作った方が、強度と軽量性がある場合もあり、手作業で加工する技術はすごいと思いました。今後は、私たちも発泡スチロールで作ることも検討しています。 来年以降の出場について 【鈴木】優勝を目指して出場を続けます。今回は、本番で操縦が上手くいきませんでしたが、機体のスペックを活かすことができれば十分優勝を狙える機体だったと思います。優勝するためには、操縦技術が必要になると思います。 今後の宇宙開発研究プロジェクトの活動予定 【吉開】3月の種子島ロケットコンテストに出場予定です。今は、種子島ロケットコンテストを想定した機体を作っていて、近日中に部内戦を行います。この部内戦を経て、種子島ロケットコンテストに向けたチームを作っていきます。 宇宙開発研究プロジェクトで学んだ事、成長した事 【鈴木】パーツを設計するために毎日のようにCADを使っているため、CADや設計について知識が深まりました。 【吉開】私たちが入学した時は、コロナ禍で大学に行くこともあまり無くて、なかなか友人ができませんでした。しかし、1年生の9月にこのプロジェクトに入ってからは、友人関係が広がり、色んな学生がいるため趣味や知識を深めることができるようになりました。 今後の目標 【鈴木】宇宙開発研究プロジェクトとしては、種子島ロケットコンテストで優勝を目指します。その他にも色々な大会に出て、結果を残したいと思っています。個人としての目標は、後輩を育てることです。特に航空機のパイロットが私と吉開さんしかいないので、良いパイロットを育てる必要があります。機体の製作についても、今回出場した2機とも私が作っているため、航空機体の製作も教えていく必要があると思っています。 【吉開】大学からの資金援助を受けるためにも、色々な大会で結果を出し続ける必要があります。最近、NHK学生ロボコンプロジェクトが実力を付けてきているので、負けないように頑張ります。 関連リンク ・でっかいロケットを作りたい-1年生ながらリーダーとして種子島ロケットコンテスト優勝!-・宇宙開発研究プロジェクトWEBページ・情報メカトロニクス学科WEBページ

  • 若年者ものづくり競技大会 大会後インタビュー

    若年者ものづくり競技大会は、企業等に就業していない20歳以下の若年者のものづくりの技能向上と就業意識を高めるための大会です。技能五輪全国大会の登竜門でもあります。本学では第2回目から毎回出場しています。第17回大会は、2022年7月27日(水)から28日(木)にかけて広島県立広島産業会館にて開催されました。本学からは建設学科より2名が出場し、建築大工職種において銀賞、木材加工職種において敢闘賞を受賞しました。 今回は、2名の受賞者に大会への思いや今後の目標を伺いました。 先輩方からの指導を胸に大会に臨みました 木材加工職種 敢闘賞 建設学科1年 山口 菜さん 幼いころからものづくりに興味があり、中学では木材を使った技術科目の授業が好きで、本棚などを作っていました。その後、建築士になりたいという夢ができ、実習の授業が多いものつくり大学に入学しました。入学後は本格的に木材を加工することが好きになり、何かに挑戦してみたいという気持ちから、若年者ものづくり競技大会出場を目指しました。 指導いただいた先輩方からのアドバイスは、全て参考になるものばかりでした。特に、本番を想定した通し練習では、先輩方に作業ごとのタイムをメモしていただき、時間配分なども一緒に考えていただきました。大会が近づくにつれて、同じようなミスを繰り返してしまうことや、学業とひとり暮らしの両立のなかで練習時間が確保できず、落ち込んでしまうこともありました。しかし、大会で賞を取ることを目標に、心を強く持つことで最後まで頑張ることが出来ました。 大会では、タイムにこだわりましたが、組み立てのタイミングで木材が曲がってしまうなど想定外のミスが重なり、競技時間をオーバーしてしまいました。しかし、最後まで諦めずに完成を目指し、延長時間内に収めることができました。結果が敢闘賞だと分かった時には驚きましたが、一番に家族へ結果を伝え、喜んでもらえたので良かったです。