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2026年7月の記事一覧

  • オープンキャンパスの対話が、私の世界を広げた

    Introduction 高校時代、水族館で働く夢から建築の道に方向転換した緑川真結花さん(建設学科3年)。現在は学生生活で培った建築の専門性とコミュニケーション能力を高めつつ、オープンキャンパスの学生スタッフとして活動しています。進路に迷う高校生に向け、緑川さんに大学進学の決め手や大学生活のリアルと魅力についてインタビューをしました。「建築に興味はあるけれど、女子学生が少ないのではないかと不安」「専門知識がなくて授業についていけるか心配」など一歩を踏み出せずにいる高校生の背中をそっと押してくれるはずです。 水族館の構造美から建築の道に。女子学生の本音が響いたオープンキャンパス 私は福島県郡山市の普通科高校出身です。自然科学部で身近な研究の発表や生徒会で学校案内などに力を入れました。水族館でイルカの調教師として働く夢が現実的に難しいと分かり、建築が目にとまりました。地元いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」には、世界初といわれる「潮目の海」水槽を突き抜ける三角形のアクリルトンネルがあります。三角プリズムのように親潮と黒潮を左右に分ける構造が印象的で「人を引きつける建物をつくりたい」と思い、高校2年生の時に建築の道へ転向し、大学で設計を学ぶことに決めました。 「建築」が学べる大学をリサーチする中で、偶然目にとまったのが平仮名交じりの「ものつくり大学」という名称でした。「どんな大学なんだろう」と調べると、設計だけではなく建物の土台となる「構造」まで実践的に学べる点に強く魅力を感じました。「気になるなら行ってみたら」と母の後押しもありオープンキャンパスへの参加を決めました。 オープンキャンパスには、高校3年生の春と夏に3回参加しました。一番心が動いたのは、キャンパスを案内してくださった女子学生スタッフとの対話です。大学の良い面だけではなく、「課題の大変さ」や「バイトとの両立の厳しさ」など、リアルな現実を本音で伝えてくれたので、入学後の生活を具体的に想像できました。何より、大変さを伝えた上で「それでもこの大学なら大丈夫」というフォローもあり、「こんな先輩がいる大学なら間違いない」と入学の大きな決め手になりました。木材の耐久実験を行った模擬授業も印象的で、「設計しながら実寸大で物をつくって構造を理解できる」という実習が豊富な環境は、他大学と明確に違い、「社会に出る前に実際に手を動かして学びたい」と入学を決意しました。 テキパキ、サバサバ!工科系女子のリアルと「先を見据える」スタンス 「工科系の大学の女子学生はどんな雰囲気だろう」という不安もありましたが、実際は良い意味でイメージを裏切るものでした。女子同士は過度に群れず孤立もしない「ほどよい距離感」で、テキパキとサバサバした人が多いです。授業やサークル活動で交流もしやすく、実習で重い荷物がある時も、「1人で無理なら、2人で持とう」と迷わずさっと行動に移せます。授業でも、女子が実質的なリーダーとして男子を引っ張る場面もあり、作業をスムーズに進める力になっています。3年生の今では、1人1人が「仕上げ」や「施工管理」など明確な目的意識や専門性を持ち、お互いに良い刺激を与え合っています。 学業では「先を見据えて今を頑張る」スタンスを大切にし、授業の課題は特に力を入れています。未来の自分が心に余裕を持てるよう、日々の課題や実習レポートは「どうすれば最高評価を取れるか」を常に意識して取り組んでいます。1年次の製図の課題は未経験で進みが遅れたものの、放課後に残り、期限を守るよう努めました。「分からないことがあれば、すぐに先輩や周囲に聞いて解決する」といったスピード感も大切にしています。一方で金曜の放課後は、所属する軽音楽部とバドミントンサークルで思いきりリフレッシュしています。軽音楽部ではバンドのボーカルを担当しており、今年も文化祭である碧蓮祭のステージで歌う予定です。 