オーストリアの橋

ウィーン(2023.8調査)

ドナウシュタット橋はウィーンのドナウ川に架かる全長343.0m,主径間186.0mの斜張橋です.1998年の竣工で鉄道橋としても利用されています.塔頂の碇着構造がユニークで,ケーブル軸線が1点に交わるように設計されています.

ドナウシュタット橋
ドナウシュタット橋
ドナウシュタット橋
ドナウシュタット橋

 

ドナウシュタット橋の手前にある地下鉄ドナウマリーナ駅付近の歩行者用斜張橋です.シュライヒの設計のような感じで,3次元的にケーブルを配置した構造です.

ドナウマリーナ駅付近の歩行者用斜張橋
ドナウマリーナ駅付近の歩行者用斜張橋
ドナウマリーナ駅付近の歩行者用斜張橋

 

ウィーン川に架かるクライネ・マルクサー橋は1900年完成のプレートガーダー橋です.垂直補剛材とブラケットの装飾がとてもおしゃれです.欧州の古い鋼橋はアールヌボーが流行した頃に,このような装飾が見られます.鋼の橋ならではの工芸だと思います.橋長26.5m,幅員24.0mです.

 

クライネ・マルクサー橋
クライネ・マルクサー橋

 

ツォラムツ歩道橋はウィーン川に架かり,ラントシュトラーセ地区とインネレシュタット地区を結んでいる中路アーチ橋です.メトロがトンネルから出てウィーン川を渡るダブルワーレンポニートラス構造のツォラムツ橋を,アーチのツォラムツ歩道橋が跨ぎます.高欄やアーチクラウンの街灯もおしゃれです.ウイーンは芸術の街なので,この橋もリズム感を感じます.

 

ツォラムツ歩道橋とツォラムツ橋
ツォラムツ歩道橋とツォラムツ橋
ツォラムツ歩道橋とツォラムツ橋
ツォラムツ歩道橋
ツォラムツ歩道橋とツォラムツ橋
ツォラムツ歩道橋
ツォラムツ歩道橋の街灯

 

ラデツキー橋はウィーン川に架かりウラニア通りとラデツキー通りを結んでいます.1848年以前に木製の橋がありましたが,1851年の洪水で流されています.その後石造りのアーチ橋が建設され1869年にラデツキー橋と名付けられ1900年には石橋から鉄橋に架替えられています.両端固定であり,アーチ橋のような外観です.外桁2本の桁高を変化させており,中桁は桁高一定でです.この橋も高欄やブラケットがおしゃれで,わざわざ旧橋をモチーフしたアーチ風のデザインにしていると考えられます.

また橋のたもとには,立派な親柱があります.

 

ラデツキー橋
ラデツキー橋
ラデツキー橋
ラデツキー橋
ラデツキー橋の親柱
ラデツキー橋

 

アスペルン橋はウィーンのドナウ運河を横断し,インネレシュタット地区とレオポルトシュタット地区を結んでいます.修復中の鋼プレートガーダー橋です.桁高さ変化させており,ピン支承部分が見えていました.リベット構造の古い桁橋なので,修復に期待します.

 

アスペルン橋
アスペルン橋

 

アウガルテン橋はウィーンのドナウ運河を横断し,アルザーグルント地区とレオポルトシュタット地区を結んでいます.ここには1782年から橋が架かっています.鋼プレートガーダー橋で,支点の橋脚と桁が一体になっている構造です.桁と橋脚が一体になっているラーメン構造で,橋脚下端の支点はピン支承になっています.1931年の建設です.

 

アウガルテン橋
アウガルテン橋
アウガルテン橋
アウガルテン橋

ロザウワー橋はウィーンのドナウ運河を横断し,レオポルトシュタット地区とアルザーグルント地区を結んでいます.橋長91.39mのコンクリート橋ですが,橋脚の形がトラス構造でユニークです.1983年の建設です.

ロザウワー橋
ロザウワー橋

 

シーメンス・ニックスドルフ橋はドナウ運河に架かり,アルサーグルント地区とレオポルトシュタット地区を結ぶ歩道橋です.橋の中央に三角断面のワーレントラスを設置した橋で,上弦材が2本,下弦材が1本ですが,下弦材は床組みと一体になっています.上弦材は角形ですが,斜材とストラットはパイプ構造です.下路トラスで端部に橋門構のようなコンクリート部材があり,桁端部の横梁と一体化しているようです.1991年の建設です.

シーメンス・ニックスドルフ橋
シーメンス・ニックスドルフ橋
シーメンス・ニックスドルフ橋
シーメンス・ニックスドルフ橋

 

フリーデンス橋はウィーンのドナウ運河を横断し,アルザーグルント地区とブリギッテナウ地区を結びます.比較的新しいタイプですが,支点が三角形の鋳物の支承で受けていました.このような支承を見たのは初めてです.1926年の建設です.

フリーデンス橋
フリーデンス橋
フリーデンス橋
フリーデンス橋
フリーデンス橋

シュピッテラウアー橋はウィーンのドナウ運河を横断し、デーブリング地区とブリギッテナウ地区を結ぶ全長128mのPC斜張橋です.側径間のバックステーはまとめて桁端部に定着しており,中央径間を吊っています.PC桁は3本あり,トラムが走行する中桁を2本のケーブルで吊っており,両側の歩道は横梁を介して支持されています.1992年の完成です.

シュピッテラウアー橋
シュピッテラウアー橋
シュピッテラウアー橋
シュピッテラウアー橋

 

デブリンガー橋はウィーンのドナウ運河を渡河し,デーブリング地区とブリギッテナウ地区を結んでいます.ブレースドリブ形式の鋼アーチ橋で,橋門構が石造であり,1911年に完成した歴史的な構造です.この形式はシドニーのハーバーブリッジ等世界各国で戦前に建設されています.ドナウ運河に 2本の水道管と1本のガス管を通すために建設されました.

デブリンガー橋
デブリンガー橋
デブリンガー橋
デブリンガー橋

 

ヌスドルファー橋はドナウ運河を渡りデーブリング地区とブリギッテナウ地区を結んでいます.パイプを用いたプラットトラス構造の歩道橋です.橋桁の両端部に階段とスロープが設けられており,自転車でも通行可能な形状になっています.

ヌスドルファー橋
ヌスドルファー橋
ヌスドルファー橋

 

ウーファーバーン橋はローゼ型アーチ下路鉄道橋です.ドナウ運河を約40度の角度で横断する単線鉄道橋です.これらは 3つの独立した橋梁構造物で構成され,中央のものはスパン 55.4mのアーチ橋です.2つのサイドスパンは鋼プレートガーダーであり,15.65mです.中央のアーチ橋は1943年に橋の隣に建設されましたが,第二次世界大戦中に破壊されました.1949年に橋は再建され,ヌスドルフ橋と呼ばれました.古い橋脚と橋台を使用しています.アーチ橋は支間長92.0m,アーチ高さ10mです.

ウーファーバーン橋
ウーファーバーン橋
ウーファーバーン橋
ウーファーバーン橋
ウーファーバーン橋

 

シェメル橋はトラス構造のゲート管理用道路橋であり,1898年に建設されました.橋はドナウ川からドナウ運河に分かれる箇所を結ぶ地点に位置しています.本橋は水門ゲートの管理用であり,ウィーンの街の水の調整を行っています.橋はオットー ワーグナーによって設計され,1810 年にドナウ川を調整する最初の計画を作成した技術者ジョゼフ・シェメルに因んで名付けられました.1978年に補修を行っています.橋長50.0m,支間長49.0m,幅員8.1mです.

シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋
シェメル橋

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