卒業後に就きたい仕事はまだ決めていませんが、今後は技能五輪全国大会への出場を目標に、どんどん練習を重ねて腕を磨きたいと思っています。 険しい道は成長への第一歩。今後も挑戦し続けます! 建築加工職種 銀賞 建設学科 2年 森上 雄介さん 昨年は家具職種で出場しましたが、今年は建築大工職種を先生に薦められました。異なる職種なので技術を学び直すのは大変ですが、険しい道を選択すれば今後の役に立つと考え、建築大工職種に変更して大会に臨みました。練習は、非常勤講師の宮前先生やものつくり大学の卒業生の方にご指導いただきながら、インターンシップ先の宮前工務店で行いました。練習期間では、作業効率を意識しながらより多くの課題を仕上げることによって、大会直前までしっかりと練習を積み重ねることができました。家具職種とは注意を向ける工程が異なるので、新たな学びや、逆に昨年得た技術を活かすことができたと実感しています。また、練習で仕上げた課題の数が歴代の学生の中で多かったことも、今回の受賞に繋がっていると感じています。 大会当日は、昨年の出場経験から大きな緊張はありませんでした。原寸図の作成の際に、設計図を書き直してしまうという減点に繋がるミスはありましたが、常に練習通りを意識しながら、組み立てなど仕上がりに影響の出る箇所はいつもより多く時間を取り、時間内に終了させることができました。応援に駆けつけてくださった先生やOBの先輩と、無事に完成出来たことにホッと胸を撫でおろしました。 結果発表は競技の翌日でした。ドン!と待ち構えていましたが、銀賞受賞を聞いたときはやはり安心しました。すぐに仲間に連絡を入れて、「おめでとう」という声をかけてもらえたので、頑張った甲斐があったなと感じています。今大会では、計画をきちんと練り、時間通りに課題を進めることの大切さを学ぶことができたので、2級建築大工技能士や技能五輪全国大会の出場を視野に挑戦をし続けたいと思います。そのためには、日々の授業を楽しみながら仲間と技術を磨き合い、志を忘れずに過ごすことが重要だと思います。目標は、技能五輪全国大会で金賞受賞です! 関連リンク 若年者ものづくり競技大会出場実績 建設学科WEBページ

  • 対面開催は3年ぶり-碧蓮祭実行委員長・副実行委員長が語る、学園祭への思い

    2022年10月29日(土)、30日(日)の両日にわたり、対面式では3年ぶりとなる第22回碧蓮祭が開催されました。2020年度、2021年度のオンライン開催を経て碧蓮祭実行委員長に就任した木村晴人さん(建設学科3年)、副委員長の廣田雅人さん(建設学科3年)は、対面式の学園祭を経験していません。そのような中でも、卒業生が繋いできた伝統を絶やすことなく開催した碧蓮祭をどのように感じているのか伺いました。 まずは、今年度のコンセプトについて込めた思いを聞かせてください 【木村】過去2年間で対面式の開催が叶わず、何もわからないまま代替わりをしてしまったので、新体制の実行委員は碧蓮祭そのものを体験したことのないメンバーばかりでした。開催に向けて沢山の壁があるなかで、それをすべて超えたいという気持ちや、自分たちの力で元に戻せたらいいなという意気込みから、「Break Through ~Our Challenge~」というコンセプトにしました。 碧蓮祭実行委員会に所属している後輩にも僕たちの背中を見てもらうことで、次年度以降は、様々な変化にも恐れを抱かず勇気をもって取り組んで欲しいと思っています。 3年ぶりに対面の碧蓮祭を実施するにあたり、例年と変化したところはありますか 【木村】2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となりました。実行委員の中で企画したイベントをYouTubeに公開しましたが、これは今後の対面開催に向けて、外部の方への認知度を上げるための開催でした。対面開催では、地域の方々にとって、イベントが少ない中でも碧蓮祭を楽しんでいただくことで、地域を活性化できたらなという目的がありました。 