学生スタッフとして積極的な声がけと分かりやすさを意識 1年次からオープンキャンパスの学生スタッフとして、キャンパスツアーや学生寮の案内、学校説明のプレゼンなどを担当しています。高校時代に参加したオープンキャンパスの感動や生徒会で学校案内を行った経験があり、自然にスタッフに。活動のなかで特に大切にしているのは、会場で戸惑っている来場者への積極的な声かけです。私自身、高校時代に「分からないことが多く、質問内容も分からない」という経験をしたからこそ、自分から「何かお困りですか」と声をかけ、不安を解消するサポートをしたいと考えています。 知識や興味が異なる多様な方々と接する中、「この大学の魅力を、目の前の相手にどうすれば一番響くか」を考えています。特に高校生に対し、疑問を残さないように内容をかみくだいた説明を意識しています。プレゼンは写真を中心に文字を最小限にとどめ、大切な部分は自分の言葉で伝えることを心がけています。以前プレゼンを担当した際、「とても分かりやすかったです」と声をかけてもらえ、励みになりました。オープンキャンパスでは、ぜひ多彩な「模擬授業」を体験してほしいです。木材加工や製図、日本建築の歴史など毎回内容が異なり、何度来ても新しい発見がある点は、ものつくり大学ならではのメリットです。 プロの技に触れる授業と専門的でユニークな先生方との「距離の近さ」 建設学科の授業の最大の特徴は、実際に自分の手で触れ、体感しながら学べる点です。プロの技術を実感しながらモノづくりの喜びを味わえる面白さがあります。特に大変ながらも面白かったのが、1・2年次の「左官」の実習です。コテを使い、まっすぐ平らに塗る難しさを体験する一方で、非常勤講師として来てくださるプロの職人さんが、さらっとやり遂げる無駄のない動きに触れ、「これが本物の職人の技なんだ」と肌で感じました。実習を重ねる過程で、不格好ながらも平らに塗れるようになったことで手応えも得られました。 「実習」や「インターンシップ」での実践的な経験は、自分の成長や将来に直結すると実感しています。そもそも座学と実習が密接に連動している大学だからこそ、知識を体感的に理解できるんです。将来に直結するインターンシップは、先を見据える上で重要な経験になります。私自身、2年次に施工管理の仕事をインターンシップで経験し、大変さを肌身で感じることができました。 ものつくり大学の一番の強みは、先生方との「距離の近さ」です。いつでも学生に寄り添い支えてくださる先生の存在こそが、この大学最大の魅力です。専門性が高く、ユニークな先生が多いです。最初は話しかけづらく見えても、実習や授業での関わりで、1人1人をしっかり覚え、親身になってくださいます。オープンキャンパスの学生スタッフをすることで距離も縮まり、どんな質問にもフランクに答えていただけます。3年次になり、研究や就職活動について相談していますが、具体的なアドバイスを惜しみなく注いでくださいます。 コミュニケーション能力を生かせる建築の道に。今、高校生に届けたいメッセージ 入学当初は「設計」に、その後は「施工管理」に興味をもち、現在は人との対話が重視される建設系の「コンサルタント」や「営業」に魅力を感じています。理由の1つにオープンキャンパスの学生スタッフとしての経験があります。「自分が分かっていても相手が分かっているとは限らない」ことを意識し、高校生や保護者に分かりやすく伝える工夫をしてきました。相手の反応を見ながら臨機応変に対応するコミュニケーション能力も自然と身につきました。将来に向け、先生や先輩方との繋がりを大切に就活や仕事のリアルな話を聞き、選択肢を集めています。じっくり思考を巡らせ、自分らしく社会で働く道を見出したいです。 オープンキャンパスに参加希望の高校生には、まずは気負わず、フラットに1回来てみてほしいです。近ければ本人だけで、遠方なら保護者の方と相談して、とにかく一度足を運んでみてください。実際に来れば大学の雰囲気が肌で分かり、自分に合うかどうかも見えてくるはずです。オープンキャンパスでは、ぜひ、いろいろな人と関わり、何でも気軽に聞いてみてください。苦手意識から距離を置くのはもったいないので、肩の力を抜いて人と接してほしいと思います。大学生活で気になる疑問があれば、教職員や学生スタッフに、遠慮なく声をかけてみてください。自ら進んで聞いてみることで、きっと世界が広がります。

