和歌山の橋,建造物

新宮~串本(2022.3調査)

 

熊野大橋は旧国道42号線であり,1935(昭和10)に開通した下路単純ワーレントラス橋であり,和歌山県新宮市と三重県紀宝町の県境の新宮川と渡河しています.合計9連になりますが,三重県側が下路曲弦ワーレントラス(3×53.6m)であり,和歌山県側がポニー曲弦ワーレントラス(6×41.4m)で構成されています.日本橋梁が製作しました.

 

 

 

新熊野大橋は中央部にランガー橋を有しており,アプローチは普通の桁橋です.熊野大橋のすぐ上流に架かる橋で,国道42号線です.竣工は1979年であり,橋長444.8m,幅員9.5m,下路ランガー橋の支間は110.3mです.

 

三和(みわ)大橋は新宮市で熊野本宮へ向かう途中の国道168号線から,県道780号に入るところで,熊野川に架かる鋼トラスドランガー橋3連です.橋長287m(94.6×3m)であり,きれいな曲線のトラスドランガー橋です.黄緑色が映えて美しいですね.1974年完成です.

 

赤木橋(新宮市熊野川町)は赤木川に架かる県道44号線の曲弦トラス橋です.橋長101m,幅員9mであり,曲弦トラス橋では比較的大きい構造です.1965年に建設されています.

 

木ノ川高架橋は那智勝浦道路(和歌山県新宮市から那智勝浦町までの8.9kmの自動車専用道路)で木ノ川上空高い位置に架橋した高架橋で,橋長268.0m,幅員11.15m,4径間連続鋼・コンクリート複合トラス橋です.2003年に完成しています.建設当時,複合トラス橋の研究が多く行われている時期でした.

 

くしもと大橋はアーチ支間230m,橋長290mの中路アーチ橋です.2009年に開通しました.本土側に385mのループ橋があり,大島間の航路も確保されています.串本本土と大島をつなぐ念願の架橋であり,自然との調和を尊重した島影を思わせる緩やかな放物線を描くアーチが特徴です.架設時は大型仮設主塔を立てて,ケーブルエレクションを行っています.

 

山王橋は西牟婁郡上富田町にある潜水橋(沈下橋)のひとつです.山王と生馬地区本郷を結んでいます.かつては木製の橋で流失していましたが.高知県の四万十川に架かっていた沈下橋を参考に,鋼コンクリート複合構造の潜水橋に変更しました.

 

 

滝見橋(田辺市)は,会津川上流にある奇絶峡 その入り口にあるパイプアーチ橋です.上路式アーチ形式ですがアーチライズが小さく扁平です.四季折々美しい景色を見せてくれます.

 

熊野本宮大社は熊野三山(本宮・速玉・那智各大社)の中心,全国に4700社以上ある熊野神社の総本宮です.天火明命は,古代,熊野の地を治めた熊野国造家の祖神です.天火明命の息子である高倉下は神武東征に際し,熊野で初代神武天皇に天剣布都御魂を献じてお迎えしました.熊野国は,紀伊半島の南半分(志摩半島より南)と定められ,初代の熊野国造(長官職)には高倉下の子孫である,大阿斗宿禰が就任しました.
このように,熊野国造家は天神地祇の子孫である「神別諸氏」の氏族であり,物部氏の先祖でもあります.熊野本宮大社の神々は大阿斗宿裲以降,千数百年もの間,熊野国造家の子孫によって代々お祀りされてきました.

 

那智の滝は智勝浦町の那智川中流にかかる滝です.石英斑岩からなるほとんど垂直の断崖に沿って落下し,落ち口の幅13メートル,滝壺までの落差は133メートルに達し,その姿は熊野灘からも望見することができます.総合落差では日本12位ですが,一段の滝としては落差日本1位で,華厳の滝,袋田の滝と共に日本三名瀑に数えられています.

 

北西部(2022.3調査)

 

かえる橋(印南町)は,1995年に建設されました.「考える」「人をかえる」「町をかえる」「古里へかる」「栄える」の5つの”かえる”にかけて名付けられました.橋長133m,アーチ部48m,幅員9mです,赤い親ガエルをかたどり,頂上に黄色の子ガエルをあしらっています.