碧蓮祭を作り上げていく中で楽しかったことはありましたか 【木村】楽しかったことは、学年を超えて準備ができたことです。開催に向けて先輩方に相談できたり、みんなとステージの製作ができたことは強く心に残っています。あとは、開催当日が一番楽しい時間でした。準備の段階では疲れも重なり、実行委員のほとんどが辛そうな顔をしていましたが、当日になると生き生きとした表情で動いているのを見て、僕自身も元気をもらえました。 【廣田】僕は、様々な人を巻き込んで取り組むことで、最終的に1つの輪ができたことがとても嬉しかったです。正直、あまり大変だったと感じないほど、とても充実した期間だったと思います。しかし、実行委員の人数が不足していることは今後の課題にもなっていきますので、後輩たちにはしっかり勧誘を行ってほしいと伝えました。 大変だったことはありましたか 【木村】 準備の期間、呼びかけてもなかなか人数が集まらず、最終的には有志で協力してくださった先輩もいました。また、報連相や情報共有不足が毎年の課題になっていました。どちらの苦労もまずは資料や言葉で理解してもらおうと考えましたが、うまくいきませんでした。なので、自分自身の熱量とやる気を全面的に出し、休まず毎日準備を進めていたら徐々に協力してくれる人が増えていきました。碧蓮祭実行委員会の垣根を越えて沢山の方々が助けてくれた結果、成功したと思っています。 今後の碧蓮祭について考えていることはありますか 【木村】今年度が開催できたことは、これまでの先輩が繋いでいてくれたからこそ叶ったことなので、後輩たちには毎年当たり前に開催できるとは思わないでほしいです。そして、僕たちが繋いだもの、伝えたことが1人でも多くの後輩に繋げられたらいいなと思います。 また、もっと後輩が活躍できる場を設ける為、2023年2月に節分祭を復活させ、その運営は1、2年生中心で動いてもらう予定です。そこでは、碧蓮祭実行委員会だからといって、碧蓮祭しかできないという訳ではないことを伝えていきたいです。そもそも碧蓮祭実行委員会は、ものつくり大学を盛り上げるという目的でできた組織なので、様々なことにチャレンジしてほしいと思っています。 <節分祭とは>節分の時期に学生や近隣住民を集め、本学の連絡橋から豆やお菓子を配布する行事。地域住民の方との交流を目的としているが、新型コロナウイルスの影響により、2019年度以来開催されていない。 【廣田】基本的なことは引き継ぎますが、その年の色や自分たちのやりたいと感じたことを思う存分発揮してほしいと思います。節分祭自体も、2019年度に卒業した先輩たちで最後になっているため難しいとは思っていますが、そこで誰がどの役職に向いているのか、見守っていきたいです。 【木村】これは僕が碧蓮祭実行委員会に入った理由になるのですが、2020年度の碧蓮祭では、オンラインで「学生施工型アスレチック ~遊具王~」に参加し、自分も運営したいという気持ちがずっと強くありました。2020年度でチームの中心になった先輩の意志を継ぎ、もっとパワーアップした形で開催しようと準備を進めているところです。 <学生施工型アスレチック ~遊具王~とは>2020年度のオンライン碧蓮祭で開催した、設計から施工、競技運営まですべて学生が行うアスレチック型スポーツ大会。全身の筋肉と頭を使いながら、時間内に完走できるか競い合う。動画はこちら → https://youtu.be/5ThpU_DFypc 碧蓮祭を通して成長した部分はありましたか 【木村】所属当初は先輩からの指示を待つ状態でしたが、2年生の中盤から、このままでは次年度開催が難しいのではないかと感じ、組織としてどのように動いていったらいいのかを考えられるようになりました。委員長に就任してからは、部署ごとの進み具合や意見を聞くことで、更に視野が広がりました。 【廣田】副委員長の立場になってからは、一人ひとりの意見を聞けるようになりました。みんなの考えをまとめて、どのように動いたら最善の解決が出来るのか試行錯誤を続けられたことは、大きな成長だと思います。 