  • 高大連携プロジェクト進行中!大宮科学技術高等学校「ウェルカムアーチ」製作プロジェクト 第2回打合せ

    「安全性の確保」と「コンセプトの大切さ」の両立 7月10日(金)、ものつくり大学において、大宮科学技術高等学校 建築デザイン工学科の課題研究「文化祭『ウェルカムアーチ』製作プロジェクト」の第2回打合せを行いました。このプロジェクトは、大宮科学技術高等学校の文化祭で披露するウェルカムアーチの製作を進めるとともに、11月に氷川神社で開催されるイベントでの展示も予定されている高大連携プロジェクトです。今回は、第1回打合せで本学教員から受けたアドバイスをもとにブラッシュアップした提案について、高校生4名がそれぞれプレゼンテーションを行いました。 発表後には、本学建設学科木造建築コースの横山教授と芝沼講師が講評を行い、安全性とデザイン性を両立させるための考え方や、実際の建築設計に必要となる視点について、具体的なアドバイスが送られました。今回の打合せで特に強調されたのは、「安全性を確保すること」と「コンセプトを大切にすること」の両立です。 施工会社からは、イベント期間中も安全に展示できる構造案が提案されました。一方で、本学教員からは「施工会社は安全を最優先に提案するが、作品のコンセプトまで譲る必要はない」と助言がありました。今回の作品の魅力である「アーチ」というデザインを大切にしながら、安全性とのバランスをどのように実現するかを考えることが、設計者として重要であることが伝えられました。 また、設置場所となる氷川神社ならではの条件についても意見が交わされました。11月は七五三の参拝客が多く訪れるため、小さな子どもがつまずかない構造やデザインへの配慮が必要であること、さらに境内では地面に杭などを打ち込めないため、別の方法で安全性を確保する必要があることなど、実際の建築計画に求められる視点について説明がありました。 さらに、「構造もデザインの一部である」という考え方も紹介されました。構造上必要な部材を単なる補強として考えるのではなく、美しいアーチのデザインに取り込みながら表現することも建築の魅力であり、完成度を高めるための重要な視点であることが、高校生へ伝えられました。 打合せの最後には、高校生たちへインタビューを行いました。難しい課題に挑戦する中で感じたことや、ものつくり大学の教員から学んだことについて、それぞれが率直な思いを語ってくれました。 高校生インタビュー 平井さん今回のプロジェクトは、当初は文化祭で展示する木製アーチの製作としてスタートしました。しかし、その後、氷川神社での展示も決まり、想像以上に大きなプロジェクトへと発展しました。「面白そう」という気持ちで始まったものの、実際は想像以上に難しく、苦労の連続でした。また、これまでにも複数回プレゼンテーションを経験してきましたが、ものつくり大学の先生方から指導を受けたことで、新しい視点や考え方を学ぶことができ、大きな成長につながりました。 清水さん建築については詳しくなかったものの、今回の課題研究で実際のプロジェクトに携わることで、多くの新しい知識や経験を得ることができました。特に、人と協力しながら一つのものをつくり上げる過程を通して、将来社会に出ても役立つコミュニケーション力の大切さを実感しました。 土屋さん小学生の頃、大宮工業高校(現・大宮科学技術高等学校)の文化祭で木製アーチを見て憧れを抱いていました。そして高校入学後、自分自身がその製作に携わる課題研究へ参加することになりました。現在は資格試験の勉強と並行しながら発表資料の作成などに取り組む忙しい毎日ですが、その分、多くの人との出会いやつながりが生まれ、とても充実した日々を送っています。 粕谷さんこれまで企業や団体へのプレゼンテーションを重ねる中で、何度も「コンセプトの重要性」を指摘されてきました。 今回も、ものつくり大学の先生方から「まずはコンセプトを大切に考えること」というアドバイスを受け、改めて作品の方向性を見直すきっかけになりました。文化祭や11月の氷川神社での展示に向けて、さらにコンセプトを磨き上げ、より完成度の高い作品を目指していきたいです。 高校生たちの挑戦は続く 文化祭、そして11月に予定されている氷川神社での展示に向け、プロジェクトはこれからも改良を重ねながら進んでいきます。ものつくり大学では、今後も高校との高大連携を通じて、実践的なものづくり教育を支援し、次世代を担う高校生たちの学びを後押ししていきます。

