三重の橋,建造物

 

伊勢・志摩(2022.3調査)

 

麻生の浦(おおのうら)大橋(生浦大橋)は,青い生浦湾と緑の山を背景にダイナミックに白く輝くニールセンローゼ橋です.1973年に完成しており,ニールセンローゼ橋の初期の作品です.今浦と本浦を結ぶ全長約500mの真っ白な姿が生浦湾を背景に美しく輝いています.宮地鉄工が千葉県行徳の岸壁で一括組み立て,FCで台船に設置して海上輸送,潮の干満を利用した台船架設を行いました.幅員8.25m,支間長195mであり,とてもスレンダーな橋です.

麻生の浦(おおのうら)大橋(生浦大橋)
麻生の浦(おおのうら)大橋(生浦大橋)

 

真珠筏が沢山みられる絶景の英虞湾に浮かぶ賢島,その入り口に賢島大橋が架かります.橋の上から望む英虞湾の夕景は見る人の心を魅了するほどの美しさです.1970年に竣工した橋長153m,橋幅9.3m,海面からの高さ約18mの鋼3径間上路アーチ橋である.元は近鉄が自社の開発した賢島対岸の別荘地と賢島を連絡するために建設した橋ですが,1980年から三重県が管理しています.

賢島大橋
賢島大橋

 

的矢湾大橋は志摩市磯部町の的矢湾にかかる,橋長237.6mの支間長176.4mの上路式固定アーチ橋で,支柱材に鋼管を用いているのが特徴です.1976年に完成しています.2014年に大規模な耐震補強が行われています.ドライブコースとして人気の「パールロード」の途中にあり,波静かな青い海と真っ赤な橋のコントラストが美しいです.

的矢湾大橋
的矢湾大橋
的矢湾大橋
的矢湾大橋

 

江ノ浦(えのうら)橋は,紀北町長島にある昇開橋です.わが国内では珍しい形式の可動橋です.歩行者,自転車専用橋になっています.大型の漁船が通過する際に中央部が上に揚がります,橋の上からは漁師町を望む景色を観賞できるほか,タイミングが合えば橋の昇降の様子も見学できるとのことです.現在の橋は平成5年に架け替えられた三代目であり,以前は昇開橋ではなく片側だけがあがる跳開橋でした.全長85.5m,可動部支間30ⅿです.

江ノ浦橋
江ノ浦橋
江ノ浦橋

 

江の浦(えのうら)大橋は橋長が367.5m,中央支間長80mであり,長嶋港の江の浦入り口にフローティングクレーンで架設されました.日本鋼管の施工です.RC床版を有する箱桁橋であり,中央部は非合成設計です.船舶の航路を確保するため,北側は360°のループ橋でアプローチしています.ループの形がアルファに似ているので,アルファ大橋とも呼ばれています.

江の浦大橋

 

南島大橋は南伊勢町の慥柄浦と阿曽浦を結ぶ橋で,阿曽浦大橋とともに「親子大橋」と呼ばれています.山の緑と海の青の中,赤いパイプアーチが美しいです.養殖真珠の発祥の地でもあり,橋の上からは,贄湾で漁をした漁船の美しい航跡などが眺望できます.南島大橋は昭和43年に完成した,橋長155mのパイプアーチ上路橋で,同形式としては天草五橋の1つ松島橋に次いで第2位の規模になります.

南島大橋

 

紀勢宮川橋は近畿自動車道紀勢線のうち三重県一級河川宮川を 渡る橋長537m,最大支間90mの7径間連続PC・鋼複合上路ダブルワーレントラス(ラチストラス)橋です.2005年竣工,トラス格点間隔を短くしPC床版とトラス上弦材とを合成トラス構造とする等により,形鋼化率を向上.主要鋼部材の96%にH形鋼・CT形鋼を使用し,経済性・施工性の向上を図っています.ラチストラス形状としていること,格間長を小さくしたことにより上弦材にて直接床版を支持することが可能となり,その結果として床組構造を省略していること,耐震性向上のため7径間で8つの橋脚のうち,中央部の4橋脚部で上部工トラスと下部工橋脚とが剛結されていることなどが挙げられます.

紀勢宮川橋
紀勢宮川橋

 

船木橋は1934年に建設された上路ワーレントラスであり,登録有形文化財です.幅員は4.4mですが,橋長90.2mは当時としては立派ですね.旧国道42号線です.現在は歩道橋として利用されています.播磨造船の施工です.