碧蓮祭実行委員の仕事は大学生活でどのように役立っていますか 【木村】これは後悔になってしまいますが、熱量だけはすごくあるのに技術が追い付かないことがすごく多くて、もっときちんと授業を受けていれば…と思いました。逆に言うと、準備の段階で学んだことが授業できちんとできるようになるということです。碧蓮祭を通して人をまとめる力、履修している授業の基礎などが身に付いたので、先生の言っていることも頭の中にストンと入ってきました。 【廣田】目上の方や外部の方と連絡を取るときの文章能力が身に付きました。これは就職してから当たり前のスキルになっていくので、学生のうちに身に付けられたことは大きな経験だと思っています。 碧蓮祭実行委員の魅力とは何ですか 【木村】正直、かなり大変だとは思いますが、その分人として成長できるし、何よりも自分たちが主催する人生最後の祭を心から楽しめる場所だと思います。個人的には、「夢の叶う場所」ですね。まずは卒業生を含めた歴代の実行委員長と写真を撮ること、これは碧蓮祭で叶いました。また、その先輩たちと一緒に何かを作り上げたい。そして、実行委員会に所属する理由になった遊具王の開催。遊具王は碧蓮祭と同時開催が出来なかったため、節分祭で開催出来たら、全部の夢が叶います。 【廣田】本当に傍から見たら大変だと思います。でも、最終的には楽しくなって、良い経験には絶対なるのではないかなと思います。縦にも横にも輪が広がって、今後の為にもなる。この上ないくらい達成感があります。 最後に一言お願いします! 【木村】碧蓮祭実行委員会に所属しているメンバーや、これから入ろうとしている学生に「安パイと妥協は絶対にするな」と言いたいです。ベストを尽くしたとしても後悔は残ってしまうので、考えられるプランをやりきることが次年度の活力に繋がると思います。個人でも部活でもない「組織」なので決めたことをきちんと貫き、それでも残った反省点を後輩に伝えていくことでもっと大きな組織に成長すると思います。その背中を見て、沢山の人に碧蓮祭実行委員会へ所属してほしいです。 【廣田】僕はまったく逆です。できることとできないことを考えた上で、やりたくても妥協しなくてはいけない時があることを伝えたいです。木村は見ての通りやる気と熱量は誰よりもありますが、時間は有限だし予算や人材にも限りがある。どうしてもやりたいという気持ちも分かりますが、1回立ち止まる判断ができる人が1人はいた方が良いと思います。 【木村】僕らは火と水のようなコンビなので、運営を続ける中でも絶え間なく意見をぶつけ合いました。互いに違った視点を持っているので、とても勉強になるしやりやすかったです。 【廣田】たくさんの学生が碧蓮祭実行委員に入ってくれたら様々な個性が集まるので、恐れることなく是非入って欲しいです。もちろん、1年生でなくても大歓迎です。 関連リンク 碧蓮祭実行委員会WEBサイト

  • 行田市花いっぱい運動 地域との交流を通じて得た学び

    行田市はコロナ禍が続き、需要が低迷している市内の花卉《かき》農家を支援するため、「花いっぱい運動」を開始しました。行田市の観光事業である花手水に合わせて、忍城周辺や水城公園のヴェールカフェ周辺を花で彩っています。ものつくり大学では、建設学科の大竹研究室が、花によるフォトスポットやフラワースポットを制作し、花いっぱい運動に協力しました。今回は、忍城東小路とヴェールカフェ前のフォトスポット制作を担当した笠倉 圭佑さん(建設学科4年)と、忍城址内と浮き城の径のフラワースポット制作を担当した三森 公威さん(ものつくり学研究科1年)に伺いました。 フォトスポット制作が決まった時の気持ち 【笠倉】お話をいただいのが5月で、フォトスポットの設置時期が9月ということで、あまり時間も無く、最初は「できるかな」という気持ちでした。制作に関しては、フォトスポットは、今までに設計した事もありませんし、花についても詳しくないのですが、知らないが故に、逆にデザインの幅広さを感じていました。 【三森】最初は、笠倉さんのサポートというイメージで関わりました。