  • 【知・技の創造】多能・多彩な森林・木材

    ダイバーシティとは ダイバーシティ(多様性)という言葉が広く用いられています。その本質は互いの価値観の違いを認めることです。森林も多面的な機能を有し、木材生産、水源涵養、地球環境保全、保健・レクリエーションなどを担い、人々の暮らしを支えています。日本の国土の約7割は森林ですが、多くの人は残り約3割の地域で生活しています。埼玉県では南西部の飯能地域や北西部の秩父地域に森林が広がる一方、主に南東部にかけて街が集中しています。近年は街路樹も減少し、都市部で暮らす人々が森林を意識する機会は多くありません。しかし、観葉植物や花を飾り、木製家具を取り入れることで心身がリラックスすることが多くの研究で示されています。最近ではDIYで木製什器をつくるニーズもあります。つまり、人は多彩な植物や木製品を通じて日常に小さな森林環境を取り込み、豊かさを感じているのです。埼玉県土の約3割が森林でそのうち約5割は人工林です。戦後80年を経て人工林の約8割が伐採期に達しました。昨年には全国植樹祭が開催され、彩の国として県産木材の普及と森林資源の循環を図る「活樹」が発信されました。同年、本学でも地域木材・森林共生研究センターを設立し、今年2月には渋沢MIXで埼玉県産木材イノベーションフォーラムを産学共同で開催しました。 「技能」と「工芸」 私は瀬戸内の海辺で育ち、海のない埼玉に住んで11年目です。秩父を訪れた際、大学時代に木造建築を学んだ奈良県吉野郡川上村を思い出しました。川上村は秩父と同様に渓谷と秩父古生層を有します。そこで林業や木造建築を学ぶ「木匠塾」に参加し、本学開学の契機となった「職人大学構想」に尽力された先生方と出会い、その思想に共感しました。本学部名である「技能工芸」には「職人の技能は工芸と呼べるほど高度な価値があることを社会に認知されたい」願いが込められています。職人の地位向上を目指すもので近年のブルーカラービリオネアにも通じます。職人不足が懸念される現在、私は木造住宅分野での「新たな多能工の育成」をテーマに、国の科学研究費を受けて研究を進めています。新たな多能工とは例えば、フィジカルな手作業とAIやBIMなどデジタルスキルを合わせ持ち、社会の多様なニーズに応えられる技術技能者です。私は研究者として、埼玉県(現・久喜市)出身で日本初の林学博士・本多静六が、川上村出身の山林王・土倉庄三郎から林業を学び、多くの公園を設計したことにも励まされています。水源地の村づくりは森林と水の深い関係を教えてくれます。木材も水を含み、かつては川を利用して山から街へ運ばれました。木造建築も、林業、製材・加工、設計・施工へと続くサプライチェーン(川上・川中・川下)として捉えられます。さらに、山から海へ流れる養分は牡蠣などの生育を支え、私たちの食卓にもつながります。 「多」の字は「夕」を二つ重ねて一日の終わりが積み重なることを表すともいわれます。多量という意味だけでなく、適材適所、足るを知る精神も想起させます。多世代に渡り育まれた木材で新たな多能工がつくる建築は、樹齢を超える長い年月の中で、人々の多彩な暮らしを記憶する器となるでしょう。 Profile 戸田都生男(とだ・つきお) ものつくり大学技能工芸学部建設学科教授。1975年生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業、設計事務所等を経て京都府立大学大学院博士後期課程 博士(学術)、一級建築士。16年4月より木造建築・環境デザイン研究室。25年4月より地域木材・森林共生研究センター長。専門は木造住宅設計・環境心理行動学。

