【知・技の創造】機械設計を支える想像力

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設計と製作

機械設計においては、強度、機構や材料といった座学の知識が不可欠ですが、学生が実際の設計に臨む際、それだけでは乗り越えられない壁に直面することがあります。この壁を乗り越えるためには、経験に基づく想像力が重要であると考えています。私は、プレス加工や鍛造加工などの総称である塑性加工の分野において、革新的な加工技術の開発を研究テーマの一つとしています。研究を推進する上で、金型や加工装置の設計は、避けては通れない重要なプロセスです。卒業研究の一環として、学生自身が金型や加工装置の設計を行うことがありますが、製作した後に修正が必要であったり、設計上の課題が見つかったりすることも少なくありません。

まず挙げられるのが、使いやすさへの配慮です。多くの学生が設計する装置に共通しているのが、実際に使用する際の作業性まで考慮しきれていない点です。特に加工系の装置においては、位置決め精度がその後の使いやすさに直結します。設計段階では、指定した位置に部品を精度よく配置できると考え、組み付け時の微調整で済むと楽観的に捉えがちです。しかし、実際に実験を行うと、位置決めに起因する実験結果のばらつきなど不具合が発生し、実験のたびに位置決め精度を確保しようとすると、多大な手間がかかることに気づかされます。

設計通りに部品が配置されない原因の一つは、組み立て時に使用するボルトとボルト穴の隙間にあります。この隙間の分だけ位置がずれる可能性があるためです。これを防ぐには、装置を組み立てる際に意識しなくても正確に位置が決まるような、嵌合構造や位置決めピンの活用といった工夫が必要です。一方で、過剰な位置決め構造はかえって組み立てを困難にする場合もあります。こうした設計の勘どころは、試行錯誤しながら身につけていく知識といえます。

高精度であることとは

次に重要となるのが、作りやすさへの配慮です。装置設計においては、製作期間の短縮や製作コスト低減の観点から、加工しやすい形状や材料を選ぶことも重要です。加工の種類によって、精度、加工時間、得意とする形状や材質が異なります。例えば、金属を削る切削加工では、加工の段階で部品を固定し直す「つかみ直し」を行うと、そのたびに位置がずれ、精度が低下します。そのため、精度が要求される部分については、一度の固定で加工を完結できる形状に設計することが効果的です。こうした知識も、実際に加工を行うなどの経験を通じて習得できるものです。  

どのように使い、どのように作るかを具体的に想像する力は、座学だけで得られるものではありません。実際に手を動かし、失敗を繰り返しながら身につけていくものです。ものつくり大学情報メカトロニクス学科では、機械設計に関する座学に加え、多くの加工に関する実習を設けています。また卒業研究においては、より実践的かつ総合的な試行錯誤を経験できる環境を整えています。これらの学びを通じ、実践的な経験に基づき、自ら考え、手を動かして問題を解決できる技術者を育成していきたいと考えています。

Profile

牧山 高大(まきやま たかひろ)

情報メカトロニクス学科 教授。 電気通信大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。株式会社日立製作所生産技術研究所を経て2019年4月より現職。専門は塑性加工学。

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ものつくり大学

大学概要、学科紹介、入試情報など、 詳しくは大学ホームページをご覧ください。
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