2か所にフォトスポットを作るのだと思っていましたが、話を聞いているうちに他にもフラワースポットを作ることを知り、大竹先生から勧められて、制作を始めました。 フォトスポット、フラワースポットのコンセプト 【笠倉】フォトスポットのコンセプトは「カメラマンも被写体になる人も、花を楽しめるフォトスポット」です。フォトスポット制作の話を聞いたその日の午後には、スケッチを描き始めました。そこで、平面的なフォトスポットだと、被写体になる人から見えるのはカメラマンだけで、花を見られないのは勿体無いなと感じ、最初から奥行きのある立方体のデザインを考えていました。大竹先生からは、「フォトスポットの背後にあるヴェールカフェも背景に使ってみたら」というアドバイスをいただき、借景のヒントを得ました。 笠倉さんが描いたスケッチ ヴェールカフェ前のフォトスポット模型 【三森】フラワースポットは、行田市が月に1度開催している花手水のライトアップイベント「希望の光」をサポートして、より華やかにできるスポットを作ろうと思いました。浮き城の径の池に浮かべたフラワースポットのコンセプトは「浮かぶ行田市」です。池に花手水を作り、忍城の模型を浮かべて、「のぼうの城」の田楽踊りのシーンを作りました。忍城址内のフラワースポットは、番傘と組み合わせる予定だったので、番傘の上でよく回される「枡」をコンセプトにしました。ライトアップのメインである番傘との調和を崩さないことを意識して制作しました。 制作にあたって大学で学んできたことは活かせたか 【笠倉】設計の授業で、人の目線や見え方を学んでいなかったら、平面的なフォトスポットになっていたと思います。自分の好きなように設計するのではなく、使ってもらう人たちに楽しんでもらいたいと考えて作ることができました。 【三森】大学での学びを強く実感したのは、現場で施工している時でした。非常勤講師の先生と学生だけで施工したのですが、私たちは全員、1年生の時に架設の経験をしているため、スムーズに組み立てることができました。元々、2日間かけて単管を組む予定でしたが、1日目で組み終わり、2日目からは花を飾り付ける作業に入ることができました。 制作で苦労したことは 【笠倉】私が花に詳しくないため、花の飾り方は一番苦労しました。始めは、ただ花を吊るすことを考えていましたが、「花と花の間隔や、水やりや花の入れ替え作業の効率も考える必要がある」と行田市の方たちから意見をいただきました。そこで、フォトスポットの高さを低くし、作業をしやすくしました。また、花を斜めに設置すれば花が綺麗に見えると思い、格子状に組んだフェンスに入れる案や、板に丸い穴を開けて花を入れる案などを考えました。試行錯誤する中で、苗のポッドをアーチ状に結ぶ案が出て、試してみたところ強度もあり、花の見え方も綺麗だったので、実際に花を入れて撮った動画を行田市の方たちに見ていただき、強度を確認してもらい、この案に決定しました。 【三森】浮き城の径のフラワースポットは、打合せの時に忍城の模型を持参して、浮く素材を何パターンか提案しながら制作を進めました。花手水に使用する花が、ロス花を使用する関係上、数に限りがあったため、枠のサイズや厚みを調整して、花が綺麗に見えるパターンを探しました。また、池の流れで枠が流れてしまうため、重しの付け方や紐の長さも繰り返し試しました。 施工中の市民の方々の反応は 【笠倉】単管を組んでいる時は、近くを通った人たちから「何を作っているの?」と、たくさんの声をかけていただきました。花を飾り付けていくうちに「あ~、綺麗だね」という声が増えてきて、喜んでもらえていることを実感しました。忍城東小路のフォトスポットは、小学生の通学路になっていたため、単管を組んでいる時に「あ~、ジャングルジム!」って言われたりして、「登っちゃダメだよ」みたいなコミュニケーションがありました。制作中に声をかけていただいて、市民の方たちに注目されている事を感じることができ、嬉しかったです。 【三森】浮き城の径の池に入っている時に「池で花手水やるの?」