  • オープンキャンパスの対話が、私の世界を広げた

    Introduction 高校時代、水族館で働く夢から建築の道に方向転換した緑川真結花さん(建設学科3年)。現在は学生生活で培った建築の専門性とコミュニケーション能力を高めつつ、オープンキャンパスの学生スタッフとして活動しています。進路に迷う高校生に向け、緑川さんに大学進学の決め手や大学生活のリアルと魅力についてインタビューをしました。「建築に興味はあるけれど、女子学生が少ないのではないかと不安」「専門知識がなくて授業についていけるか心配」など一歩を踏み出せずにいる高校生の背中をそっと押してくれるはずです。 水族館の構造美から建築の道に。女子学生の本音が響いたオープンキャンパス 私は福島県郡山市の普通科高校出身です。自然科学部で身近な研究の発表や生徒会で学校案内などに力を入れました。水族館でイルカの調教師として働く夢が現実的に難しいと分かり、建築が目にとまりました。地元いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」には、世界初といわれる「潮目の海」水槽を突き抜ける三角形のアクリルトンネルがあります。三角プリズムのように親潮と黒潮を左右に分ける構造が印象的で「人を引きつける建物をつくりたい」と思い、高校2年生の時に建築の道へ転向し、大学で設計を学ぶことに決めました。 「建築」が学べる大学をリサーチする中で、偶然目にとまったのが平仮名交じりの「ものつくり大学」という名称でした。「どんな大学なんだろう」と調べると、設計だけではなく建物の土台となる「構造」まで実践的に学べる点に強く魅力を感じました。「気になるなら行ってみたら」と母の後押しもありオープンキャンパスへの参加を決めました。 オープンキャンパスには、高校3年生の春と夏に3回参加しました。一番心が動いたのは、キャンパスを案内してくださった女子学生スタッフとの対話です。大学の良い面だけではなく、「課題の大変さ」や「バイトとの両立の厳しさ」など、リアルな現実を本音で伝えてくれたので、入学後の生活を具体的に想像できました。何より、大変さを伝えた上で「それでもこの大学なら大丈夫」というフォローもあり、「こんな先輩がいる大学なら間違いない」と入学の大きな決め手になりました。木材の耐久実験を行った模擬授業も印象的で、「設計しながら実寸大で物をつくって構造を理解できる」という実習が豊富な環境は、他大学と明確に違い、「社会に出る前に実際に手を動かして学びたい」と入学を決意しました。 テキパキ、サバサバ!工科系女子のリアルと「先を見据える」スタンス 「工科系の大学の女子学生はどんな雰囲気だろう」という不安もありましたが、実際は良い意味でイメージを裏切るものでした。女子同士は過度に群れず孤立もしない「ほどよい距離感」で、テキパキとサバサバした人が多いです。授業やサークル活動で交流もしやすく、実習で重い荷物がある時も、「1人で無理なら、2人で持とう」と迷わずさっと行動に移せます。授業でも、女子が実質的なリーダーとして男子を引っ張る場面もあり、作業をスムーズに進める力になっています。3年生の今では、1人1人が「仕上げ」や「施工管理」など明確な目的意識や専門性を持ち、お互いに良い刺激を与え合っています。 学業では「先を見据えて今を頑張る」スタンスを大切にし、授業の課題は特に力を入れています。未来の自分が心に余裕を持てるよう、日々の課題や実習レポートは「どうすれば最高評価を取れるか」を常に意識して取り組んでいます。1年次の製図の課題は未経験で進みが遅れたものの、放課後に残り、期限を守るよう努めました。「分からないことがあれば、すぐに先輩や周囲に聞いて解決する」といったスピード感も大切にしています。一方で金曜の放課後は、所属する軽音楽部とバドミントンサークルで思いきりリフレッシュしています。軽音楽部ではバンドのボーカルを担当しており、今年も文化祭である碧蓮祭のステージで歌う予定です。 