橋梁と基礎8月号に「橋梁におけるFRP適用技術の将来展望」を掲載!

橋梁と基礎(建設図書)の2022年8月号に「橋梁におけるFRP適用技術の将来展望」と題する論文が掲載されました.「橋を水から守る」特集号であり,種々の専門家が各分野を代表して執筆しています.

 

 繊維強化ポリマー Fiber Reinforced Polymer(以下FRPと呼ぶ)は,炭素,アラミド,ガラス等の繊維に樹脂を含浸させて硬化した補強材である.わが国では繊維補強プラスチックと呼ばれることが多いが,今後は極力Plasticではなく,諸外国において一般的なPolymerを使うこととする.

 建設材料は鋼材やコンクリートが一般的であるが,沿岸地域等腐食環境の厳しい地域では鋼材が錆びやすく,コンクリート内部の鉄筋も塩化物の浸入により腐食が進行するケースが多い.また,1991年にスパイクタイヤが全面的に禁止されて以来,塩化物を含んだ凍結防止剤散布が道路橋等構造物の深刻な腐食に拍車をかけている.

 このような状況の中で,近年,適用拡大されているFRPについて,種類や特性と橋梁構造物での適用事例を紹介する.まず,近年建設されているFRP橋梁について紹介する.さらにFRPによる鋼構造物の補修・補強およびFRP補強コンクリートについての情報をまとめた.

ガラス繊維強化ポリマー(以下,GFRPと呼ぶ)や炭素繊維強化ポリマー(以下,CFRPと呼ぶ)の密度,比強度および比弾性率を表-1に示す.同表より,FRPは鋼材等に比べて密度当たりの機械的性質が優れていることがわかる.

FRPの優れた耐食性は表-2に示す通り,塩化物以外の化学物質にも優れた抵抗性があり,化学プラントの貯槽やタンク等構造物にも採用されている.