ピカピカプロジェクト
7月、子どもたちは花火をテーマに「ピカピカ」を制作しました。各自がボードに描いたオリジナルの花火に、光の色や点滅の仕方をプログラムして表していきます。こうした学びは、算数や理科、図画工作といった既存の教科の中で、情報活用能力を育てようとする流れの中にあります。2020年度から小学校でプログラミング教育が全面実施され、情報活用能力は言語能力と並ぶ「学習の基盤となる資質・能力」として位置付けられました。

私たちは、ものつくり大学、信州大学、都留文科大学の三大学で「ピカピカプロジェクト」に取り組んでいます。光り、動く仕掛けを子どもたち自身がプログラミングでつくり、作品として仕上げる試みです。科学・技術・工学・芸術・数学を横断するSTEAM教育の考え方に基づき、アートとプログラミングを掛け合わせることで、プログラミング的思考と創造的な表現を同時に育てることをねらいとしています。
両面から深める学習
活動は2019年、長野県南箕輪村で開いたプログラミング教室から始まりました。地域のシンボルである大芝高原をテーマに、子どもたちが光る仕掛けをつくり上げました。以来、各地へと活動を広げてきました。
なかでも長野県木祖村の小学校では、2023年から毎年テーマを変えて実践を重ねています。自分だけの「オリジナル星座」に始まり、地域の風景を光で描く「木祖村BOX」、夜の動物園のような「ナイトZoo」、そして今年の「花火大会」。いずれも身近な題材を、光と動きで表す活動です。子どもたちは「どう光らせたいか」から出発し、そのために必要な手順を考えます。この試行錯誤こそが、プログラミング的思考を育てます。
中学校では、この学びを美術科と技術科の両面から深めます。同じ活動であっても、美術では表現の幅を広げる学びとなり、技術では計測や制御、システムの仕組みを理解する題材となります。私たちは、この取り組みをVR(仮想現実)へも広げました。仮想空間で作品をプログラミングし、現実の作品と結び付けることで、時間や場所の制約を越えた表現が可能になります。
アートとプログラミングを組み合わせることで、子どもたちは表したいイメージを実現するために、光らせ方や動かし方を工夫します。その過程が、自然と次の学びにつながっていきます。
ものつくり大学では、技術と技能をバランス良く学ぶことを大切にしています。地域と協働しながら、ものづくりの楽しさを子どもたちへ届ける取り組みを進めています。
埼玉新聞「知・技の創造」(2026年8月7日号)掲載

永井 孝(ながい たかし)
技能工芸学部情報メカトロニクス学科。博士(工学)、職業訓練指導員(デザイン・木材工芸等)。信州大学大学院博士課程単位修得後退学、2018年より現職。専門分野は教育工学。


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