学生スタッフとして積極的な声がけと分かりやすさを意識 1年次からオープンキャンパスの学生スタッフとして、キャンパスツアーや学生寮の案内、学校説明のプレゼンなどを担当しています。高校時代に参加したオープンキャンパスの感動や生徒会で学校案内を行った経験があり、自然にスタッフに。活動のなかで特に大切にしているのは、会場で戸惑っている来場者への積極的な声かけです。私自身、高校時代に「分からないことが多く、質問内容も分からない」という経験をしたからこそ、自分から「何かお困りですか」と声をかけ、不安を解消するサポートをしたいと考えています。 知識や興味が異なる多様な方々と接する中、「この大学の魅力を、目の前の相手にどうすれば一番響くか」を考えています。特に高校生に対し、疑問を残さないように内容をかみくだいた説明を意識しています。プレゼンは写真を中心に文字を最小限にとどめ、大切な部分は自分の言葉で伝えることを心がけています。以前プレゼンを担当した際、「とても分かりやすかったです」と声をかけてもらえ、励みになりました。オープンキャンパスでは、ぜひ多彩な「模擬授業」を体験してほしいです。木材加工や製図、日本建築の歴史など毎回内容が異なり、何度来ても新しい発見がある点は、ものつくり大学ならではのメリットです。 プロの技に触れる授業と専門的でユニークな先生方との「距離の近さ」 建設学科の授業の最大の特徴は、実際に自分の手で触れ、体感しながら学べる点です。プロの技術を実感しながらモノづくりの喜びを味わえる面白さがあります。特に大変ながらも面白かったのが、1・2年次の「左官」の実習です。コテを使い、まっすぐ平らに塗る難しさを体験する一方で、非常勤講師として来てくださるプロの職人さんが、さらっとやり遂げる無駄のない動きに触れ、「これが本物の職人の技なんだ」と肌で感じました。実習を重ねる過程で、不格好ながらも平らに塗れるようになったことで手応えも得られました。 「実習」や「インターンシップ」での実践的な経験は、自分の成長や将来に直結すると実感しています。そもそも座学と実習が密接に連動している大学だからこそ、知識を体感的に理解できるんです。将来に直結するインターンシップは、先を見据える上で重要な経験になります。私自身、2年次に施工管理の仕事をインターンシップで経験し、大変さを肌身で感じることができました。 ものつくり大学の一番の強みは、先生方との「距離の近さ」です。いつでも学生に寄り添い支えてくださる先生の存在こそが、この大学最大の魅力です。専門性が高く、ユニークな先生が多いです。最初は話しかけづらく見えても、実習や授業での関わりで、1人1人をしっかり覚え、親身になってくださいます。オープンキャンパスの学生スタッフをすることで距離も縮まり、どんな質問にもフランクに答えていただけます。3年次になり、研究や就職活動について相談していますが、具体的なアドバイスを惜しみなく注いでくださいます。 コミュニケーション能力を生かせる建築の道に。今、高校生に届けたいメッセージ 入学当初は「設計」に、その後は「施工管理」に興味をもち、現在は人との対話が重視される建設系の「コンサルタント」や「営業」に魅力を感じています。理由の1つにオープンキャンパスの学生スタッフとしての経験があります。「自分が分かっていても相手が分かっているとは限らない」ことを意識し、高校生や保護者に分かりやすく伝える工夫をしてきました。相手の反応を見ながら臨機応変に対応するコミュニケーション能力も自然と身につきました。将来に向け、先生や先輩方との繋がりを大切に就活や仕事のリアルな話を聞き、選択肢を集めています。じっくり思考を巡らせ、自分らしく社会で働く道を見出したいです。 オープンキャンパスに参加希望の高校生には、まずは気負わず、フラットに1回来てみてほしいです。近ければ本人だけで、遠方なら保護者の方と相談して、とにかく一度足を運んでみてください。実際に来れば大学の雰囲気が肌で分かり、自分に合うかどうかも見えてくるはずです。オープンキャンパスでは、ぜひ、いろいろな人と関わり、何でも気軽に聞いてみてください。苦手意識から距離を置くのはもったいないので、肩の力を抜いて人と接してほしいと思います。大学生活で気になる疑問があれば、教職員や学生スタッフに、遠慮なく声をかけてみてください。自ら進んで聞いてみることで、きっと世界が広がります。