 

野口橋は1959年に建設された下路のワーレントラス橋です.近年の点検で補修工事が必要との判断ですが,錆などが酷いので早目に必要ですね.御坊市内で2番目に長い日高川に架かる橋(延長351.5m)です.滝上工業で制作されています.

 

不老橋は,10代紀州藩主・徳川治宝の命により作られたアーチ型の石橋です.東照宮の和歌祭時に,徳川家や東照宮の人々が御旅所に向かい通行した「お成り道」に架けられました.

1851年建造です.アーチ部分は肥後の石工が作り,雲の浮彫のある高欄は紀州の石工が作りました.

 

 

あしべ橋は不老橋のすぐ横の県道に架かる3連の石造アーチです.1991年に建設されました.中間支点にテラスがあります.

 

もう一つ,不老橋の近くに石造の橋があります.これも高欄がおしゃれです.

 

和歌山城「御橋廊下(おはしろうか)」は,屋根付きの趣のある橋です.二の丸と紅葉渓庭園のある西の丸を行き来する橋で,2006年に復元されました.長さ27m、幅約3m堀の水面に映るのが美しいです.城側と街側で少し壁の木材の色が異なっているようです.日が沈んだ後に再度訪れると,城と橋がライトアップされていて,とても綺麗です.堀の水面に映っています.

 

和歌山城の外側正面から見た大手門と一の橋です.一の橋は木造の太鼓橋になっていて,いかにも「お城の橋」という感じです.大手を潜ると,一直線の路になっていて,城内を遠くまで見通せるようになっています.

 

北島橋は和歌山市の紀ノ川に架かる橋です.1936年に完成した橋長620.5mの橋です.この橋は戦車を通すために作られたため,鋼材重量は通常より多く使用されているようです.曲弦下路ワーレントラス橋です.

 

紀ノ川橋梁(南海電鉄)上り線は1903年に建造され,曲弦下路プラットトラス橋で,非常に趣のある鋼橋です.アメリカン・ブリッジ社の製造であり,単線曲弦プラットトラス(ピン結合)です.歴史的建造物です.橋長が627.4mで16連の70ft(約22.1m)上路鋼版桁橋+3連の200ft(約62.1m)下路曲弦プラットトラス橋+3連の70ft上路鋼版桁橋という構成です.格点はピン結合で,引張力しか働かない下弦材は両端に穴の開いたアイバー(eyebar)と呼ばれる板状の鋼材になっています.

下り線は1923(大正12)年に複線化建設された下路曲弦ワーレントラス橋(約62.4m)3連で,少し構造が異なっています.格点における部材の接続にはガセットプレート多角形の鋼板を用い,結合はリベット結合されています.

 

新興橋(和歌山県和歌山市)は,土木学会選奨(近代)土木遺産・有形文化財であり,大門川に架かるポニーワーレントラス橋です.橋長27.1mであり,1954に開通しています.英国/1890年代に製造され,当初鉄道橋として利用されていたと考えられます.8パネルに短縮改造しているようです.上下弦材は平行弦であり,格点にピン結合されています.

 

和歌山市にある紀の川を跨ぐ六十谷水管橋は,橋長約550mの水管橋で1975年に完成しました.2021年10月,本橋の左岸から4径間目(中央径間)が崩壊しました.和歌山市の紀の川北側に送水するための水道管をわたす唯一の橋であり,水道管は直径約90cmの2本で構成されています.垂直材中間部に羽子板を溶接して,ロッド材で対傾構(筋交い)を設けており,その羽子板溶接部において雨水や鳥の糞による腐食が進行して垂直材が複数切断されたようです.現在,横の道路橋(トラス橋)に水道管を設置して,通行止めにして給水を行っており,水管橋は架替え&補修工事を行っています.

 

JR阪和線の紀ノ川橋梁は下路ワーレントラス橋ですが,下床版を有しており,床版と下弦材を合成させた合成トラス橋になります.横梁もコンクリートパネルで覆われています.2008年に供用開始されています.

 

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