という感じで、たくさんの方に話しかけられました。池に忍城と船を浮かべている時は、小さい子から中学生まで反応がすごく良かったので、やって良かったと感じました。 学生の視点から見る地域交流は 【三森】授業でものを作る時も、安全性は気にしながら作っていますが、学外にものを作る時は、長く設置されることを考慮して、継続性や見た目の変化を気にする必要があることを学びました。これは、授業では学べない事で、責任を感じました。 【笠倉】色々な条件がある中でものを作るのは難しかったですし、考える事がたくさんありました。ですが、完成した時に見てくれる人の数が学内で制作する時より格段に多く、人に見せるためにものを作るのは初めての経験でしたので、すごくやりがいがありました。大変でしたが、こんな経験はそうそうできないですから、制作できて良かったです。達成感が授業とは段違いでした。 地域と大学のより良い関係とは 【三森】今回のような連携は、学生にとっては経験になりますし、市役所の方たちにとっては新しいアイデアをもらえるということがお互いのメリットかと思います。普通、大学に依頼すると設計はできても、施工は企業に別途依頼すると思いますが、ものつくり大学であれば、設計から施工まで全部できる。できる幅が広いことが、ものつくり大学の強みだと思います。 【笠倉】頼られる大学になっていくと良いと思います。地域から頼られることで、学生は勉強する場ができます。ものつくり大学が作ったものが地域に増えたら、大学の名前も広がっていきますし、大学の外でものを作る経験をした方が絶対に自分の経験になりますから。 今回の学びをどう活かすか 【三森】行政の仕事に就くことを考えているため、行田市の方たちと仕事をできたことが貴重な経験になりました。私は、3Dプリンターやレーザーカッターを活用したデジタルファブリケーションについて研究していますが、レーザーカッターで多くの試作品を作ったことで、有用性や課題が見えてきました。手作業で模型を作ると時間がかかるのですが、レーザーカッターで作ると部材を切る時間は15分くらいで済みます。組み立てはあまり時間がかからず、加工も一定の精度でできるため、デジタルファブリケーションの強みが見えました。 【笠倉】条件がある中での制作で、考える力が身に付いたと思います。そして、知識が無いとそもそも思いつかない、知らない事が多いと何もできないということを実感しました。後は、伝え方が一番大事だと思いました。例えば、単管を組む時に、非常勤講師の先生から、どうやって作ればいいのか聞かれた時に、私は言葉で伝えるのが苦手なので、絵を描いて伝えていました。自分の強みを使って伝える力は大事だなと思いました。どう活かせるかというか、どこでも使える力だということを学べました。 関連リンク 【知・技の創造】装飾が愛着に繋がる 建設学科 デザイン・空間表現研究室(大竹研究室) 建設学科WEBページ

  • 完璧じゃなくても、より完成へ近づくまでプログラミングに集中する

    ETロボコンは、エンジニアの人材育成と技術教育の機会を提供することを目的としたロボットコンテスト。ETとはEmbedded Technologyの略。つまりマイコンを用いた組み込みソフトウェアの技術を競い合うもの。本学のETロボコンプロジェクトでは2012年から大会に参加し、2016年、2020年にチャンピオンシップ大会への出場歴があります。機体は同一のキットを使い、機体の中にインストールする制御プログラムの違いを競い合うレース大会。ひたすらプログラム製作に向かう辛い日々を凌駕する楽しさ、魅力はどこにあるのか! 若手エンジニアたちを熱くする、その魅力を高校時代から取り組んでいる青木 翔哉さん(総合機械学科2年)にインタビューしてみました。 ETロボコンに興味を持ったのは、いつ頃から 聖望学園高校時代に科学部に所属していました。部活でETロボコンに関わっていましたが、ちょうど2016年にものつくり大学と高校による合同チーム「mono&科学の妖精」で大会に出場し、デベロッパ部門アドバンストクラスのシルバーモデル賞を受賞しました。