  • 高大連携プロジェクト進行中!大宮科学技術高等学校「ウェルカムアーチ」製作プロジェクト 第2回打合せ

    「安全性の確保」と「コンセプトの大切さ」の両立 7月10日(金)、ものつくり大学において、大宮科学技術高等学校 建築デザイン工学科の課題研究「文化祭『ウェルカムアーチ』製作プロジェクト」の第2回打合せを行いました。このプロジェクトは、大宮科学技術高等学校の文化祭で披露するウェルカムアーチの製作を進めるとともに、11月に氷川神社で開催されるイベントでの展示も予定されている高大連携プロジェクトです。今回は、第1回打合せで本学教員から受けたアドバイスをもとにブラッシュアップした提案について、高校生4名がそれぞれプレゼンテーションを行いました。 発表後には、本学建設学科木造建築コースの横山教授と芝沼講師が講評を行い、安全性とデザイン性を両立させるための考え方や、実際の建築設計に必要となる視点について、具体的なアドバイスが送られました。今回の打合せで特に強調されたのは、「安全性を確保すること」と「コンセプトを大切にすること」の両立です。 施工会社からは、イベント期間中も安全に展示できる構造案が提案されました。一方で、本学教員からは「施工会社は安全を最優先に提案するが、作品のコンセプトまで譲る必要はない」と助言がありました。今回の作品の魅力である「アーチ」というデザインを大切にしながら、安全性とのバランスをどのように実現するかを考えることが、設計者として重要であることが伝えられました。 また、設置場所となる氷川神社ならではの条件についても意見が交わされました。11月は七五三の参拝客が多く訪れるため、小さな子どもがつまずかない構造やデザインへの配慮が必要であること、さらに境内では地面に杭などを打ち込めないため、別の方法で安全性を確保する必要があることなど、実際の建築計画に求められる視点について説明がありました。 さらに、「構造もデザインの一部である」という考え方も紹介されました。構造上必要な部材を単なる補強として考えるのではなく、美しいアーチのデザインに取り込みながら表現することも建築の魅力であり、完成度を高めるための重要な視点であることが、高校生へ伝えられました。 打合せの最後には、高校生たちへインタビューを行いました。難しい課題に挑戦する中で感じたことや、ものつくり大学の教員から学んだことについて、それぞれが率直な思いを語ってくれました。 高校生インタビュー 平井さん今回のプロジェクトは、当初は文化祭で展示する木製アーチの製作としてスタートしました。しかし、その後、氷川神社での展示も決まり、想像以上に大きなプロジェクトへと発展しました。「面白そう」という気持ちで始まったものの、実際は想像以上に難しく、苦労の連続でした。また、これまでにも複数回プレゼンテーションを経験してきましたが、ものつくり大学の先生方から指導を受けたことで、新しい視点や考え方を学ぶことができ、大きな成長につながりました。 清水さん建築については詳しくなかったものの、今回の課題研究で実際のプロジェクトに携わることで、多くの新しい知識や経験を得ることができました。特に、人と協力しながら一つのものをつくり上げる過程を通して、将来社会に出ても役立つコミュニケーション力の大切さを実感しました。 土屋さん小学生の頃、大宮工業高校(現・大宮科学技術高等学校)の文化祭で木製アーチを見て憧れを抱いていました。そして高校入学後、自分自身がその製作に携わる課題研究へ参加することになりました。現在は資格試験の勉強と並行しながら発表資料の作成などに取り組む忙しい毎日ですが、その分、多くの人との出会いやつながりが生まれ、とても充実した日々を送っています。 粕谷さんこれまで企業や団体へのプレゼンテーションを重ねる中で、何度も「コンセプトの重要性」を指摘されてきました。 今回も、ものつくり大学の先生方から「まずはコンセプトを大切に考えること」というアドバイスを受け、改めて作品の方向性を見直すきっかけになりました。文化祭や11月の氷川神社での展示に向けて、さらにコンセプトを磨き上げ、より完成度の高い作品を目指していきたいです。 高校生たちの挑戦は続く 文化祭、そして11月に予定されている氷川神社での展示に向け、プロジェクトはこれからも改良を重ねながら進んでいきます。ものつくり大学では、今後も高校との高大連携を通じて、実践的なものづくり教育を支援し、次世代を担う高校生たちの学びを後押ししていきます。