船木橋
船木橋

 

紀勢本線 宮川橋梁は1926年竣工した上路ワーレントラス橋です.トラス橋の支間長は62.5mであり,横河橋梁の製作です.プレートガーダーはワーレントラスで受けず,橋脚を立ち上げています.高橋脚は切石積です.

紀勢本線 宮川橋梁

 

領内橋は1924年に建設された下路プラットトラス橋であり,トラス格点はピン結合されています.宮川水系の領内峡に素敵な古橋が残っていました!典型的なアメリカ流のプラットトラスですが,垂直材等には八幡製鉄所の刻印が見られる大正期の国産トラスで,ピントラスとしては最後の時期かも知れません.斜材がアイバーや棒鋼などの細い部材で構成されています.幾多の災害にも耐え,原位置で道路橋として使われてきましたが,最近は歩行者・自転車専用になっています.

領内橋
領内橋
領内橋

 

野々口橋は,1932年竣工した下路ワーレントラス橋です.親柱の上に見慣れない金具が付いています.電燈が設置されていたのでしょうか.丸みを帯びたガセットプレートやシングルレーシングの垂直材が,古さを感じさせます.道の駅「飯高駅」の西側に位置しており,国道166号線の北側の旧道が櫛田川を渡河する位置にあります.

野々口橋
野々口橋
野々口橋の親柱

 

茶倉橋は1997年竣工した,歩行者専用吊橋です.斜め吊索も設置されており,吊橋に斜張橋の構造を加えたような構造です.左岸は上へ,右岸は下へ通じる螺旋階段に接続されています.道の駅「ちゃくら駅」と茶畑が広がる街をつなぐ赤い吊り橋で,ダイナミックな渓谷景色が続いています.道の駅「ちゃくら駅」から遊歩道を歩いていくと辿り着きます.

茶倉橋
茶倉橋

 

津留橋は1928年築地鐵工所製との銘板があります,1929年竣工です.下路ポニートラス橋であり,櫛田川を渡河しています.桁下から覗いてみると,横桁や下弦材が補強されています.支間長27.4mのポニートラス3連から構成されています.

津留橋
津留橋
津留橋
津留橋

 

伊勢神宮(外宮)(2022.3調査)

 

伊勢市の中心部,高倉山の麓に鎮座する豊受大神宮は,衣食住,広く産業の守護神である豊受大御神をお祀りし,古くから内宮に対して外宮と並び称されています.今から約1500年前,天照大御神のお食事を司る御饌都神として丹波国から現在の地にお迎えされました.内宮の御鎮座から約500年後のことです.以来,外宮御垣内の東北に位置する御饌殿では朝と夕の二度,天照大御神を始め相殿神及び別宮の神々に食事を供える日別朝夕大御饌祭が続けられています.

豊受大神宮
豊受大神宮
豊受大神宮

 

四日市(2020.8調査)

末広橋梁は,四日市市の千歳運河にかかる跳開式可動橋です.橋梁技術史上貴重な存在で,高名な橋梁技術者である山本卯太郎の設計によるものです.可動橋として初の重要文化財指定を受けています.鉄道橋であり,1931年竣工です.日本国内では現役唯一の跳開式可動鉄道橋梁です.平日は通常,約80度の角度で橋が跳ね上がっていて船舶が航行できるようになっていますが,列車運行時に桁が降ろされ通過が可能になります.一方,休日には常時降ろされた状態で船が通過する時のみ跳ね上げる運用となっています.

末広橋梁
末広橋梁

 

熊野川(2022.3調査)

 

熊野大橋は旧国道42号線であり,1935年に開通した下路単純ワーレントラス橋であり,和歌山県新宮市と三重県紀宝町の県境の新宮川と渡河しています.合計9連になりますが,三重県側が下路曲弦ワーレントラス(3×53.6m)であり,和歌山県側がポニー曲弦ワーレントラス(6×41.4m)で構成されています.日本橋梁が製作しました.

熊野大橋
熊野大橋
熊野大橋
熊野大橋

 

新熊野大橋は中央部にランガー橋を有しており,アプローチは普通の桁橋です.熊野大橋のすぐ上流に架かる橋で,国道42号線です.竣工は1979年であり,橋長444.8m,幅員9.5m,下路ランガー橋の支間は110.3mです.

新熊野大橋
新熊野大橋
新熊野大橋

 

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