その連携の縁もあって、ものつくり大学に入学したという経緯です。とはいえ、入学当初はETロボコンを続けることに対して曖昧な気持ちしかなく、本格的に取組もうと思ったのは3カ月経った頃ですね。プログラミングは好きなので、他にも興味あることも多かったですが、最終的に選択したのはETロボコンでした。 高校時代から引き続き関わりたいと思った、その面白さとは 高校での経験やスキルもあるので、パソコンに向かって根を詰めることは苦にはならないのです。プログラムとにらめっこばかりだけど、注力した分の結果が出るところが面白いんです。プログラムエラーも出ますし、見えないエラーもあります。それを設計図通りに、重い通りに動くことができると楽しい。きれいにスムーズに動くと、より嬉しい。簡単ではないですけどね。 今年の大会での反省点や課題は まず、スムーズに走らなかった。それは機能が足りていなかった。僕がメインで、短期間で成果が出るように方針を決め、プログラム設計と、そのプログラムを動かす作業を行いました。でも、複数人で検証しながら、修正のアイデアを出して調整していくということができなかったので、結果的にリスク分析など検討が甘かったです。新しい機体だったので、脱線したりして、そうしたプログラムのずれを克服できなかったです。 例えば、ロボットはコースの黒のラインをトレースしながら走行するのですが、黒白の境界線を数値化してゼロと設定することで音が消えるというようなプログラムを組むんです。するとロボットがそこに動いたときに正確な位置を判断することができる。こうしたずれの修正策を検討しておかないと、ライントレースだけでなく、階段やジャンプ台、ゲートなど難所と呼ばれる箇所をクリアできないのです。そのためのリスク対策が重要だということを身をもって体験しました。 少人数で作業することのメリットやデメリットを理解して感じたことは 先程も言いましたが、少人数でのデメリットは、リスクを検討するにも、実装にも時間がかかる。人数がいれば開発もできただろうし、話し合う時間が持てることで様々なアイデアも出たと思います。でも自分は、自分に対して完璧主義なので、もしかすると相手にも高い成果を求めていたかもしれないと思うとチームをまとめる力があったかどうか、今後の課題です。ただし、今回の大会出場を通して自分自身に大きな変化がありました。完璧主義で、一つひとつを完璧に納得いくまで作業してきました。それが、一旦完成させてから妥協して進めてきた部分を検討するなど、それはあきらめる力というか、前へ進める力というか、いけぇ~というようなスキルがついたなと思いました。 今後、目標とすることや挑戦したいことは モデル競技はロボットにインストールするプログラムの組み方を競うものです。プログラムの概念を物体的に捉えるという考え方です。そのモデルの精度をきちっとすると色々な言語に対応できるので、今後は設計に力を入れていきたいです。今年よりもさらに良いモデルを製作できるようにしたいし、それを踏まえた上で、しっかり検討を重ねた設計内容を落とし込んだモデルにしたいですね。走行タイムを縮めて、難所もクリアできて、そして地区大会を突破し、本予選に出たい。そこまでいきたいです!! 最後にETロボコンプロジェクトのPRをお願いします 情報化社会で機械をプログラムで制御することは、ますます増えていくと思います。モデルの設計を通して、しかも短期間で製作し、成果を出す経験は、社会に出たときの良い訓練になるのではないかと思うので、やって損はないですね。学生時代にプロジェクト開発に関われる経験は、大きな財産になると思います。興味のある方、ぜひETロボコンプロジェクトの門を叩いてください。新しい自分発見とコミュニケーションで成長の実感ありますよ。僕自身は、マルチタスクが苦手なので、自分の性格に合った作業ができるETロボコンに注力していきます。目標に向かって一緒に頑張りましょう! 関連リンク ETロボコンプロジェクトWEBページ 情報メカトロニクス学科WEBページ