  • 【知・技の創造】多能・多彩な森林・木材

    ダイバーシティとは ダイバーシティ(多様性)という言葉が広く用いられています。その本質は互いの価値観の違いを認めることです。森林も多面的な機能を有し、木材生産、水源涵養、地球環境保全、保健・レクリエーションなどを担い、人々の暮らしを支えています。日本の国土の約7割は森林ですが、多くの人は残り約3割の地域で生活しています。埼玉県では南西部の飯能地域や北西部の秩父地域に森林が広がる一方、主に南東部にかけて街が集中しています。近年は街路樹も減少し、都市部で暮らす人々が森林を意識する機会は多くありません。しかし、観葉植物や花を飾り、木製家具を取り入れることで心身がリラックスすることが多くの研究で示されています。最近ではDIYで木製什器をつくるニーズもあります。つまり、人は多彩な植物や木製品を通じて日常に小さな森林環境を取り込み、豊かさを感じているのです。埼玉県土の約3割が森林でそのうち約5割は人工林です。戦後80年を経て人工林の約8割が伐採期に達しました。昨年には全国植樹祭が開催され、彩の国として県産木材の普及と森林資源の循環を図る「活樹」が発信されました。同年、本学でも地域木材・森林共生研究センターを設立し、今年2月には渋沢MIXで埼玉県産木材イノベーションフォーラムを産学共同で開催しました。 「技能」と「工芸」 私は瀬戸内の海辺で育ち、海のない埼玉に住んで11年目です。秩父を訪れた際、大学時代に木造建築を学んだ奈良県吉野郡川上村を思い出しました。川上村は秩父と同様に渓谷と秩父古生層を有します。そこで林業や木造建築を学ぶ「木匠塾」に参加し、本学開学の契機となった「職人大学構想」に尽力された先生方と出会い、その思想に共感しました。本学部名である「技能工芸」には「職人の技能は工芸と呼べるほど高度な価値があることを社会に認知されたい」願いが込められています。職人の地位向上を目指すもので近年のブルーカラービリオネアにも通じます。職人不足が懸念される現在、私は木造住宅分野での「新たな多能工の育成」をテーマに、国の科学研究費を受けて研究を進めています。新たな多能工とは例えば、フィジカルな手作業とAIやBIMなどデジタルスキルを合わせ持ち、社会の多様なニーズに応えられる技術技能者です。私は研究者として、埼玉県(現・久喜市)出身で日本初の林学博士・本多静六が、川上村出身の山林王・土倉庄三郎から林業を学び、多くの公園を設計したことにも励まされています。水源地の村づくりは森林と水の深い関係を教えてくれます。木材も水を含み、かつては川を利用して山から街へ運ばれました。木造建築も、林業、製材・加工、設計・施工へと続くサプライチェーン(川上・川中・川下)として捉えられます。さらに、山から海へ流れる養分は牡蠣などの生育を支え、私たちの食卓にもつながります。 「多」の字は「夕」を二つ重ねて一日の終わりが積み重なることを表すともいわれます。多量という意味だけでなく、適材適所、足るを知る精神も想起させます。多世代に渡り育まれた木材で新たな多能工がつくる建築は、樹齢を超える長い年月の中で、人々の多彩な暮らしを記憶する器となるでしょう。 Profile 戸田都生男(とだ・つきお) ものつくり大学技能工芸学部建設学科教授。1975年生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業、設計事務所等を経て京都府立大学大学院博士後期課程 博士(学術)、一級建築士。16年4月より木造建築・環境デザイン研究室。25年4月より地域木材・森林共生研究センター長。専門は木造住宅設計・環境心理行動学。